見出し画像

今夜「知ったか」したい、DFM世界挑戦の歴史


いやー見ましたか、DFM対C9、そして日本代表DFMが世界王者DWGの喉元に牙を突き刺したあの試合を。長年「いける!」と「あらら…」を繰り返してきたDFMですが、ついに、残り3戦、「今回こそ」「歴史が変わる」かもという手ごたえを選手もそして視聴者も感じられたところでの決戦の今夜5.11の23時(DFM登場)となるわけです。LJLのツイッターをフォローして、コーヒーやエナドリを用意してパーティの準備をしようじゃないか。

https://twitter.com/Official_LJL

Twitterトレンドに載ったりと、とにかく急上昇したDFMの知名度と期待。そこで心配になるのが「今知った方々」。歴史をまだご存じでない、この4月に異動で急にEスポーツ担当にされたおじさんや、他ジャンルからトレンドを見て気になった方もいらっしゃると思います。そんな方々が明日の昼会議、明日夜の画面前で「知ったか」できるよう、ここでDFMの世界戦の歴史をおさらいしてみよう、という話です。まあここらで自分もまとめておさらいしたかっただけとも言いますが。ともあれスタート。敬称略。

一応追記として、LOL界隈には基本年に2つの世界大会があります。雑に言えば春の甲子園と夏の甲子園みたいなもんで、実際に各地域の春シーズンのチャンピオンたちが集う世界大会(例年5月頃)が「MSI」、各地域の夏シーズンのチャンピオンたち+α(強豪地域の2位とか3位とか)が集まって戦う世界大会(例年10月頃)が「Worlds」と呼ばれています。つまり今回盛り上がっているMSIは「春シーズン」の世界大会、ということです。

1.DFM誕生前夜

Detonationのサイトには、2012年7月にCounter-StrikeOnlineで発足、2013年4月、LOL部門としてDFM設立と書かれている。ではそのメンバーがどこから来たか、となると少し遡ってのLIA-BLUFFとなる。そしてその前身がFocusMeだったりとややこしいのだが、記事によるとこのLIA-BLUFF のLOL部門結成時にCerosがSF2部門から異動してきたとのことなので、今のDFMの前身、という意味では一つココらへんが知ったかポイントになるのではないだろうか。要はLOLのプロゲーマーは基本超ゲームうま男なわけで、LOLに限らず。

画像2

ちなみにこちらが2012のSF2大会にてLIA-BLUFFで準優勝したときのCeros、隣にはLOLでもValoでもお馴染みのzerost。なお優勝したチームには現Detonator、YamatoN先生の姿も。詳細はこちら

といってもこの時期、まだプロ界隈も定義があいまいで、実質的にクランの延長線上だったりして非常にふわふわした黎明期であったわけで、あまり聞きかじったことをフカすと当時のプレイヤー様に怒られたりするので、なんとなーく抑えておくといいかな、というポイントといったところで。cerosとYutaponはここらへんからチームメイトだったんだなー、というのを知っておくと、何となく口にしている「竹馬の友」という言葉にも重みが出てくるのではないだろうか。なんせ2013からもう8年(実際には2014~)、生まれた子供が喋れるどころか小学2年生になるくらいの話であって。子犬だったらもう成犬よ。

まあ、あとはDetonation誕生直後から日本eスポーツ界の触れられない大問題「2つのD」の話があり、当時から歴史や経緯を知らずにeスポーツにいっちょ噛みしようとした企業やらなんやらがその地雷を陰に陽に踏みまくったらしい、とか色々ありますが、その”D”問題は昨年の「オーナー会」配信で両オーナーが顔をつき合わせてゲーミング煮豚を食べながらの「手打ち」となったわけで、外野がどうこう言う話でもないでしょうといったところで。まあでも皆さんも間違えないように注意しましょう。自分もすんげー見てきました。間違えてる人。

画像1

歴史が動いた、とも言われる伝説の”オーナー会”。その経緯についてはファミ通の記事にもあるのでそちらを参照のこと。


2.IWCI 2015(MSI予選)


時は流れて2015年、LJLの2015シーズン1を制したDFMは「LJL代表」として世界大会に出ることに。それ以前に2013には実質アマチュア扱いでIEM Season 8 Singaporeに、2014にはChina Joy 2014に招待されて海外遠征はしているが、おそらく初の「LJL代表としての海外遠征」だと思われる。

