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怪盗ルパンシリーズの人気の秘訣とは

推理小説から派生した1ジャンルに「怪盗小説」がある。嚆矢となったのはE・W・ホーナングの『二人で泥棒を』(1899年)で、この時点でフェアプレイや殺人の忌避など、怪盗小説の定番となるルールができあがっている。その後、四十面相のクリークをはじめとする怪盗キャラクターが数多く生まれ、百花繚乱を呈したが、シリーズとして長続きしたものはなかった。怪盗小説は「何をどうやって盗むか」が物語の焦点となるが、通常の推理小説よりマンネリ化しやすかったらしい。そこで、後続の作家たちは、それにプラスアルファしておもしろさを担保する試みを始めた。その代表例が、エドワード・D・ホックの「怪盗ニック」シリーズで、これは「何をどうやって盗むか」に「なぜ、そんな価値のないものを手に入れたがるのか」を付加してミステリー的興味を増幅している。

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