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芸能ニュースを廃止せよ(結婚編)

かれこれ十余年、考え続けていることがある。

芸能ニュースはなぜデカい顔して居座っているのか。芸能ニュースの何が人々を惹き付けるのか。人々は芸能ニュースから何を得て、何を形成し、生活にどう影響をもたらすのか。

わからない。

小学5年頃からずっと芸能ニュースの存在意義を考えているが、わからない。似たようなことを考える人は全国に1000万人レベルで居るみたいだが。

疑問の始まりは芸能人の結婚話だった。
「芸能人が結婚するとなぜニュースになるの?」

当時小学生の自分にしてみれば、親戚のおねえさんが結婚した方がおめでたい話だというのに。
📻📺「昨日、浦和の〇〇さんと、横浜の〇〇さんが婚姻届を提出しました。披露宴は、港区のXXXで催されます。」なんて絶対報じないし、報じてもらえない。報じなくても誰も困らない。

📻📺「タレントの〇〇さんと歌手の〇〇さんが結婚しました。」「大物俳優〇〇が21歳差の〇〇!」
……ああ、そうでスカ。へぇ、いいなあ。楽しそうだね。だから何なんだ。他人のお家事情なんかどうでもいい。
視聴者やファンを、披露宴や新居に招待してくれるのか?同居で不要になる家具をプレゼントしてくれるのか?違うだろう。ただの幸せアピールの押し売りじゃないか。

それどころか、その芸能ニュースはニュースの枠を占領して、他の重要なニュースを欄外へと追いやった。
誰が金を積んだんだろう。そんなこと誰が知りたがったんだろう。芸能人は芸だけやってなさいよ。

(主張はここまで、以下はただの回想録。)


回想録 芸能ニュースで苦しんだ話

(前に続く)
……などと思いながら、芸能ニュースは適当にあしらい、その話題を余り扱わないNHKかテレビ東京系を見て過ごしていたが、高校生の頃、芸能ニュースが決定的に嫌いになった雷に打たれるような出来事があった。

「北〇〇子と歌手DAIG〇が結婚しました」
これは私の人生5本の指に入るくらい悲しかった。

芸能人に普段興味のない自分が、その頃は珍しくどちらかのファンだった。高校の副担任ともファン同士よく話が盛り上がっていた。

でも、先の芸能ニュースの見出し、煌びやかな"何か"がチラッと目に入った瞬間、夢や希望、憧れ、心の安らぎ、その他諸々が一瞬にして跡形もなく蒸発。嫌気、妬み、無力さが津波のように押し寄せた。

「おめでとう」などという一般人を装うサクラのコメントに全部違反ボタン押したい気持ちだった。
目も心も閉ざして、見なかったことにした。
秒でテレビを消して、米軍のラジオか何かをつけて、布団に潜った。

悲しいのに、芸能ニュース界隈の殴打は四方八方から一向に止まない。それどころか、どんどん特集や記事は増えるばかりだ。泣いている自分(と2chの人達)、幸せが加速し続ける芸能人本人、祝福し続ける周囲や大衆、テレビとのギャップに苦しんだ。

翌日以降、学校でその話を振られたが全部拒絶した。
「君は、人の幸せを素直に祝えないのか。」
⬅「はい(即答)」
無理だった。今もお世辞抜きには無理だけど。

そしてついにテレビを見る習慣をやめた。
苦しい思いをしてまで見る物ではないと気付いたから。

さらには誰かのファンになることもなくなった。
好き(Love)が湧かなくなった。
ある意味健全なのかもしれないが、顔がいいね、役が上手い、いい歌だねで終了。
お近づきになれる訳ではないし、何よりもう余計なことで感情を上下させたくない。

それで気が変わって、芸能人やアイドルにうつつを抜かすのをやめ、高校に女友達をたくさん作った。目の前にいる人達を大切にしようと思った。友達も実質アイドルみたいなもんだし、楽しかった。

大学に入って、大学祭の係に入った頃。
好きな芸能人について尋ねられることがあった。
そんなもん居ないので、その頃グラビアからAVに転身したばかりのAV女優を挙げたが、

お前好きな芸能人居ないのか。テレビとか見ないのか。
誰のファンでもないなんて今どき珍しいな。
あと、挙げるならAV女優以外でな。

 - 3個上の男

と苦言を呈された。

それで、誰かに聞かれたときに答える用の女性芸能人を探すことにした。好みの顔がすぐ見つかった。性格も生い立ちも出演作もよう知らんけど。
しかし、それから間もなく「熱愛発覚❗❗」の雷が落とされた。冷めていたので、もはや驚きも悲しみもしなかったが、少し妬みだけが募った。それ以後はもう絶食することにした。

今や空前の推しブームだが、わたしはもうその波に乗ることはできない。もう麻薬と劇薬に満ちた底無し沼に浸かるのは懲りた。みんなようやるわ。

回想録終了


今日のポイント


・芸能ニュースの熱愛報道や結婚報道には公益性がない。なのでそれに大きく時間を割くことをやめ、バラエティ番組として隔離するなり、オカルトゾーンや田舎新聞のお悔やみ欄並の扱いに格下げすべき。

・芸能人の結婚ニュースにひどく傷つく人が少なくない。訃報や自殺のニュースと同様、いのちの電話やメンタルケアの方法を紹介せよ。

・芸能人に夢見るのは自由だが、依存や浸かりすぎに気をつけよう。または、程よい距離感、傷つかないマインドを備えよう。
この点、生涯独身や既婚者、または知らない内に入籍していた人、好意がLikeで済む性別の人、何なら人外のファンというのは、幾分気が楽である。

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