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【秋葉原アンダーグラウンド】第2章 23話

その宴会は真夜中まで続いた。疲れていたこともあり、3人はすぐに酔いが回り眠くなった。

「シン、お前そこで寝るのか?」

「あぁ。今日だけはサラを一人にしちゃいけないからな。」

「じゃあアタシらはお子ちゃまたちの隣で寝よっか~?」

「リン、川の字になって寝るか?」

「そのほうが今日は安心だな~。誰かさんに急に襲われでもしたら嫌だしー。」

んなことするか?このブ・・ぐはっ!・・・ブスととワンが言おうとしたのを察知したのか、言わせる前にリンの拳がワンのみぞおちに入った。ワンは今にも吐きそうだった。

「川の字になってもいいけど、子供たちの前で絶対に吐かないでね。」

「お、おぅ・・・努力するよ・・・」

シンはそのやり取りをみてクスッと笑うと、次に深々と頭を下げていた。

「今日は本当にありがとう。」

シンが頭を上げる様子もなかったので、リンは、

「いい誕生日だったね!」

そう言ってワンとともに研究室をあとにした。
本当にありがとう。シンは二人の姿が見えなくなってからも、ずっと頭を下げたままだった。

・・・・・

シンはサラにもたれかかるようにして眠ってしまった。

コッ、コッ。

何者かが研究室に入ってくる。ロンだった。シンは深い眠りに入ってしまい気が付かない。

「ハッピーバースデー、サラくん。」

ロンはカプセルの中のサラに向かいそう呟く。シンは気付いていない。

「愛する者と共に過ごせるなんて、とても羨ましいよ。」

ロンはほくそ笑み、胸元から注射器を取り出した。

「私からの誕生日プレゼントだ。ゆっくり堪能してくれ。」

そう言うとロンは、カプセルに繋がっている管の一部に針を刺した。

「大丈夫。毒なんか入ってない。ただの細胞液だ。ちょっとばかしブレンドはしているがね。」

注射液はすべてサラのカプセルへと入っていった。

・・・・・

翌朝、シンはサラの隣で目を覚ました。

「あぁ。眠ってしまったか。おはよう、サラ。良い夢は見れたかい?」

サラに向かって話しかける。いつも通り穏やかな顔をしていた。
シンはさっそくそばにあるモニターで脳波の確認を始めた。昨晩皆で騒いでいた時間帯に少し反応があった。もしかしたら自分たちの声が届いていたのかもしれない。そう思った。

それ以降は特段、異常は見られなかった。

#創作大賞2023  

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