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出土遺物と不時発見遺物について

発掘調査で出土した土器などを遺物というが、これはどうなるのだろうか。
まず、これらは遺失物扱いとなり、所轄警察署へ届け出る必要がある。その間、遺物は発掘調査主体(市区町村が実施した場合は市区町村)が保管する。その後、都道府県や政令指定都市などの教育委員会との協議で当該遺失物が文化財と認められると、それらの遺物は所有者が判明しないばあいは都道府県に帰属するが、引き続き発掘調査主体で保管されることが多い。
(文化財保護の観点から、一般に発掘調査実施に際し、土地所有者には取得の権利放棄を協力というかたちでしてもらっている。それがいいことかどうかはわからないが。)
次に、不時発見、つまり偶然発見した文化財はどうすればいいか。例えば、植木の植え替えで庭を掘っていたとき、壺を発見したとしよう。そういう場合は文化財保護法第96条に基づき届け出が必要である(同時に警察署への届け出も必要である)。その後の経過は出土遺物とおなじである。

出土遺物の代表例、土器

さて、こうした埋蔵文化財(本稿では遺物)は、洗浄→復元→記録(実測、写真撮影)というプロセスを経て整理される。これらは貴重な人類の遺産として公開するなど活用されるのが望ましい。ということで、各自治体で発掘調査速報展が開催されているのである。これは発掘調査の意義などを伝えるのに有効な方法である。発掘調査現場を公開する現地説明会も同様である。ただ、こうした場で活用されるのは残りの良い遺物や出土例が少ないなど貴重な遺物、遺跡の年代確定に有用な遺物など限られたものになる。出土遺物の大部分は、言い方は悪いがゴミのようなもので、部位不明、文様等もなしという土器片だと本当に使い道がない。だが、これらの「使えない?」遺物に使い道を与えるとすると、ハンズオンコーナーのサンプルにすることが思い浮かぶ。本物の遺物を実際に触ってもらうのである。博物館等では普通、ものに触ることができないので、本物の遺物に触れる貴重な機会になる。

今回は、出土遺物についてまとめた。


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