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LJL 選手引退に見る「不健全な」”eスポーツ選手生命”事情(FF14とウマ娘の話もあるよ!)

LJL開幕を前にショッキングなニュースが飛び込んできた。LJL界の大ベテラン、apaMENの電撃引退である。今までも何度か「まだやれる」と見えるLJL選手の引退は見てきたが、今回はさすがにあまりにも「競争なき世代交代」であり「不健全」すぎるのではないか、と思って筆を執った次第です。

勿論個人的にファンである、というのは大前提としてあるから今から書くのは選手贔屓の意見で贔屓の引き倒し感も多少はあるが、それでも今回ばかりは不条理さ、やるせなさだったり、もっと踏み込めば日本LOLの現状、日本LOLプロシーン特有の「日本人枠の少なさ」「人気実力ともにDFM1強、かつ降格のない現状の弊害」からくる不健全さなどにもつながってくるのではないかという話で例によって敬称略で始めていきたい。

1.前段として、これは望んでの引退ではないという見立て

プロスポーツ選手の引退には2種類ある。自分で選んでの引退とそうではない引退。かの世界記録保持者、王貞治は引退した40歳のシーズンを打率.236、30本塁打、84打点という、ホームランバッターとしては十分な数値を残しながら「王貞治としてのバッティングができなくなった」という言葉を残して自ら引退を宣言した。江川卓は引退年13勝5敗と十分な成績ながら引退の意志を曲げなかった。このように余力を残して惜しまれつつ引退する、というのはプロスポーツでは基本超一流の一握りのみ。多くの選手は自由契約となり、所属先が見つからないといった形で引退している。

apaMENは昨年段階でFA宣言をし、新所属先を探していた、にもかかわらず見つからずに引退になった、少なくとも外部からはそう見えている。状況だけを見ればいわゆる普通のプロスポーツの引退と変わらない気もするが、「肉体的影響が少ないと思われる」eスポーツで、直近でリーグ上位のスタッツを出しながら所属先が見つからない、という前例は、全LJLプロが危惧すべきことではないだろうか。

昨年のapaMENの成績は「上位」といって問題ないだろう。なのにチームが雇ってくれない。この事態、言ってしまえば「LOLをいくら頑張っても、LJLで高い個人スタッツを残してもLJLに出られない」という歪んだ事態が存在する、ということになる。野球がうまくて実際に成績残してるのにチームが雇ってくれない、なんてのはおかしいし前代未聞でしょう、それが普通にLJLでは起こっている、ということになるのだ。

実はこの問題は以前から存在していた。元USGのジャングラーisurugiはソロキューで1位を獲得するほど日本サーバーで活躍し、スカウティング(野球やサッカーで言う「トライアウト」のような、プロ志望トップアマチュア同士の公開試合)に出場し、そこでも活躍したが、結局どのチームも獲得しなかった。どんなにザコいチームでもだ。ジャングラーというポジションが独特であり、海外プロに頼る構成を各チーム考えていた、年齢が高めであった、等々あったかもしれないが「スカウティングとは」「日本サーバーのソロキューの意味とは」と考えさせられる結果だったと言える。言ってしまえば日本LJLのプロチーム編成たちが「日本サーバー1位に価値なし」と明言してしまった、と見てもいいだろう。「LJLと日本サーバーの隔絶」はKRサーバーで練習がはじまったころから囁かれていたが、決定打はこのタイミングだったのではないだろうか。他にもプロ契約を切られた後、日本よりレベルが高いと思われる台湾サーバーで結果を出していたHarettiも結局再契約に至っていない。ただ、今回のapaMENの件はそれを上回る。

つい昨シーズンのapaMENのスタッツはLJLのプレイヤー間においても悪いところを探すのが難しいほどに高水準だった。それは単純に優秀というだけではなく「相対的」にでもある。つまり数字だけを見て名前を隠して「強い順に並べてください」とクイズを出せば大抵の人間が低く見積もっても上から3番目くらいにはくるであろうapaMENが出られない、という状況。これはあまりにも「歪んで」いないだろうか。

野球で言えば3割バッターのサードがapaMEN、スタッツもリーグ上位。それが契約に至らず他のチームは2割3分のサードが出ている、みたいな話。昨年2軍で1軍成績なしの奴も出るのに。もちろん打率が全てではないのだが、2割3分の選手を使って毎年最下位のチームがあれば当然「あの3割の選手取れや!」「なんで取らんのや無能フロント」「育成がしたいなら二軍でやれ」という声がファンからぶつけられる。それがある意味健全な姿ではないだろうか。もちろん数字に出てこないメリットデメリットがあるのも確かだ。ただ、それなら「数字に出てこないメリット」についてほんまに各チーム説明できるのだろうか、という。スタッツについてはこの下の項目で説明する。

特定のチームや選手に特別な感情を持っているわけではないが、例えば野球やサッカーなどの一般的なプロスポーツで「昨シーズン1勝13敗でした」から次のシーズン「監督は続投です、レギュラーも40%残留です」なんてなったら当然「癒着」「自浄作用0」「ヤラセ」「腐敗」「無気力」「やる気なしチーム」「勝つ気あるのか」「全員変われ」などの声が上がるだろう。あくまで一般論としてだが、勝率7パーセントでこれを言わない阪神ファンはいないだろう。勝率3割くらいでも解任騒動になる程度には勝敗への責任の所在が明らかなのがプロスポーツなのではないだろうか。私間違ったこと言ってますか?

今回の件、特にLJL下位チーム、いくつかのチームはむしろ勝つためにレーン勝率7割のレーナーがいたらむしろ「三顧の礼」で迎えるべきなのではないだろうか、それをしない、これでは本当に強いチームを作ろうとする気があるのか?と疑わしいところがLJLにはいくつか存在すると言われても仕方なくないだろうか。プロ野球やJリーグなら「説明責任」がメディアから追及されるくらいの割とデカめの問題だと思うが、LJLにはメディアも存在しなければ、番組もRIOTの息が掛かってる、となれば「このチーム編成、運営やる気あるのか?」という話は今季たくさん番組やりまーすと現在告知してる番組内では一切出てこないだろう。

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「LJLのなかに ぴよってるチームいるぅ???」
「いねピヨなぁ!!!!」

待て、この孤独なSilhouetteは…?エ、LJLバードくん(いま勝手につけた名前)じゃないか!?apaさんの引退を聞きつけ…復活したというのか…!?

みんなLJLバードくん(仮)の姿を見て思い出してほしい。賞金もせいぜい10万円しか貰えないからこそ、苦しいながらもスタッフも選手もファンも「熱意だけ」で駆けずり回ったLJL2014の頃をよぉ。あれから僕たちは何かを信じてこれたかなぁ…。あの頃の未来に僕らは立っているのかなぁ…。



という茶番はともかく、勿論待遇面の折り合いがつかなかったという話もあるかもしれない、ただ思い出してほしい、「降格を無くして安定したチーム運用、待遇をよくすること」がフランチャイズ制のご名目だったのではないだろうか?そのために厳しい資本金だのなんだかんだという話があったはずだ。それを踏まえれば自分一人雇うのに経営傾くほど無茶苦茶な額をapaMENが要求していた、というのも考えづらい。もちろん自分は外部の人間で契約面は一切知らないが。

この前例の恐ろしいところは「選手よりもチームが力を持ったFA市場になる」ということだ。DFMというオーナーがやる気があって勝つ気があって待遇のいい「上がり」に到達できればよいのだが、DFMのレギュラーはたった5席しかない。KRで2枠に加えてStealまでいるので日本人枠はたった2だ。それ以外、DFMのお眼鏡にかなった本当の最上位2名以外の日本人は寡占状態の7チームでの席獲り合戦ということになる。それもapaMEN級の活躍でもダメ、昨年頑張ったリーグの成績関係なし、となればLJLはこんだけ頑張りました!的「昇給の要望」なんてとても出来ないブラック企業な未来になるかもしれない。これに選手が対策するには「英語を勉強して海外移籍を視野に入れる」くらいしかないかもしれない。

