【秋葉原アンダーグラウンド】第2章 第2話
レンは小田急線の始発電車に揺られ、昨日の出来事のことを考えていた。途中、アボ首相暗殺のニュースがあちこちで流れていたが、レンにとってはどうでもよかった。
それよりも、
「あんな研究が日本で行われていたのか・・・」
・・・・・
「私が知っていることを全て話そう。君はもう関係者なのだからな。」
「関係者って?そう言えばあの黒ずくめの男も『授かった』とか訳のわからないこと・・・」
言い終わる直前で、トガが握り拳を作る。燃えている。今度ははっきりとわかる。見間違えじゃなかったのだ。
「私は『炎』を扱える。あいつらと同じ能力者だ。」
「???」
レンは困惑した。一体今日は何度驚けばよいのだろう。
「そんなこと・・・人間にできんのか?」
「できるから見せたのだ。それに信じてもらうにはこれが1番手っ取り早いからな。」
トガはある研究の被験者で、その結果能力を授かったと話した。
「研究って・・・?それって人体実験だよな?許されるのか、この日本で?」
日本では許されないという訳ではない。倫理的にどうかという問題である。しかし、レンの頭の中はぐちゃぐちゃで、思わず出た言葉がそれだったのだ。
「順を追って説明しよう。長くなるが時間は大丈夫か?」
「オーケー!明日は今日の劇場の余韻に浸りたくて休み取ってたからな!別の余韻がすげぇけど。」
それにレンは覚悟を決めていた。自分だけがここに呼ばれたのは、これまでの『授かった』という言葉や『能力者』という発言から、もしかしたら自分も能力を授かっているのかもしれないということを。
「始めてくれ。」
レンが真剣すぎる眼差しで言うので、トガはやれやれという仕草を見せ、そしてゆっくりと話し始めた。
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