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誰そ彼時の眺め

洗濯物を取り込むのにベランダに出ると、暗いけどまだ空の端が夕陽で赤かった。夕方の陽が落ちていく時の空のグラデーションって綺麗だよなぁと思う。
まだ少し明るさを残した空をバックに電柱や電線や建物が黒くくっきりと切り絵のようになっている眺めが昔から何だか好きだ。昼間はそれぞれ独立した物が連なった眺めにしか見えないのに、夕陽の逆光の中では全てがひと繋がりの物に見えるから不思議だ。雑多な眺めが途端に芸術作品のように思える。

中学の美術の授業で、自分で撮った写真を何枚かパネルに配置する課題があった。その時も私は家の近所の電柱や電線を夕方に撮影した。尤も実家はめちゃくちゃ田舎なので、東京の空ほどごちゃごちゃしておらずもっとスッキリしていたけれど。
嬉しいことにその写真を生徒会誌の表紙に使って貰ったのだけど、3冊ある生徒会誌の内、よりによって自分の写真が使われた年のものだけ紛失してしまったので実家に帰っても見返す事が出来ない。私はそういう過去の自分の栄光(と言う程の事では全くないけど)にいつまでも浸って縋っていたいナルシスト野郎なので、惜しい事をしたなぁと思う。かと言ってわざわざ持っている友人に見せてとか言うのもナルシスト丸出しで恥ずかしいしな…。うーん、何処やっちゃったんだろう。

洗濯物を全部取り込んで、ベランダからスマホで空を撮ってみた。シャッター音を鳴らすと道行く人に怪しまれるかと思って無音カメラで。
あんまり建物写すと特定されちゃうし(誰もしないよ)、と思ってトリミングしたら電線よりも洗濯バサミがメインになってしまった。
…写真の腕は中学生の頃の方があったかもしれないな。あの時はスマホなんてなくて、使い捨てカメラで撮ったんだけどね。
時代感じる〜!!

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