FA宣言とともに「第一志望です!昔から好きでした!最低時給でもいいから雇って下さい!」と言って最速でチームの靴舐めた奴がもっとLOLがうまい奴を押しのけてLJL席取り合戦の勝者としてレギュラーになる、という見る側もやる側もしょうもない未来、その一歩目が今ここ、LJLで昨夏結果を残したapaMENへのLJL各チームの対応であり仕打ちではないだろうか。頼むからLJLプロチームの運営に携わっている人はせめてプライドと熱意とLJLの個人成績へのリスペクト程度は持っていてほしいところだ。

こういった不当さを感じたとき、野球やサッカーなら「選手会」が立ち上がり、弁護士や有識者の意見を集め、こういった状況を世に訴えたりして是正を促したりしているが、社会経験も薄いLJLの若いプレイヤーたちにそれを求めるのは酷だろう。だからこそええ大人のはずのプロチームのスタッフが、それがだめなら一流企業RIOTのエリート人材が若い選手を守ってやらなければいけないと思うのだが、そういった腰を上げるムーブはLJLに関わる大人たちののどこからも、誰からもいまのところ表に出てきていない。

野球の例がこちらの記事になる。要は今年12球団のうちロッテが、内々に選手に対し「一律で昨年の年俸から25%オフしたうえで査定をする」と一方的に通告してきた、という事件があり、それに対し「今回問題となっている契約交渉の方法は、保留制度下において契約を拒否し他球団でプレーすることのできない選手の弱い立場につけこみ、虚偽の説明を用いて球団の提示した年棒を受け入れさせようとする極めて不誠実なものであり、選手と球団の信頼関係を大きく損なうものと捉えています」とお堅い言葉で抗議している。この文言、野球選手が考えたわけではなく、弁護士等の有識者が考えたのだろうが、こういった相談、助け合いが出来るのが選手会の存在意義になる。

この一連の事態に対し、オトナのapaMEN本人は心の整理がついたようなツイートをしているが、視聴者としては実際問題「日本最上位レベルの戦いが見たいのに、そのトップ級をプロチームが契約してくれない」という状況となっている。俺はそんなapaさんみたいに出来た人間じゃないガキなんだ。見たいもんは見たいんだ。「育成」なら下でやれ。なんのためのアカデミーリーグや。勝つ気がないならファンのために勝つ気のある所に身売りなり撤退なりしてくれって話で、LJLに参入したいところいくつかあったでしょって。頼むよ、俺はLOL見るのが好きなんだよ。ちゃんと日本最高峰の戦いを見せてくれよ。俺はLOLがうまい奴の戦いが見たいだけなのよ。世代交代はビシッとLJLの板の上で勝負つけてからにしてほしいのよ。それを望むのはぜいたくなのかい?間違っているのかい?

せめて「入れ替え戦」があったらこんな事態にならなかっただろう。舐めた編成したチームがレーン7割勝つapaMENエイトロが振るう鉄槌(Q)3連発にノックアップされて実力勝負で蹂躙されて2部に落ちるだけなんだから。

入れ替え戦を無くしたフランチャイズ制も、今回の件をもってLJLでは逆効果、競争力の低下を招いて失敗だったと言っていいだろう。残念ながら。

2.apaMENの実績と、最終シーズンのスタッツ

知らない人のために書いておくと、彼は最古参のLJLプレイヤーで、最古のLJLである、LJL2014Winterの優勝メンバー(Rascal Jester)でもある。

その後新チームUSGに2016に移ると即リーグ2位。LJLではDFM、RPGとともに「3強」を形成し、春好調、夏不調という謎のUSGムーヴを起こしながらもUSGで5度のプレーオフ進出、2度のプレーオフ準優勝を果たす。その後USGのLJL撤退に伴いSGに移籍すると、そこで20春はリーグ2位プレーオフ2位、夏はリーグ2位プレーオフ3位の成績を収め、彼のいるチームは大抵LJL上位にいる、という状態だったわけで。それが崩れたのが21ソフトバンク。強力な面子を集めた前評判と裏腹に春は6位、夏は5位と低迷し、プレーオフでは即敗退、そして今回の無契約、と至った形となる。

確かに昨年チームとして落ち込んでいたのは確かだが、個人成績、スタッツを見てみないことには、という話になってくる。

これが最後のリーグ戦、21夏の成績になってくる。まず特筆すべきは彼の特徴、「レーンの強さ」だろう。それが分かる指標が15分段階の対面CS勝率になってくる。Ahead in CS at15minというのがそれにあたるが、言ってしまえば14試合のうち71.4%の確率で対面にCS勝利していることになる。彼がTOPレーナーであるということを考えれば、その価値の高さは理解できるだろう。このスコアはLJLのTOPレーナーの中でEviの66.7%を上回っての1位となっている。客観的なデータを用いて見ると、21夏シーズン、TOPの15分段階で1番CS勝ちを収めていたプレイヤーがapaMENということになってくる。

そしてこの傾向は21夏だけのフロックではない、というのを彼の過去の成績が証明している。21年、チームが不調だった春やプレーオフの数字を合わせても計36試合で勝率57.1%と十分な勝ち越しを記録している。ちなみにデータに残っているS8以降の年間で見ていくと、S8は47.6%と微負けながら、S9は77.8%、S10は70.5%と、EviやPaz、Napという実力者のうえにkinatsuまで出てきた陸の孤島、TOPのレーン戦で「基本的にレーン勝ちを期待できるTOP」という特徴が見えてくる。TPの変更で15分までロームが難しくなった今期のLOLプロシーン、例年以上に「レーンの強いTOP」は欲しいのでは?

レーンの強さを表すデータとしてもう一つ、「First Blood Victim」というデータがある。直訳すればファーストブラッドの被害者。要はどれだけファーストブラッドを敵に献上したか、という数値になる。ちなみにこの数値、TOPレーナーが高くなる傾向にあり、21夏、敵へのファーストブラッド献上率1位はRayFarkyの35.7%、2位がPazの28.6%、3位がNapの21.4%になっており、逆に3試合以上出場選手の中で、この数値が0なのは全体でたったの9人、そしてTOPでは2人だけ。EviとapaMENだけがこの夏TOPでファーストブラッドの餌食になっていない、序盤のガンクをいなし、序盤にソロキルもされない、ということになる。プロシーンで特に「序盤が安定している」ことは評価できるポイントではないだろうか。

また、プロシーン目線で評価できるポイントとして「チャンピオンプール」特に「ナー」が挙げられる。プロシーンのTOPではメタに度々上がってくる重要なチャンプであることは当然皆知っての通り。そして「ゲージの制御」は並のプロでも苦心するし、ナーからメガナーの操作感の違いも大きく、使いこなせるかどうかはチーム戦略に大きく関わってくるチャンプでもある。apaMENは昔より得意チャンプとなっており、現に最終シーズンではKDA6.4を記録。かなり信頼できるナーといってもいいでしょう。Gamesofregendsに残っているデータでは、彼の174戦のうち最も使っているチャンプがナーで、35試合勝率54.3%となっている。

ナーに限らず長いプロ生活で培った広いチャンピオンプールも特徴になってくる。彼がプレイしたチャンプはGamesofregendsの記録に残っている分で32チャンプ。https://lol.fandom.com/に残っているMID時代等も合わせると、301試合で55チャンプをプロで使用している。ゼリが158体目のチャンプと考えると、全体の約4割のチャンプをプロで使用し、通産勝率はほぼ5割の47.8%を記録している。

その他、この夏の主要なスタッツがTOPでどのくらいの位置だったかを見てみよう。KDA3.4はTOPで5位。キルは6位でデスの少なさは2位、アシストは5位になっている。チームがTOP偏重かどうかで変わってくるが、KPはTOPで最下位になっている。DPMはTOP6位、少し攻撃面は心もとないのか、と思いきやソロキル3回はTOPではEviの4回に次いで2位、全体でもソロキル3回は7位に食い込んでくる。KPやアシストは「チーム次第」の部分もあるが、ことソロの部分については良い数値が並んでいるのではないだろうか。

これだけスタッツを見ていって皆もそう思ったと思うが、これが「来期チームのないプレイヤー」の数値というのはおかしいのではないだろうか。

TOPで孤軍奮闘CS争い頑張って、Eviと1回違い程度にはソロキルして、死なないように立ちまわって、この成績でダメならEvi以外全員ダメなのでは?と言われてきちんと反論できるチームのコーチの方、いるんでしょうか?現に事実として各チーム「apaMEN以外」を選んでいるのだから当然答えられてしかるべきなのですが、正直疑わしいと思います。

