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24-25 セリエA第1節 カリアリ対ローマ

待ち遠しかったセリエA開幕。セリエAに簡単な試合はないことがよくわかる開幕戦をポイントを絞って振り返ります。
ハイライトはこちら。


・カリアリの整備された守備に苦しむ前半

この試合の両チームのフォーメーションは以下の通りです。

赤がカリアリ 白がローマ

カリアリの監督、ダビデニコラは守備をかなり整備してこの試合に臨んできました。
ローマ陣内ではプレスを敢行し、自陣では5-3-2のブロックで構えます。
プレスの方法としては、ムブンボまたはピッコリが対面のボールホルダーのセンターバック(ピッコリならマンチーニ、ルブンボならエンディカ)に対してアンカーのクリスタンテを切りながら寄せて行きます。もう一方のフォワードも、もう片方のセンターバックへボールが出たら寄せに行く姿勢をみせ、サイドチェンジを牽制します。
カリアリの中盤3枚はローマの中盤に対してローマ陣内ではマンツーマン気味に寄せに行きます。対面する選手を見ることが多いですが、マリンがクリスタンテに当たりにいくなど流れの中で担当する選手は変わることもあります。
ボールサイドのウイングバックとサイドのセンターバックは、同サイドのサイドバックとウイングに対して寄せに行きパスコースを消します。

カリアリのプレス例

ローマは右サイドにボールがあるときにアンヘリーニョが内側に絞るシーンも見受けられましたが、絞ったアンヘリーニョにはデイオラが対応し、プレス強度を下げません。
ローマのポジションチェンジがぎこちない部分もあり、前半はカリアリのプレスがかなりハマりました。ローマはビルドアップで手詰まりになる時間帯が多くなってしまいました。

このプレスが連動しなかったときや裏へのボールがつながった時はスペースができているため前進することはできますが、カリアリ選手は帰陣が早く攻撃の完結がなかなかできません。
特に、ゴリゴリのドリブラーである新戦力のスーレに対しては、アウジェッロ、ルペルトが集中した守備対応で仕事をさせません。

後半は、カリアリのプレスが連動しなくなってからはローマが攻勢にでる時間が増えますが、カリアリは自陣では5-3-2のブロックで対応します。ハーフレーンをしっかり締め、ペッレグリーニやスーレなどが抜けるスペースを消します。最後の砦スクフェットが決定機を阻止し、カリアリは格上相手にドローという堂々たる戦績を上げました。

ローマの昨シーズンからのウィークポイント、バイタル

この試合、バイタルからマリンに危険なミドルを2本打たれています。ピッコリのミドルは被カウンター時なので打たれた瞬間自体は仕方ないと思いますが、人数が揃っている状況でバイタルの選手に好き勝手やらせてしまうのは昨シーズンからのウィークポイントに感じます。
特にマリンの2本目のミドルは、バルダンツィが剥がされたあとに寄せる選手がいないため、センターバックのエンディカが出て行っています。ここでは、ペッレグリーニがマリンに寄せに行くべきでしたが、疲労もあるのかほとんど棒立ち状態で動いてません。
このシーンは枠内に飛んだシュートをスヴィラルが何とか軌道を変え、バーに当たったボールをピッコリがふかしてくれたため失点を免れましたが、失点してもおかしくないシーンでした。

カリアリ戦を見る限り、ディバラの序列を下げたのは稼働率や守備強度を考えての事だと解釈しています。4-4-2と5-3-2の可変式の守備から4-1-4-1にブロックの形を変え、中盤を増やし前線に残す選手をセンターフォワード1枚にしたにも関わらず、バイタルのケアがおろそかになってしまうのなら圧倒的攻撃センスを持つディバラをトップ下において4-2-3-1で戦った方がいいのではないかとも思いました。
昨シーズンからスヴィラルのセーブでなんとかごまかしているバイタルの脆弱性を改善することが上位進出を握る鍵だと感じました。

・各選手ひとこと評価

カリアリ
・GK スクフェット 7.0点
トラップミスでオウンゴール未遂を演出したが、それ以外は枠内のボールを完璧に対処。

・DF アウジェッロ 6.5点
昨シーズンドリブルスタッツ1位のスーレ相手に互角以上の対応。前半はプレスもよく効いていた。この試合の最多ドリブル(4回)を記録。

・DF ルペルト 6.5点
エンポリの絶対的センターバックが新天地でも躍動。アウジェッロと共にスーレを封じ、確かな実力を示した。

・DF ビエテスカ 6.0点
昨シーズンのリーガ得点王に最後までくらいついた。ドフビクに1度マークを外されヘディングシュートを打たれたがゴールは決まらず。運も味方した。

・DF ザッパ 6.5点
ハーフレーンをきっちりと締め、2列目から入ってくるペッレグリーニに決定的な仕事をさせなかった。プレスの局面ではザレフスキへのアクションも素晴らしかった。

・DF アッジ 6.0点
ザレフスキへの対応と、プレスの局面ではアンヘリーニョへのチェックを遂行。後半は左に回ってきたスーレについていった。

・MF マリン 7.0点
前半はプレスに連動し、ローマのビルドアップを牽制。EUROでもミドルシュートを決めていたが、彼のミドルシュートは大きな武器。チーム内最多のキーパス(2本)と攻撃の中心だった。

