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青木聖久『追体験 霧晴れる時』インプレス

精神障がいを持つ者が家族にいると、その本人だけでなく家族も苦しむこととなります。多くの家族は、今後どうしたらよいか知りたいと考えます。そのときに、最もよく応えてくれるのが家族会であるという。

本書は、家族会の全国組織の「月刊みんなねっと」に連載され、障がい者の家族が自分の人生について語った15の記事をまとめたもので、著者自身がインタビューしたものでもあります。なお、著者は、永年、精神科ソーシャルワーカーとして障がい者のサポートを行い、現在、大学で普及啓発活動をしています。

精神障がいのある人の家族という立場になったということは、人生で大きな出来事ではあるが、その立場になったからこそ、得られたものもあるという。家族も、「自ら人生の主人公」であるということであり、家族が本人にかかわるだけでなく、自分自身を大切にすることが大切ともいう。

家族は、本人への治療協力者としてより、自ら人生の主人公として位置づけられると共に大切されれば、その大切されたバトンが本人に渡ることとなり、結果的に、家族が本人に対して、より寛容な態度で接することにつながるともいう。

近年、「リカバリー」という言葉がよく使われるという。それは、単に元の状態に戻るのではなく、今おかれている現状の中で、未来に向かって、等身大の程よく感じられる生き方を実感できた時という。自分らしい気負いのない生き方をしようと志向できた時こそ、本当の意味のリカバリーであるという。

姉が大学進学後に、突然、精神障がいを発症し、20年を超える闘病生活をしているという場合で、弟は、大学も福祉系の学部に進み、姉の支援をしているが、フルマラソンが趣味だという。その彼が大切にしたいとして宣言したことは、次の4点だという。

自分の幸せや都合を最優先にする                    けど、人への感謝を忘れない                       やりたいと思ったことはすぐにやる                     そして、いろいろな人に大いに甘える

本書は、精神障がいのある人の家族の生き方や、人生観をあらわしたものであり、それぞれに異なるものです。しかし、そこには、当たり前の喜怒哀楽があるという。なお、本書の収益は、精神障がい者のための使われるという。




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