#3 コロナ後遺症記録 ペーシング方法論
前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいました。辛い体験を書き起こすことは、それなりに心のエネルギーを使うようで、なかなか決心がつかないものですね。それではペーシングについて書きたいと思います。
◇ペーシングについて
まずは言葉の意味を再確認。私は以下の動画や記事を参考にし、コロナ後遺症におけるペーシングとは「自分の限界を把握し、それを超えない範囲で少しずつ身体活動及び頭脳活動の活動量を増やすこと」だと判断しました。
◇ペーシングの目標設定
次に、倦怠感の現状把握と、治療の目標設定を考えました。ここで参考となる指標の一つに、厚生労働省の慢性疲労症候群診断基準により定義されている「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」があります。これは倦怠感の程度を0~9の10段階で示すもので、ペーシングには不可欠です。
この指標が有効と考えられる理由は、コロナ後遺症の症状が、ウイルス感染に関連して発症する“筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)”と多くの類似点があるとされているためです。
しかし、厚労省の定義は漠然としているため、私はヒラハタクリニックの平畑医師が提唱しているPSの指標を参考にしました。私はこの指標に基づき、休職1ヶ月目の時点での倦怠感は「PS 4~5」の間であり、「PS 1」まで持っていければ復職が可能と判断しました。
◇1日の活動量の数値化
続いて、日々の活動量を記録し、限界ラインを把握することを試みました。
日々の活動量は、METs(メッツ)という運動強度の単位を用いて簡単に数値化することができます。
ここでは、国立健康・栄養研究所「 身体活動のメッツ (METs) 表」を用いた方法を説明します。この表では、瞑想=1.0、勉強・読書・デスクワーク=1.3、電車移動=1.3、電話=1.5、買い物=2.5・・・といったように、METsが活動の種類ごとに細かく定義されており、非常に使いやすくなっています。
これを使えば、以下のような方法で1日の活動量を数値化できます。
◇限界の数値化
上記の方法で簡単なグラフを作りました。その一部をお見せします。
このグラフを見ると、まず10/24にPSの値が大きくなっています。これは、前日(10/23)の活動量が大きすぎたことが原因でしょう。
実は10/23は体調が良かったため、普段以上に動いてしまいました。すなわち限界を超えてしまったため、労作後倦怠感が発生したと考えられます。
そこで、10/23の活動量をもとに6.0前後が限界ラインだと推測し、その後の活動量を慎重にコントロールして過ごしました。その結果、活動量6.0を少し超えても、労作後倦怠感が増大しないようになりました。そのため10/28から活動限界ラインを8.0としました。
しかし、11/2に調子に乗って動きすぎたため、11/3に再び労作後倦怠感が増大してしまいました。翌日以降はしっかり休んだため、PSが減少しました。
◇倦怠感は軽減したものの・・・
以上が自己流のペーシング方法論の説明になります。かなりガバガバで突っ込みどころ満載ですが、オカルト的な治療法を試すよりは全然マシだと思います。(出費も副作用もないのでw)
私はこの方法によって少しずつ活動量を増やし、労作後倦怠感を軽減することができました。グラフからも分かるように、感染から約2ヶ月経った11/9の時点で、PSは1~2程度にまで下がりました。
しかし、労作後倦怠感が軽減したといっても、完全になくなったわけではありません。また、依然として頭痛・不眠症・疲れやすさに悩まされており、感染から2ヶ月が経過しても、復職には程遠い状態でした。
そこで意を決して「上咽頭擦過療法」を試すことにしました。
その効果については、また次回説明したいと思います。
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