ちなみにこういった「謎チーム編成」、問題があればプロチームがメディアから突かれるというのは当然のように行われています。自分の性格が悪いわけではなく、プロシーンの観戦という意味では当たり前の目線です。昨今のサッカー日本代表、森保ジャパンの「思考ロック」的な固定メンバー制、特に一時期所属チームすらなかった長友代表レギュラー固定についてはマスコミ、スポーツ紙、Twitter等々で当然のように話題になっています。

また、1990年代末ごろ、西武ライオンズを率いていた東尾監督ですが、采配への疑問は幾つも上がっていました。特に「通算打率.236 OPS.646」の監督と地元が同じ原井選手を重用し、かつそれがあまりに裏目に出まくり、しまいには東尾監督の公式ホームページの「よくある質問」に「なぜ原井選手を優先して起用するのですか、高校の後輩だからってえこひいきはやめてください」というのが掲載されるに至ったりもしたという話もあったりする。どうせ打てねえし守れねえ原井をさっさと下げろ、という意味で「原井sage~(払い下げ)」なんて言われてたりもしました。オールド西武ファンと仲良くする際にはご活用ください。

3.Eスポーツと年齢問題/LOLと年齢問題/LOL特有の若いコーチ

ここまでapaMENの良いところばかり挙げてきたが、ネックとなる部分も説明しないとフェアでないだろう。おそらく一番ネックとなると思われるのが彼の現在30歳という年齢だ。

実際数年前には「LOL20代前半ピーク説」というものがまことしやかに囁かれていた。Fakerのように若くして才覚を表す世代と、ともに優勝しながらS4をもってすぐに引退しコーチになったPoohManDuのような少し上の世代。これが噛み合った結果LCKを中心に若年化が一気に進んだだめ、早くて20代前半、遅くても25歳あたりで引退、そしてゆくゆくはコーチになる、という流れが出来上がりつつあった。

ただこの「eスポーツの選手寿命」の話にはある事情、eスポーツ先進国韓国特有の「徴兵」制度も絡んでいる。詳しい制度は各自調べていただきたいが、基本的に20代のうちに2年間の従軍制度があり、これはタレントでもアイドルでもプロスポーツ選手でも、というかなり厳格な制度になっている。近年ブレイクしているK-POP回りから「カネは稼いでるし勿体ないから免除を」みたいな話も出ているらしいがうまくいかないという話を聞くことがある。それゆえ数少ない免除の機会、スポーツで言えばオリンピックなどではそれこそ血眼で取りに来て、それが韓国特有の勝負強さを生んだりしている、なんて話もあったりなかったりだが、要はスポーツ選手や、ゲーマーとしても旬の2年間、それから離れないといけない、ということになる。

徴兵については元DTNのKHyoutubeが詳しい。鉄板の徴兵トークがたくさんある。その他韓国のネットゲーム事情等にも驚かされるだろう。

正直なところ自分が見ていて思うのは、確かにesports選手の平均年齢は低いが「限界」ではないのではないだろうかという話で。要はその「第一世代」は次のパイを取りに行く、先行者利益を得るために引退したに過ぎない感もある、だから「限界」説はおかしいのだろう、という話だ。

先行者利益とは何か、という話で彼を紹介したい。中西哲生、おそらくサッカー解説者の中で10本の指に入る程度の知名度がある。あの「喝だー!」的な日曜朝の番組のサッカー関連を長年担当している。最近見てないけど。他に有名なサッカー解説者と言えば前園は元代表、松木安太郎は元ベルディ監督、あとは日本代表として知名度のある選手が殆ど。中西以外のだいたいのサッカー解説者は現役時代に有名だった時代があるが、さて彼の現役時代を知っている人はどれくらいいるのか、という話になる。

自分はグランパスファンなので知っているが、言ってみれば弱小だった時代のグランパスでMFの準レギュラー、くらいの扱いだったのが実際の彼になる。米倉や浅野、といってもグラファン以外イメージもしづらいだろうが、中盤後ろ目のポジションをそこらへんと争って、たまにジョルジーニョや平野の代わりに中盤前目でも試合に出てたりと「中盤の便利屋」的ポジションだった気がする。その後J2時代の川崎Fに移籍し、J1に昇格させ30代前半で若くてして引退。そんな弱小不人気チームの半レギュラー、日本代表0回の彼がなぜ、野球は3000安打(日本1位)のガチレジェンド張本の横にいたのか、これが先行者利益になる。

彼は早くして引退し、その後まだJが始まって幾年、「元Jリーガー」が少ないするメディアで「元Jリーガー」の解説として名を上げてきた。晩年J2の昇格争いにキャプテンとして挑む、というなかなか得難い経験も味方したのかもしれない。もうJリーグが出来て30年、いまや「元代表レギュラー」級でも地上波で解説のポジションを得ることは難しくなっているが、当時はいわば相対的に言えばブルーオーシャン。もちろんチャンスをつかんだうえで解説がうまかったとかの要因はあるが「これからサッカーが、Jがさらに発展するであろう」という点を見越して早めにポジションをキープした、というのもひとつある。

これはプロゲーミング界隈にも言える。特にチームゲームでだ。LOLではコーチというものがついていたが、LOL創世期、Fakerが初の世界制覇をした頃のコーチと言えばLOL以外のゲーム出身者ばかりだった。今もその傾向はある。 当時から現在も世界一と評されるKkOmaコーチもStarCraft出身になる。要は「プロとは」「チームゲームとは」という目線では長けていても、別に「LOLの専門家」でもなく、LOLの実プレイに関してはそこまで、という人が多かった。そしてLOLのリーグ人気は右肩上がりに盛り上がっていっていた、となれば中堅-上位程度の成績で徴兵ギリまでプロを続けるより、早くしてLOLの専門家という顔でコーチに回ることで経験を積み「席」を取ってしまうというのもこれはある意味賢い選択といえる。実際にそこまでしたたかに考えてかは定かではないが、「次」の安泰なポジションが手に届きそう、それも「席に限りがある状況」という状況は引退の早期化に相当寄与したと思われる。LJLでも「まだやれそう」な選手が多く引退している、勿体ないことに。

そもそも「引退」という概念が一種特殊な部分もある。「次」があるから皆引退するわけだ。格闘ゲームなどではプロチームこそあれ結局は個人戦、チームがあり、マネンジメントこそされていても「コーチ」や「監督」を置くところはごくごく稀、話題になることはあるがほぼ「コーチ」という職は存在しないに等しい。そのため、個人事業主である彼らは基本的に「引退」という概念がない。多くの大会はプロアマ混合であり、アマでエントリーして大会で名を上げてプロ契約を勝ち取ったり、プロ契約が解除されても大会出場に制限が掛かるわけでもなく、勝てばまた契約は手繰り寄せることが出来る。その結果何が起こっているか、実力者たちが現役を続けた結果、「年齢あんまり関係なくね?」という話になってきている。

ご存じ格ゲー界のレジェンド「ウメハラ」、彼は40を超えても第一線で活躍している。それこそライバル不在だった20代のような爆発的な戦績は残せていないが、年単位で調子が悪く「ウメハラは終わった」と囁かれては「ウメハラ大復活」と大暴れするシーズンが到来する、という周期でここ数年やってきている。現在のトップ層はほぼそんな感じだ。競争が激しくなった現在「一強」というほど覇権を握れる選手が減り、大会ごとに下剋上が起こる群雄割拠時代になっている。成績が比較的安定している東大卒プロゲーマー「ときど」ですら、決勝まで残れないトーナメントは珍しくもない。そのときども年齢は36。彼にしても若手の頃の「勝利への最短距離をひた走る」スタイルより、現在の方が総合力としては俄然上だろう。

パッチや調整等で浮き沈みは単年-数年レベルであるが、潮目が変われば巻き返してくる、それを「若手中堅おじ」でずっとぐるぐるやっているのが現在の格闘ゲーム、ストリートファイター界隈になる。それが分かっているからチームも簡単に首を切らないし、プロゲーマー達も浮き沈みを感じながらプレイしている。プロはプロでもいまのパッチや調整では合わないと「見」に徹している選手もいる。毎日半分ストリーマーのような感じでほかのゲーム配信ばかりやっていても、気に入った格闘ゲームが出れば、新キャラが出ればシーンに戻ってくる、そういうムーブが許されている感もある。もちろん実績のある実力者に限る、という話ではあるし、「プロの最前線」まで戻ってこれるかはその個人次第ではあるのだが。

