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初北海道3日目 1989年7月26日-① サロマ湖〜能取岬

3日目の朝、僕はサロマ湖畔のホテルを出てオホーツク海沿いの町道を能取湖方面に向かって走っている。窓を全開にして走ると、乾いて少しひんやりとした空気が車内に入り込んできて寝起きの顔に気持ちいい。しばらく走るとR 238号線にぶつかり能取湖の西岸に出た。そして昨日のうちにチェックしておいたガソリンスタンドで給油を済ます。

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もちろん北海道のガソリンスタンドと言えば黄色と緑のマークが目印のホクレンだ。給油中に朝の内にチェックしたこのあとのルート、能取湖をグルっと一回りする美岬ラインを走り、能取岬の灯台を目指す道を確認する。

道道590号線に入る。通称「美岬ライン」と呼ばれるこの道はダートがところどころにあるけれど、比較的整備が行き届いた走りやすい道だ。左側に青々と広がる能取湖を眺めながらの朝のドライブは気持ちいいことこの上ない。

道は次第に右にカーブして森の中に入っていった。少し走ると左折すると能取岬という標識が見えたのでそれに従い左折する。と同時に舗装路に変わった真っ直ぐに伸びる道の向こうのオホーツク海に、ぽっかりと白い灯台が浮かんでいるという絵に描いたような場面が目に飛び込んできた。

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早朝の能取岬は完全な貸切だった。オホーツク海からの潮風も、白と赤で塗り分けられた灯台も、大きなニポポ人形のモニュメントも、全て僕だけのものだった。昨日の夕方、ちょっと明日寄ってみようかなと思った能取岬がこんなに素敵な場所だったなんて、やっぱりその時の思いつきで動ける旅っていいなあ、そう感じた3日目の早朝だった。

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能取岬の東側の道を網走市に向けて走る。そこでは木を倒し森を切り開き大規模な工事が行われていた。どうやら新しい道を作っているらしい。整備された道を走るのはとても気持ちよく爽快な気分になるし、それを求めて自分も北海道にやってきているんだけど、あらためて目の前で開発という名の自然破壊を見てしまうと何も言えなくなってしまう。前日に知床でナショナルトラスト運動について学んできただけに尚更だ。

そのとき見た光景はその後の自分自身の自然保護に対する考え方の大きな土台になっていることは間違いない。


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