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デ・ロッシローマ1年目の振り返りと23-24選手評価

日頃応援しているチームの振り返りと新シーズンに向けての展望をまとめました。かなりの量になってしまったので試合のないこの時期に是非!

○23-24シーズン、デ・ロッシ4-3-3の基本配置と戦術分析

今シーズンのトップチームスカッド

・各選手の配置最適化

デ・ロッシ本人が話していたように適材適所の配置を行い、モウリーニョが基本にしていた3-5-2や3-4-2-1から4-3-3へと配置を変え、選手の特徴をより引き出すことに成功しました。
モウリーニョ時代に中々調子の上がらなかったペッレグリー二をインサイドハーフに配置し、ボールに触りながらリズムを作らせることでペッレグリーニに本来のパフォーマンスを取り戻させました。
キーパーのスヴィラルは、デ・ロッシ就任後に正ゴールキーパーに抜擢されました。ゴール期待値よりも失点数が少なくキーパーのフィードも少なく近年重要視されている足元の技術も持ち合わせています。
そして今シーズンのローマの一番の特徴は、ボール保持時にディバラへ自由な役割を与えた点だと思います。偽右ウイングなどともいわれますが、相手の陣形を見ながら可変するチーム全体でのポジショニングを効果的に取る過程にある偽サイドバックや偽センターバックとは異なり、ディバラの判断で自由にポジションを変える即興性の高い動きにより人とボールの動きを定型化しない攻撃を行います。

・ボール保持時(ゾーン1)

ここからは個人的な各ポジションのベストメンバーを置いて分析します。
ゾーン1でのビルドアップはセンターバック2枚+パレデス+スヴィラルが基本的に担い、相手のプレスの有無やプレス枚数によりクリスタンテやペッレグリー二、タイミングによってはディバラも絡みサポートを行います。
キーパーのスヴィラルは1試合当たりのロングボール数が1試合当たり平均9.07本とかなりロングボールを蹴らないスタッツが出ていて、ゴールキックやゾーン1からでもなるべくボールを繋ぎたいという意図がデータからも読み取れます。
(個人調べですが、上位陣のキーパーではゾマーの8.82本に次ぐ少なさでした。アタランタのカルネセッキは15.36本と上位チームのなかでも特に多く、キーパーのロングボールの本数だけでもチームの特色が出るのが面白いです。)
ゾーン1のサイドバックは、苦しい時になすり付け気味にボールを受けることが多く、サイドバックが苦しくなりがちな点は来シーズンに向けてのビルドアップの課題だと個人的には感じます。(モウリーニョ時代はウイングバックが同じように擦り付け気味のボールを受ける機会が多かったので前任からの引き続きの課題だとは思います。)
ゾーン1では、ディバラは右サイドにボールがある時には同サイドに張り、左サイドにボールがある時は中央気味にポジションを取ることが多いです。そのディバラに預け、時間を作ってもらいポジションを取り直してプレスを回避するケースも多く見受けられました。
モウリーニョ政権時に比べると、ゾーン1でのルカクへのロングボールの数も減った印象でした。

・ボール保持時(ゾーン2)

ゾーン2ではディバラが中央でボールを受けたり、右サイドの高い位置で張ったり、右サイドで落ちたりと自由なポジションを取りボールを引き出します。
パレデスがセンターバックの間やセンターバックの左に落ちて後方を安定させます。
ゾーン2以降では、チェリクが右サイドで幅を取る役割を担い、クリスタンテが状況に応じて中央や右サイドに開いて降りたり、アンヘリーニョはやや内よりのポジショニングでビルドアップのサポート、ボールサイドでは幅取りも行います。(クリスタンテとアンヘリーニョのポジションがバランスをとるために重要な役割を果たします。)
デ・ロッシ就任後のビルドアップの一番の特徴が、センターバックが横パスをした後、一列上がり対面のマークを引き付けつつパスコースを作り、そのままポジションを取る偽センターバックの動きが局地的に行われる点だと思います。

