中小企業が雇用・採用に使える助成金とは
今回は中小企業が雇用・採用に使える助成金について解説します。
助成金、補助金の違い
助成金と補助金は語感も似ていて混同しやすいかもしれません。
今回解説するのは助成金ですが、その前に助成金と補助金の違いについてご説明いたします。
助成金……厚生労働省が管轄する事業が多い
受給要件を満たして申請を行えば原則受給される
支出→申請→助成金支給の順序であることが多い
補助金……経済産業省が管轄する事業が多い
審査がある(重要)
申請→採択→計画実施(支出)→実績報告→補助金交付の順序であることが多い
一番の違いは補助金には審査があり、助成金には審査が無い点だと思います。共通点としてはどちらも中小企業を対象としたものが多いという点です。
補助金と助成金の違いは過去記事にも記載があるのでこちらも参照ください
雇用、採用関係の助成金の共通要件とは
雇用、採用関係の助成金には共通要領として、事業主に対し下記の要件があります。
雇用保険適用事業所の事業主であること
助成金の支給又は不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、保管していること
上記の書類を管轄労働局長の求めに応じ提出・掲示または調査・審査に協力すること
以上3点を踏まえたうえで、更に助成金ごとに定める要件を満たす必要があります。
もし、雇用保険に加入していない、という方でも雇用保険に加入出来る従業員を雇用している場合は遡及して加入することも可能ですのでハローワーク等に相談されると良いと思います。
どんな場合に申請できる助成金がある?
中小企業への雇用、採用に関する助成金は大きく、①新たに雇入れる場合と、②雇入れ後の雇用維持・能力開発等に取り組む場合の2つに分けられます。
助成金の後ろの()内に助成金の代表的な例を書いています。
雇入れ関係の助成金……
特定求職者雇用開発助成金(高年齢者や障害者、被災者、就職氷河期等の特定の人物を継続雇用する場合)
トライアル雇用助成金(職業経験が不足し就職が困難な方、障害者等の特定の人物を一定期間試行雇用する場合)
地域雇用開発助成金(過疎等雇用改善地域等で事業所の設置・整備あるいは創業し、地域求職者を雇用する場合)
中途採用等支援助成金(中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大した場合)
雇入れ後の助成金……
キャリアアップ助成金(有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合)
両立支援等助成金(男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取組み、男性労働者が育児休業を取得した場合)
人材確保等支援助成金(雇用管理制度の導入を通じて従業員の離職率の低下を図る場合)
65歳超雇用推進助成金(65歳以上への定年引上げや高年齢者を無期雇用へ転換した場合)
このほかにも様々な場合に活用出来る助成金があります。
要件や申請様式は必ず最新のものをチェック出来るよう、助成金の細かい内容については管轄である厚生労働省の雇用関係助成金のページを見るのが良いでしょう。
キャリアアップ助成金をもっと詳しく
キャリアアップ助成金には7つのコースがあります。
なかでも「正社員化コース」は助成額が対象労働者1人当たり57万円ということもあり、申請が多いと思われます。この正社員コースは、6カ月以上雇用されている労働者を、
有期雇用労働者を正規雇用労働者又は無期雇用労働者に転換
無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換
派遣労働者を正規雇用労働者又は無期雇用労働者として直接雇用
としたうえで、その後6カ月間の賃金を転換・雇用前の賃金と比較して5%以上増額させることが求められます(他にも社会保険に加入させる等の要件があります)。
助成額だけ見るとそのために申請を考えてしまうこともあるかもしれませんが、まずは事業の持続的な経営を念頭におきそのうえで申請出来る助成金があれば活用する、というように考えた方が良いでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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