要はコーチという「引退後」がないからこそ、そしてプロに人数制限がないからこそ格ゲー界隈は「生涯現役」でプレイできており、その結果”年齢よりも実力が全て”であり”世代交代は実力で起こすもの”という、ある意味「勝負」においては健全さが維持できていることになる。

LOL界隈も、とうとうかつて言われていた「25歳」に到達し、5月には26歳になるのがLOLを代表するプロゲーマーFaker。かつての「限界論」ではもう限界も限界、越えちゃってという話になるはずだが、25歳を半分消化した昨年はWorldsベスト4、26歳へのカウントダウンが始まっている今年のLCKではチームも絶好調で執筆時チームは1位、MVPの回数も全体6位の3回、MIDとしてはChovy、Zekaと並んで同率1位になっている。数年前、T1が不調の時代は「Faker終わった説」が囁かれていたりもしたが、今現在そんなことを言っていたら「じゃあ終わってない人世界にあと何人残ってるの?」と言われてしまう程度には第一線で活躍を続けている。

Fakerだけが特殊、というわけでもない。中国の1位LNGのMIDは25歳になったDoinbであり、世界一のTOPレーナー候補とも言われ、今オフ惜しまれつつ兵役へ向かったKhanも昨年のWorlds準優勝の段階で25歳と10カ月だった。兵役がなければ当然今年も世界最強TOPの一角だったのは確かだろう。NAを見渡せばもう25以上の選手は結構いるし、有名選手でS9を最後に引退していたBjergsen26歳もS11の今期復帰し、まだリーグ2試合だが既に復帰初勝利を挙げている。

というようにベテランでも「実力の衰え」が数年前に危惧されたほど25歳になっても来ていない、というのが実際のところだ。もちろん同じ実力の若者が出てきたら手癖がバレてない分有利だったりする部分もあるだろうが、以前に比べて見る側も「年齢を言い訳」にしなくなってきているのは確かだ。

ただ一方、ベテランはベテランなりにやりづらい部分があると思われる。それが先ほどの「早期引退したコーチ」との関係になる。やはり指揮する側とされる側、フィクションではよくある「若手監督の躍進」だが、実社会においては往々にしてうまくいかない例の方が多い。

先ほども名前を出した松木安太郎も、Jリーグ初代のベルディ川崎の監督として名を馳せた。ただ、彼は35歳と若くしての監督業であり、ラモスとは同世代、レギュラーのなかには年上の先輩もいるなかでの監督業は決して順風満帆だったとはいえず、当時の日本代表を揃えに揃えた「超スター軍団」、座ってるだけで勝てると言われるほどの戦力を揃えたベルディでJリーグ最初のシーズン、1stステージの優勝を逃し、常に内紛が囁かれていた。一応年間王者にはなったものの、当時の選手のレベルを考えればといった感があった。

J1、J2、海外と待遇を選ばなければプレイする場所はたくさんあるサッカーに比べ、LOLのプロゲーマー、それも海外移籍例のないLJLとなるとさらに枠が狭くなる、実質的に助っ人枠除いた3×8+-いくらか、という数字なわけで、もしコーチが「勝つ」よりも「やりやすい」選手を選んでしまうと、ベテランの肩身は狭くなってしまうし、実際現在LJLに、apaMENに起きているのも「それ」なのでは、と見えてしまっている。

ではそんなふうにコーチが「勝ち」を意識しない可能性というのはあるのだろうか、自分は「ある」と思っている。

4.「勝ち」の価値が薄いLJL 優勝してもフォロワー増はたった1150?リーグ1勝/勝率7%でもお咎めなし

Social Bladeというサイトがある、TwitterやYoutubeのフォロワー数の増減等がみられるサイトだ。そこでLJLで「DFM以外」が奇跡的に優勝した価値を「フォロワー」という数字で見てみよう。そう2020夏に優勝し、世界大会にまで出た@V3EsportsJP のアカウントをだ。

皆さんも入力すれば見ることが出来るので疑わしいと思っているほど生データを見ていただきたい。LJL2020夏プレーオフ優勝決定戦は9/9に、世界大会であるWorldsプレイイン初日が9/26で最終日が9/27になる。そんなV3がLJL代表として輝いた期間、20年9月のフォロワー増は1136人になる。ちなみにグラフの山が左にあるが、あれは20年7月、なぜ増えたのかは不明であるし、@V3EsportsJPはLOL以外の分野もツイートしているので「別部門」で稼いだ数字にも見えるがおまけにおまけして、一応2020の6月から8月までLJLをやっていたのでそれを全部加算しても

6月 +41
7月 +1411
8月 +178
9月 +1156
+2756人になる。

これならフォローしてくれたら30万払って抽選で1名にゲーミングPCプレゼント!企画でもした方がマシだな!!

実際、かなり甘めに見ての2700であり、実質は1150が正しいのでは、とも思っている。なんならV3は他のゲームも抱えているので1150が多い可能性すらある。まあWorlds初戦直前、DFMは自作のPVを作った。一方V3はラテアートを作った、って感じで同じツイッターとはいえ運用のスキル、テクニックに差はあるんだけど。もしほんまにV3が優勝しても1100しか伸びなかった~と思ってたならまずこんな一番稼げる、一番注目されてるタイミングに「ラテアート」を説明せなあかんと思うよ。ラテアートて。見てるワイらゲーマーやで。


LJLファンなら知っての通り、金があり熱意のある梅崎オーナーが気合い入れているDFMをLOLで倒すのは至難の業、NAの金満チームCloud9にガチって勝ってしまうのがDFMになる。果たしてそんなチームを破るにはどんな補強が必要だろうか。実際に20夏にV3が勝ったのも、台湾の名門FWからBugiを引っ張ってきて、それが噛み合ったうえにDFMの調子が悪かった、という諸々の結果が運よく重なった感がある。

LJLには賞金もある!というが、プレーオフでDFMを倒してやっと1000万、あのDWGに途中まで勝てそうだったDFMに勝ってやっと1000万。いまや日本国内のリーグでも1000万は「安い」部類になる。Y本と組んでるから吸われてるんじゃねえか?と思うほど。

PUBG MOBILE JAPAN LEAGUEはドカンと総額3億、荒野行動 Championshipは1億、モンストグランプリは8000万、Rainbow Six Japan League 2021は総額3200万。それに比べてLJLを勝つこと、海外選手獲得の給料、等考えたら「割」は悪いと思うチームが多いのではないだろうか。

https://alienwarezone.jp/post/1431


一応LJLも2019年の総額が2700万となっているが、各スプリット1000万+MVPで700万、見る限り「順位賞」はなさそう。

本当にあるのかないのかは定かではないが、このレギュレーションのまま優勝以外無駄、となれば「どうせ2位でも8位でも降格ないし、有名選手や人気選手、海外選手なんて雇うだけ高いだけ」とシラけて省エネ運用に切り替えるチームがいてもおかしくないだろう。ある意味「そちら」の方が断然合理的なのだから。8位で適当にやってお金貰ってそれを他のゲームに分配投資したほうが「割」はいいだろう。

昨夏LJLでたった1勝しかしていないチームであろうと、リーグからの注意も何もお咎めなしでしれっと今年も同じ体制で参加しようとしているのも疑問が残る浦和レッズだったらバス囲まれて「社長も編成もコーチも辞めちまえ」と横断幕出されて辞任に追い込まれるで。 

現に名古屋グランパスをJ2に落とした小倉監督は、その無能ぶりがぶっ叩かれて、J1監督の次の仕事がJ1から数えればJ3の下のJFLのさらに下、4ランク下の社会人リーグFC伊勢志摩の監督だ。リーグで戦う相手が中京大学サッカー部とかのレベル。それもコネありありのド地元。それくらいのお咎めがあるのがプロスポーツの厳しい現実のはずだ。

