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【番外編】2011年8月13日の事

2011年8月13日
道の駅「サンフラワー北竜」の駐車場での車中泊。
夜中1時と3時過ぎに目が覚めた。 
2回ともゴソゴソと起き出して空を眺めた。 
飯を食っているときには東の空にあった月が、既に西の方に移動している。 

Wに並んだカシオペアを見つけ、ペルセウス座流星群を待つ。 
刹那、スーッ・・・・と一つ流れる。 
そして数分後、そしてまた数秒後。
10分ほど雲ひとつない空を眺めていたら5個ほどの流星を見ることができた。旅の夜に流星を見られるなんてのも、まあそんなにあることではない。ひとりの気ままな旅だからこその贅沢。
満足した僕は、もう一度車の後部座席の今日の床についた。 

次に目が覚めると空が明るかった。 
というか空の明るさで目が覚めた。
時計は4時40分。 

活動開始だ。 
駐車場の公衆トイレに行き顔を洗いすぐに車を出発させる。
目的地は念願のひまわり畑だ。

道の駅から目と鼻の先のひまわり畑の駐車場には車が数台。窓にシャツが挟んであったり銀色の日除けが立てられていたり。
どうやらここで夜を明かした人もいるようだ。 
車を止めて畑に向かう。
夏色が眩しい黄色い畑に。 

満開のひまわり130万本が迎えてくれた


目の前には何本あるんだろう、この黄色い夏の花たち。 
展望台には先客が一人いたが、自分が近づいていくと「どうぞどうぞ」というように階段を降りてきて、その瞬間その広大なひまわり畑は自分だけのものになった。
掲げられている案内によると130万本のひまわりが植えられているらしい。そして今年はまさしくこの週末、まさに今日が満開にあたるタイミングのようだ。 

ラッキーすぎるだろ。
しかも今、貸切だぜ!

にわかカメラマンになって、とにかく写しまくる。人が来ないうちに! 
青空に映え、朝日に輝き、精いっぱいに夏を主張するひまわりたち。 
早起きは、やっぱりトクをする。3文どころではないトクをする。 

途中に現れた親子

カメラと自分の目に、その光景を思う存分焼き付けたあと、北竜町からさらに北へ北へ向かった。

留萌から日本海に出て、オロロンラインをひたすら北へ走り、サロベツ原野へ。 。。。
今日のザックリした予定はこんなところだ。 
サロベツか稚内で車中泊か宿を取るか。 
まあいいや。まだ朝の6時前。そんなことを決める時間ではない。 

山深い中を走るR233を西に向かい、海沿いの街である留萌に到着した。
川沿いを多くのランナーが走っていた。 
今回の旅の間、いろんなところでランナーを見かけた。 
こんな北の街にもいるんだな、やっぱり。 
自分もランナーですよ!そんな声をかけたい衝動に駆られながらようやく動き始めた早朝の街を走り抜ける。 

留萌駅で一旦休憩し、日本海沿いの「オロロンライン」と名づけられたR239を北上する。

日本海の水は冷たそうだ。時折海水浴場の案内もあるけど、基本的には何もない砂浜が続く。 
丘の上には大きな風車が、日本海からの風を受けて一生懸命発電中。 

オロロンラインには風車が立ち並ぶ

羽幌の街を抜ける。 
日本海には天売島、焼尻島が浮かんでいる。 
おおよそ60~70キロ程度の速度で進む。 
東京では考えられないけど、この地ではこのスピードで走っていても後続車にどんどん抜かれていく。 

本音を言うと自転車で来たかった自分。
自転車のスピードで景色を楽しみたかった。
楽しむだけじゃなくて辛さももちろんハンパじゃないけど。 

車のスピードだと気づけない景色がたくさんある。 止まろうと思って過ぎちゃう地点がたくさんある。
それを経験上知っている。
少しでもその「気づかない景色」や「過ぎちゃう地点」を少なくできればと思って、極力スピードは抑えて走った。 

バイクに抜いてもらうときは窓から手をだして「どうぞ!」の意思表示をした。それに応えてくれて手を挙げて抜いていくライダーがいる。初めて北海道に来た1989年に、この何気ないコミュニケーションがとても嬉しかったことを思い出す。

そんな感じでマイペースで車を走らせ、午前9時過ぎに天塩の町に到着した。 

この先は、サロベツだ。
大学生の頃から20年以上も憧れ続けたサロベツ原野に、足を踏み入れようとしている。

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