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転勤族による転勤族談義7

前回に引き続き、沖縄のお話をしてみたいと思います。

スーパーでのカルチャーショックが大きかったので、今回は食材諸々について書いていこうと思います。今は、沖縄といっても内地資本のスーパー(イオン等)が多く入って来ており。価格を気にしなければ、本州で生活するのと大差無い生活が出来る状態になっているはずです。

ただ、2000年以前。
今から25年くらい前には、こんな感じでした。
沖縄の2次離島に住んでいた夫と入籍し、次の転勤で荷物を持って合流。次の赴任地で新生活を開始するという約束で。そこには、時々通っていった感じでした。

近くの橋のたもとから

当然、単身男性の部屋には調味料からして無い。
職場の食堂も完備されていましたし、地元に可愛がられていた人だったので。良く人様のお宅にお呼ばれして食事を済ませたり、スーパーでお弁当を買う生活だったようです。

初めて、彼の部屋で生活しようとした時。最初に買った物、それが調味料でした。塩と醤油はあるよ!と意気揚々と言う彼に砂糖の存在を聞くと。
「スーパーで買って来て」でした。
ただ、彼の一言がとても不安でした。
「砂糖売ってるかな」
さすがに、砂糖は売ってるだろ・・・。心の中で突っ込みを入れつつ行ったスーパーで案の定砂糖が無い。マジですか・・・恐る恐る店員さんに
「あのぉ・・・砂糖が欲しいんですけど」
「あ、砂糖ね」
妙な事聞く子だな、と思われたのかサッと先導して歩き出し。棚に手を伸ばし「はい、砂糖」と渡されたのは、何と黒砂糖。
「えっと、白い砂糖が欲しいのですが」
「ああ、コーヒー入れる方ね」
今度は、グラニュー糖を渡される。
「いえ、これじゃなくて白砂糖か、三温糖を」
「そんなのないさぁー」
これが、スーパーでの最初のカルチャーショックでした。

同じ様に、このスーパーでお弁当を買ったときのこと。
真夏だったので、暑くて。しゃけ弁当とか、幕の内みたいなあっさり系のお弁当が食べたかったのです。もっと言うなら、寿司でも良いくらいでした。

夫の知り合いが、スーパーに行くというので「ついでに買ってきてあげる」というので我々2人分も頼んだのです。
「一番あっさりとしたお弁当でお願いします」というと。
「いや、多分ミックスしかないと思うよ。あとはお総菜かな」
と言うので、ミックスを2つ頼みました。

彼にミックスって何?と聞くと。
日替わり弁当みたいなので、この辺りのベーシックなヤツ。もしかすると、あっさりだと沖縄そば食べに行った方が良かったかもなとのこと。

私の頭の中には、のり弁的な物がイメージとして浮かんでいました。
しかし・・・1時間後に手元に来たミックス弁当は、私史上初の油ギトギト爆盛り弁当でした。呆然とする私に、だから言ったじゃないかと彼。

聞けば、漁師町で基本体力仕事の彼等は物凄い良く食べる。
尚かつ、仕事場(炎天下)に持っていって食べるので少しでも腐りにくいように油を(徹底的に)通した物を入れるのが普通で。
本州で言う漬け物や、おひたし、なんてものは皆無。
油炒めのエンサイ(空芯菜)や、ゴーヤチャンプル、こんなのが一番あっさりしたおかず。それにプラスして、ポーク(ランチョンミート)を焼いたらしいけれど、どう見ても揚げてるだろ!系の油ギッシュなヤツと、フライ各種がご飯の上にドーンと鎮座していて・・・とても喉を通らない状態でした。

多分、無理だと思ったのか煮物も買ってきてくれたそうなのですが。
「テビチ」や「ラフテイ」でどっちにしても油ギットギト。
良かった、入籍して即荷物持って来る気にならなくて。
そう思った通い妻時代でした。

