見出し画像

ギリギリの人生 ~アルコール依存症とわかってから~ ②

前回より~

なかでも、今日特に心に響いた話として10年前に依存症治療で入院していた方が退院後10年間1度も飲酒をせず、AA や断酒会にも参加せずに過ごせてきたのに、ふとしたきっかけでたった1本のビールを飲んだ為過去の思いが怖くなって10年経った今、再入院してきた方の話だ。

この病院に10年前に入院していた時は鬱病も発症しておりかなり辛い思いをされてたようだ。
JAに努めていた方で内勤から営業に配置転換された事によるストレスで心の中がゆっくりゆっくりと蝕んでいき、営業になり3年後に自死すら考えるようになったそう。
その頃はアルコールも浴びる程飲んでたようで鬱病とアルコールで仕事に行けなくなる日々が続いて休職し入院したらしい。

当時もアルコール依存性の治療プログラムは3ヵ月だったそうだが、その人は鬱病も抱えてたので+3ヵ月の計6ヵ月の入院生活を送ったらしい。

入院当初はアルコールの離脱症状、鬱での気持ちの変化で族に言う『がっちゃん部屋』だったそう。
その当時の記憶はあまり無いらしく、記憶があるのはその部屋を出てかららしいのでかなりきつい状態だったんだろうと想像出来る。

しかし一般病棟に戻ると日々の生活への意欲やアルコールを止める気持ちはどんどん改善していき退院前は人が変わったように明るくなっていたそう。

退院してからはその職も辞め実家の農業を継ぎ、元気に仕事が出来るまで回復していたそうだ。
前職のJAの営業マンとも交流があり、お米作りではかなりの収穫になるほど田んぼを保有しており稲刈りのシーズンは近所の小学生達が授業の一環で手伝いに来ていたとの事。

そうして順調に心の回復とアルコール依存症の回復をされていたのだが今回入院する3週間程前、たまたま学生時代の先輩が訪ねて来て話がはずみ10年止めてたから1本位良いだろうと思って500のビール1缶を飲んだらしい。
当日はその1本だけで済んだが、次の日の夜に無性に飲食欲求に襲われ残ってた500のビール3缶を一気に飲み干してしまった。

それからが止まらなくなり10年間ずっと通い続けてたこの病院に急遽来て、スリップした事や鬱的症状も出てきたので入院する事になったようだ。

衝撃だったのは10年間止めて、たった1本のビールから連続飲食に転げ落ちる速さに驚かされた。 
他の依存性患者さん達も多分驚かされたと思う、静かにその人を見て聞いていたので。

本来この記事は入院中に書くべきだったが今になって書いてるので思い出話になってるが私にとっては貴重な体験だたので振り返りながら書いている。

ちなみにその患者さんは入院中も模範的な方で自分自身をしっかりわかってるなぁと感心したのと同時に真面目だから苦しくないかなと言う思いも私の中にはあった。

ともあれアルコール依存症は治る事の無いものだとその人の話を聞き改めて思い知らされた気がする。


続く...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?