見出し画像

世界屈指の猫アイランドへ潜入!―福岡・相島の魅力をお届け―


猫の島として愛される、福岡県の離島「相島」。国内外から多くの観光客が訪れるその土地には、約200頭もの猫たちが生息する。今回は相島で活動するボランティアの方々にお話を伺いながら、のんびりと無邪気に戯れる猫たちの可愛すぎる様子をお届けします。

世界屈指の猫島として愛される、ハート型の島。

福岡県糟屋郡新宮町に位置する相島は、万葉集や続古今集にも歌われた歴史ある島。福岡市の北東にある新宮漁港から20分ほど船に揺られると到着する島は、もともと遺跡や神社をはじめとした風景やバードウオッチング、さらには釣りを楽しめる土地として人気を博していた。近年は猫島としても有名で、島に到着すると、すぐに大きな招き猫が迎えてくれるのも特徴的だ。また、島を外から見ると、ハート型の形をしていることも知られている。

島内には現在、約200頭の猫たちが暮らしていて、島に降り立った瞬間からキュートな猫たちの姿を見ることができる。のんびりと日向ぼっこをしていたり、まどろみながら木陰で寝ていたりと、猫らしい猫たちがそこかしこに見られるので、猫好きには堪らない光景が広がっている。

まったりゆったり暮らす、猫たちの暮らしは?

世界屈指の猫島と言われ、海外からの観光客も数多く訪れるようになったのは、2013年にアメリカのCNNにて「世界6大猫スポット」として選ばれたことがきっかけ。今回の取材中も、新宮港から観光バスで港まで訪れた海外ツアーの方々が、島の猫たちを存分に愛でていた。

数多くの猫たちがのどかに暮らす今のような景色になったのは、ここ数年だという。「島民たちにとっては猫がそこら中にいるのは当たり前の風景だったので、猫に餌やりをする人もいなければ、不妊去勢手術を行うボランティア活動をする人もいませんでした。そのため数年前までは、観光客を乗せた船が島に到着すると猫たちが“わーーー”っと駆け寄って、餌を求める光景が見られましたね。それを知っている人からすると、今の猫たちの姿は物足りないかもしれません(笑)」。そう話してくれたのは、定期的に相島へ渡りボランティア活動をしている特定非営利活動法人SCATの山﨑さん。

現在は島内に10ヵ所ほどの餌やり場が設けられ、毎日島に住むボランティアの方が餌を運んでいる。そのため、猫たちは十分にお腹が満たされているそう。また、2020年の冬から島に住む猫の不妊去勢手術を行い、現在は飼い猫以外の全頭が終わっているため、今後繁殖する可能性はないという。

健康管理もしっかりとされている猫たち。

島で暮らす猫たちの餌やりや健康管理は、島で活動する相島猫の会代表の山田さんがメインで行っている。「毎朝5時半過ぎに家を出て、待合所の周りの猫たちに餌やりをするところから1日が始まります。ふやかした餌が必要な子など、そこに暮らしている子に合わせてご飯を運ぶようにしていますね」。また、体調の優れない猫や病院から退院したばかりの猫たちは、山田さんのご自宅でケアしているという。

「月に一度ほど、福岡市から獣医師の中岡先生がいらっしゃって、猫たちの様子を診てくれています。病気を持っている猫には注射を打ったり、補液をして栄養を補給したり、退院後の経過観察をしたりなど、先生がいらっしゃったタイミングで猫たちのケアを行っています。その時に薬をもらったり、治療方法を聞いたりなどして、毎日猫たちの健康管理をしていますね」と相島猫の会代表の山田さんは言う。

「以前は猫たちもずっと空腹状態だったため、島に来る人たちにご飯をたくさんもらっていました。それによって、上の写真の子のようにアレルギーが出てしまった子などもいます。この子は、もともと綺麗な白猫だったのですが、来島された方からもらった賞味期限切れの餌を食べたことにより、現在のような状態に。定期的に中岡先生によって治療していただいているので悪化することはありませんが、来島される方へのお願いとして、期限切れの餌などはあげないようにしてほしいですね」とSCATの山﨑さんは話す。

「トンビなども多い島なので、相島猫の会代表の山田さんが作ってくださった餌やり場は、猫たちに安全なご飯を届けるのにぴったり。島内に数ヶ所ある餌やり場のおかげで、猫たちも安心して食事をすることができています」と獣医師の中岡先生が伝えるように、地域のボランティアが一丸となって、猫たちの健康を支えている。

「山﨑さんをはじめ多くの方々が協力してくださることによって、少しずつ島の様子にも変化が見られるようになりました。今は島に暮らしている猫たちが、一代限りの猫生をまっとうしてくれることを見守るだけです」と相島猫の会代表の山田さんが、以前の様子についても語ってくれた。

相島への行き方は……?

猫好きの方なら一度は行ってみたい相島。福岡空港からは電車とバスを乗り継いで40分ほど。車でも30〜40分で島までの船が出る新宮漁港に到着する。そこからフェリーに乗り、約20分すると相島に到着する。

新宮漁港にも多くの猫が暮らしてくるため、島に渡る前からたくさんの猫を見ることができるのも猫好きには堪らないポイント。今回の取材でもたくさんの写真を撮らせてくれた。

相島(あいのしま)
〒811-0118 福岡県糟屋郡新宮町相島
【相島〜新宮間渡船】片道:大人480円、小学生以下280円
※1日5〜6便出港(季節により異なる)
 
スタッフクレジット:
photo:booro edit&text:Makoto Tozuka
Produced by MCS(Magazine House Creative Studio)

この記事が参加している募集

猫のいるしあわせ

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

ほかにも、Twitter、TikTokでクロネコみっけをお楽しみいただけます! 「クロネコみっけ」で検索してみてください!