場所はトルコ。東南アジア、トルコ、ロシア、オセアニア、ブラジル、ラテンアメリカ、そして日本の7か国のチャンプが戦って1位がMSIに出られるという、今よりMSIが狭き門だった時代のおはなし。

ここでDFMはラテンアメリカから1勝を挙げたものの1勝6敗で世界の壁を感じて帰ってくることになります。ただ、この段階まだ日本には日本サーバーすらない時代。面子もオールジャパンで戦っていました。

当時のインタビューで興味深い一節があります。このIWCIの前にアメリカでブートキャンプを行っていたことに触れている部分です。

梅崎氏:
 NA LCS(北米プロリーグ)やその下部リーグであるNA LCS Challengerに参戦しているチームと,練習試合をたくさんさせてもらいました。そのときの勝率は恐らく20%ぐらい……中でも,NA LCS Challengerの上位チームであるTeam Solo Mid Darknessには,なんとか1度勝つことができたという戦績で。正直,良く勝てたなと(笑)。
Ceros選手:
あと,トッププロチームの中ではTeam Dignitasと試合をさせてもらったんですが,もう惨敗でしたね。

ここではアメリカ強豪TSMの2部リーグチームに「なんとか1勝」、Team Dignitas(アメリカ1部で10チーム中9位)相手に惨敗と書かれています。(当時のアメリカ1部の2位がC9)、2015年春の時点でアメリカと日本の差はそれほどにまで大きく、言ってしまえば2軍にギリギリ1勝レベル、これが海外挑戦の第一歩だった、と見ることが出来ます。

https://www.4gamer.net/games/073/G007372/20150527001/

また、以下の記事では「Cloud9」とのスクリムがあった旨も触れており、このころから「DFMとC9」の因縁があったと見ると面白い部分だと。

あとはこの記事、コメント欄があるのですが、まだプロゲーマーが黎明期だったこともありかなり痛めの叩きコメントが満載なのが2021年に見るとなかなか面白い部分かと。今そんなこと言ってたらおじいちゃんだよ、といったコメントが散見されたりも。たった6年前ですが。まあeスポーツ元年の前なので仕方ない。

https://www.gamespark.jp/article/2015/05/02/56725.html

3.IWCT 2015(Worlds予選)

2015夏のLJLを制したDFMは、再度世界へ向かいます。今回はトルコ、東南アジア、オセアニア、日本の4か国で戦って1位が世界大会に出られるというレギュレーションでした。そしてここでDFMは世界に大きなインパクトを残します。前回1勝6敗だったチームは2試合目で早々と白星を獲得、初日を終えて2勝1敗と1位タイにつけます。2日目の3戦のうち「どれか1勝」すれば決勝進出がかなり濃厚、というなかでまさかの3連敗。結果的に一歩届かず2勝4敗での敗戦となりました。

ただ強豪トルコ相手にCerosがGPでペンタキルを取ったり、そのトルコ相手に48分まで有利で戦った中バロンスティールで崩れたりと「惜敗」の感も強く、チームにも、そしてファンにも「世界」がぐっと現実的になったのがこの大会といえるでしょう。当時の記事も追記しておきます。

https://automaton-media.com/articles/newsjp/lol-all-team-qualified-for-2015-worlds/

いまもLOLの公式Youtubeで不定期に更新される、いわゆるスーパープレー集のThePenta。この3位にCerosのペンタキルが紹介されている。この後も国際戦でスーパープレーを連発するCerosはThePentaに複数回登場することになり、その分かReddit等海外での知名度も非常に高い。

4.IWCI 2016

2016春のLJLも制してまたも世界大会MSIの前哨戦に臨んだDFM。今回は8チームの総当たりで、上位4位までが決勝トーナメントに進めるというレギュレーション。

しかしメキシコへの移動がダメージとなったのか、初日から調子が上がらず、最終日を残して1勝4敗と最下位グループに。ただ、最終日に意地を見せる形で、オセアニア、そしてグループでも強豪のロシア相手に2連勝し、結局3勝4敗、ボーダーまであと1勝という形でまたも惜しくも敗退となった。