LJLに下位のお咎めがない以上、頑張って金かけて2位より手抜いて8位の方が賢いのかもしれない、皮肉な話だが。もしeスポーツチーム運営ゲームだったら「序盤の金策」として攻略本に載せてもいいかもしれない。寡占状態のリーグに参加できたら運用予算を最低限に絞ろう!、みたいな。この手のムーブはシミュレーションゲームだとよくある一手であって。

まとめると、今のLJLはガチにガチってるDFMに一時期ガチマネー掛けて競りに行った戦国ですら止められない状況で、安定して勝負するにはCloud9並の戦力が必要。だがそこまでして勝てるかは不明、そして勝っても1000万と1000人ちょいのフォロワー増。なお1シーズンで1勝しかしなくても来期普通に参加できる。これでは「勝ち」の価値があまりに薄くないだろうか。チーム運営の手を抜いて出来る限り安く仕上げてレギュレーションだけクリアを心掛けて「寡占状態のリーグ」で最低限の露出だけ確保したほうが得をするLJLになってはいないだろうか。まあ中身は知らんのやけどね。外から見る限りね。

5.開始6年でほぼ横ばいのLOL日本サーバーこそが本丸で切り札

LOLの日本サーバーは一向に利用者が増えない。と書くと「何年前に比べてリーグ終了時にopggカウントで〇万人増えてる!嘘つき!」と言われかねないのだが、はっきり言って6年経ってランクマ終了時が10万人だろうがそれが15万になろうが16だろうが17だろうが他地域の規模を考えればそんなのは誤差も誤差、「横ばい」が現実的な表現になるといってもいいだろう。

「LOL 人口 日本」あたりで検索すると出てくるが、2016年4月、日本サーバーが出来て1カ月くらいの日本サーバーのOPGGカウントは約5万となっている。正確には49,851名。

さて2021年のLOLランクも開始から約1カ月経っているが現在の数値はどれくらいだろうか、と見ると2/9現在51,494 名となっている。日本サーバーが出来て6年経って今年のランクマが始まって1カ月経っての数字が、6年前のサーバーオープン1か月後の数字と誤差1,500。これで「成長している!」と感じたとしたら相当な親バカの才能があると言っていいだろうし、「減ってないだけ凄い!」と思ったならあなたはきっと済美出身のオレンジの服着た140キロ投げる元野球部のお笑い芸人か、あるいは松岡修造でしょう。これがメンタリズムです。

唐突な日本サーバーディスになってしまったが、これはなにも急に叩きたくなったわけではない、apaさんの引退も順序だてて考えていくとここにたどり着くのではないか、という話だ。

4で書いたが、いまLJLで勝つ価値は薄い、頑張って頑張ってDFMに勝ったところでフォロワーが1000人ちょいしか増えないのなら、LJLで勝つことに対してコスパは悪すぎる。コスパが悪いから省エネ経営に切り替える、その結果LJLで実力者よりも給料安い人間がレギュラーを取るチームが出てくる、という仮説でいくと、解決策も見えてくる。それが「勝ちへの付加価値」になる。そしてその付加価値のひとつがフォロワーだ。チームのフォロワーが増えればその露出力を見込んでスポンサーが増える。LJLを勝ったらフォロワーもスポンサーもがっぽり増える、となれば勝つ価値が出てくる。というわけだ。

ではLJLのチームのフォロワーを増やすためにはどうすれば良いだろうか?答えは簡単、LJLの視聴者を増やしたうえで各チームのツイッターとのエンゲージメントを高めればいい。ただLJLってLOLのルール分かってないと見てられないですよね、初心者には難しいし、まず前段としてLOLの知識が必要、じゃあLOLの知識どうやって身に着けてもらおう、となれば「LOLを実際にやってもらうのが一番!」というわけです。ワオ!気づかなかった!

もちろん「ノーマルでやってる人もいっぱいいる!」という話がこれ系に毎回出てくるが、見えない数字を「いる」前提で話したって何の解決にもならんぜよ。まずは「ランクマッチ開始から1カ月で参加する程度に熱意のある人間が6年前も今も5万人」という事実ベースで行く必要がある。結局ぽつぽつ増えて年末に10万になったとしよう。要はパイがせいぜいそんなもんだからアレや、という話で。

ここでいつものようにGGTVイジリをしてもいいのだが、そんなことをしていてもしゃあない。今まで失策はあった、貴重な予算をロルくんでドブに捨てた、それも水に流そう。大事なのは未来だ。

6年「横ばい状態」から大復活を遂げるなんて無理だろ、とお思いかもしれないが、横ばいどころか墜落からの大復活、成功例があるのをご存じだろうか。そう、FF14はまさに学ぶべき成功例と言ってもいいだろう。

アカウント数の方は海外事情だったりフリーアカウント云々があったりするが、下のツイッターフォロワー数の増減、@FF_XIV_JP の伸びは日本に限った事情であり凄さが分かりやすい。17年3月に15万人だったフォロワーが22年の2月には43万人。5年で約3倍になっている。それも17-18はフォロワー数的に数万単位の増減で比較的横ばいだが19年ごろから角度が上がっている。

FF14の復活劇については随所で語られている、本にもなってるしブログやYoutubeなどでもたくさんある。その全てで避けては通れないのがプロデューサーの吉田直樹になる。そしてその特徴は一言で言えば「熱意」になる。ゲームが好きMMOが好き、だから自分の好きなものを、楽しめるものを作る、そのために自分でプレイもするしユーザーとも対話する。名前で検索してみるとわかるが吉田Pを揶揄したり罵倒したりする検索結果も出てくる、ただそれもよく見ていくと2013.14.15.16あたりで年を追うごとに減っていっている。熱が伝わったのか、罵倒する層が辞めていったのか定かではないが22年現在、その功績はポジティブに受け入れられているものが多い。

また、大ピンチ大延期からの大復活という意味では「ウマ娘」も挙げられるだろう。

初期のカクカクジョギングから奇跡の大復活に至るまでのターニングポイントと目されているのがアニメ一期になる。アニメ後、アニメの動きをもとにしたようなPVが出て現在のウマ娘に近付いていったという流れがあるためだ。また「ウマ娘」という言ってしまえばド色物で、初見の競馬ファンの多くは正直あまり好意的な反応ではなかったが、その潮目が変わったのもアニメ一期になる。ただの萌えアニメと思いきや、史実に沿ったエピソードや、マニア心をくすぐる小ネタをふんだんに詰め込んだことで、競馬ファンの間ではアニメの実況の要領で「元ネタ当て」が行われ、アニメ放送後には「元ネタ解説動画」が数十万再生されていたりもした。そしてストーリーも悪くなかった、名馬たちへのリスペクトを感じられたということで「競馬ファン」の一定の支持を得られるようになり、それが今のウマ娘に繋がっている感がある。そしてそんな「史実路線」に舵を切ったのがウマ娘アニメ1期のプロデューサー伊藤隼之介といわれている。彼自身競馬が大好きで、1期アニメが「97-98世代」で動いていく中でなぜキングヘイローがいないのか、と進言し登場させたという逸話がある。ちなみに史実路線の前、第一報PVではウマ娘がなぜかスケートしていたり、「オタクってこういうの好きでしょ?」的な美少女同士のレズ描写に近いのが雑に放り込まれたりしていてある意味で必見となっている。あの路線なら大ヒットは怪しかっただろう。

ウマ娘1期OP。サビからの十数秒、各キャラがレースを走るのだが、一人当たりはほんの数秒、それでもよく見ると分かる程度にそのキャラクターのモチーフとなった馬たちのレースを再現している。直線でぶっちぎったダスカの有馬、絶望的状況から馬群を捌ききったウオッカの安田、ゴルシワープと言われた内ラチ沿いを強引にまくる皐月賞…。「ウマ娘 元ネタ」でいくつもの動画や記事が出てくるので詳しくはそちらを。こういう「元ネタ探し」の楽しさは、WorldsPVを毎年見ているLOLファンならわかるだろう。

そう、両者ともにつまづきからのプロジェクト復活のきっかけは「熱意」になる。MMOが好きでFF14を立て直した吉田P、イロモノ擬人化アイドル系を史実重視の熱血スポーツに肉付けした伊藤P、その熱意がユーザーに波及し好循環を生み出していった。

