![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50529042/rectangle_large_type_2_5cba932a28d3b923865c7fdf55d6008a.jpg?width=800)
ヘアドネーションのすゝめ
はじめに
2021年3月31日、いまだ解決の糸口がつかめない未知のウイルスによる災禍と、それにともなうニューノーマルがあちこちで1周年を迎えはじめる中、多くの人が「令和ももう3年度目か・・・」なんて独り言ちていたであろうその日に、僕は髪を切った。
もともと、こだわりがあって伸ばしていたわけではないその髪の毛が伸びる先は、当の本人でさえわかっていなかったのにである。
伸ばしていた、もとい伸びていた理由が知りたい方はコチラ↓
(改めて読むと読みにくい記事だな・・・)
きっかけ
切ろうと思い立ったきっかけはお風呂上がりだった。
僕は基本的にドライヤーを使わない。
僕にとって「髪の毛を乾かす」という行為に該当するのは、手を頭皮に沿わせてバスタオルでガシャガシャすることだけだ。
ところが、ある時気がついた。お風呂上がりの僕の髪の毛がビショビショなのだ。
どうやら、バスタオルでガシャガシャしただけでは毛先までは脱水されないようだ。
そうなってくると、ロングヘアの人がよくやる「髪の毛だけをバスタオルで挟んでギュッとするアレ」が必要になってくる。
しかも、アレで水がポタポタしないレベルまで脱水するためには、かなり丁寧にやる必要がある。
これがすごく面倒、ストレス。
ストレスフリーのために伸ばしていた髪によってストレスが生まれている。
このジレンマは実にアッサリと消えた。
決断したのである。
「髪を切ろう」と。
Xデーまで
決断してからヘアドネーションをしようと思い立つのに、そう時間はかからなかった。
ヘアドネーションというのはこちら↓
懸念されたのはその実現可能性。
ラグビーで相当のダメージを受けていたであろう我髪(マイヘアー)。
モール練習後にシャンプーするとごっそり抜けていた我髪(マイヘアー)。
せめても、とヘアドネーションを思い立ってからはヘッドキャップを着けるようにして、髪の毛に気持ちばかりの労りを持った。
どうせならもう少し長い方がドネーションし甲斐があるような気がして、しばしの熟成期間を過ごした後、
色々と下調べをし、予想される問答を反芻し、予約の電話をかけた。
今回ヘアカットをしてくださったのは釜石駅前にある美容室heartyさん。
元・釜石シーウェイブスのトレーナーで、現・トヨタ自動車ヴェルブリッツのトレーナーである小久江 竜一さんのオススメで「釜石でヘアドネーションをするならここ」とのことだった。
Prrrr
hearty「はい、heartyです」
山田「そちらでヘアドネーションの対応をしていただけると聞いたんですけど・・・」
hearty「はい、お受けできますよ。」
山田「そしたら、明日の早めの時間にお願いしたいんですけど・・・」
hearty「明日が予約で埋まってしまっていて、最短で30日以降のご予約となります」
山田「じゃあ31日の10時でお願いします」
hearty「はい、お待ちしております」
山田「はい、どうも〜、失礼します」
ガチャッ
(あれっ、もっと色々髪の毛の長さとか状態とか聞かれたり注意事項を教えてくれたりすると思っていたのにな・・・)
翌日に断髪を迎えるつもりでかけた電話だったが、予約は1週間後となり、しかもヘアドネーションについては何も窺い知ることができなかった。
肩を透かされた山田は1週間、じっくりと焦らされていった。
ヘアドネーション当日
いよいよである。
当日は髪の毛を完全に乾燥させた状態じゃないといけないという前情報を信じ、日課の朝練習と練習後のシャワーは控えて美容室へと向かう。
断髪は順調すぎるほど順調に進み、感慨に耽る間もなく1時間ほどで山田は生まれ変わった。
ラグビーをプレーする全ての人に捧げる。
— 山田 龍之介 / Ryunosuke Yamada (@Ryu_Yamada1012) March 31, 2021
ラグビーで傷んだ髪の毛でもヘアドネーションはできるんだぜ? pic.twitter.com/cIPUtRdeXi
