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クライマックストップの特徴

クライマックストップ(climax top price run-up move)やバイイングクライマックス(buying climax)と言われる株価値動きについての記事です。「皆の興味が最高潮で売り、興味がなくなった時に買い」という言葉を大切にしていますが、熱狂・最高潮・バブルの名前に相応しい、株価上昇の最終局面の値動きです。キーワードは、それらを体現した、大きな窓開け上昇(exhaustion gap)、最大(largest)、垂直な株価上昇(vertical price-up movement)です。他にも細かい特徴があり、オニールの成長株発掘法(売りのテクニカルの項目)に詳しい記載があり、また典型的には18週(4ヶ月)かけて形成されるとされていますが、見た目が何よりも大事です。

2000年の$QCOM

まずは2000年1月3日にトップをつけたQualcommです。最終局面では、約2ヶ月で株価は約4倍(+300%)に上昇しました。強い株価上昇が続いて株価の値動きが放物線状になっていき、典型的な日では約10%の大きなgap-upの後に、大きな出来高を伴って約20%という最大の株価上昇があり、合計30%となる上昇で垂直な値動きが形成されています。

2000年の$QCOMはclimax topの教科書だ。最終局面に行くまでは放物線状(parabolic)に株価が上昇し、最後は垂直(vertical)に株価上昇しバブルが弾けた。最大の株価上昇、最大の窓開け上昇(exhaustion gap-up)、高い出来高と熱狂が最高潮だったことがわかる。

ちなみに、その後のSP500は2ヶ月は下落トレンドでした。

2000年前後のSP500指数の動きである。$QCOMがclimax topをつけたあとは短期的に下落トレンドが形成された。

2021年の$TSLA

次は2021年11月4日にトップをつけたTeslaです。最終局面では、約2ヶ月で株価は約1.6倍(+60%)に上昇しました。強い株価上昇が続いて株価の値動きが放物線状(parabolic)になっていき、典型的な日では約4%のgap-upの後に、最大の出来高を伴って約8%の強い株価上昇があり、合計12%の最大の上昇で、その後の値動きを含めて垂直な値動きが形成されています。Qualcommに比べたらかわいいものですが、2024年現在もまだその高値を更新できていません。

2021年の$TSLAはMinervini師匠も言及していた。最終局面に行くまでは放物線状(parabolic)に株価が上昇し、最後は垂直(vertical)に株価上昇し、ゆっくりと下落トレンドが続いた。株価変動率は2桁ではないが、上昇率は最大、チャートでは目立つほどの窓開け上昇も伴い(exhaustion gap-up)、最大の出来高を伴う、熱狂が最高潮だったことがわかる。

2021年の$NVDA

そして2021年11月22日にトップをつけたNvidiaです。最終局面では、約1ヶ月で株価は約1.5倍(+50%)に上昇しました。短い間ですが、株価の値動きが放物線状になっていき、典型的な日では約2%のgap-upの後に、最大の出来高を伴って日内高値で最大で約15%の株価上昇があり、最終的には合計12%の上昇となりました。その後は売り抜けが続き、11月22日にトップをつけ、約1年で60%の下落に見舞われました。

2021年の$NVDAもまたMinervini師匠が言及していた。放物線状(parabolic)の株価上昇ははっきりしないが、最後はほぼ垂直(vertical)に株価上昇し、ゆっくりと下落トレンドが続いた。上昇率は2桁で最大、窓開け上昇も伴い(exhaustion gap-up)、最大の出来高を伴う、熱狂が最高潮だったことがわかる。この後はなんと60%も株価が下落した。$NVDAの長期ホルダーは本当にすごいと思う。

ちなみに、SP500は2022年1月4日に天井となり、2022年に短期的な弱気相場(cyclical bear)に突入しました。

2022年前後のSP500指数の動きである。$TSLA、$NVDAの順でclimax topをつけたあとは、インフレとFOMCの利上げサイクル突入で、弱気相場に突入した。信用取引負債(margin dept)も最高潮で、市場も最高潮だった。

2024年の$SMCI

最後はSuper micro computerです。1月18日をスタートとして、たった約1ヶ月で株価は約3倍(+200%)にまで上昇しました。放物線となる前兆もなく、最初からほぼ垂直の値動きで、典型的な日では3.7%という大きなgap-upの後に、大きな出来高を伴って約7.5%という大きな株価上昇があり、合計11.2%となる上昇となりました。何と翌日も同様に、前日を超える最大4.2%のgap-upの後に、前日を超える最大の出来高を伴って、前日を超える約10%という大きな株価上昇があり、合計14%となる上昇となりました。そして翌日、バブルが弾けたのです。最大の出来高で、そんな2日間を包んでしまう包足(bearish engulfing)で下落しました。後世に語り継がれる、典型的なclimax topとなると思います。

2024年の$SMCIは歴史に残り教科書的なclimax topのとなるだろう。放物線状(parabolic)の株価上昇すら形成されず、短期間で垂直(vertical)に株価上昇した。連日更新する最大の株価上昇、最大の窓開け上昇(exhaustion gap-up)、最大の出来高、熱狂が最高潮で典型的だ。その後の動きも、そんな2日を帳消しにする包足を伴う巨大陰線(bearish engulfing)で、出来高も最大を更新した。なんと恐ろしい。

今後の展開は

2024年はAIブームになるのでしょうか、それともAIバブルとなるのでしょうか。今は20年にも続く長期的な強気相場(secular bull)の真っ只中であり、銀行破綻によるsystemicリスクや、FOMCを待たずに行われる緊急利下げがない限り、指数全体の下落は限定的と捉えることが定石ですが、$SMCIでclimax topが形成されることは、一部が熱狂していることに他なりません。私は$NVDAや$ARMはルールに基づき利確していますが、他の個別株はいくつか保有しており、2桁の含み益のものもあれば、損益分岐点でフラフラしているものもあります。連休明けの2月20日からは、$SMCIでclimax topが形成されたことを意識して身構えながらも、損切りはいつも通りの平常運転で挑む予定です。$SMCIは、一度反発し再度安値を亢進するタイミング、つまり教科書通りのタイミングで、安全にショートをすることを企んでいます。

参考

チャート:MarketSmith (外部リンクに飛びます)
MarketSmithに関する記事:MarketSmithの紹介
William J.O’Neil 「オニールの成長株発掘法」「オニールの空売り練習帖」Investor’s Business Daily article (外部リンクに飛びます)
 “How To Trade: How To Spot A Climax Top In Winners”
 “Dow Futures: Nvidia Earnings Are Huge Test For AI-Led Rally; Super Micro Suffers Climax Top”


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