こう考えればいまの日本RIOTに必要なのは「熱意があって表に立つ人材」、すなわち吉田P的存在だろう。かつて日本LOLには「コミュニティボード」という掲示板があった、スタッフとも交流できるというのが売りのはずだったが、おそらくきっとRIOTに入る段階でバイリンガルトリリンガル標準装備なIQ120オーバーのRioter様と、自分で差別用語バンバン使ってるのに「暴言なんて言ったことないのにBanされた」と本気で言っていると思われる低IQ勢のクソコメ連投、これだけ住む世界が違うとマトモな対話すら難しい。傍から見てても珍獣大集合の感があったあの掲示板の対応に当たったRioterに同情もするが、ともあれまともなコミュニケーションは取れないままいつしかコミュニティボードごと閉鎖され、もはや一般ユーザーはRIOTの日本担当が誰なのか一切分からない状態となっている。俺かて知らん。叩かれたくないから雲隠れ、というのは悪手で、昨今の成功プロジェクトと逆方向なのはFF14の例を思い出していただいても分かるだろう。

熱意があって自分でプレイすれば、FF14のように「プレイヤーの挙げる問題点」がわかる。いまのLOLにある罵詈雑言、暴言、maxbaka、下ネタみたいな名前、下位ランクのトロルプレイやスマーフプレイ、上位ランクのウイントレード、今「手が回ってない」とユーザーが感じて、仕事が行き届いていない部分、今手を付けるべきものが肌感覚で分かるはずだ。ユーザーの声を聴く姿勢を見せてくれない限り、この日本サーバーの惨状は変わらないと思われる。NAや韓国など「放置スタイル」でうまくいったから日本でもそのスタイルなのかもしれないが、6年経ったのだからいい加減「日本では暴言やトロルが他の国より嫌われる」等の学びを得て日本オリジナルの統治体制を考えてほしいところだ。

日本サーバーのもう一つの問題点はLJLと日本サーバーの隔絶になる。結局日本最高峰のリーグであるところのLJLを見て俺も頑張ろうとプレイして、憧れのEviとプレイしたい、とランクを上げても、Eviは普段基本韓国サーバーでやっているので憧れの選手とプレイできるのは野良では相当な運の良さが必要になってくる。なんならふらっと当たることはほぼなく、Eviのツイッターを見てスナイプした方が効率がいいまである。そしてこれは他のゲームと大きく違うLOL日本サーバーの問題点となる。

格ゲーなら頑張ってればそのうちウメハラときどなどトッププレイヤーと否応なしに当たることになるし、APEXやVALOでもプロやプロ級のストリーマーと日本サーバー頑張っていれば当たることになり、上位を目指すという同じ目線でランクマッチが出来る。一方LOLの日本サーバー、もちろんプロがたまにやっていたりするが、言ってしまえば息抜き程度、KRと本気度は違う。LJLプロが日本サーバーのLPを落としたところで、2万枚溜めてあるゲーセンのメダル1枚落とすくらいの感覚だろう。どうせ査定にすら影響しないのだろうから。

自分はセロス配信をよく見ていたが、何年か前、息抜きかなにかでスト5を深夜にプレイしていると世界ランク10位のラシードと当たり同キャラ戦をしていた。その10位こそが台湾のプロゲーマー「OILKing」だったわけで。セロスはアマチュアとしてスト5で海外プロと野良で当たるが、日本LOLアマは野良でセロスと当たる可能性はなんならスト5の方が可能性が高い、という状況だったわけで。言ってしまえば賞金首のいないワンピース、あたりの入ってないくじみたいな状況がLOL日本サーバーと言ってもいい。

プロチームの注目度を上げるためにLJLの視聴者を増やす、そのためには日本サーバーを人気にするのが近道であり王道なのだが、その日本サーバーの価値を貶めてきたのもLJLでありプロチーム関係者たちという一種のウロボロスの蛇状態になっている。プロが1位を目指す気もないしそもそもログインしてもいない日本サーバー、KRやNAでは(シーズンが始まる前や終わった後は)1位やトップ勢にプロの見知った名前が並ぶが、日本サーバーはいつ見ても知らない変な名前が上位に並んで憧れる余地もない。そのうえ1位になった奴がスカウティングに来ても全チームでガン無視決め込むLJLチーム編成担当、これじゃ日本サーバーまじめにやろうって人はそう増えないでしょう。

LJLも8チームもあるんだから1チームくらい「うちは日本サーバー本気宣言!グリフィンみたいに日本トップが集まるチームにするぞ!」というチームがいてもいいし、いるべきだと思う。どうせKRに籠っても大して伸びてねえなら。まあKRに籠ってる限りLJLプレイヤー以外の日本人に負けることはないからプライドは保てるんだろうけど。

そんな「アマに負けてなんか言われるかも…」なんてプライドを捨てて日本サーバーと向き合うプロ、変な名前でなくて「(チーム名)名前」とガチでやるプロというのが正直必要なのではと思う。で、そのプロが本気で1位目指すうえでWinトレードやトロル、スナイプでつまづくようであればプロチームとして正々堂々声をあげればいい、そうすればより「今起こってるおかしなことの数々」の是正が期待できるわけで、一般LOLプレイヤーからもプロチームへのリスペクトを得ることが出来る、というわけで。どっか下位チーム、やりませんか?多分人気稼げますよ。だいたいVALOもAPEXも格ゲーもプロがアマに一回コロッと負けるくらい「普通にあり得ること」と多くの人間が思ってて、今はそんなに1回勝ったくらいで鬼の首取ったみたいに騒いでる方がダサい、という空気になってきている感があるわけで。

一つ直近でプラスに見える取り組みとしては元プロのRamune、今期は所属なしだがLJL復帰に向けて頑張る宣言をしていて、実際現在日本サーバー4位にまで来ている。Ramuneという有名プレイヤーが上にいることで「実力があればあの位置まで行ける」という証拠にもなる。もしLJL復帰が果たせればLJLと日本サーバーの架け橋にもなるだろう。もしRamuneがこのペースでずっと頑張っていればきっとRamuneには「日本サーバーのうまい奴ら」というデータが蓄積されるはず、そしてそれをLJLの番組で名前を出したりすればスカウティング等で注目されるかもしれない。とここまではさすがに期待しすぎだろうが、なかなか応援しがいのある取り組みだと感じている。

”日本サーバーのトップ10”知らん人ばっかでしょ?これで憧れようってのも無理がある。KRのオフシーズンなんかはプロが上位を独占しており、さながら「賞金首」ランキングに見えてくる。FakerやShowmakerの首獲ったら自慢できるでしょ。日本サーバー上位にRamune以外それ何人いるって話。

暴言やトロルなどが減り、日本サーバーが健全化すれば人が増えるかもしれない、人が増えればLOLのルール知る人が増える、LOLのルール知る人が増えればLJLに動員しやすくなる、LJLの視聴者が増えればLJL優勝チームへの注目度も上がる、優勝チームの注目度が上がればスポンサーが増える、スポンサーが増えればやる気も増える、というわけで、こんなに順調におむすびころころいくとは思っていませんが、転がさないことにはおむすびころりんの話が始まらないわけで、そういった「改革」がいつか、なるべく早いうちに始まってほしいと願うばかりで。

あとついでにこの項目でLJLの配信にも。あれも「初心者受け」を意識したほうが良いと思う。まずプロ同士の試合なのに暴言吐き放題のチャットが流れていては、初心者も「レベルが低いもの」と感じてしまうだろう。一手間かけてモデレートはすべきだと思う。言論統制だなんだという奴は言わせておけばいい。だいたい他のeスポーツ配信では誹謗中傷等は許さないという文言を明示しているものも少なくないのだから。もちろんうまくいくかどうかは分からないが、少なくとも6年荒れたコメ欄放置スタイルでやってきて結局ローンチ直後と横ばいなら「ほかの手段を試す」くらいはした方が良いのではないだろうか。

X-MOMENTの例。もちろん削除されたりすることに腹を立てて目の前の1000コメントは減るかもしれないが、「後の3巡」を買うことになるかもしれない。長期的に見れば口汚くヤジを飛ばす客などいないほうが集客につながるのは野球やサッカーでも同じであり、近年野球やサッカーでは迷惑客を出禁にすることも珍しくない。

