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オカルトサイコホラー好きのオタク!騙されたと思って「ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。」をプレイしてくれ

コロナウイルス感染者数がぜんぜん減らんまま迎えた、2021年のゴールデンウィーク。今年もステイホームで過ごすということが決まった。

やってらんねえ気持ちになりつつ、せっかくだから引きこもってなにかゲームでもやるか!と思い立ち、久しぶりにPlaystationNowに加入しなおしたところ、このゲームが配信されているのが目に留まった。

2014年のヤンデレものギャルゲ。私はアラサーのオタクであるが、今までまともにプレイしたことあるギャルゲーはCLANNADと沙耶の唄(エロゲ)とFate(エロゲ)くらいで、有名どころしかやったことがなかった。初めて見るタイトルだし、後学のためにと思ってなんとなく冷やかし半分でプレイしてみることにした。飽きたらすぐ終わるつもりだった。

いやめちゃくちゃおもしろかった

びっくりした。おもしろかった~~~!!!!気づいたら休憩しながらとはいえ丸2日ほぼやってた。つい先ほど全エンドコンプしたので、感想を書き留めておく。せっかくだから、ネタバレ配慮感想とネタバレあり感想で分けて書いておくね。できればプレイしてほしいので。

【ネタバレ配慮感想】

正直前半は気が狂うかと思うくらいず~~~~~~っと「オタクが想像するハーレムものあるある全部乗せパフェ」みたいな展開を見せられ続けるので胸やけがすごい。OP映像での不穏展開の匂わせがなかったら絶対完走できなかった。いや、最初こそあんまりにもベタベタな流れがどんどん来るので「ハーレムものと聞いて想像するやつ全部やるじゃん!!!!」とか言いながら大喜びで手を叩いて爆笑できていたものの、本当にずっと続くので中盤からは「マジでそういうのもういいから……はやく血を見せろ……」とか物騒なこと呟きながら無心でボタン押してた。

だから最初は「なろう系」とか「えっちな挿絵ばっかりのラノベ」とかのノリが好きな人をメインの客層として想定してる感じだな~~と思ってたんだけど、後半はどっちかというと「洒落怖」「クトゥルフTRPG」とかが好きな人向けの展開が豊富で、私はそこがめちゃくちゃ刺さったんですよね……!タイトルがタイトルなので、後半の感じが好きな人がプレイする機会あんまなさそうなのが本当に悔しい。しっかりトンチキサイコホラーをやっているので「土地神様」とか「村の因習」とかの単語が好きな人にぜひプレイしてほしい。B級ホラー映画好きな人とかも好きなんじゃないかな…。騙されたと思って最後までプレイしてくれ……!!!

ツッコミどころもかなりあるし面白いので、実況にも向いてると思う。一応調べてみたら、製作元の日本一ソフトウェアさんはPS4のシェア機能での配信については容認してくれてるみたいだし(詳細は参照元URLへ)、ぜひ各位ご検討ください。私はこのゲームの後半を楽しめる人間の実況が見たい。よろしくお願いします。

参照:https://nippon1.jp/support/


【以下ネタバレあり感想】

 



●推しキャラ

生徒会長~~~~~~~!!!!!!!!!すきだ……静香~~~~~~~~~!!!!!!!!いや最後までプレイして生徒会長好きにならんやつおる………?本当にずっとただのいい人だった……。おそらくマジで主人公に対して恋愛感情とかなく、ただひたすら「生徒会長」として、そして「よき友人」として接してくれた彼女の人格、本当にすばらしかった。アイドルになりませんか?名刺だけでも受け取ってくださいって思う(アイマスのオタク)

陽佳ルートで見ることのできる、死ぬ直前に校門前で手を振ってくれる会長のスチルのことを私は「遺影」と呼んでいるんですが、本当に良い遺影でしたね……。彼女が唯一生存するルートが佐優理さんルートなのも私が佐優理さんルートを好きな理由の一つです。静香……一番好きな静香の死に様は神無ルートの椅子に縛り付けられているやつです。あのスチルは美術館に飾るべき。

●各ルート感想

1.佐優理さんルート

一番最初にやったルートで、一番爆笑したルート。大好き。というか、このルートだけシナリオのボリュームが異常なのマジで何?スチルの数もダントツ。シナリオライターがノリノリだったのか……?光の王子とかアルミホイルでできた鎧とか覚醒とか、佐優理さんはスピ系のヤバさと精神疾患的なヤバさが融合したかなり迫力のある狂い方をしていて好き。嫌な話、本当にこの手の狂い方をしている人間はインターネットなどでも散見されるので、そういうリアリティもありつつ、フィクションならではの斜め上なヤバさも編み込まれていてすごくいい。あと、このルートでも陽佳ルートでも結局ユウくんは佐優理さんにシモの世話をされることに落ち着いていたので、佐優理さんの性癖の根本に「介護」があるということがわかる。その辺、郷土研の3人以外に佐優理さんが心を許せる相手はおじい様しかいなかったというのも関係しているんですかね……(最悪な深読み)

