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商社ケース対策ノート

商社ケースって意外と対策法が世に出回っていない影響もあり,「商社ケースあるけどどうしよう」と困っている声をちょくちょく聴くので執筆してみました.初投稿となるので読みづらい等はご容赦ください

この記事は全文無料で読めるようにしてありますが,少しでも役に立てたら,私にフラペチーノを一杯おごるつもりでカンパいただけると幸いです.

前書き

一部の総合商社では毎年ケース面接が課されます.総合商社の特徴として,ES,webテスト,1-3次面接の総合点で内定の有無が決まるという特性があります.そのためケースに不安があるから人物面接で取り返そう!という戦法がうまくいかないことが特徴です(もちろん例外はありますが).そのため,ケース面接の対策が必須となります.とはいえ,

・ケースって何?
・どうやって対策すればいいの?

と思われる方も多いのではないのでしょうか
今回はそんな"ケース初心者の方""ケースはやったことあるけど商社ケースをやったことがない方"に向けたノートとなっています.
以下,目次になります


1.ケース面接とは

1.1ケース面接の概要説明

この章に関しては説明不要の方もいると思いますので不要な方は飛ばしていただいて結構です.

ケース面接とは

与えられたお題(ケース)に対しその場で自分なりの考えをまとめ,面接官と議論を行う面接

です.こう聞くとなんだか難しそうと思われるかもしれません.実際,無対策で行うと難しいのですが,対策をある程度学んでおけば「何も思い浮かばなかった🥺」となることは避けられます.次章ではケース面接の全体的な流れについて解説します

1.2.   ケース面接の流れ

ケース面接は以下の3段階に従って進んでいきます

1. お題発表+個人思考
2. 発表
3. ディスカッション

それぞれ解説していきます

1.お題発表+個人思考

面接が始まるとアイスブレイクの後に,面接官からお題とそのために必要な思考時間が言い渡されます.ここでは,お題に関する質問を必要に応じてした後,与えられた思考時間の間で,個人でお題について考える時間になります(商社ケースでは3分ほど与えられます)

2.発表

個人で考えたことをまとめ,その場で1~2分程度で発表します.

3.ディスカッション

ここでは発表内容をもとに面接官が気になった点を質問し,意見を深めていく場になります.商社ケースではここの議論が重要視されるので頑張りましょう

以上が面接の全体観になります.次章ではさらにその中でどうすればよいのかについて解説していきます

2.解法のコツ

当たり前ですが,これは考え方の例であり合格を保証するものではありません.ただ,私はこのように考えた結果商社ケースはすべて突破することができたので参考にはなると思います.
ここでは前章でお話しした3つの段階に分けて解説していきます

2.1お題発表+個人思考

恐らくここが一番気になっているところだと思うので詳しく解説していきます.
今回は仮に「フルーツ農家とシナジーのある新規事業を考えよ」というお題が出されたと仮定して進めていきます.
商社ケースではお題に関する質問は受け付けない場合が多いため,お題についての質問はなく思考時間がスタートします.
ここでの考えのパターンとしては2パターン紹介します

1.事業ベースで考える

この考え方では,新規事業をどのように行っていくかを決定するために,以下の図のような形で考えます.

つまり,

①     既存市場で既存製品を売る(これは新規事業にはなりえない)
②     新規市場で既存製品を売る
③     既存市場で新規製品を売る
④     新規市場で新規製品を売る


の4つに分析し,どのような形態で新規事業を行うかを決定します.
新規事業としての考えやすさとしては,②=③>>④になります(②,③を組み合わせる場合も多々あります.なお,④は原則として考えない方が楽だと思うので今回は触れません)
そのため,④以外の選択肢をとる場合は,大前提としてその会社(今回であればフルーツ農家)がどのようなアセット(既存製品)を持っていて,どのような市場で戦っているのかをまずは知る必要があります.そのため,次はその分析を行います.今回は以下のように分析しました.


以上の分析の結果,現状の市場と自社としてのアセットが明確にわかりました.
ここでこの構造を見ると"この程度の分解でいいの?""MECEじゃなくない?"といった疑問を持たれる方もいると思います.
回答としては全く問題ないです.コンサルケースと商社ケースの大きな違いの一つとして

コンサルケース:網羅的に考えたうえでなぜその施策が最適なのかの根拠が大事
商社ケース:その施策を成功させるための具体的イメージを持つことが大事

という点があります.
そのため,ある程度の分解をしたうえで,施策につながりそうであればそこで分析はやめてしまっていいです.(というより時間がないのでやめる方が吉です)

話がそれました.では次に,ここから②or③の考えから,新規事業を生むことができないかを考えます.例えば,②の考えを使えばフルーツの健康機能を生かして,従来売られていなかった健康意識の高い人が集まる場所(ジム等)で形を変えて販売したらどうかというような発想ができますし,③の考えを使えば従来フルーツを買っていた人にフルーツを使ったお菓子作成キットを一緒に販売するのはどうかという発想ができます

ここで施策の方向性が決まれば後は具体性を埋めていくのみです.ここから行うのは,"その施策を成功させるためにはどうしたらよいか"と,"発表段階でどの順番で発表しようか"を時間いっぱい考えてください.ここでどれだけ考えが詰められるかで後のディスカッション段階の質が変わってきます.考えるべき項目は以下のようになります

・その事業を成功させるために最も必要な要素は何か?(販売量など)
・かかわるステークホルダーにはどんな人がいるか?
・事業を行う上で起こりうる障壁
・その事業に弊社が介入するならどう関わることができるか?
・差別化ポイントは何か?
・どこに収益性があるのか
・なぜ消費者はそこにお金を払うのか
・事業はどこから始めればよいか?その理由は?
・事業を拡大させるならどの地域に拡大させるか?その際に注意すべきこととは?

