リアリティの無い悪夢、春菊のゴマ炒め
今朝起きる前に見た夢は自分が見た夢史上、というか内容を覚えている夢史上一番グロかった。(ぼやかして書くつもりだけど何か嫌そう…と思ったら引き返して頂いて…)
私は夢の中で薬局に入ってゆく。自分の薬ではなく母親の薬を受け取るためなのだが、薬局の店員に「ご本人でないとちょっと…」と難色を示される。
薬局の中は何故かファミレスのような造りになっていて、窓の傍の席に掛けるように促されテーブルを挟んで店員と向かい合って座る。
窓の向こうには高層マンションらしき建物が建っていてエントランスが直ぐ近くに見えるのだけど、そこが一目見て分かる飛び降り自殺の現場なのだ。一目見て分かる、と言っても現実の私はそんな現場を見た事は無い。なのでかなりやばい光景ではあるけれど、やば過ぎて余りリアリティは無い。だから夢の中の私は怖いと思いながらも凝視していられたのだろう。
私が窓の外を見ているのに気が付いて店員は少しだけ気まずそうな顔をして、「まだ警察が来ていないんです」と言った後、何事も無かったかのように薬についての説明を続けた。
窓の外ではギャルみたいな格好の派手な二人組が、はしゃぎながら凄惨な現場の周りを飛び跳ねてスマホで写真を撮りまくっていた。何だ、病んだ現代の風刺か…?
やがて救急隊員のような人がやってきて担架に誰かを載せて運んで行ったけれど、亡くなっていたのは男性のように見えたのに、運ばれていたのは女性のマネキンのように見えた。
やがて両親がやってきて、私は小声で「さっきそこで飛び降りがあったらしくて…」と状況説明を始めた。声を潜めれば潜めるほど周りに聴こえるように喋っている感じがして、野次馬根性を恥じながらも私は喋る事を止められなかった。
起きた後も「めちゃくちゃ嫌な夢を見た…」という感じではなかった。自分や誰かが死ぬような一見不吉な夢って、夢占い的には吉夢であるパターンが多いから不思議だなぁと思う。今日の夢も何か良い事の予兆だったらいいなぁ。
午前はひたすらに調理をしていた。ブロッコリーを蒸し焼きにして、カボチャを切ってレンチンして、一晩塩漬けした豚肩ロースのブロックを茹でて…。
それから春菊を刻んで、フライパンで炒めた。昨日の夜鍋をしたので、そこに少し入れたけど2束買ったので結構量があった。
春菊を買うと鍋に入れる以外はたいていこの食べ方をする。ゴマ油で炒めて、砂糖、みりん、酒、醤油、お酢、すりゴマで味付け。
このレシピは、先日亡くなったあの有名な占い師の方が昔テレビ番組で紹介していたものだ。大分昔だから細かい違いはあるかもしれないけど。
芸能人相手に「あんた死ぬわよ」とあの辛辣なワードを浴びせる番組だったけど、何故か途中にその占い師の方が割烹着を着て料理するコーナーがあった。強烈なワードを連発する占いパートとバランスを取るためだったのかどうか分からないけど、そこでこの春菊の炒め物を作っていた。
家族で「美味しそうだね」と言いながら観ていて、それから母は春菊を買ってきたらその炒め物を作るようになった。その番組は結構観ていた気がするけど覚えているのはこのレシピと、味噌汁を作る時に味噌濾しに鰹節を入れて少し置いた後そこに味噌を入れて溶くというやり方だけだ。今の我が家には味噌濾し自体存在しなくて味噌は直接ぶち込むスタイルなのでやっていないけど、昔は楽なので真似していた。それ以外のレシピは全然覚えていないので、自分で実践して定着するといつまでも忘れないものなんだなぁと思う。
私はその占い師の方を特別好きでもなかったし嫌いでもなかったけど、割烹着を着て料理する姿には意外性と和やかな雰囲気があったので番組の目論見通りだったのかもしれない。
訃報を知った時、私は占いよりも最初に春菊の炒め物を思い出していた。これからも春菊を買ってきて刻む時、ああ、もう亡くなったんだっけ、と思い出す気がする。私の中ではもうほとんど、歯に衣着せぬ女傑の占い師と言うより、春菊炒めのおばちゃん、なのだ。
沢山あるように見える春菊は炒めるとびっくりするくらい量が減る。本当は黒ゴマのすりゴマだけど、切らしているので白ゴマのすりゴマ。
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