このルートのTrueで全員生存できたのは、香也子の早めの退場によって仲たがいがそこまで進行しなかったが故に、佐優理さん除く2人の力があまり暴走せずにいられたからってことでいいのかな(このルートだと「表彰式」でいざえもんの中に入っていたのは佐優理さんなのが確定しているので、殺されたのも香代子ではなく香也子だと思われる)。

佐優理さんが中学の頃から特に不安定だったっていう話も、もちろん親からの冷遇やユウくんから離れたことが大きい要因なんだろうけど、宮主家の血筋だったから、より強く狗神の力の影響を受けてたってのもあったりするのかな。儀式の失敗も彼女の存在が大きかったみたいな話があったし、そういう設定でもいい気がしてきた。尾崎よろしく校舎の窓ガラス割り散らかして「銀の悪魔が……」とか言い始めるの本当に重症だと思うし。

実質「工藤晋作ルート」と言って過言でない佐優理さんルート、やべえ女に監禁されて必死の思いで助けを求めて、やっと来てくれた晋作がこともあろうに「光の王子の覚醒はまだのようだね」「俺は騎士の従者」みたいなこと言い出した時、あまりにも予想外の展開だったので本当にデカい声で「マジで!?!!?!?!?!?!?!」って言った。作中で一番笑った。真面目な顔でヤバめの妄言を垂れ流す成人男性、めちゃくちゃおもしろかったし、後々佐優理さんに合わせていただけとわかるものの、それ自体がもうしっかり狂っているので面白さは全く色褪せず、本当に最高でしたね……。晋作、推せる。作中で一番正しい意味で「ヤンデレ」してたのは晋作なんじゃねえかとすら思う。いくら死んだ妹に似てたからってあそこまで佐優理に入れ込むのすごくない?主人公が佐優理のこと受け入れない選択肢選んだ途端、主人公の頭掴んで床にたたきつけてぶっ殺してきたの本当にヤバすぎて爆笑してしまった。そんなことあるかよ。そういえば唯一どのルート選んでもTrueで死んじゃうのって晋作くらいか。不憫。天国で妹と仲良くね。

監禁中、急に「悪魔を追い出す」とか言い出して主人公に水分をくれなくなった(怖)くだりで、水を解禁後に佐優理さんが「あの悪魔、助けてって言ったんですよ…。助けてほしいなら早く優也さんの体から出ていけばいいのに…。」って言ったところもめちゃくちゃサイコで面白かった。怖。

あとやっぱり佐優理さんルートは何よりもTureエンドでの「刑務所を背景に出所してきて微笑む佐優理さん」のスチルがパンチ効きすぎててすごい。もしかしてヤンデレものギャルゲだとあるあるだったりするんですか……?!刑務所をバックに微笑む出所ヒロインのスチル……!主人公が投獄されるエンドとかは見たことあるけど、ヒロインは初めて見たのでめちゃくちゃ衝撃でした。真面目な話「正しく罪を償った人間が、社会復帰を祝福される」というエンド自体は、社会福祉の観点から本当に素晴らしいものなので、もっと増えてもいい。このルートだと狗神の力は時間とともに弱まったということになるんだろうか。おそらく一番平和なエンド。

2.神無部長ルート

佐優理さんルートをやった後だったから分量少なすぎてビビッた。部長推しの人、怒ってない……?あれか?生徒会への喫茶店お披露目の時にパンツ脱がしイベ(謎のお漏らし性癖ぶっ込みサービスシーン あれマジで何????)があったし、萌え萌えキュンメイド服スチルとかもあるから供給は十分!みたいな判断だったのか?部長ルートと言うよりはいざえもん追いかけっこルートって感じで部長の影が薄いルートだった。正直、私の記憶も曖昧。

確かTrue前の分岐で到達するBad(体育館でみんな死ぬやつ)が3人のバランスが崩れて全員死ぬルートだったので、おそらく香也子の思惑が一番達成されたルートだったんだろうな。きっとあのあと稲上市は発展したんでしょうね。めでたいね。

