見出し画像

良いミッション・ビジョン・バリューとは?を組織開発SaaSのCSがガチで考えてみた

こんにちは、世界中のヒトや組織の可能性を拡げたい、山崎です。株式会社アトラエ で Wevox のカスタマーサクセス(以下、CS)を担当しています。

突然ですが、「良いミッション・ビジョン・バリュー」ってどのようなものだと思いますか?

就職活動で「ミッションに共感できるかどうかが企業選びの軸です」と言っている人もたくさんいますし、Wevox の CS をやっていると「理念浸透に困っています」という相談も多くいただきます。

※ちなみに、Wevoxはエンゲージメント解析ツールを始めとした「組織力向上プラットフォーム」であり、"組織開発領域のSaaS"です。プロダクトの詳細やWevoxのCSの働き方については、下記ページをご覧ください。

ミッションや理念といった言葉がビジネスではよく使われているものの、「共感できるミッションの特徴は?」「どうすれば理念を浸透させられますか?」という問いに対して、明確に回答できる人は少ないと思います。

この note では、Wevox の CS として400社以上の企業の組織開発の取り組みに伴走してきた経験をもとに、「良いミッション・ビジョン・バリュー」について考えていきたいと思います。


1. ミッション・ビジョン・バリューとはそもそも何か?

1-1. まずは色んな会社のミッション・ビジョン・バリューを見てみる

(1) リクルート

リクルートグループ「ビジョン・ミッション・バリューズ」

▼ 僭越ながら山崎のコメント
CM とかで聞いたことがある言葉が綺麗に整理されていて、さすがリクルートさんという感じですね!

シンプルな言葉でまとめながらも、「桁違いに速く、驚くほどシンプルに」「遊び心を忘れずに」「すべては好奇心から始まる」など、組織のカルチャーに繋がるような表現を厳選して盛り込んでいる印象です。

(2) ソニー

ソニーグループ「Sony's Purpose & Values」

▼ 僭越ながら山崎のコメント
何よりも、ここまでシンプルにしているのに驚きです!

従業員数が「113,000名 (2023年3月31日現在)」のグローバルカンパニーで事業領域も幅広いからこそ、グループ全体の Purpose と Values はあえて抽象度を高くして、解釈の余地を残しているのかもしれませんね。

この Purpose と Values は2019年1月に策定されたようなのですが、18年4月にトップに就任したソニーグループの会長兼社長CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎氏が中心となって推進したようです。会長兼社長CEOがPurposeとValuesの策定に携わっていたとなると、「パーパス経営」を推進する上でのメッセージに厚みが生まれそうだと思いました!

(3) サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェント「パーパス」
株式会社サイバーエージェント「ビジョン」

▼ 僭越ながら山崎のコメント
パーパスとビジョンのページを分けているのが特徴的ですね!

「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンは、パーパスに追従するものではなく、パーパスと並列で取り扱うものだ!というこだわりがあるのかな、と推測しました。(実際どうなのかは分かりませんが。笑)

Mission Statementを剥き出しの長文にしているのは、過去の文章をそのまま大事に使っていたりするのかな。にしても、「ライブドア事件を忘れるな。」という言葉が入っているのは具体的すぎて面白い。


1-2. ミッション・ビジョン・バリューの定義

ここまで見ていただいてお分かりかと思いますが、ミッション・ビジョン・バリューは企業によって定義が大きく異なりますし、その順番も異なります。

定義が若干違うことによって、ミッション・ビジョン・バリューの日本語の訳語にばらつきが出てしまうことも、この領域のややこしさを助長してる要因だと個人的に思います。そして、パーパス、フィロソフィ、クレドなど、なぜかこの領域には同じような意味合いの言葉がたくさんあります。笑

ということで本noteでは、それぞれの言葉を下記のように定義して進めていきたいと思います。

・ミッション = 「存在意義」(何のために会社があるのか?)
・ビジョン = 「将来のありたい姿」(何を目指すのか?)
・バリュー = 「行動指針」(ミッション・ビジョンの達成に向けて何を大事にするか?)

ちなみに、パーパスを「存在意義」、クレドを「行動指針」と訳すケースが多く、ミッションとパーパス、バリューとクレドは比較的近しいニュアンスで使われがちだと思います。

また、「ミッションがWHYであり、ビジョンはWHATである!」「ミッションがWHYであり、バリューはHOWである!」といった主張を見かけることも多々ありますが、個人的には、ミッション・ビジョン・バリューの定義にばらつきがある中、一般論のようにまとめるには無理があると感じています。

ただ一つ言えることとして、少なからず、ビジョンはWHYになり得ると思っています。

2. 良いミッション・ビジョン・バリューとは?

