にじさんじとホロライブで異なる共テ風クイズの作り方
※この記事には一部問題のネタバレが含まれます。
ヤマたです。
今年も「にじさんじ共通テスト」と「ホロライブ共通テスト」を作ってみました。
基本的に同じようなVTuberグループであるにじさんじとホロライブではありますが、クイズを作るうえでいわゆる「良問」を作ろうとするとき、その感覚は決して同じものではありません。言い換えますと、同じ感覚で作ったらどちらか一方はバランスが崩れます。
本質的にはそこまで大きな差は無いように思える2グループですが、どうしてクイズは同じ感覚で作れないのか、その説明をしてみたいと思います。
結論を申し上げますと、同じ感覚で作れない最も大きな理由は
「タレント一人当たりに対して持っている知識量が違う」
からです。
要するに「人数差」です。今年の主にテスト範囲となったタレントはにじさんじが127名、ホロライブが40名になります。3倍の差があるのです。
シンプルにテスト範囲で考えてみましょう。テスト範囲が127ページと40ページでは、どう考えても40ページの方が知識を入れやすいのは明確です。
つまりこれはクイズ回答者がタレント一人ひとりに対して有している知識量に差が出ます。タレント一人ひとりで見ると、にじさんじより、ホロライブの方が詳しい傾向にあるのです。
回答者の知識量に差があれば、同じ感覚で作っても難易度が異なってしまいます。実際ににじさんじで作ったクイズをホロライブに投影してみましょう。なかなかに面白くない問題が完成します。
こちらは今年のにじさんじの方で出した最初の問題です。②マジョマリティの名前変更の背景も相まって、正答率は76%止まりです。
これをホロライブで考えたら、4択はこうなるでしょう。
①ねぽらぼ ②秘密結社holoX ③ReGLOSS ④ホロライブゲーマーズ
ホロライブを知っている者からすれば、これは簡単すぎやしないでしょうか?もちろん、こういう難易度のものを混ぜてもいいのですが、にじさんじと同じ感覚で作ったのならば、同じ正答率76%程度の問題になってほしいところです。しかし、実際そうはならないでしょう。おそらくこれは90%を超えると思います。
他にも例を挙げてみます。
去年、にじさんじでは「ライバー列」というものを出しました。これは、日本のライバー名を五十音順に並べてライバーに番号を付与し、その番号でユニットを予測させたり、特定のライバーが何番目に来るのかを問うようなクイズでした。推測することを前提とした問題ですが、うまく組み立てれば案外解けるようにもなっているクイズで、自分の中でも傑作となった問題の一つです。
では、「ホロメン列」は成立するでしょうか?間違いなくしないでしょう。
なぜなら、ホロライブをよく見ていれば日本のホロメンなら全員名前を書き出せるのでは無いでしょうか?0期生~6期生(holoX)、ReGLOSSの8ユニットを想像し、それぞれ一人ずつ挙げていけばできそうです。書き出さずとも、全員を思い浮かべることは可能でしょう。
全員書き出して、それを並べて、該当する番号を当てはめる。
果たして「良問」でしょうか?私はただの時間がかかる作業ゲーの「悪問」に感じます。
たくさんいるにじさんじだからこそ、確定させることができずに「この名前はこのあたりの番号に来るだろう」などの推測が広げられるのです。人数が少ないというのは、推測の幅が狭くなることでもあります。
このように、同じような問題を作っても、正答率はホロライブの方が高くなったり、そもそも問題の性質ごと変わってきたりしてしまうのです。
つまり、にじさんじはにじさんじ用の、ホロライブはホロライブ用の難易度感覚を持って作らなくてはなりません。
実際、にじさんじよりもホロライブの方が少し踏み込んだ内容を聞いていたりします。
ホロライブでは今年、以下のような問題を出しました。
ホロメンの身長差を問うものですが、実はこの問題に登場する8名のホロメンは全員身長の高いホロメン上位10名に入っています。高い者同士の比較を行ってるのです。
これも、ホロメン全員のある程度の高い低いは十分認知されているという想定のもと、少し踏み込んだ「高い者同士の比較」をした問題です。少し踏み込みすぎたのか、想定よりやや正答率は低くなってしまいましたが、これをにじさんじでもやってしまうと、いよいよ本当にわからない問題になりそうです。マニアックすぎる問題になるでしょう。にじさんじでやるなら、一人だけ低めのライバーを入れると思います。
以上のように、にじさんじとホロライブでは人数による知識量の差を考慮して、ちょうどよい難易度になるように工夫をして作成をしているつもりです。
この難易度の感覚は、実際のところ私自身も本当に理解できているのかわかりません。今年も平均点は両方とも狙い通り67点前後にできましたが、想定外の正答率が結果として出た問題は多くあります。少しでも想定との乖離がなくなるように、これからも調査を続けていきたいものです。
2024/02/03
ヤマた
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