・MF プラーティ 6.0点
5-3-2の真ん中の中盤で監視する距離が長い中、クリスタンテに対しプレスを敢行した。後半は運動量低下によりプレスが機能しなくなり72分で交代。

・MF デイオラ 6.0点
味方のスペースを生み出すために外に流れたりするシーンが多かった印象。前半は高い位置のペッレグリーニを見ながら、絞ってくるアンヘリーニョへも当たりに行く判断力でプレス強度を落とさなかった。

・FW ピッコリ 6.5点
ルブンボとともに高い運動量を発揮。サイドに流れてタメを作るなどの役割を果たした。エリア内の決定機はせめて枠に飛ばしたかった。

・FW ルブンボ 6.0点
チームが後ろ重心になった後半も、ローマの最終ラインにプレッシャーをかけ続けた。縦の選択志向が強い選手に単独でやられることがあるので見てる側としては怖かった。

・FW パボレッティ 5.5点
後半追加タイムに、数的優位の状況のカウンターでフリーのデイオラにボールを出さず、チャンスをふいにしてしまった。

・MF アドポ 5.5点
運動量がなくなったプラーティに代わり守勢の中盤で体を張った。

・FW ラパドゥーラ -

・監督 ダビデ・ニコラ 6.5点
残留請負人として名高い監督が新天地で格上相手に健闘。整備された守備は間違いなくローマを苦しめた。エンポリからルペルト、マリンを連れてきて戦力を強化。昨シーズンの最終節、ニコラのエンポリが残留を決めたのはローマ戦に勝利したからだったんですよね、、、

ローマ
・GK スヴィラル 6.5点
今シーズンも頼りになる守護神。甘いバイタルの守備が改善されないのはこの人が止めてしまうからなのかもしれない。(いつかやられるので早急に改善を求めてます。)

・DF チェリク 5.5点
守備面は相変わらずソリッドだが、攻撃面のクオリティが課題。特にアタッキングサードでの精度はもう少し何とかしたい。

・DF マンチーニ 6.0点
今年もファイターが楽しませてくれます。カードを貰わなかったのが奇跡。攻撃参加してミドルを打つお出かけタイムも健在。ビルドアップ面は最終ライン同士であまり呼吸があっていないような印象。

・DF エンディカ 6.0点
この試合も安定した守備力を披露。後半追加タイムには誰よりも早く攻撃のスイッチを入れるなどトランジション面も昨シーズン同様に優れている。

・DF アンヘリーニョ 6.0点
時より内側に絞るなどの器用さが前半は活きにくかったか。後半はボールを持てる時間が増えたこともあり、セカンドの回収やアーリークロスを狙うなど持ち味を活かした。

・MF クリスタンテ 6.0点
前半はプレスでかなり狙われた。ビルドアップはクリスタンテ1人の問題ではないため仕方ないが、動き出しに特徴がある選手なので敏捷性も含めてアンカータイプではないと痛感した試合。
バイタルのケアはサボらずにやってくれ。

・MF ル・フェー 6.0点
かなり動きを付けるタイプなので、間違いなく戦力になる。ウイングのサポートにアウトレーンまで出ていくシーンが多すぎる気もするが、気合は十分。自陣でのあわや失点のアバウトなパスはローマになじんだ証拠。

・MF ペッレグリーニ 5.5点
守備強度が年々落ちている気がするがバイタルのケアはサボらないでほしい。決定機は決めたかった。キーパスはチーム最多タイの3本と効果的なパスを出せているために守備面の改善を祈る。

・FW スーレ 6.0点
アウジェッロとルペルトにかなり抑えられた印象だが、ボールのキャリー能力はとてつもなく高く、前半の頼みの綱だったことは間違いない。守備もサボらず自陣ペナ内まで戻ってくるのは偉すぎる。

・FW ドフビク 5.5点
エリア内でのディフェンスの剥がし方はかなり上手く、周りが見えていてしっかり使える。リーグの違いで悩むこともなさそうで安心。バー当てガチ勢じゃないことだけを祈ります。

・FW ザレフスキ 6.0点
ドフビクに対して両足からクロスを狙える点でのスターター起用だったように思う。雑なロストがかなり少なかったのは成長。

・MF バルダンツィ 5.5点
ル・フェーに代わりインサイドハーフ起用で出場。球離れは若干改善が見られたが、ペナ内に侵入したときにパスという選択肢をもう少し持ってほしい。

・FW ディバラ 6.5点
途中出場ながらチーム最多タイのキーパス数(3本)を記録。バルダンツィには悪いが、ディバラが入ってから得点のにおいがかなり高まった。間違いなくチームに必要な戦力であることはピッチ上で示しているだけに去就が気になる。

・FW エルシャーラウィ -

・FW エイブラハム -

・デ・ロッシ 5.5点
パレデス不在により、前半のプレス回避の答えをピッチ上で出せなかったが、後半は相手の運動量低下とともに自分たちの時間に。カリアリのクオリティが高かったとはいえ勝ちたかった。


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