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【2021春ドラマ】「大豆田とわ子と三人の元夫」

毎週火曜21:00~
フジテレビ系列
脚本:坂元裕二
出演:松たか子、松田龍平、角田晃広、岡田将生ほか

https://www.ktv.jp/mameo/

今期の大本命の第1話を視聴!
大満足の初回拡大SPでした。

坂元裕二さんの脚本は毎作品各局で大切に大切にドラマ化されます。
彼の経歴を見れば当然のことですが、なによりも90年代から2021年の現在まで、こうして現役でいてくれることに感謝です。
というわけで、私も大好きな作家さんなのですが、彼のなにがいいのか…言葉にするのは簡単ではありません。
わかるのは目の前で流れるセリフの応酬が、とてもコケティッシュで美しいということ。そしてふいに心を抉ってくるということ。

ストーリーの話を後回しにして、特筆すべき映像の第一印象を記しておきます。

TVドラマと思えないほど映像の風合いを贅沢に感じました。ひと口に映画ぽいとも言いきれないけど、陰影や潤みがとても素敵です。些かポエティックが過ぎますが、まるでシルクのような質感。
そして音声、俳優のセリフの細かなニュアンスまで落とさず拾ってくれていて、こんなの他のドラマで耳にしたことありません。どのようなマイクでどんなふうにセリフを拾っているのでしょう?
瞬きも忘れて、耳をそばだて、ずっとTVの前にいたいと思わされる1時間超でした。

タイトルからもわかるように、ヒロインのとわ子は3度の結婚と離婚を経て、現在はシングルマザーですが、住宅設計会社の社長という役職でバリバリ働いています。一人娘は多感な年頃である割には柔軟性と理解があり手もかからないので、一人の時間もあるようです。
別れた三人の元夫は、それぞれに今もとわ子に関心を寄せたり、優しく接してくれたり。

と、こう書くと、なんですかこれはすでにファンタジーですか笑
世の中の苦労されてるシングルマザーさんたちからは顰蹙ものかもしれませんね。
裏を返せば、このファンタジーのような設定には、日本の現代社会においては女性が「離婚」するにはしっかりした社会的地位が必要であることが描かれているとも言えるかも。

なんでも持っているように見える女性ーーひとりでも生きていける強さとお金を持っている女性でも、「だれかと生きたい」と思っている。

この現代の東京において、松たか子さん演じるヒロインのような女性はほんのひと握りの存在だとしても、パートナーを欲するという人間の根源的な願いの物語を描く価値はあるし、坂元裕二さんのシナリオは「大多数の一般層」からの共感に擦り寄るだけのインスタントなリアリティは必要ないと思わせる力があると、私は思います。

坂元裕二さんがこのドラマでなにを描いていこうとしているのか、まだわかりません。「なんだろう?これはなんの話しなんだろう?」小気味よいセリフの応酬やキャスト陣の演技の妙の中にキラリ・チラリと見えた気がするなにか…視聴者はそれを楽しみながら見られる、そんなドラマです。

イチオシ!大本命!

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