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【倒産後記〜今だから言えること、言いたいこと】

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創業105年の老舗スーパーの社長が「倒産」してからの出来事や心情を綴ります。
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2023年7月の記事一覧

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜後編】

開店して早3年、開発部隊はとっくに別のエリアに部隊ごと異動し、開店の経緯など全く知らない若手社員がショッピングモールの運営を任されていた。開店当時の首長も選挙で代わり、役場の職員も総て入れ替わった。 当時の経緯を知る者はもういない…。 👤「まさかプレオープンの日に大地震が来るとは思いもしなかったな💦 フードコートにいた客が食い◯げするわ、買物客はそのまま商品を待ち出すわで、来ていた社長が『ここは盗◯の街か💢』と言ったとか言わないとか…黒歴史だなw。 一年後に「防災グッズフ

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜中編】

👤「なにぃ!テナントが埋まらないだと?」 『すいません、当てにしていたユニ◯ロが商圏が被るとやらで難色を示しています💧 「G◯」なら出してもいいと、でも家賃は管理費等のほぼ実費のみだそうです」(>_<) 一昔前なら「アミューズメント」と言ってパチンコ店やゲーセンで埋めて家賃を稼いだんだが、今じゃ無理だし…。シネコン作るほど文化度の高い土地じゃない。困った時の「100円ショップ」と「ドラッグストアチェーン」か。 面白みがないな💢 最近伸び盛りの「家具チェーン」も言うこと聞

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜前編】

どんな企業も成長し続けなければ、明るい未来も関係者の幸せも手に入らない。 スーパーだって同じこと、賃料が高くても効率の良い好立地の物件は既に空きは無い。こうなりゃ地方の郊外の土地をまとめて、巨大なショッピングモールを作ってしまった方が早い! 攻め込まれる同業者は堪らない💦人口も使うお金も減っているのに、飽和状態の商圏に爆弾(店舗)を投下し、限られた売り上げを分捕っていく大手企業。 しかし法律で許されている以上、それを阻止することはできない。 新しいプレーヤーに「そこを

【レジで小銭を出して、お釣りをキリよくする流儀】

今は「キャッシュレス決済」の普及でそんな光景を見ることは無くなったが、少し前まで(そうつい最近まで)、スーパーのレジではお客さんとレジの担当者の『密かな』駆け引きが繰り広げられていた。 店員「お会計は1,050円になります」 お客👤「ハイ1万円(札)と50円(玉)で!」 店員「それでは9,000円のお返しになります🙇🏻♂️」 これならアリだ、お釣りのコインは相当減る。 店員「お会計は1,650円です」 お客👤「じゃ、2千円と150円ね!おつりはちょうど500円!」(

【困った時の資金繰り : 落ち目の小売店 編】

夏休みはどこも人で混雑して、普段ヒマな店でも多くの売り上げが見込める時期である。 売り上げ全部が利益ならこれ以上の喜びはないが、その後に仕入れ代金の支払いや各種経費の支払いが押し寄せる。 たいがい支払い日付近の売り上げとは低いモノ、これが経営者の頭を悩ませる…。 小売業の倒産が多いのは夏休み明けの9月、正月明けの1月、そしてGW明けの5月が多い。 なぜなら繁忙期の仕入れ代金の支払いがこの月末に集中するからである。 👤さあ、困った、月末に支払うだけの現金が無い(><)

【倒産社長の遺言(7/7 最終話) 50年前の自分へ】

👤全7回、お付き合いいただきましてありがとうございました🙇🏻♂️ 続編でカットされた部分(一番伝えたかったこと)をLinkedInに遺すことが出来ましました! では最後に、将来とても辛い思いをするとは知らない頃の「自分」へ。 【倒産社長の遺言(7/7 最終話) 50年前の自分へ】 今日も嫌なことがあったのか? 何も心配しなくていい、50年後も君はちゃんと生きているから! 幼稚園から大学、社会に出ても君はみんなの人気者だ。小さい頃から商売を継ぐことが決まっていたし、要領