あとはAIブリッツ君。将棋などでAI予想が出るのは「途中からパッと見た人でも有利不利がすぐわかる」という効果を期待している部分もある。それならばLOLも常にAI勝率を上に出しておくべきだろう。15分だか20分に一瞬出て消えるでは正直なところ「意味」がないのではないだろうか。AIブリッツが試合途中で出した勝率、あれが当たっていた外れていた率、精度はどれくらいだったか誰か知っていますか?誰も知らないでしょあんな一瞬で消えるもの。出すのだったらバンピック終了から出してほしいところ。「ピック勝ち/ピック負け」の概念があるのだからAIでも出せるでしょたぶんきっと。

システム的にわからないけど、もしかしたら15分ジャストの状況を静止画にして静止画分析してるから動画のリアルタイム分析は難しい、って話かもしれない。それでもやりようはあると思う。それを5分ごとに出して「5分段階の勝率」と上に出すだけでも違ってくるだろう。最悪「15分段階の勝率」1回でもいい。初心者が見る「指針」が要るわけなのだから。いまやってるオリンピックの大回転では「1位との差」が中間ラップで出るようになっており、「このペースなら行ける!」「遅い!」ってのが誰でもわかるようになっている。フィギュアスケートも右上とかに□チェックを用意し、成功したら青、審議は黄色、失敗は赤と演技の区切りのたびに塗りつぶすことで「ここまでノーミスや!」とか「序盤つまづいちゃったかー」とかが素人でもわかる仕組みになっている。どこも工夫しているのだ。

ニコニコに始まりAbemaで進化した感のある将棋AI表示、いまや天下のNHKですら常時勝率表示をしている時代である。日曜早起きしたら将棋よね。

他にも「LJLのカメラワークはいいですからねえ」とか言ってたりするが、それで喜ぶのはオタクくんくらいで。確かにオタクの俺にはありがたいが、もっと初心者に寄り添うべきだと思う。さっきも書いたが今やっているオリンピックではマイナーなウインタースポーツのルールや解説がデータ放送やテロップなどで表示されるようになっており、一見でも見やすい仕組みが整いつつある。アクセルとルッツの違いも表示されたりするので見やすくなっている。また選手のと視聴者を近づけるために選手紹介のテロップを出す等、テレビから学ぶべきところはたくさんあるのではないだろうか。

自分も生配信の仕事をしていたので面倒なことを言っているのはわかるが、テロップなんかは事前に用語テロップ用意しておいてバロン獲ったらバロンボタン押して「バロン:倒すと○分間ミニオンを強化するバフを手に入れる」って画面に出すとかその役一人用意すれば出来るでしょ多分。OBSでも煩雑になるけどがんばればチェックボタンのオンオフで出来そうなんだから。LJLの放送はカッコいい方向にはアップデートしてると思うが、初心者向けには顔すら向いていない気がする。自分たちで出来ないならストリーマーにミラー権限渡して初心者に解説しながらやってもらうとかあるでしょ、VALOで出来てるんだから。LJLの放送チームはポテンシャルがあるように感じるからこそ頑張ってほしいところであって。下にいくつか参考資料を貼っておこうと思う。

ルール説明の例、バレーボールだとこんな感じ
オリンピックのルール説明テロップは好評


一味違う選手紹介は、選手とファンの距離を一気に縮めるのに役立つ

6.ウメハラの金言「本来こんなことやってて金もらってちゃいけない」

つい先日、ショッキングなニュースが飛び込んできた。日本を代表すると言ってもいいプレイヤー、日本の顔でもあったセロスの引退発表である。これについて思うところはまたどこか別で書きたいが、注目点が一つある。途中の「選手時代は結果第一と考えてファン向けの活動をあまりやってこなかった」という部分だ。DFMのゆたセロ動画しか見ていない方には衝撃かもしれないが、かつてのセロス配信と言えば無言のカチカチ音だけが響く配信だった。コメントはあるが見えているかすら定かではなかった。ゆたぽんとのデュオで、比較的コメントを読む方のゆたぽん配信コメント欄にセロスに質問のある人が「セロスさんにそのナッシャーの意味聞いてください」と書いて、それをゆたぽんが読んでセロスが答える、というのも珍しくなかったほどだ。最近ツイッチで配信も始めているが、普通の人に比べたらまだ雑談等は少ないが、それでも質問などに答えている様を見て自分なんかは大いに驚いたりもした。

ただこれ、セロスに限った事でなく、LJL全プレイヤーに当てはまるのではないだろうか。EviはえびンモTVがある程度成功しているが、Evi以外にYoutubeをはじめてあまり伸びずにすぐ更新をやめたプロなども多いし、配信もあまりやっていない。配信やるのもLOLくらいで、日本のLOLの視聴のパイなど当然限界もあるわけでそりゃ伸びない。というかEvi以外からは「LOLを盛り上げる」という気概をあまり感じられないのだ。なんならセロスはこれでもLJLのなかでは「相対的に」やってきた方だ。実は自分もS4くらいに出したセロスさんのMID講座をスポーツジムで自転車漕ぎながら見てLOLを勉強していた時期がある。そういう意味では俺こそ真のセロスキッズなのだ。

という話はともかく、この流れで思い出したのが格ゲー界のレジェンド、ウメハラの言葉になる。ウメハラと言えば格ゲー界でも抜けた人気を誇っており、黙っていても勝手にファンがつく状態と言ってもいい。ただそんなウメハラ、実はそこらの若手以上に頻繁に配信をやっている、ということを格ゲーファン以外はあまり知らないかもしれない。LJL全プロプレイヤーの昨年の配信時間よりウメハラ一人の昨年の配信時間の方が何十倍レベルで長いと思われる。

ウメハラは2016になると、TwtichでDaigoTheBeastTVを立ち上げ、それもアメリカのファンに向けて「同時通訳」のスタッフを頼んで、右からは日本語、左からは英語が流れる配信をアメリカ時間に合わせて毎週土曜の午前中に行っていた。結局コストが重かったのか、あと正直聞きづらかったのもあって数か月で不定期配信に移行したが、その間に現在も続いているウメハラ主催のゲームイベント「獣道」のプロトタイプ、布石となるスト2時代のレジェンド(おっさん)に光を当てていたり、格ゲーの大会だが出場条件が一つ、コスプレしてこい、という「コスプレ大会」を開いたり、あるいは同じアマチュアチームを組んでいた3人のうち二人がプロになってしまった当時のアマプレイヤーを呼び「プロゲーマーとは何か」「企業が欲しがるプロゲーマーとは」というプロゲーマー像を語り、面接にまでカメラがついていく(結果Gamewithが契約した)という異例のドキュメント企画等、ゲーム画面垂れ流しでない大暴れをしていた。

その後もTwitch、そしてミルダムに移りつつ、メインのスト5の練習風景を垂れ流すほかに
・テレビに出るレベルの大食いチャンプを呼んでの「大食い対決」
→早食いチャンプ寿司50貫vsウメハラのソニックブーム50発対決
・視聴者もプロゲーマーも出てくる「カラオケ大会」
・「数年来の仲たがいをしている二人を呼びつけて仲直りさせるエンタメ」
・「映画製作」(色々あって頓挫)
・「漫画募集」
・「ウメ散歩」
・「ウメハラジオ」(プロゲーマーや関係者を呼んでのラジオトーク)

・「獣道」では格ゲー以外の超一流同士のコンセプトマッチも。
→「ぷよテト」:トッププロvsネット対戦最強高校生 オフライン対決
→「バトルガレッガ」(STG):24年プレイする現1位のスコアアタック
→「怒首領蜂 大往生」(STG):スコアアタック新旧1位同士の併走対決

と定期的に「企画」を立ち上げては視聴者や、ときにはコネを使って偉い人や大きいハコを巻き込んだり、若手を含めて「雪山人狼」「コードネーム」「マインクラフト」等多人数のゲームをやることでウメハラ視聴者に「若手プレイヤーの人となり」を浸透させたり、気になれば「東方」に手を出してガッチガチにシューティング的な攻略をしていき「ウメハラ」「東方」がトレンドに上がったりもしていたりする。