EL準々決勝のミラン戦でマンチーニがこの動きの流れからこぼれ球を回収し、ペッレグリー二のシュートの跳ね返りをゴールに押し込むなど、はっきりと効果的だったシーンもありました。
あまり足元が上手ではないスモーリングもこの動きをすることがあるので、これはチームで取り入れている動きであることがわかります。
この偽センターバックとも呼ばれる動きですが、ディバラというフリーマンを置きながら組織的なポジショニングの動きを取り入れている点が23-24シーズンのデ・ロッシサッカーの一番の魅力だったと感じます。
例えば、マンチェスターシティでは幅を取る選手、ハーフスペースを抜ける選手、相手ディフェンスラインを押し込むために一列上がりボールを引き出す選手など局面ごとに役割を担当する選手は変わりますが、タスクは各ポジションに明確に与えられ、そのタスクをチーム全体で遂行する完璧に仕組まれた攻撃をする中でのアプローチの一つが偽センターバックだと考えています。
しかし、ローマではフリーマンと最後方の選手の可変を共存させます。デ・ロッシは、選手の特性を最大限に活かすための攻撃スタイルと最終ラインを組織化した即興性の高い攻撃と再現性の高いビルドアップを作り出しました。

もちろん、この可変も相手のブロックの形やプレスの形を見ながら行うことが前提なので、相手がドン引きしている状況では、単純にセンターバックやアンカーがボールを持ち上がって相手の守備を引き出そうとするなど、可変以外のアプローチも行います。

・ボール保持時(ゾーン3)

アタッキングサードに侵入し押し込むような状況では、即興性の高い攻撃の比率が高いです。アタッキングサードではディバラに完全な自由を与えます。
左サイドはエルシャーラウィが高い位置で幅取り役を担い、右サイドに関してはチェリクがサイドバックなのでずっと高い位置で幅を取るわけではなく、タイミングで高い位置を取ります。(サイドは、高い位置を取って仕掛けを行える選手がいるとボール保持がより効果的になるため、ディバラの偽9番はありだと思っています。)
ディバラの初期ポジションを右ウイングに設定してるため、ディバラが右サイドにいない時はチェリクが幅を取らざるを得なくなり、右サイドにボールがある時はボールサイドで窮屈になってしまうことがあった点や仕掛けの面でディバラがいないと右サイドでの1対1の仕掛けができなかった点は改善点だと思います。(良くも悪くもディバラへの依存度が高いチームです)

一方で、マンチーニから対角へのロングボールを出し、エルシャーラウィやアンヘリーニョがクロスでニアに飛び込むルカクとバイタルのスペースにファーから入ってくるディバラ、アーリー気味のクロスに2列目から飛び出してくるクリスタンテなど、ロングボール絡みでいくつかパターン化している攻撃もあり、この辺りは再現性の高さがあります。

再現性の高いアタッキングサードでの攻撃①
再現性の高いアタッキングサードでの攻撃②

左サイドのアンヘリーニョとエルシャーラウィはお互いが気を遣える器用なタイプで、縦関係はかなり良好です。(ミラン時代から考えると、エルシャーラウィが献身的で器用なタイプになるとは全く思わなかったです。)
ディバラが出場しない場合は、主にバルダンツィにディバラと同様の役割を担わせます。バルダンツィのポテンシャルには期待できますが、球離れがあまりよくない印象と、シュート精度が課題に感じました。

・ボール非保持時(ゾーン1)

相手のゴールキックでプレーが始まり、相手が繋ごうとセンターバックが低い位置を取っていた場合、フィールドプレイヤーでマンツーマンでマークにつき、プレッシャーを掛けます。
キーパーからセンターバックにボールが出たら、プレスを開始し、サイドバックへ追いやり網をかけサイドバックの位置でボールを奪えたら理想、ロングボールを蹴らせてマイボールにすることを目的とします。

ゴールキックは高い位置でボールを奪うチャンスにもなり、パスコースがかなり限定されるため、相手のゴールキック時はマンツーマンでハメに行くというのは、多くのクラブで採用されています。

