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そういうふうにできている 名乗りたい名前を名乗る


私は山と草木という屋号で活動している。山という大きな存在の中には、小さな草木の存在がある。大きな山を俯瞰で見ていると、小さなそれらは絶対に見えてこないけれど、確かに存在する。
見えないけれどあるっていうのが好きなのだ。
立山連峰をぼんやり眺めていた時に、パッと浮かんだ名前だ。我ながらいい名前だなあと思う。

ふと気になって、山と草木を姓名判断のウェブサイトで調べてみた。まあまあ良かった。今の自分の本名は良すぎるくらい完璧なので、良い本名と良い屋号に巡り会えて幸せだ。

何故私が姓名判断をしてみたかというと、さくらももこのエッセイ「そういうふうにできている」を読み返したからだ。
妊娠から出産にかけてのドタバタを、いつもながら面白おかしく描いている。妊娠中凄まじい便秘になったエピソードで、なんど笑った事か。悪魔の封印石のイラストも大好き。

このエッセイの中で特に印象的なのが「命名」の章だ。
赤ちゃんの名前を字画を調べて命名する事にした、ももこと(元)夫。なかなか良い名前を思いつかずげっそりとしてきた頃に、ふと“運の良い字画の有名人”というページに“さくらももこ”という文字を見つけ、驚愕するというエピソードだ。

さくらももこは、“さくらももこ”というペンネームを思いつき漫画を描き始めたとたん、どんどん夢が叶っていったらしい。本名よりも、芸名やペンネームなど主に使われる名前のほうに、運は傾くようだ。

女性は結婚や離婚で苗字が変わる事が多いため、旧姓と比べてみるのも面白い。
字画でみる運勢だけでなく、呼ばれる名前が変わる事で、性格や人相も変わっていく気がする。
不思議な事に、良い結婚生活を送っている友人の結婚後の名前を、勝手に姓名判断のサイトで診断してみると、みんなまあまあ良い結果なのだ。
あなどれん。姓名判断。

「ももこの21世紀日記 NO.04」に、恐るべきエピソードが記されていた。ももこの再婚後の夫は、うんのさしみというペンネームのイラストレーターだ。
この、うんのさしみという名前は、ももこの「神のちからっ子新聞」の中で登場する、すごくマイナーなキャラクターからもらったペンネームらしい。

「私も架空のうんのさしみを思いついた時にゃ、まさか実在するようになるなんて思ってなかったよ。」と、ももこは記してある。

自分の作品の中で、未来の夫の名付けをしていたさくらももこ。
名前は運命を決めるなあと、つくづく思う。名乗りたい名前を名乗ろう。

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