ウメハラが一人で食っていく分にはスト5の垂れ流しをしていればいい、なのになんなら誰よりも貪欲に配信をしている、時には自分で数百万の持ち出しをしてまで配信企画をやっていることについて尋ねられたウメハラが答えたのが「本来こんなことで金もらってちゃいけない」になる。

この言葉だけ聞くとなんならeスポーツアンチの言葉にも見えてくるだろう。Youtuberやプロゲーマーを揶揄して「あんなので金稼いですぐに終わるよ」と。ただウメハラも根底は似た感じがあるという。格ゲー冬の時代、日本一になって世界一になってテレビに出て「俺にも何かあるかも」と何年も期待して結局何もなかった20代前半、コンビニバイトで怒られ怒鳴られ首になり、一般的にキツイと言われる介護の仕事に関してすら全くネガティブな言葉を使わずに「むしろ俺でも社会の隅に置いてもらえてありがたかった」的な感謝を述べる、要はそういう扱いを受けてきた「自他ともに認める社会不適合者」ウメハラだからこそ、今のプロゲーマーとしてゲームでお金が貰える状況が「奇跡」のように感じられていると。いつかこんな奇跡は終わるかもしれない、だからこそ終わったときに「あの時ああしておけば」という後悔を残したくないから、一日でも続くように盛り上げて出来る限り足掻いているしサボりたくない、といったような旨の発言をしている。

この感覚、今プロゲーマーという仕事が成り立っていること自体が奇跡だという感覚、場が用意されていることへの感謝をLJLプレイヤーで持っている人間、そしてLJLチームでこの感覚を持っているチームが何人、何チームいるだろうか。

大会とはいえ視聴者MAXで5万がやっとのLJLで「プレイに専念」はある意味立派だ。でもLJLなんて何試合やってる?昨年の一番少ないチームに至っては年28試合だ。フィジカルが限界レベルで大変なアメフト並、ガシガシ体ぶつけるラグビーでも年間倍くらい試合やってるわけで、あらゆる「プロ」のなかで試合数が最小レベルなのではないだろうか。真冬の山の中でどでかいジャンプ台を用意しないとできないスキージャンプの選手の試合数が年間20試合超だという。こう見るとLJLプロ、凄い身分だと思いませんか。「練習スクリムはもっとやってる!」って気持ちがあるかもしれないが、アメフトだってラグビーだって練習紅白戦アホほどやってるわけで。それも外でな。

LJLの1年で下位チームが携わった全試合の視聴者数合わせても「えぺまつり」や「CRCUP」のたった一日分に視聴者数ボロ負けするであろうことに関する危機感を持ったプロ選手やプロチームはいくつあるだろうか。あなたがスポンサーならどっちに注目する?っていう話で。後発のエペに、ヴァロにさくっと追い抜かれたことに危機感を覚えている人は日本のRioter含めて果たしているのだろうか。

LJLプレイヤーたちは「LOLのプロゲーマー像」までKRの真似をしているのかもしれないが、視聴数が、パイの大きさが違いすぎる。黙ってランクマ回してたまに崖に橋掛けるだけで視聴者が大喜びしてくれるのは「Faker」というブランドがあるからであって、知名度もフォロワーも1/100以下の日本人が同じプロだからと同じスタイルで配信しても視聴者1/100以下でうまくいかないのはあたりまえ、当然だろう。

噂レベルだがLJLプレイヤーに制限が掛かっているという話も聞く。KRサーバーの配信がLJLプレイヤーでも日本人はスーパーアカウントだからか不可な一方KRプレイヤーは自分の手持ちならOKみたいな真偽不明な話を小耳に挟んだこともある。もしかしたら我々も知らない制限のなかで不自由を感じ表現に苦慮してる部分もあるのかもしれない。だとしたら謝りたい。でも最低限Eviと同じくらいのことまでは出来るはずなのだから、プレイ以外の部分でもEviを見習って普及や貢献に力を入れる、というスタイルの人間が増えないと、いつLJLが終わってしまうかを座して待つだけになってしまうのだがそれでよいのか?後悔しないか?という話で。

「LJLが終わる」なんて絶対あり得ない、と言えないのは、LJLと大して変わらない規模で、実際一度お取り潰しとなったオセアニアのことを考えれば十分わかるだろう。オセアニアの一部プレイヤーはまだ英語が喋れたからかNAに行けた人もいるが、LJLが同じ目にあったらどうだろう、LJLが潰れます、でオセアニア同様にNAへの移籍優遇措置があっても、結局言葉の壁でNAにほぼいけないのではないだろうか。

こう色々考えていくと、今回のテーマ、apaさんの引退に関してLJLプロゲーマー達も責任がゼロではないのかもしれない。言ってしまえばapaさん自身も現役時代「ファンサービス」が決して熱心だったとは言えないほうなのだから。LJLがもし今の数倍盛り上がっていれば、V3が20年に優勝した時にフォロワー爆増となっていたかもしれない、そうなれば各チームも「優勝」のために実力者を求め、実力者であるapaさんが今も採用されていたという未来もあったかもしれない。リーグ全体じゃなくていい、個人でファンをたくさん持っていれば「それも財産」として選手の付加価値として勘定してくれるチームもあったかもしれない。だが、そうならなかった。日本サーバーが出来てからも横ばい成長が続いた結果「今後の伸びへの期待感」も失い「eスポーツ元年」の波にも結局乗れなかったのがLJLなのだ。

でも、まだ間に合うと思います。まだ少なくともLJL2022は始まるのだから、最低限半年の猶予はあるでしょう。これを「当然」と思うか「奇跡」と思うか、プロも、そしてプロだけでない、ここまでしたり顔で偉そうなこと言ってきたパンピーの俺も、視聴者の皆も、LJLを見たいと思っている全員が一度考えるべき時期なのかもしれません。少なくともプロの方は「LJLのため」なんて大きいレベルでなくても「自分の身を守るため」でよいので、LOL人気について、オフの過ごし方等、今までのような「プロプレイ優先」という姿勢で良いかどうかいちど考えてみるのもいいかもしれません。まあ何となく考える、それくらいから始めようや、な!

まあ別に寿司50貫vsCS50個対決しろ、って言ってるわけじゃないけど、それくらいの柔軟さで「まずLOLに興味持ってもらう動き」ってもっと必要じゃない?っていうね。そのうえで卵が先か鶏が先かじゃないけど色々な話が出てくると思うわけで。そんな諸々があった先にいいことがあるんじゃねえかな、っていうふわっとした話で。さすがに疲れた。

まとめ

ここまで読んで、偉そうに言いやがっててめえ、とお思いになる方もいるかもしれません、すみません。そういった方には大したことはできませんが、罪滅ぼし程度に案出し程度は協力したいです。動画等々最低限の協力も出来るかもしれませんので、何かありましたらDMでもください。2万7千字書く程度には暇な地方在住無職ですのでウマ娘育成時以外はフレキシブルに動けると思います。ただ人見知りなので申し訳ないのですがもし何かありましたら最初優しい感じでお願いします。おいこらテメエ!みたいな感じだと居留守使うかもしれません。すみません。

まあ割と根が深い問題なのかなと書いていて思いました、ただいま不健全なのは確かであり、どこから誰が治せばいいのかわからないがヤバ目の危機感はなんとなく伝わればよいかなとか。

偉そうに書いてきたが、先ず隗より始めよという言葉もある、俺だってLOLファンを増やす行動をしてきたかと言われればNOになる。隙あらばGGTVとロルくんをイジることだけを考えて文字を打っているのも事実だ。たいしたことは出来ないが面白いnoteでも書いてちょっとでも興味が引ければよいのだが。頑張ります。みんなも少しずつでいいから頑張ろう。

また、この記事を書いているときにもう一つショッキングなことが。apaMEN同様スタッツ上位のcogocogもチームなしという状況。いまのところ本人コメントはないが、apaMEN同様年齢がネックになった可能性も否定できない。

もういっそ
cogcog
誰か
apaMEN
Haretti
誰か

で真USG作ってLJLチームと戦ってほしい。俺は正直このチーム、apaさんのMIDが怪しくてもそれでも6位くらいには入ると見ている。見たいねー。実力者が報われるLJLであることを祈りたいよ。

ちなみにこの27600字で筆者が一番書きたかったのは西武の原井と東尾の話です。それでは。

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