ボールサイドと逆サイドのサイドバックは最終ラインの数的優位を作りリスクヘッジをするために絞ります。この絞りがないとプレスの網をくぐられた時に相手の前線と最終ラインの枚数が同数になり、失点リスクが大きくなります。

相手がゴールキックでパントキックを蹴る場合(低い位置に選手がいない場合)は、パントを狙う地点の相手の偏りを見て対応します。

・ボール非保持時(ゾーン2)

ゾーン2では4-4-2のミドルブロックを採用しています。ゴールキック時以外ではハイプレスはビハインド時や勝たなければならない場合を除き、ほとんど行いません。
4-3-3の配置から4-4-2のブロックを形成する時はインサイドハーフの選手が1列上がることが多いですが、ディバラの攻撃力を最大限活かすために右ウイングのディバラがルカクと2トップのような形になり、右サイドはクリスタンテが見ます。
ライン設定はそこまで高くなく、ラインを下げるのも比較的早め(裏を取られるリスク回避)と、印象としてはセーフティファーストの守備戦術採用で一貫しているため、シーズン途中で出来るだけの守備の整備がされたと思います。
ボールサイドへ極端に守備ブロックを偏らせる(圧縮させる)ことはあまり行いません。

基本的にはゾーンディフェンスですが、2列目の選手がハーフスペースに侵入してきた場合、そのスペースを中盤の選手が埋めます。入って来る選手を見てケアできているときはいいのですが、中盤がボールウォッチャーになる場合が散見され、ケアできないとひたすら後手に回る展開になってしまいます。特に、ポジションを変えながらポゼッションしてくるチームには弱く、人を捕まえられなくなってしまう点は新シーズンに向けての明確な課題だと感じます。(レバークーゼンやボローニャにボコられました。)

・ボール非保持時(ゾーン3)

ゾーン3でペナルティエリアにボールが入ってくるような状況では、4-4-2のブロックから5-3-2へ形を変え、エルシャーラウィが左サイドで最終ラインに組み込まれます。この変更により、ペナルティエリア内の枚数を増やし、最終ラインの選手間のスペースを減らし守備ブロックの横ズレを防ぎます。また、エリア内で1人の選手が2枚見なければならない状況が生まれないようにもしています。
ゾーン3もセーフティファーストの守備戦術の採用で一貫しています。押し込まれた展開だと前線の枚数が少ないように見えますが、前線に体を張ってタメを作れるルカクと卓越したボールコントロール能力を持つディバラの2枚により時間を作れるため、エルシャーラウィやペッレグリーニと絡んでのロングカウンターも発動できます。(インテル戦では、このカウンターで得点も取りました。)

○23-24シーズン 各選手ひとこと評価

個人的な好みもありますが、ローマの各選手の今シーズンの評価をしていきます。(甘めかも)
プリマ出身選手には盲目的な期待を寄せています。
GK

・ルイパトリシオ

5.0点
移籍初年度はECLのタイトル獲得にも大きく貢献したが、23-24シーズンは衰えもあったか途中で正GKの座を譲ることに。
足元がもう少し使えれば。3シーズン前、ローマに来てくれてありがとうという気持ちでいっぱい。

・スヴィラル

7.0点
デ・ロッシ就任後キーパーのファーストチョイスになった。ELプレーオフのフェイエノールト戦で2本のPKストップで完全に信頼を得た気がする。
足元が使えるのでデ・ロッシサッカーの大きな助けになっている。失点期待値>失点数でクロス対応もよく足元が使えるため、アリソンを重ねてしまうレベルには神。まだ24歳なので長いことローマのゴールを守ってほしい。

