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超短編小説

私の彼氏が、彼氏の兄から猫を譲り受けてきた。
その猫は茶色い虎柄の子猫。

最初は逃げられていたが、意思疎通ができるまでになってきた。
しかし、私は実家暮らしである。
家族に内緒で飼うわけにはいかないので家族に紹介しようと決意した。

猫に、今から家族に紹介するから大人しくしとくんだよ。と助言をすると猫は頷き小さくなり眠った。
"小さくなり"というのは2cmほどの大きさに物理的に小さくなったのである。

少し驚いたが、小さいのは好都合だと判断し、すぐさま家族に紹介した。起きないうちに紹介し、さっさと許可を貰っちゃおうという魂胆だ。

すると妹が、興味津々で見ているので
私「眠っているんだよ。寝息が可愛いんだよ。」
私は、そっと猫を妹の手のひらに乗せた。妹は猫の頭をもち自分の耳に近づけた。

私はびっくりし、止めた。
私「頭は触らずに自分の耳を近づけて!」
時すでに遅し、猫の頭は胴体から離れていた。

私は自責の念と悲しさとが入り混じり、大粒の涙を流して声を上げながら泣いた。
なぜ子猫の頭を触ってはいけないと言わなかったのか。
なぜ家族に紹介しようなどと思ったのか。

頭と胴体が離れた無残な2cmの猫は、私には受け止めきれなかった。

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