【倒産社長の遺言(6/7) 私を救った真の友人たちへ】

👤倒産・破産となると人間関係は一気に崩れていく。ほとんどの友人は関りを避けるし、近しいと思っていた仲間も「味方ヅラ」に変身していく。これは精神的に辛いものだ。しかし変わらず応援してくれた人も多い。今生きていられるのは、間違いなく彼らのおかげである。 【倒産社長の遺言(6/7) 私を救った真の友人たちへ】 「やまと」が倒産に至る過程で、私をこのまま終わらせてはいけないと物心両面で支えてくれた皆さん、そのおかげで私は今生きています。皆さんは私の「命の恩人」です。 一人一人の

【倒産社長の遺言(5/7) 行政関係者の皆さんへ】

👤私の店は地域のお客さんに人一倍助けてもらった歴史があり、「頼まれたら(利益にならなくても)すべてやろう!」と決めていた。 その様を見た人の中には売名行為とか、選挙にでも出たいのか?と揶揄する人も多かった。負けず嫌いの私はそれを否定するが如く「これでもか!」と(いわゆる)社会貢献を続けていった。 片や何でも実行してくれる私は、行政担当者にとってとても「都合の良い民間人」だったに違いない。今さら恨みなど無いが、そんな彼らにも「遺言」を残しておいた。 【倒産社長の遺言(5/

【倒産社長の遺言(4/7) 中小小売店の皆様へ】

👤私の失敗経験が少しでも役に立つ人…、それは同じ立場である中小の商店経営者かも知れない。所詮「負け犬の遠吠え」に過ぎないが、最悪な事態を避けるためには「思い出話」で終わらせるのではなく、彼らにこそメッセージを送りたい。 【倒産社長の遺言(4/7) 中小小売店の皆様へ】 私は、毎日しのぎを削る競争の中、大手の攻勢にも負けず、地域のために頑張る商店に最大級の敬意を表します。地域の小売店、その規模の大小に関わらず、皆さんは地域の「宝」です! 大手企業は「地域密着」の決まり文句

【倒産社長の遺言(3/7) 金融機関・取引先の皆様へ】

👤企業が継続していくためには、金融機関や取引業者の協力が不可欠であることは言うまでもない。それを疎かにして会社を潰した私が彼らに伝えたかったメッセージ。 【倒産社長の遺言(3/7) 金融機関・取引先の皆様へ】 会社経営の「血液」である資金や商品を長年繋いで頂き誠にありがとうございました。今回このような結果になってしまい改めてお詫び申し上げます。全ては社長である私の経営能力の欠如から生じたことです。 経営再建中には金融機関様のご支援の下、リスケ対応を頂き改善の兆しが見えて

【倒産社長の遺言(2/7) やまと従業員のみんなへ】

👤信用不安を原因に主要取引業者の納品停止で、あえなく沈没した「スーパーやまと」。 「社長に心配かけちゃいけない!」と不穏な噂を私の耳にも入れなかった従業員たち。でもどんな理由があれ、会社の破綻は社長の責任ですm(__)m 【倒産社長の遺言(2/7) やまと従業員のみんなへ】 12月6日、急な事態になってしまい本当に申し訳なかった。 予想もしなかった業者の動きを事前に把握できず、全店を閉鎖せざるを得なくなった状況なのに、最後のお客様をトラブルなく送り出してくれた従業員全

【倒産社長の遺言(1/7) やまとを愛してくれたお客様へ】

👤5年前、創業105年の家業(スーパーやまと : 負債総額17億円)を倒産させた私が、その顛末を著書「こうして店は潰れた」に綴った。その後、6刷の初版本は出版社の倒産で絶版となり、電子書籍の販売も終了してしまった。 加筆して「続・こうして店は潰れた」を出版したが、ページの都合でカットされてしまった箇所がある。それは私が一番伝えたかったこと。 ここで一度初心に戻って『note』に遺したいと思います。しばしのお付き合いをm(__)m 【倒産社長の遺言(1/7) やまとを愛し