・ボーエル

採点不可
今シーズン公式戦の出場はなし。期待はしているので頑張ってほしい。オーストラリアで行われたミランとの親善試合では頑張っていた。

DF

・スピナッツォーラ

6.0点
今シーズンも独特な間合いのドリブルを駆使して左サイドで仕掛けられる貴重な存在だった。EL準決勝のセカンドレグで負傷による戦線離脱により、一足はやいシーズンエンドでEUROも出られなかったのは残念。
来シーズンもチームに残ってほしかったが、サイドバックよりもウイングバックの方が絶対活きるので、本人のことを考えるとコンテが就任したナポリに行ってよかったのかもしれない。ローマ相手に無双する悲しい未来が見える。5年間ありがとう。

・アンヘリーニョ

6.5点
クロッサータイプのサイドバックの価値を痛感したシーズン後半だった。即興性の高い攻撃を後方からや、時にはオーバーラップやインナーラップをしてサポートできる気が利くタイプ。
今シーズンの戦術上、右サイドバックが高い位置を取ることが多かっため、低めの位置でバランスを取りながら飛び道具としてアーリークロスをあげられる点で攻撃の幅を広げた。
身長がちょっと低めなことによる空中戦が苦手なことを除けば基本的には悪いところが見当たらなかった。あとは思ったよりちょっと足が遅い。来シーズンは間違いなく左サイドバックのファーストチョイスだと思う。

・ハイセン

5.5点
若さからか危機察知能力が圧倒的に足りていないが、足元の技術は文句のつけようがなく両足使えるのは大きな強み。ルーズささえ改善できれば世界屈指のディフェンダーになる。
フロジノーネ戦の持ち上がってシュートを打ちゴールを決めた一連のプレーは忘れません。

・エンディカ

6.5点
フリーでこの選手を獲得できたのは本当に信じられない。シーズン当初はちょっと時間がかかるタイプかな、、と思いきや、気づけば順応し替えの効かない選手に。
アフリカネイションズカップで1ヶ月ほど離脱したが、復帰後は基本的にセンターバック左のファーストチョイスに。見た目より丁寧な球出しができる。

・スモーリング

5.5点
シーズン開始からわずか3節を戦ったところで負傷による離脱。モウリーニョが解任されたのは22-23シーズンの最後の砦スモーリング戦法が使えなかったからではないかと思ったり思わなかったり。
デ・ロッシ就任後に復帰。クローザー的な役割を担うことが多かったが、EL決勝トーナメントミラン戦では2試合ともにフル出場。ジルー対策での配置だとは思うが、ジルーを2試合無得点に抑えることに成功。
足元は不安。パスコースを作る動きで1列上がるのをスモーリングにもやらせるデ・ロッシは中々のチャレンジャーだと思う。来シーズンは大きな怪我なく戦力になってほしい。

・ジョレンテ

6.0点
縦パスを差し込める足元上手いセンターバック。22-23シーズンの冬から18ヶ月のローンで加入。センターバックの枚数を考えると買取を行うものだとばかり思っていたので買取をせず残念。
若干空中戦に弱い印象。ヴィオラ戦の勝ち点1をもぎ取る劇的ゴールのボレーシュートは胸に刻まれています。

・マンチーニ

7.0点
今シーズンもチームの柱として活躍したリーダーシップの塊。今シーズン49試合で7得点とチーム4番目の得点数は十分過ぎる。ELミラン戦2ndLegの得点までの一連の動きは度肝を抜かれた。
対角へのロングボールも悪くない。パレデス、クリスタンテとともにローマのカードコレクターの系譜を継承している。対人も決して弱くはないが、熱くなりすぎて前半でカードをもらうことがある点だけ直してほしい。

・カルスドルプ

5.0点
大きなポカを割と高確率でやらかすが、アスリート能力は高いと思う。課題のクロス精度が今シーズンも改善されず。
波も激しく、たまに別人みたいに高いクオリティをみせつけるので嫌いになれない。デ・ロッシ就任直後はファーストチョイスだったが、守備面もよろしくなくチェリクやクリステンセンにポジションを奪われる形に。

