農薬メーカーでの仕事について①

2011年4月から2018年3月まで農薬メーカーで営業職として働いていました。
今回は農薬メーカーとは、ということについて書いていきます。

まずは業界内での用語についてです。
肥料、農薬業界では流通経路を「系統」と「商系」と2つに分けています。
「系統」流通とはメーカー→全農や経済連といった県連→JAとJAグループ内で物が流れていく経路です。
「商系」流通とはメーカー→卸商→小売店(農業資材店、種苗店、ホームセンターなど)と物が流れていく経路です。
自分が就職した会社は系統流通のみ(以下系統メーカー)という、縛りプレイのようなことをしているところでした。
業界の中でも多くの会社は2流通の両方を持っており、系統流通のみという会社は全農資本が入ったごく限られた数です。
この流通に対する見方の変化が退職を促すことになりました。

農薬を含め、農業業界は古い業界です。
基本的には保守的で、飲み会のマナーにはうるさく、そして甚だしい市場縮小が起きています。

系統メーカー営業担当者のミッションは各JAが作成している防除暦に自社の薬を掲載させることです。
防除暦とは各JAが管轄の農家に向けて作成している防除例のようなもので、いつどんな薬剤をどいういう目的で使うと良いかが書かれています。農家はこの防除暦を参考に(ほぼその通りに)防除をするとされてたため、この防除暦への自社薬剤の掲載が売上に直接的に影響します。
防除暦の強制力はJAによって、作物によって異なりますが、生産物出荷にガチガチに結びついているものもあります。
すなわち出荷基準の中に「この肥料と農薬を使う」と決められているものがあります。
農家がJAに出荷するためには防除暦で指定されたものを使用しないといけないとなることがあるのです。
これはJAの農家に対するガバナンスが強ければ強いほどその傾向にあります。

入社当初に比べたらJAの農家に対するガバナンスは強くはなくなりましたが、防除暦への自社薬剤を掲載採用させることは現在でも大きな仕事です。

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