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微地形をシンプリファイする方法

こんにちは。

本記事は2018年度裏アドベントカレンダーの移植版です。

当時コーチをしていたため、2018年度京大京女大会のM21Aのコースを題材に、微地形でシンプルなプランを立てられるようになってもらう目的で記事を作成しました。

Pattern1

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M21A の 1→2 です。プランナー想定では沢沿いの道たどりもありとのことですが、僕は尾根を辿ったのでその際考えたことを記述していきます。
この尾根辿りで難しいのは以下の2点でしょう。 

スライド1

1. 比較的長い尾根辿りで、どこまで進んだか分からず、ショートしやすい。
2. 最後が緩く下る分岐なので乗り換えミスが起こる。


では、何を見ればシンプルかつ正確に行けるでしょうか?

スライド2

このようなプランで尾根線を北進していけば、広くて緩い傾斜の沢にたどり着くことが読み取れます。この沢の斜面に当たるまでは、尾根を下りないように大雑把に北進すればいいわけです。さらに、この沢を巻くように尾根線がつながっているため、同時にアタック時乗り換えるべき尾根の方向もわかります。ストッパーとアタックポイントを両立した良地形と言えるでしょう。傾斜の大きな変わり目(傾斜変換)を見つけることができれば、微地形でのナビも格段に楽になります。ちなみに、沢沿いの道から進む場合もこの広い沢の傾斜変換は使えますね。実行中は岩がたくさんあるピークなどを地図に落とし込んで確定させるなどの補助もするとよいでしょう。

Pattern2

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続いて6→7 です。7 は尾根上にあるし、南に尾根線が続いているので、 尾根辿りしていけば着くのでは?と考える人もいるかもしれません。 しかし、尾根は下るにつれて分岐するため、下りの尾根辿りは概して難易度が高いです。加えてコントロール周辺は B 藪により見通しが効きづらく、非常にアタック難易度が高いことが想定されます。 

スライド3

そこで、このようにプランするとシンプルに考えられます。

スライド4

 おおよそ南東方向に進めば奥の沢線の斜面につきます。道が生えているので、そこに乗る、乗れなくても沢の斜面沿いに進めば、A と B の植生界に着きます。今回は岩崖にテープもあったので、さらに確信が持てました。そこを起点に、さらに奥のグルっと尾根で囲われた地形をショートしないように切り、植生界奥の鞍部を目指します。そこまで行ければコントロールは沢の対岸の鞍部にあります。最後鞍部に乗るまでは少し難しいですが、沢の下のため池っぽい湿地はわかりやすそうなので使えそうです。尾根辿りは情報量が多いので、特に脱出から岩崖まではシンプルに行けるこちらのプランと大きくスピードに差がつきそうです。

Pattern3 

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最後の勝負レッグだった 10→11 です。
ごちゃごちゃした地形を切りつつ、どこで正確に確定点が取れるかが勝負になりそうです。

スライド5

では、アタックポイントは手前の鞍部と設定した場合、この鞍部に正確にシンプルにたどりつくにはどんなプランを立てればいいでしょう?

スライド6

鞍部は尾根線上でへこんでいる点なので、特に横からなら遠目でも分かりやすいです。赤丸の 2 つが分かりやすそう。目の前の尾根やら沢やらを下りますが、次の確定点は、水系の分岐を形成する尾根の先端です。こうした沢線の収束により形成される尾根の先端は一点に定まるため、優秀な確定点です。遠目でも尾根が終わるところはわかりやすい。そこから岩々しい尾根を 1つ巻けばアタックポイントの鞍部にたどり着きます。最後は沢を下るだけ。(僕は最後の鞍部に乗り違えてミスりました…) 

このような微地形でもシンプルに考えるには、
・大きな地形の傾斜変換
・遠目から見つかる大きな地形の分岐

などを使うことにより、細かな地形を考慮せず、そこまでガッとスピードを上げられます。また、シンプリファイは単に情報を削るだけと誤解されることもありますが、レッグをクリアするために必要十分な情報を抜き取り、余分な情報を削るということです。つまりは、レッグの本質を理解するということになります。なんかいい感じにまとまりましたね。

他にも、藪の微地形では、目的の地形を先に見つけるルックアップ力や、 足場に負けない方向維持力も必要ですが、ひとまずレッグをシンプリファイできれば1 歩リードできることは間違いないでしょう。

それでは

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