・チェリク

6.0点
特別何かが秀でているというわけではないが、堅実なプレーに終始できる点は評価。意外に右サイドで効果的な持ち上がりをする。ELミラン戦2ndLegのレオンにぶち抜かれて足をひっかけたシーンの悪印象が強いが、ちょこちょこ1対1で抜かれるシーンがある。スペースのカバーはサボらない。
補強次第だが、来シーズンも起用されると思うので来シーズンも堅実なプレーをお願いします。

・クリステンセン

5.5点
左サイドバックや、3バックの右センターバックをやったりとチーム事情により様々なポジションを頑張って埋めた功労者(?)。パス能力は高くなく、本職でも足元が不安なら他のポジションを埋めさせようという魂胆なのかデ・ロッシ就任後は途中出場や本職以外での出場が多かった。ロングスローは凄い。
190cm近い身長を活かしサイドでの競り合いに不安がない点は魅力だが、戦術とは合わないタイプだった。サッスオーロ戦のゴールは今までみたディフレクションのゴールで一番高くボールが上がっていて不思議な力を感じた。
ユーべ戦でキエーザにボコられていたのは気のせいですよね。

MF

・パレデス

6.5点
7シーズンぶりにローマへ還ってきたビルドアップの要。配球のクオリティは申し分ない。16-17シーズンはクローザー的起用も多くあまりカードコレクターのイメージがなかったがデ・ロッシからの指導でカードコレクターに進化。立派になった。
守備に関しても、ユーべにいた昨シーズンよりも頑張っている印象だがちょっと粗いのは元々なのでご愛嬌。移籍の噂もあるが、替えの効かない選手なので新シーズンもローマのアンカーをお願いします。

・クリスタンテ

6.5点
ローマに来てからの過去5シーズン、どの監督の元でも使われ続けてきた縁の下の力持ちタイプは今シーズンも出場停止の試合を除き全試合で使われた。セリエAでは全選手4位の出場時間でフィールドプレイヤーだと2位の出場時間だった今期も、センターバックからインサイドハーフまでとにかく使われた。足の遅さとボールウォッチャーになりがちな点、トラップミスが割と多い点は足の遅さ以外はいつ改善されるんだとヤキモキするが、運動量や2列目から飛び出す動きのタイミングがいい点など、インサイドハーフにしたことで活きた部分もあったシーズンだった。クリスタンテほどいい面と悪い面でいっぱいな選手もいないなと思いつつ個人的には好きな選手なので来シーズンも変わらず期待。

・ペッレグリーニ

6.5点
デ・ロッシの元で復調したカピターノ。4-3-3のインサイドハーフでの起用がほとんどだが、積極的にビルドアップに関わるというよりはビルドアップの出口になったりフィニッシュまでの繋ぎを担い、自らの強みであるミドルシュートで自らフィニッシュを担うことも。内向的な性格が試合中に出なければ間違いなくワールドクラスの選手。スライディングタックルの癖は直すべき。

・レナトサンチェス

5.0点
加入当初はわくわくしていただけに、負傷離脱の多さにより戦力としてまともに数えられなかったのは残念だった。離脱の多さにより試合勘を失い、試合に入れず評価が上がらない。みたいな典型。
開幕のサレルニターナ戦で、途中出場してゴリゴリドリブルで持ち運ぶのをみたときはいい選手借りれたなぁと思ってました。年俸が高すぎるのも買い取れない原因ではある。

・アワール

5.5点
2~3年前までは、毎年のようにビッククラブの噂が出ていた逸材がフリーでローマに加入したときは大興奮だったが結果を残せない不本意なシーズンに。
持っているものは素晴らしいが、周りとのリズムがあっていないように感じた。また、ウインガータイプではないのでウイング起用のときは持ち味を出せなかった。
バイタルに入ってくるタイミングとかもいいのだが、そのスペースを使いたい選手がチームに多い点も向かい風だったように感じる。
フリーで来てくれたものの1年で売却してしまうことになり、申し訳なさとキャピタルゲインを生み出してくれた点に感謝する複雑な気持ちでいっぱい。新天地で頑張ってほしい。

