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共感の科学 - 他者の心に触れる不思議な力 (The Science of Empathy)

こんにちは、皆さん。
今日は、ハーバード医科大学の著名な研究者ヘレン・ライス氏による「The Science of Empathy」からインスピレーションを受けて、共感の科学について深堀りしてみたいと思います。
共感とは、他者の心の中に入り込むような感覚。さて、この不思議な能力が私たちの生活にどのような影響をもたらしているのでしょうか?


共感とは

共感は、人々の間の経験や願望を共有する感情的な橋渡しとして機能します。実際、私たちはこの能力により、他者の感情や考えを感じ取り、理解し、他者の視点を尊重することができるのです。

共感の興味深い歴史

共感の概念は、19世紀中頃に美学者によって初めて紹介されました。彼らは芸術作品との感情的な共鳴によって、芸術作品を内部から「知覚(ノウイング)」することをを説明しました。19世紀末には、心理学者のTheodore Lippsが、他者の行動を内部で模倣することが共感を引き起こす中心的な役割を果たすという理論を用いて、この概念を「他者の経験の中に自らの感情を感じる」という意味で拡大しました。
哲学者のMartin Buberは、「私とあなた」としての共感的な関係と、共感を持たない無礼さを「私とそれ」として描写することで、共感のコンセプトにさらなる深みを加えました。この説明において、他者に対する人間らしい尊重と関心は、他者を物として扱い、非人間化することと対照的になっています。これは、現代社会にもよく現れていますね。

共感:脳のミステリー

共感は私たちの脳の中で実際に起こる現象です。例えば、他者が痛みを感じると、私たちの脳の特定の部分がその痛みを「共感」として感じ取ります。
ちなみに、共感(エンパシー)とコンパションは異なる感情であり、それぞれが脳内で異なる部位を活性化させます(この二つの違いについては、長くなるのでまたの機会に!)。このため、エンパシーが他者の痛みを共感する感情であるのに対し、コンパションはその痛みに対して積極的な対応をとりたいという動機付けの感情として区別されることが多いです。

医療現場での共感の重要性

医学生や医療従事者の共感の能力は、時間やプレッシャーとともに低下することが知られています。この共感の低下は患者のケアにも影響を及ぼします。しかし、幸いなことに、教育やトレーニングを通じて共感能力を向上させることができるとも言われています。
新しい研究によれば、「あなたの痛みを感じる」という表現は、単なる言葉以上のものであることが示されています。実際、他者の痛みを感じることは可能です。ただし、それは弱められた形で、私たち自身が圧倒されることなく共感することができます。 しかし、共感にはバランスが必要です。医療従事者が良い共感的なケアを提供するためには、彼ら自身が十分なケア、サポート、共感を受けることが重要です。

共感の大切さ

自己共感と他者への共感は、基本的な人間の能力の再生と更新につながります。私たちがより共感的な社会、より思いやりのある世界へと進む方向に進むためには、私たちの生まれ持った共感能力を強化することが、個人、コミュニティ、国、国際的な絆を強化する上で重要です。ダライ・ラマは「愛と思いやりは豪華品ではなく、必需品です。それなしでは、人類は生き残れません」と表現しています。

まとめ

共感は、私たちの心の中の不思議な力。そして、育むことができます。この力を理解し、尊重することで、私たちの社会はもっと理解し合える、暖かい場所になることでしょう。私もまだまだ共感力を鍛える旅の最中ですが、一緒にこの旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


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