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お宝

 noteに投稿していると、財を成したという方からよくフォローされる。羨(うらや)ましい限りである。
 私は昔から「あんた、金儲けは下手だねえ」と太鼓判を押されてきた。才能に恵まれないのだから、欲はかかないことにしている。

 ◇血筋
 誰かの血を引いたのだろうか。そういえば、叔母も恬淡(てんたん)なところがあった。
 叔母の嫁ぎ先に地元の大学教授がやってきた。
 藩の史料に、この家から年貢を納めていた記録がある、という。教授は古い位牌(いはい)を調べ、記録と一致したので自信を深めたようだった。
「それにまつわるものが、何かあるはずです」
 と、屋敷中を探し始めた。

 ◇野菜入れ
 納屋で何かを発見した教授、「あれは何に使っているのですか」と、木の箱を指さした。叔母は「ちょうどいい大きさだから、ジャガイモを入れています」と答えた。
「これで年貢を運んでいたのですよ! クルマが買えるくらいの値打ちがありますよ。早く洗って大切に仕舞っておいてください」
 と、教授は粗末に扱われてきた文化財に、心を痛めた。
 この話をしてくれた時も、教授の言に従った、とは言ってなかった。家族にも話さなかったのか、いとこも「初耳だ」とのことだった。

 ◇デビュー
 叔母の嫁ぎ先は昔の庄屋だった。広い家屋敷だった。古銭がたくさんあり、なかでも藩札(はんさつ)が私の興味を引いた。
 あれらのお宝は、今どうなっていることだろう。持ち腐れのところを、最近、使わせてもらった。
 お宝に手を付けたわけではない。私の小説『動物王国捕物控』において、藩に弓矢を献納した木箱という設定で登場する。
 廃屋になった我が家の納屋で、ゼミの学生が木箱をブラシでこすっていると、ロゴマークが出てくる。ネタバレになるので筆をおく。
 叔母もユーモア好きだった記憶がある。

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