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人生がはじまった

人生がはじまった。
正確には再びはじまった、という感覚かもしれない。
僕は33歳で、人生はとっくのとうに始まっていたのだけれど、
その実、大学を卒業してから会社を退職するまでの10年間は「人生をやっている」という感覚がなかった。
僕は会社員をやっている平日を「人生の捨て回」とみなして、ほとんど思考や感情を停止して過ごしていた。
そして、それに対して疑問を抱かずに10年間を過ごし、文字通り「人生を無駄にした」と思う。
特段、やりたいことや、どうしても為したいことがある訳ではないし、仕事が精神的・肉体的にキツ過ぎる、もしくは人間関係が悪くて辞めざるを得なかった、訳でもない。
ただ、会社で仕事をしている日々に窮屈さをずっと感じていただけで「自分の人生をやっている」という感覚が無かった。それが、僕が退職をした理由のすべてだ。

僕は東京のはずれのどこかで、ルームシェアをしている。
同居人は友人の「ヤマト」という男だ。
ヤマトは大学の時の同級生で、同じサークルに入っていて、卒業後もちょくちょく会うことがあり、僕の退職の知らせを聞いてこのルームシェアを提案してくれた。
そもそも白状をすれば、ルームシェアをしている一軒家もヤマトの親戚の持ち家だ。
詳しいことは知らないが、住んでいる人を探すのもなかなか難しいらしく、親戚にとっても渡りに船だったらしい。
そんなわけで、僕は家賃(のようなもの)を毎月3万納めて友人の「ヤマト」と二人暮らしをしているフリーターである。
そんな、よくわからない生活をここに記録として残そうと思う。
せっかく、人生がはじまったんだから、何かを新しく始めるのにはちょうど良いよね、と自分に言い聞かせながら。
ちなみに、このノートや記録はすべてヤマトには内緒だ。

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