個人的に部長ルートTrueが一番好きじゃないTrue。いや、狗神の力で暴走してた且つ実行犯ではないとはいえ、めちゃめちゃ人も殺してユウヤのストーキングもしてた人が、まさかの「遠くへ引っ越す」だけでおしまい!??!?!って思ってしまったというか……いや、ストーカー行為から卒業できたのは偉いけど、落としどころそこなんだ?!おい、佐優理さんは豚箱入りしたんやぞ?!お前もそんぐらい覚悟見せてもええやろがい!とか思っちゃった。

このルートのユウヤは始終ピリピリしてる感じだったのも印象的。疑心暗鬼になって全員殺しあうルートだったからなのか、生徒会長にも冷たくて最悪でしたね。佐優理さんルートのユウヤは佐優理さんに沼みたいな目で見つめられながらもあんなに幸せそうに今川焼を食っていたというのに、部長ルートのお前ときたら……!静香に優しくできねえなら話しかけるんじゃねえ!!!!ってずっと思ってた。

佐優理さんが急に掌返して主人公を貶めるために「あいつら部室をヤり部屋にしてましたよ」って委員長に告げ口するの最悪すぎて面白かった。部費の横領とかちょろまかしはともかく「ヤり部屋にしてた」は無罪を立証しようもなければ、イメージも地に落とすマジで最悪の嘘告発なので……。急にやり口が女性誌連載のいじめ漫画みたいになるじゃん。いじめがテーマだったからなのか?

「紫藤さんの霊」とか「中庭の遺影と花」のくだり、あれは香也子がマジで深夜にせっせと遺影と花運んだりぜえぜえ言いながら着ぐるみで校内を徘徊したり、学生の間に噂流すために地道に口コミを広げたりとかしてたんだとしたら死ぬほどおもろいけど、おそらく違うんだろうな……。紫藤さんの自殺は10年前ということだったけど、時期的にユウヤ達が狗神に襲われた時、つまり「失敗した儀式」の影響で自殺したとかだったりするのかな。着ぐるみの中の人が発狂とかが偶然の符号だとしたらあまりに雑すぎる気がするし……。儀式の生贄の一部だったとかなのかな。その辺わかる描写もあったのかもしれないけど覚えてない……。部長ルートでいざえもんを動かしてたのは紫藤さんの霊とかでなく香也子だったと思う(でも死体は「香也子に似てるけど香代子だ」ってわざわざ書いてたしな……あれ結局どっちなんだ???)けど、あのエグい移動速度とか身体能力は、いっぱい生き血を吸ったいざえもんがパワードスーツ的な役割をしていたってことでいいのだろうか。それとももう自力で動いていた?謎。めっちゃ走ってフィジカルで人ぶっ殺してたのが香也子だったら本当におもしれ~女だな香也子……。

部長ルートは全体的に陽佳ルートのための伏線ばら撒き用ルートって感じだったし、私が追えてないだけかもしれないけど割と「怪奇現象」で片づけられてる特に理屈がない展開とかもあったりしてイマイチであった。ルールのない怪奇現象ってただの理不尽なチートだもんな。

3.陽佳ルート

解答編であり本当のTrueエンドのルート。いや~~~~ラストが本当に最高だった。主人公にとってはメリバですらない、本当に「ヤンデレ地獄」なラストを迎えてて、タイトル回収の仕方が美しすぎましたね。主人公は実は如月優也ではなく、如月優也として蘇らされた人でない何かで、その成立は間違いなく3人の願いが基盤で、初めからずっと主人公は本当に「3人のもの」だった……という展開、めちゃくちゃ良くないですか?良いのよ。白骨化したユウくんのスチル出てきたとき拍手しちゃったもの。嬉しくて。

ヒロインの3人だけが心の底から幸せで、それ以外だ~~~~~れも、主人公すらも一切幸せになれないエンド。これをTrueエンドとして提示されるということが本当に嬉しい。最高に最悪。すごい。

このルートだと狗神様の力および儀式のある程度のルールが示されるので、それも気持ちよかったですね。おかしくなっちゃった町内会長と晋作ちゃんは夕月の血が入ってる、とかはもう少し伏線があると嬉しかったけども……。あと個人的にはずっと香也子のこと「子供にセクハラする本当にヤバくて最悪の人間」だと思っていたので、やっと黒幕らしく散ってくれたのもうれしかった。表彰式前に死んじゃっておしまいだった今までのルートだと「いや、全部の元凶あいつなのに!?!?!?」ってずっと思ってたから……。欲を持たぬよう育てられる夕月の血筋にしては、出世したいだの休暇はダラダラしてるだのという性格が共通ルートで示されていたので、絶対何かある。というかあれ。って思ってたんだよ~~!やったね~~~!!ってなった。そういえば香也子が屋上で儀式のために唱えてた祝詞みたいなのって、ある程度意味があって解読できたりするのかな。気になる。