「何にとって良いか?」「誰にとって良いか?」のように、主語や目的が曖昧だと「良い」の定義が変わってくるので、ここでは「良いミッション・ビジョン・バリュー」を下記のように定義しておきます。

▼ 良いミッション・ビジョン・バリューの定義
・会社が一致団結できている
→ 会社が「何のためにどこを目指すのか?」について、従業員全員が理解・共感できている

・日常のコミュニケーションに落とし込まれている
→ ミッション・ビジョン・バリューに紐づく対話が日常的に行われており、事業判断やフィードバックに活用されている

さて、長らくお待たせいたしました。それでは、ここから本題の「良いミッション・ビジョン・バリューとは?」について語っていきたいと思います。

結論から申しますと、良いミッション・ビジョン・バリューには、「エモさ」と「一貫性」が必要だと考えています。それぞれについて、説明していきます。

2-1. 必要要素①「エモさ」

「エモさ」というのは、従業員の情緒が反応する(ひいては、共感に繋がる)ということです。必ずしも、社外の多くの人たちに「エモさ」を感じさせる言葉でなくても大丈夫です。

ちなみに、ミッション・ビジョン・バリューではないですが、スターバックスの「サードプレイス」という言葉はうまいなと思います。スターバックスコーヒージャパンさんが下記の「OUR MISSION」を掲げているのですが、「サードプレイス」というコンセプトとも強く重なっていそうです。従業員は「サードプレイス」というコンセプトに「エモさ」を感じているような気がします。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社「Our Mission and Values」

ミッション・ビジョン・バリューに「エモさ」を持たせるためには、下記2点が大事だと思います。

  1. ありきたりな言葉や抽象度の高い表現を使わずに、言葉選びにこだわり抜くこと

  2. 文章が長くなりすぎないように、盛り込む要素を厳選すること

加えて、可能であれば、ミッション・ビジョン・バリューを策定するプロセスに従業員を巻き込むことができるとなお良いと考えます。

2-2. 必要要素②「一貫性」

ミッション・ビジョン・バリューが「ただ掲げているだけのもの」になってしまう一番の要因は、「掲げていることと言っていることが違う」もしくは「掲げていることとやっていることが違う」です。

つまり、ミッション・ビジョン・バリューと日々の言動に「一貫性」を持たせる必要があります。中身ももちろん重要ですが、それ以上に活用がめちゃくちゃ重要です。

経営陣や管理職が下記のような言動を取ってしまっていると、ミッション・ビジョン・バリューは「ただ掲げているだけのもの」に成り下がります。

▼バッドケースとなる経営陣や管理職の言動
・戦略や方針をミッション・ビジョンに重ねながら説明していない
・目先の売上や社内の評価のことばかりを気にして、経営陣や管理職自身がミッション・ビジョンに立ち返ることができていない
・経営陣や管理職自身がそもそもバリューを体現できていない
・配下のメンバーに対して、バリューに紐づけてフィードバックができていない

ちなみに、Wevoxのメンバーが下記の記事で、「Being(ありかた)=求心力」「Doing(なすこと)=遠心力」という表現をしていたのが、個人的にはしっくり来ています。

「Being(ありかた)」がパーパスやミッションであり、「Doing(なすこと)」が日常の業務ですね。日常の業務をパーパスやミッションに紐付けなければ、求心力が働かず、遠心力によって組織がバラバラになってしまうのだと思います。

3. アトラエのミッション・ビジョン・バリューとは?

ちなみにアトラエのミッション・ビジョン・バリューは下記です。

株式会社アトラエ|会社紹介資料

アトラエの場合、Vision・Philosophy・Valuesと事業面での軸(Mission的なもの)を分けているのが特徴的で、ややサイバーエージェントさんに近い気がします。

アトラエの「世界中の人々を魅了する会社を創る」、サイバーエージェントさんの「21世紀を代表する会社を創る」。ビジョンの抽象度の高さも似ているかもしれませんね。

4. 最後に

2021年2月に自分が中途でアトラエに入社してから、はや2年10ヶ月が経ちました。入社直後から感じていたのですが、アトラエはミッション・ビジョン・バリューの「エモさ」も「一貫性」もめちゃくちゃ強いと思います。

  • 「魅了とは何か?誇りとは何か?」

  • 「今の自分たちの仕事は、顧客や社会を魅了できているのか?」

  • 「Atrae is meを体現できているか?」

という観点に日常的に立ち返っているので、ビジョンやバリュー(Atrae Standard、通称「アトスタ」)について全員が想いをもって語れることができているのだと感じています。また、「魅了」「誇り」という言葉に対するこだわりが、良い意味で強く、基準は高いです。

その結果、管理職がいない組織形態だからなのか、2-2. 必要要素②「一貫性」であげたバッドケースとは真逆の状態になっています。

▼アトラエの日常
・それぞれがミッション・ビジョンに重ねながら戦略や方針を説明する
・目先の売上や社内の評価だけに囚われることなく、それぞれが適宜ミッション・ビジョンに立ち返っている
・「アトスタ」を体現しようと意識し続けられている
・「アトスタ」に紐づけて相互にフィードバックを行う

「Vision・Philosophy・Valuesの抽象度が高い」と思われるかもしれませんが、ガチガチに固めずに、余白を対話で擦り合わせることができるアトラエのスタイルと合致しているような気もします。

アトラエ社員一人ひとりの会社を創る想いが書かれたオフィスの壁

そんなアトラエですが、2023年10月から新しい期をむかえて、絶賛採用強化中です。エンジニアやデザイナーやデータサイエンティストなど全方位で採用活動を行っていますが、特にWevoxのカスタマーサクセスが採用ニーズ強めです。

興味のある方は、気軽にご連絡ください。山崎(@YamazakiTosh)に対してXから直接メッセージをいただいても大丈夫です!

▼アトラエの採用サイト


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?