・ボーヴェ

6.0点
デ・ロッシ就任以降の序列は下がったが、プリマ出身の選手がチームの戦力として稼働しているだけでとにかく嬉しい。守備強度は魅力の塊。左足をもう少し使えるようになったら本人も楽にボール保持に絡めると思う。
出場機会を求めているとの噂があるが、守備面の修正やクローザーとして確実な戦力なのでチームに残ってほしい。

・ザレフスキ

5.5点
モウリーニョ政権時はロングボールを蹴れるという点で、ザレフスキにボールを擦り付けて蹴ってもらいこぼれ球を納める戦法で一定の活躍をしたが、デ・ロッシ就任によるフォーメーションの変更により出場機会は若干減った。サイドバックとしては守備強度が足りず、ボールを運べるが相手を抜ききれない4-3-3での最適解が難しい選手。キック力は高いが精度はもうちょいほしい。プレイエリアが狭くなりがちなセリエよりも他リーグの方が魅力を出せるかも。
守備強度が高ければ右サイドバックで使うのは面白そうだと思った。守備面の改善を切実に願います。ウイング、サイドバック不足のチームなので放出は考えたくない。

・パガーノ

採点不可
昨シーズンから個人的に将来を嘱望している選手。プリマカップ決勝で逆足のミドルを決めたりと、ボックス内やバイタルでも違いを作れる選手だと信じている。ローマでの成長を見届けたい反面、レンタルで出場時間を増やしてトップカテゴリーの試合に慣れてほしいとも思う。

・ピジッリ

採点不可
シェリフ戦でトップチーム初ゴールを上げた期待の若手。シェリフ戦では得点を上げたい気持ちが強すぎて右のインサイドハーフでの起用だったが、ほとんどハーフスペースを使わずクロスを入れろというメッセージ性の高いポジショニングに終始。最後はディフレクションもあったがゴールを決めることができたので良かった。ローマの未来は明るい。

FW

・エルシャーラウィ

6.5点
かつて生粋のウインガーとしてミランで活躍した選手がいつの間にかユーティリティプレイヤーに。ウイングバックでの守備貢献から本来の左ウイングでの仕事人っぷり。ELミラン戦ではミランの左サイド対策として右ウイング起用され、ミランの左サイをシャットアウト。この人がいなければミラン戦を2戦2勝することはできなかったと思う。
周りを使える選手なので個人的には好きな選手。チーム2番目のシーズン9アシストは立派。ローマに長くいてほしい。

・エイブラハム

5.0点
昨シーズンに負った靱帯断裂の大けがから、シーズン最終盤に復帰。怪我前からちょくちょく決定機を逃すシーンがあったが、復帰後は試合勘が戻っていない影響もあるのか中々得点に絡むことができず1ゴールでシーズンを終えた。
長身だがしなやかさもあり懐の深いドリブルは魅力だが、4-3-3の真ん中ではあまり活きないのかもしれない。移籍が既定路線との報道も。

・ベロッティ

5.5点
シーズン開幕時にセンターフォワードの本職がベロッティしかいなかった中、ドッピエッタの活躍で勝ち点1をもぎ取った試合のヒーロー。ルカクとディバラが試合に復帰するとともに出場時間が減ってしまったのは残念。結果的に冬の移籍市場でフィオレンティーナにレンタル移籍することに。
ルカクに比べるとポストプレーで背負いきれなかったりペナルティエリアの外でできる仕事がちょっと少ないため出場時間が減るのは仕方のない部分はあった。フォワードとしてのカバーシャドーをはじめとする守備の技術は本当に上手い。
フィオレンティーナに行ってからのローマ戦ではPK獲得をするなど活躍していた。古巣戦で活躍するのは元ローマあるある。

・アズムン

6.0点
今シーズンの不安だったセンターフォワード問題を和らげた人材。ターンオーバーだけでなく途中出場でアクセントをつけることができた。ELのレバークーゼン戦2ndLegでは古巣から貴重なPK獲得をするなど仕事をした。
足元で受けたがるというよりかは裏へのランニングで特徴を出すタイプ。獲得には1000万ユーロが必要らしく、買取まで腰が上がらず返却となった。

