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私のゲーム開発むかしばなし ガチャ編

私は今から13年前、証券システムのエンジニアとして社会人になりました。

それから4年勤め、自分の人生を見つめ直す機会があり、ソーシャルゲームバブルと呼ばれた頃にゲーム業界へ転職しました。

転職のタイミングで、職種もエンジニアからプランナーへと変更しました。

その当時はGREEとMobageが全盛期で、当時いた会社でも、1タイトルだけでも、高いものはグロスで月間10数億という売り上げを上げていました。

その当時は本当にバブルと言った感じで、勤めていた会社でも、今思えば安い開発費で作られた多くのタイトルがそういった数千万から10数億という売り上げを上げていました。

私はこの頃から現在に至るまでガラケーやスマホ向けのゲーム開発をしています。

この時間の中で携帯端末で遊べるフリーミアムのゲームもどんどん進化してきました。競合も増え、高いクオリティが求められるようになったため、開発費も当時と比べかなり高騰しています。

そんな変化の中、ゲームシステムの中心としてずっと存在してきたのが、ガチャシステムです。

ガチャの仕組み自体は大きな変化はないように思いますが、決定的に変わった点が一つあります。

それは有償でしか手に入らないアイテムと無課金でも手に入るアイテムの境界があいまいになった点です。

ガラケー向けのタイトルを開発していた当時は、その月の月初のガチャの目玉みたいなアイテムは絶対に有償でしか手に入りませんでした。このアイテムが他のアイテムに混ざってしまうことは絶対的なタブーとして扱われていました。

それが、(おそらく)パズドラ以降、スマホ向けのゲームアプリでは無償石が配られ、有償と同じガチャを引くことが可能になりました。これは有償のアイテムは絶対に手に入らないという考えだったガラケー時代のアプリでは考えられないことでした。

ガラケー時代の考え方も分からなくもありません。本来お金を払って手に入るものが無償でも手に入ってしまったら、価値が下がり、売り上げにも影響しそうです。

しかし、今になってみれば、その考えは間違いであったことが分かります。

これはガラケー時代もスマホ時代も変わらない考え方ですが、プレイヤーにはまず、ゲームを続けて貰う必要があります。ゲームを止めてしまわれると、課金につながる可能性は0になりますが、続けてもらっている限り課金に繋がる可能性があるためです。
そのために無料でも遊べるようになっているのは、当時も今も同じです。

この前提に立つと、2つの点で現在のモデルのほうが優秀であることが分かります。

まず1つ目は、課金で手に入るものが無料でも手に入る可能性がある方が継続のモチベーションは上がります。

2つ目は、実際に手に入れることでアイテムの価値が実感として分かると言うわけです。

プラットフォームの仕組み上(課金で販売するものはプラットフォームに登録が必要なのでゲーム内通貨を中間に挟む形のため)、止む無くこの形になっているのでは?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、売り上げへの影響という意味ではガラケー時代に比べて劣っているということはありません。※市場規模も競合タイトルの数も異なるので単純な比較はできませんが…

この話を通しても常識、タブーと言ったものがいかに怪しいかということが分かります。今の時代のモデルももしかしたら、数年後にみると思い込みだったと言うことがあるかも知れませんね。

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