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【秋葉原アンダーグラウンド】第2章 26話
なぜアキモトがここに?ここには、この地下世界には出入りできないはずだった。
皆が困惑の表情を浮かべていると、それを察したのか、アキモトのほうから話し始めた。
「すまない。盗み聞きをするつもりじゃなかったんだけどな。入るタイミングをうかがってだな。それよりもなぜ私がここにいるのか気になるかね?」
4人はアキモトの話を黙って聞いていた。なにも応える者がいなかったので、アキモトはさらに続けた。
「私の独断で来たのだよ。アボ首相は関係ない。それにこのアンダーグラウンドを建設したのは私だ。いくらでも地上へのルートは確保している。」
なるほど。だからロンの目にもつかず、ここまで来れたという訳だ。もしロンに出会っていれば、その場で殺されていたかもしれない。
「ところでなぜここへ?」
そうそう、とアキモトは思い出し、新しい計画案があると皆に伝えた。
「アキモトさん、その計画って、あなたが考えたものですか?」
「あぁ、そうだ。アボ首相やロンは一切関わっていない。まぁ、私一人で考えるには限界があったから、そこにいるイジュンくんの知恵も借りたがね。」
イジュンはアキモトと繋がっていたのか。4年も顔を出さず忙しいと言っていた理由がわかった気がする。
「アボ首相やロンと話していたとき、いつかこんな日が来るんじゃないかと感じていてね。こんな日と言うのはサラくんが目を覚まさない日が来るという意味だ。まさか能力の発現までするとは思ってもみなかったがね。」
天才音楽プロデューサーと言われるだけあって、先を見通す力がこの男にもあるのだな、とシンは改めてアキモトのすごさを感じた。
「それで、計画と言うのは?」
教えてほしい。シンがそう言うと、アキモトはシン以外の者に退出するように命じた。
「オレと2人きりになるということは、何か事情があるんですね?
・・・マリとルリのことですか?」
アキモトは核心をつかれたかのような表情をしていた。この男の中では、既に自分たちが考えていたことを、もはや体系化できているのかもしれない。
「さずがはシンくんだ。その通りだ、君とサラくんの子供たちに関係がある。」
シンは話を聞くのが怖かった。一度聞いてしまえば嫌だとわかっていても、実行せざるを得ない気がしていたからだ。シンが何も言わなかったのでアキモトは話を続けることにした。
「サラくんが目を覚ますには子供たちのチカラが必要だ。サラくんのDNAを受け継いでいるからね。おそらく、器としてはまだ未熟だが、成長とともにサラくん同様、どんな細胞をも受け入れられるようになる。」
「やはりそうでしたか。それでサラを目覚めさせるということですね。今のサラの細胞には能力発現の種が眠っている。だから、それ以前のサラの遺伝子が必要。それで娘たちの出番という訳だ。」
「サラ君の力は今や大きくなりすぎてしまっている。このまま時間がたてばもっと大きくなるだろう。」
「そしたら、娘たちが大きくなっても、サラに追いつけない可能性があるのでは?」
シンの考えはそこで止まっていた。確かに子供たちが成長すればサラのようなことができるかもしれない。だが、サラは常に新しい細胞と融合しており、時間が経つにつれ、その差は開いていくだけだ。
「その先の考えについては、実際に目で見てもらったほうがはやいかもしれない。少し歩けるかね?」
あぁ、とシンは言い立ってみせる。少しふらついてはいたが、歩くだけなら申し分ない。部屋を出ると、ワン、リン、イジュンの姿があった。
「べ、別に盗み聞きしたくて、ずっとここにいた訳じゃないにゃぁ。」
リンはとっさに弁解すると、大丈夫だ、君たちも一緒に来てくれ、とシンは言った。ワンはシンに肩を貸してあげ、4人はアキモトの後を追った。
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