以上が一例になります.すべて考えることは時間的に厳しいと思いますが,大体このようなことを考えられればベストだと思います.

2.社会課題,自分の関心事ベースで考える

先ほどの考え方①が少しコンサルケースに近い考え方なのでこちらはガラッと思考を変えます.ずばり今自分が興味を持っている社会課題や,関心事(研究内容などはつなげやすいと思います)に関連する新規事業を考える考え方です.これについては完全なフレームはないので日ごろから関心を高めてくださいとしか言えないのですが,アイデアに自信がある人や,学生時代活動的に様々なことに挑戦した人はこちらの考え方の方が考えやすいとは思います.総合商社として規模大きく,社会課題解決に取り組んでいる背景もあるので商社理解を深める意味を込めて,社会課題とその現状を一つでも多くインプットしておくとアイデアにつながりやすいと思います.

以下,事業につなげやすい(と感じた)社会課題一覧です.よかったら調べてみてください

・フードロス
・カーボンニュートラル
・2024年問題

以上が第一段階の取り組み方になります.

2.2発表

ここでは考えた内容を発表します.発表の流れとしては

1. 考えた新規事業の内容
2. そこに至った思考のプロセス
3. 起こりうるシナジー

4. (関連するステークホルダー)

の流れで発表します.4を()で記載したのは必須ではないかつ,そこまで言うべきではないという意見もあるためです.ただ,ここまで考えがまとまっているのであれば僕は話してしまってもよいのかなと思います.
この段階で注意するべきことは,

相手に理解してもらうために話す

ことです.自分の中では理論がしっかりしていると思っている事でも意外と聞き手からするとチンプンカンプンなこともあるので自分で録画をとって見返したり,人に聞いてもらったりするなりして確認するとよいです.以下発表の一例を紹介します

私は「フルーツ農家とシナジーのある新規事業」として,「フィットネスジムでフルーツスムージーを販売する」ことを提案します
こう考えるに至った経緯を説明します
まず,フルーツ農家としての提供できる価値を細かく分析したところ,農家の提供するフルーツには健康機能があり,昨今の健康意識の高まりからこれは事業につなげられないかと考えました.
では一方で,この健康機能はどのような人が求めているのかを考えると,フィットネスジムのように健康維持を目的に運動をされる方が求めているのではないかと考えます.
現状,フィットネスジムでは運動による健康管理まではできても食事における健康管理までは至っていないという課題があり,それが原因でジム入会を悩んでいる人,またモチベーションが続かず退会してしまった人がいるのではないかと考えます.
そのため,フルーツの持つ健康機能をもって,「フィットネスジムでフルーツスムージーを販売する」事業ができるのではないかと考えます.これを行う事で,フルーツ農家の売上向上が見込め,フィットネスジムでも,従来食事制限までやりきれないために途中で退会してしまっていたユーザーを取り戻すことができ,売り上げが見込まれる点でシナジーが埋めると思います.
この事業を行う上ではフルーツ農家やジムはもちろん,栄養管理士やスムージー作成会社などとの連携が求められると思います.

この程度で十分なのかなと思います.ここでは"論理立てて話せるか","主張は妥当か"が見られていると思うので,その点は注意してみてください

2.3ディスカッション

最後です.総合商社ではここが最重要ともいわれるため,気を引き締めていきましょう.最初にディスカッション段階での評価ポイント(体感)を挙げると以下の点だと考えます

・質問に対して論理的にこたえられているか
・議論を通して意見をブラッシュアップさせていく姿勢があるか
・議論を楽しめているか

以上の点を意識しながら行っていきましょう.それぞれの対策法としては

・段階1でいかに詳細まで考えることができているか
・現場を想像し,その場所にいるからこその考えを出す
・事業の成功のための必要条件を自分なりに分析し,それを抑えた発言をする
・面接官の意見に対し,素直に受け止め議論を前に進める事
・楽しむ

これらを意識するほかないのかなと思います.
議論は生き物なので,画一的な対策法がないことも難しさの要因かもしれません.ですがこれに関しては,同期と複数回練習をする.実力のある人に見てもらうなどして実力を少しずつ上げていくとよいと思います.

ですがそれでも思いつかない時は思いつきません!そんなときの対処法をお伝えします

1.素直に時間をもらう

これは意外と思われる人もいるかもしれませんが,返答に困った場合は素直に時間をもらって大丈夫です.急いで変な回答をするくらいであれば,時間を取って考えたものを自耐えるほうが議論にも真摯に向き合えていますしむしろ好印象です!ただ,多用は厳禁かつ,待ってる面接官が不安になるので時間をもらう際は,「考えますので,30秒ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と時間を伝えるようにしましょう!

2.オウム返しをする

これは先ほどに比べ,数秒だけ考える猶予が欲しい場合に使える戦法です.面接官の質問に対し,「(質問内容)といたしましては~」と質問内容を繰り返し口にする時間を使って考える方法です.これは慣れていないと使うのが難しいですが意外と効果的だったりするのでもしもの際に使ってみてください.ただしこちらも多用は禁物です

以上が総合商社ケースの対策となります.
思ったより長くなってしまい恐縮ですが,"ケースってこんな感じなんだ!""思ってたより楽しそう!"と思ってもらえる人が一人でも増えることを願っています

また現在私は,総合商社やコンサル業界等の企業への内定獲得に向けたメンタリングを行っています.今後控えるケース面接に向け,さらに実践的な対策をしていきたい方や,最終調整をしていきたい方は,以下のフォームからメンタリングも募集しているので是非ご検討ください!
https://forms.gle/vMwnMakcufA7S4ro8

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