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「理解したつもり」を恐れる人へ。深い思考の方法論を「知的複眼思考法」で学ぶ。

これは何か?

物事を正しく理解したい。そんな思いは誰にでもあるはずだ。
新しい環境に身を置いた時には特にそんな気持ちになるのではないだろうか?

出会う人や目の前で起こる現象、身につけるべきと言われる知識に対しては、時に懐疑的に、時に謙虚に受け止めることを求められるだろう。
そんな心のバランスを保って理解したはずの物事も、それ自体に価値はなく使いこなすことを求められる。資料を作ってプレゼンする、顧客にサービスとして提供するなど、間違えることが許されない場面で自身の理解に疑いを持つ瞬間が多々出てくる。
「自分はある側面に偏ったものの見方をしており、十分な知識や検討が足りていないのではないか?」

そんな「理解したつもりを恐れる人」にオススメしたい(私自身もそうだ)本が「知的複眼思考法」だ。


本書を読むに至った背景

知的複眼思考法とは、物事を多面的に見る上で必要な普段からの習慣や、有効な手段をまとめた方法論である。
対極的にあるのは知的単眼思考であり、この様な物事の見方を自覚せずに行っているのではないかという不安を私は抱えていた。
その背景には、

  • 自身の判断が一定の範囲と人間に影響を与える可能性が出てきており、端的に言うと失敗が許されない気持ちになってきたから

  • 現代は情報社会であり、個人レベルで意見のカテゴライズができない社会である。よってバランスが取れていてや中庸な意見は周囲に配慮が行き届いているとして好まれる傾向にあるが、それでも偏った考えであると断定される恐れがあるから

この様な考えがある。

一方で、決断する立場にある以上、全てを正解に導ける様な玉虫色の解答は存在ないことを経験上分かっているため、自らの思考にある網羅性と偏りに自覚的になりつつも上述の恐れを振り払う必要があると考えている。

本書はこの様な背景を踏まえた上で、複眼的に物事を見る過程と方法がまとまっている。
特に、テーマごとに作者が体験した事例を紹介してくれることで、
まずは読者に考えさせ、問題点や踏まえるべき前提を解説してくれる点が素晴らしいと感じた。

本書で述べられている重要なテーマ

いくつか重要だと感じたテーマをまとめる。

常識に縛られていないか?

常識だと思っていたことを覆される経験は誰でもあるだろう。
しかし、常識を疑って過ごしている時間はどのぐらいあるだろうか?
常識という考えを脇に置き、常識に縛られない習慣を身につけることが重要である。

知ることと考えることの違いは何か?

知ることと考えることにはどの様な違いがあるだろうか?
知ることには、正解があるという幻想が前提にある。
一方で考えることにはその様な幻想はなく、立場と状況によって正解は揺らぐという前提がある。
よって、新しい知識を得る際にも文脈を読み取った上での一つの意見であるというような俯瞰的な解釈が成立する。

問題は起こるべくして起こる。文脈を見抜く重要性

問題が起こった際には、まずは文脈を見抜くことが重要である。
予期せぬ問題はそれ自体が脅威であり恐怖の塊である。
しかし文脈に着目する目線を持つことで、
ただ恐れるのではなく背景を見透かした冷静な対処が可能になる。

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