なんといっても短髪は楽だ。
決して長髪が面倒くさいわけではない。
往々にして、短髪の快適さが人生のバランスブレイカーなのである。
当日、家族やチームメイト、Twitter上での評判が上々だったこともあり、満足な気持ちでヘアドネーションを終えた。
感想
ヘアドネーションは良いことだと思う。
身も心もサッパリとはまさにこの時のためにある言葉ではないだろうか。
おかげさまで息子の入学式にはそれなりに父親っぽい髪型(ってなんだ?)で参列することができた
しかしながら、そんなヘアドネーションの当事者となるにあたり色々と調べたところ、いくつか問題点もあるようだ。
①髪の毛の長さ
ヘアドネーションは長さが31cm以上の髪の毛を受け付けている団体が多いが、31cm位の髪の毛は供給過多、50cmを超えるような長い髪の毛が供給不足となっているそうだ。
ロングヘアのウィッグを希望する子が多いのも現状だそうだ。
②髪の毛の質
ウィッグに加工できない質の髪の毛を送ってくる方もいるそうだ。
言い方は悪いけど、それだとゴミを送りつけているだけ。
僕の髪の毛は大丈夫だと良いんだけど。。(一応、美容室では大丈夫と言われたけど)
③金銭的な問題
寄付された髪の毛は、ウィッグに加工されるわけだが、その過程には当然お金がかかる。髪の毛の在庫はあるが、加工するお金がなく持て余してしまう髪の毛も多いのだとか。
もし、今後ヘアドネーションをしてみようと考えている方がいたら、以上のようなポイントに少し気をつけてみてほしい。
大前提として、その心がけには敬意を表するけれども、それが善意の押し付けになってしまわないように。
③に関しては、「髪を伸ばすのは無理だ」とお嘆きのご貴兄姉にも心に留めておいていただきたい。
もしかしたら、金銭面での支援は髪の毛の寄付と同等、もしくはそれ以上に必要とされている部分かもしれない。
まとめ
Twitterでこんなご感想をいただいた。
ここまで伸ばすの、ほんとに大変だったと思います。
— Yukarin (@yukarin67843456) March 31, 2021
髪の毛は努力関係なく1ヶ月で1センチくらいしか伸びないから。
寄付して下さりありがとうございます🙏🙏🙏
どなたかの笑顔に繋がりますように🤗🤗🤗 https://t.co/1CfVHQdMUg
まさにこれだな、という感想である。
僕に関して言えば、放置していただけなので伸ばす大変さはなかったが、髪の毛に無関心な僕の散髪で誰かを笑顔にできたら素敵だな、と思った。
もちろん、目的、手段、結果が一致したアクションは素晴らしい。
ヘアドネーションで言えば、集めた髪の毛で実際にウィッグを製作し提供している方々だ。
でも、誰しもがそのようにアクションできるわけではないから、今回の僕のように「髪を切りたい」だけだったのが、結果として「誰かの笑顔」につながったら、それはそれですごく素敵でしょ?
ただ髪を切っただけだったら、幸せになったのは僕一人。
髪を切りたかった僕には無価値な髪の毛も、誰かにとっては価値のあるものかもしれない。
ちょっと考え方を変えたら、幸せを連鎖させられる可能性がある。
そういえばラグビーでも同じだな。
同じアクションをするにしても、「自分のため」という視点で見るか「チームのため」という視点で見るかで価値観は大きく変わってくる。
クラブハウスの掃除をしたって自分のためにはならないかもしれないけど、そういう人間はチームに大きな価値を提供している。
昔から使い古されて、擦りすぎて玉になってしもてる言葉だけど、
One For All, All For Oneってまさにこういうことじゃない?
終わりです。
ではまた。
<山田 龍之介 やまだ りゅうのすけ>
1991.10.12生 釜石シーウェイブスに所属するラグビー選手
東京都立大泉高校でラグビーをはじめる
その後立教大学、NECグリーンロケッツでプレー
2019年釜石シーウェイブスに入団
2020年4月からはプロ選手としてチームに所属
北海道・釧路町出身 岩手県・釜石市在住
最後まで読んでいただきありがとうございます!スキもサポートも嬉しいです!これからもラグビーの空き時間に投稿していきます!