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くらいかえりみち

これが本来の11月下旬の気温なのだろうという寒さが戻ってきて、日が落ちるのも随分早くなった。カーテンを閉めなければ、と思うのが早くなった。

いつまでも過去の失敗を覚えていてうじうじ思い出すのだけど、そのひとつに冬の夕方の事がある。
小学校2年生くらいのある日、私は家が近所の男の子と一緒に下校していた。私の地元は雪国なので冬は大抵雪が積もる。その時も結構な雪が積もっていた。
私とその男の子は雪玉を投げ合ったり積もった雪の山に登ったり、雪で遊びながら下校していた。雪が積もると暗闇はどこか柔らかく仄明るく感じられるのもあって、時間が経つのを忘れてしまったのかもしれない。元々私の家は小学校からは結構離れていて、普通に真っ直ぐ帰っても30分以上はかかる距離だった。
当然のように心配した親から学校に電話が行った。
親からはそんなにこっぴどく叱られた記憶は無いのだが、翌日教室で担任の先生が「昨日帰りに寄り道して帰った人がいてお母さんから心配して電話がかかってきました。帰りは寄り道せず帰りましょう」という注意喚起がされた。
同級生が「えー、誰誰?」とざわつく中、私は気まずく縮こまっていた。名指しで言わなかったのは先生の優しさだと思うが、あんなに居心地の悪い事は無かった。

普通に考えたらどうなるか、事の顛末は想像に難くないと思うのだが、それが出来ないのが子供なのかもしれない。目の前の楽しみに心奪われて後先考えられなくなるというか。
しかし今考えても、冬の暗い帰り道で寄り道は本当に危ない。特に田舎は本当に灯りが少なく道が暗いので、危ない。

しかし今はもう、積もった雪にはしゃぐなんて出来ないだろうなぁ…。寒くて脇目も振らず帰るな…。
分別がつくようになった代わりに寒さをものともせず無邪気にはしゃぐ事も出来なくなる。
悲しいかな、それが大人になるという事…。(?)

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