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掛かり稽古の重要性。Xデザイン学校大阪分校パーソナルコース_03

2021年度、Xデザイン学校大阪分校のパーソナルコースに参加していることは書きました。

今回でたぶん4回目のはずです。今までと同じことを繰り返し書くかもしれませんが、ご容赦ください<(_ _)>

稽古としてのXデザインでの学び。

言うまでもないことですが、ベーシックであっても、マスターであっても、懸命に学ぶのは一緒です。それぞれでの視座であったり、見るべき視界であったりには違いもありますが、先生方はもちろん、一緒に学んでいる方々がどこに注目しているのかを見ようとすること、それによって自分の視座や視界を新たにしていくことに変わりはないと思います。

ただ、パーソナルコースは先生方も含めて、それぞれ(チーム参加もあり)の課題を自ら設定し、それに対して自分自身で見解を呈し、みなさんからコメントをもらうという点に大きな違いがあります。それだけに、自ら律して考え続けないと維持できないという難しさがあります。もちろん、それが楽しいわけでもあります。

もちろん、ベーシックの場合でも、マスターの場合でも、正規の時間だけ「受講」していてもあんまり意味はなかったと思います。それはチームで集まるからというだけでなく、日ごろからいろんな事象に目を向けたり、思索してみたりということも学びの一環であるからです。忙しさゆえに、なかなかそれが十分にできないこともしばしばあったわけですが。

稽古って、教えてもらう当座が稽古というよりは、受講したときから次までにどれだけ試し、考えたのかが問われるんですよね(←そう書いていて、我が身を振り返ると、冷や汗が溢れてくるんですがw)。Xデザイン学校で学んだ直後にnoteなどのかたちでブログを書くことが推奨されているのも、この点を言語化することで、次までにどのあたりを意識しておくのかを自ら意識できるようになるからだと、私自身は思っています。

パーソナルの場合、もうみなさん数年は学んでらっしゃるので、そのあたりのことで何か言われることはありませんし、そもそも課題も個別的で、守秘義務的に書けないことも多々あります(私の場合は、守秘義務はほとんどないのですが、書くまでもない内容であるか、あるいはいずれ論文化するので、あまり書いてないだけです)。ただ、毎回、自らで次の段階に進んでいくのが当然という構成なので、当座から次の回まで何もしないということがそもそもありえない(笑)

私の場合、逆に実践的課題でもないために、ややもすると弛みかねない危うさがあります。ただ、いい加減なことを報告するわけにはいきません。なので、エコシステム志向的な価値創造をめぐるテーマを分解しながら、それぞれについて考察するというかたちで参加しています。

パーソナルコースは、先生方の報告や参加されてるみなさんの報告、そして自分の報告を提示しあうという点で、雰囲気は和やかですが、弛緩した空気はまったくありません。その点でも、13時から18時までがあっという間です。宣伝みたいになってしまいますが、Xデザイン学校で何度か学ばれて、実践的課題などを探究的に掘り下げて(←ここ大事)、施策にしていきたいとお考えの方は、ぜひ次年度。

今回の報告は、「エコシステムと多様なナラティヴ」というテーマで。

いや、正直、自分自身の力量をも顧みずに、今回これについて考えることにしたのです。もちろん、以前から関心のあるテーマではありました。もともとが文芸学を志していたということもあります。

同時に、最近、ビジネスをめぐる言説でも〈ナラティヴ〉という言葉をしばしば目にするようになりました。経営学においては、それなりに以前から議論されていて、最近だと宇田川元一先生のこの本などは、すごくいい本だと感じています。

この本も、一部では2on2のところに目が向けられがちです(そこも、もちろん重要な意義があります)が、組織の慢性疾患と名づけられた事象を捉え、また乗り越えていくために、ナラティヴという考え方を基礎に敷いているところに、大きな理論的&実践的貢献があると、私が考えています。

今回のXデザイン学校大阪分校パーソナルコースでの報告では引用しませんでしたが、サービスデザインを通じた企業の「脱皮」を考え、また実践していくときに、手がかりになると思っています。

で、こういうしっかりした文献ばかりであればいいんですが、ナラティヴという言葉をすこぶる恣意的に使っている文献もあって、仰天し、愕然となるものも残念ながらあります。

そこらへんも念頭に置いて(ただし、それに対する批判はほぼしてません)、ナラティヴとストーリーを対立的に捉えるのではなく、視座の層的な構造として捉えようとしてみました。どちらも「語り」あるいは「物語」と訳されるわけですが、こちらの文献にも依拠して(これもパーソナルでの報告が終わった後に、「あ、この文献使って整理すればよかった!」て思い出した文献です。ものすごく勉強になります)整理できるかと思います。

ナラティヴも「語り」であるので、時間的な流れをもっています。ただ、ナラティヴの場合、必ずしも厳密な時間的順序で展開されるわけでもないように思います。時にフラッシュバック的に時間を遡ったりもします。そう考えると、時間的な順序も重要ではありつつ、もう少し自在的なものとして捉えることができそうです。メタファー的に描けば、語られる出来事たちが何らかの関係性によって結びつけられている星座(constellation)として、ナラティヴを説明できるかもしれません。

一方、ストーリーは、清宮徹先生の著書にも引用されるモーガンの図式(166頁)のドミナント・プロットと重なり合うといえそうです。ストーリーの場合は、より絞り込まれた意味であったり、そういったある種の明瞭な関係性によって、しかも時間的順序はけっこう厳密に再構成されているという側面があると考えられます。

このあたりの概念枠組をベースに、標記のタイトルについて考えてみました。内容については省略します(笑)ただ、ペルソナをどう位置づけるのか、活かすのかというあたりと議論としてはつながってくるのではないかと考えています。

こういうテーマを、実践の方々にぶつけて、いろいろと揉んでもらうことで、思索が進んでいくというのを体感できるのが、Xデザイン学校大阪分校パーソナルコースだと強く感じます。もちろん、学会や研究会とは違います。しかし、どちらも稽古の場であることは言うまでもありません。

これからも、引き続き、学び続けたいと考えています!

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