このルート読むまでは、プレイしながらなんとなく狗神の力が宿る憑坐(よりまし)がルートごとに変わってるとかなのかな~と思っていたんだけど、まさかの三分割されてて3人が同じことを願うと叶うっていう設定だったの、なんか字面だけ見るとプリキュアみたいだな……と思ってウケた。3人の心を一つに!エイッ!で主人公が半身不随になるのヤバすぎるだろ。ダークプリキュアでもやりませんよそんなこと。

全体見ても肉親を殺したのが陽佳さんだけってのもエグいよな。親父に虐待されて男性恐怖症になった娘に撲殺される母親、しんどすぎる。現実でよくある話なのもまたつらい。


総括して、このゲームのシナリオは「ハーレム状態」という、現実だと起こりえない、記号的で誇張された異常な人間関係をそのまま使うのではなく、シナリオの中の「必然」として設定に組み込んでいるのが、個人的にすごく良かった。好意を示してくる複数人の恋愛対象に対して、特定の個人を選ばずにのらりくらりと躱すこと、それは相手が「一対一の特別な関係」を望んでいる限り、不義理だし誠実でない行為だけど、それが実は呪いであり、全員の生存のための軸になっている……というつくり。うまい(…と、ここまで書いて今連載中のめちゃくちゃ面白いマンガ「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」も、1対複数の恋愛をそういう理屈で「誠実な恋愛」として描いてるな、と思い出した。ハーレムもので主人公に誠実さを求めるにはやっぱ命懸けであることが求められるのかもしんないね)。

「ハーレムもの」に対してかなりメタ的な視点もあって、生徒会長(静香さん♡)が確か共通ルートのどこかで「あなたたちの関係性は傍から見てると異常よ」みたいなことを言ってたりとか、定期的にそういう「あ、これフィクションだから見逃してたけど、この世界の中でもやっぱおかしかったんだ!?!?」ってなるところが結構あったのもよかった。生徒会長がドン引きしてるシーンで私も毎回「やっぱ静香さんも引きますよね!?!?そうなんすよ!こいつらおかしいんすよ!!!」って言ってた。野犬(もとい狗神)を小学生が倒せるわけねえだろ……と思ってたら案の定実は全然やられて死んでた、とかもそう。

正直全体を通して「ここの日本語間違っているのでは」とか「立ち絵それは変えないんだ!?」とか「モブの声優どうにかならんかったんか…?」とか、もうちょい頑張ってほしかったな~~と思う部分もある作品だけど、そこも含めていっそ味だわと思って愛せるくらいには、いい狂いっぷりのあるギャルゲだったなと思います。

あと、私個人としては前半のイチャイチャのくだりをごっそり削って、後半パートで「神に名前を与えることがどういう意味を持つのか」のオカルト的解説だとか、かつての稲上集落に伊左衛門がやってきたときのエピソードだとか、儀式の詳細とか、宮主の家と夕月の家の確執がどんな感じなのかを見せるエピソードとか……そういうホラー要素部分をもっと細かくたっぷりやってほしかったなと思ってしまうではある。

ただ、この作品の他のレビュー見ると「もっとイチャイチャしたかった!」みたいな声も散見されるので、間をとった結果の配分なのかもしれないね……いやでもせっかく面白いんだし、対象もっとオカルトに振ってももよかったんじゃないっすか日本一ソフトウェアさん……いや、ひとそれぞれか……。

私は基本ネタバレとかガンガン見ながら作品を楽しむことが多い人間なのだけど、今回は展開がいつも予想の斜め上なのが嬉しくて、ネタバレを見てしまわないようにすごく我慢しながら最後までプレイした。実際我慢してよかった……。久しぶりにノベルゲーやったけど、やっぱり楽しいな。でもしばらくギャルゲはいいかな……なぜなら、多分私の体には「ふみゅ!」とか「●●くんは私のもの…異論は認めない…」「●●さんになら…見られても…♡」とかのセリフを素で言うヒロインを見るときにしか使われない筋肉があって、それが今激しく筋肉痛を起こしているからです。めちゃくちゃ疲れた。

そういうギャルゲ筋に自信がある人で、且つオカルトが好きな人に本当にオススメのソフトです。ぜひぜひ。



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