・ルカク

7.0点
今シーズンのストライカー不足を解消してくれた助っ人。シーズン47試合21ゴールはさすがの成績。ポストプレーで時間を作るのが本当にチームの役に立っていた。ルカクを獲らなかったら今シーズンは悲惨だったと思う。
ボックス内で構えてクロスやパスに合わせて動くときよりもボックス付近からドリブルしてシュートを打つ方が点を取っているような印象。移籍金、サラリーが高すぎて獲得したくても資金がない。ローマを助けてくれてありがとう。

・ディバラ

7.5点
今シーズンのローマはこの人が試合に出てるかどうかで戦い方が変わっていた。そのくらい攻撃面で依存していた選手。間違いなくシーズンMVPです。右ウイングの位置から自由に動き、ボールを受けたりスペースに顔を出したりして人とボールを動かした。
10番タイプの選手が不要になってきているといわれる現代サッカーにおける数少ない伝統的な10番タイプ。実は結構守備も上手い。ローマで引退してほしい気持ちとこの人に依存し続けたらローマがいつかダメになっちゃうんじゃないかと思う気持ちでいっぱい。シーズン通した2桁アシストはパレルモ時代以来自身2回目。(セリエA9アシスト、EL1アシスト)
大きな怪我だけはしないで来シーズンも頼みます。

・バルダンツィ

5.0点
冬のメルカートでエンポリから加入したレフティ。MF登録だが、起用ポジションはディバラと同じことが多いのでFWで評価。前を向ける状態なら自らゴリゴリ運ぶタイプ。カットインしてコントロールショットを打つのが得意だが、今シーズンはその形での得点は生まれず。球離れは悪い。裏やギャップに顔を出すのはうまいので、足元で受けたがるのと球離れを改善したら相手からして厄介な選手になる。技術はいいいものを持っているので、来シーズンは意識の改善を期待。

・ジョアンコスタ

採点不可
ブラジル国籍、レフティ、ウインガー、プリマ出身というだけで期待値は跳満以上確定の期待の若手。今シーズンは途中出場で5試合だけとほとんど出番がなかったが、層の薄いウインガーの選手なので期待は大きい。
1対1の仕掛けもできるタイプなので、今のローマにとってはかなり希少価値の高い存在。

活躍した選手、不本意なシーズンを送った選手など様々ですが、1シーズンお疲れ様でした。もう新シーズンに向けてのトレーニングと移籍市場は開始しているので、日々の情報に一喜一憂しシーズン開幕を待ちたいと思います。

○23-24シーズンの総括
モウリーニョは昨シーズンに頼り切っていたスモーリングの怪我による離脱など、ベストメンバーが揃う期間がなかった中頑張っていたとは思いますが、開幕戦から2節格下相手に未勝利など限界も見えていた部分はあったと思います。ただ、解任直後にデ・ロッシが監督になるとはっ全く思っていませんでした。
シーズン途中にクラブのレジェンドが監督に就任することは、個人的にはあまり肯定的ではなかったのですが、蓋を開けてみたら就任後の26試合で14勝6分6敗と十分な成績を残し今では正しい選択だったと完全に手のひらを返しています。
ここ数年上位陣相手に苦戦することが多かったのですが、大会は違うもののELの準々決勝でセリエA2位のミラン相手に2戦2勝するなど、来シーズンの上位陣との対戦に希望が見えた部分と、シーズン最終盤のEL準決勝やCL圏を争っていたボローニャとアタランタとの直接対決で敗れてしまうなど、土壇場で力尽きてしまった現時点の限界が見えた部分があり、来シーズンに向けて期待と懸念が入り混じるシーズンだったと思います。
今シーズンはレンタルで加入した選手が多かったので、来シーズンに向けてどのようにスカッドを整えるのか目が離せません。

長々とすみませんでした。最後までお読みいただきありがとうございました!

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