見出し画像

そっと閉じ込めるなら、何を

昔から好きな物のひとつにビンがある。

飲み物のビンなんかでも色が珍しく綺麗な物があると洗ってとっておきたくなった。透き通ったビンも好きだけど、分厚くて色の着いたビンが特に好きだ。

学校の保健室や理科室の棚によくある、薬品瓶と言うのだろうか。蓋も硝子で出来ていて、口の広い、色んな大きさのある、あれ。
あのビンは特に、言い様も無く好きだ。フォルムがとにかく可愛いし、外した蓋の本体に接する部分がザリザリしているのも何だか良い。
実際に薬品を入れる物とは多分違うのだろうけど、雑貨屋さんや100円ショップに売っているのを発見した時は迷わず購入した。

医療や実験用の硝子製の道具ってすごく魅力的だと思う。
ビンに限らずビーカーもフラスコも、シャーレも、試験管も。
うっかり落としたら壊れてしまう危うさも、歪みの無いきっちりした形も、刻まれた目盛りも。それでいて何と無く可愛いから不思議だ。

それと風邪をひいたりして病院に行った時に先生のデスクにあると大変テンションが上がるものがある。
正式名称が分からないが、濃い青や茶色の色違いの試験管のような形の硝子が、金属製の台に4つほど引っ掛けられていて、舌をベーってする時に先生が使う木ベラなどがささっているやつ。
…説明が難しいし、ほんとに名称が分からない。
分からないけど、あれが何だかとても好きだ。道具の取り間違いを防ぐ為なのか分からないが、硝子が色違いなのが堪らなく可愛い。

ちなみに私は全く理系の人間ではない(ゴリゴリの文系)ので、買ったビンに薬品などを入れている訳ではない。カラフルなボタンを入れて飾ってみたり、蓋を外して花瓶代わりに使ったりする事もあるが、大体のビンは空のままだ。
大きさを揃えたビンを台所に並べてハーブやスパイスを入れたりしたらオシャレなんだろうな〜と思いつつ、思っているだけでやってみた事は無い。

そんな訳で我が家の下駄箱の上には空のビンがいくつか並んでいるが、その内のどれかに近々役割を与えられそうだ。
ベランダのネモフィラがぼちぼち花の時期が終わりのようで、花が枯れた後に種が出来るようになってきた。茶色い膨らみが割れて零れた小さな種を大切に拾って、ビンに入れておこうと思う。ネモフィラは秋頃に種を蒔くらしいので、それまで失くさないように仕舞っておこう。

遮光硝子の中で、やがて陽の光を浴びる時をじっと待つ、小さな命の粒。
何だか、とても、良い。
うっかり種が入っているのを忘れないように、ビンには花の名前を記したラベルをきちんと貼っておこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?