2度目の沖縄赴任、一応は一次離島。
といっても、前の赴任地のお隣の島。勝手知ったる・・・の、つもりだったのですが。1週間10日程度滞在するのとは、全く訳が違いました。
前回書いたのも、ここのお話でして。2次離島の時は、小さい島だったのでよそ者が少なすぎて「この人は〇〇の人」と認識されていたので、嫌がらせは無かったのですが。
一次離島になると、人口も多くスーパーも各種色とりどりでマックスバリューも有り便利だったのですが。安く済ませたい若い夫婦は、近所の安売りスーパーを愛用していました。

ご近所の風景

赴任して直ぐに、食材を買い出しに行くと・・・。
スーパーを入った瞬間、何かが腐ったような”すえた臭い”がプーンと漂っています。さすがに、臭いの元を探しました。

そこには、なぜかパックではなくビニール袋に入った巨大な豆腐と。同じくビニール袋に入ったパンパンに膨らんで上を輪ゴムで止めてある何かがありました。その”なにか”は、下に白いモロモロとした物体が沈み。上は、黄色く濁った液体が入っており、気になって手を出してみると
「熱っ!!」と叫びました、よく見ると「あっちこーこ!火傷注意」と書かれているではないですか。
「あっちこーこー?熱々って事かな」
その横には、本日の豆腐の入荷時刻が書かれ1日に3~4回熱々の豆腐が入る事が分かりました。この豆腐は、常温なのか?いや、そもそも問題、常温で良いのか?常温で積んであるから腐った臭いがするのか?
ジーッと見つめる私に、店員さんがやってきて
「お姉さん、よその人?ゆし豆腐美味しいね、はい食べてみようね」
なぜか、笑顔で買い物籠に謎の液体の入った物を入れて消えていきました。
「うそーん」
まだ、可愛い若者だったので籠から戻せず。取りあえず、夫に聞けば食べ方くらい分かるだろうと野菜コーナーに進みました。
「取りあえず、キャベツとほうれん草と玉ねぎ、人参くらいあれば」
ひとり言を言いながら野菜の並びをみると
”エンサイ” ”はんだま” ”んぎゃな” ”ゴーヤ” ”青パパイヤ” ”ふーちば”
「う・・・・頭痛してきた」

熱々のゆし豆腐だけ入れた籠を持って、半べその状態の私は次は魚コーナーへ。魚好きな夫は、魚の方が良いのかなと・・・。

パックに入った切り身が並ぶ場所は、もっと異世界でした。
赤、青・・・謎の色をした切り身が。
「普通の物は無いの!?」
片っ端から確認をすると、アジを発見。
「アジだ!刺身に出来るなら、タタキに・・・」
手を伸ばして、品名を見ると「ガチュン」。
「がっ・・・がちゅ・・・ん?アジじゃないのか」
そっと、冷蔵ケースに戻しました。
※ガチュンは、沖縄のアジでした。後で知りました。

「うん、きっと肉にしろという神様からのお告げよ!」
フラフラと精肉コーナーに行くと、特売!という文字が。
「おぉおお、特売!!」
早足で、近寄るとPOPには
『Aロース、Bロース、お声かけください計り売りです』
え・・・A?B?
「見なかったことにしよう」
隣りに視線を移すと、そこには
『本ソーキ、大安売り軟骨ソーキ、三枚肉』
馬鹿でかいビニールに入って、上だけ開いてあり。
骨付き肉が、山盛り。そして、横には1kgはありそうな肉の塊があり皮が付いていて適当な処理をしているのか皮には毛がチラホラ残ってる。
「き・・・気持ち悪い」

とんでもない所に来てしまった。
その足で、豆腐だけ持ってマックスバリューに向かったのは言うまでもありません。

ただ・・・その晩食べた、ゆし豆腐の美味しさに感動して。
沖縄食材と沖縄料理に嵌まっていくのでした。

結構、順応性を生きていく力は昔からあったのだと思う、今の私でした。