特にロシア戦では、 Smurf, PvPStejos, Kira, といった有名プレイヤーに加え、半年後のWorldsではブランドサポートで世界を驚かせた Likkrit,までいた、というかWorlds2016でブレイクしたAlbus NoX Lunaと全く同じスタメン相手に勝利を収めており、その実力を考えれば初日、2日目のつまづきが非常に惜しく感じられる結果となった。

https://www.gamespark.jp/article/2016/04/20/65304.html

5.DFM”海外遠征冬の時代”2016夏-2018春とリフトライバルズ

ここまで2015からステップアップして「あと1歩」まで来ていたDFMだが、ここからしばらく壁になるのが「国内プレーオフ」というレギュレーションになる。

国内リーグ戦では好調で16夏は8勝2敗で2位、17春は8勝2敗で1位、17夏は9勝1敗で1位、18春は10勝0敗の無敗優勝とリーグ戦では強さを見せるものの、その後のプレーオフではライバルチームRPG(PGM)とのBO5に4連敗。リーグ1位ながらプレーオフは決勝ストレートイン以外に「得」がないレギュレーションも災いし、特に17春からは3期連続で「日本1位が世界に出られない」という異常事態に陥っていた。当時のRPGのコーチは現BCの34コーチ、チームこそ違えどプレーオフでは気の抜けない相手となっている。

そしてその期間の日本代表RPGの国際大会成績もあまり芳しくなかった。初出場の2016夏、IWCQ 2016こそ3勝4敗の惜敗で「次こそ」感はあったものの、MSI2016はトルコ以外比較的恵まれた感のある、トルコ、ブラジル、オセアニアとの6戦で1勝5敗の4位、Worlds 2017では組み合わせが悪かったとはいえ、トルコ、香港台湾相手に何もできずに0勝4敗。

もともとRPGというチーム自体がMeromeron時代から脈々と受け継がれるハイパーキャリーADCスタイルのチームで、耐えて耐えて最後の集団戦で爆発というスタイルが、こと海外の格上相手では、耐えて耐えてのうちに耐え切れずゲームが終わるため、アンダードッグながら特に仕掛ける姿勢も薄く粛々と負けていく感が強かったり、また同時期にロシアのANXや、ベトナムのGIGABYTE Marinesといった「マイナー地域のチーム」が「既存のメタから外れた構成」で世界にインパクトを残していた時期であり「一方日本は」感が非常に強く感じられる時代となっていた。

ただ、海外遠征が0だったわけではなく、17-18のMSI後には近い地域同士のライバル争いのための大会、Rift Rivalsが行われており、日本からも日本代表として上位3チームが出場し、オセアニア1-3位、東南アジア1-3位と争うイベントがあった。そして初の2017ではLJLが優勝、18は最下位となるものの、2017では(相手が違うにせよ)RPGが2勝2敗に対しDFMは3試合全勝、2018ではPGMが1勝3敗に対してDFMが2勝2敗と2年連続でDFMが「勝ち頭」となっており、国際戦の強さが改めてピックアップされ、それだけに国際戦でのDFM待望論が強くなっていった時期となっている。

6.Worlds2018、リサンドラの悲劇とカンカンバロン

2018夏のLJL、色々(意味深)あった結果3位に沈んだというより、それでも3位に残ったPGMであったが世論の向かい風も影響したのかプレーオフ1回戦でUSGに敗北、2016のプレーオフ制度開始以降初のRPG(PGM)相手でない決勝となったDFMは、USGに3-1で完勝、実に4シーズン、丸2年ぶりに世界大会出場権を獲得した。

日本を代表するeスポーツチームDetonationの中心選手として、またLJLの”顔”として各メディアの前での完璧なコメント力と、その片鱗すらも感じられないソロ配信の塩対応ぶりから「人の心があるのか」とまで冗談で言われていたCeros。いつでもプロのコメントを残してきたそんな男が珍しく言葉に詰まる18夏の優勝インタビューは、日本eスポーツ史でも屈指の名シーンと言えるだろう。

近年の結果から実力は最下層と目されていたLJLだが、この大会で久しぶりに代表となったDFMは躍進を見せる。

初戦のブラジル相手のKBM戦を快勝すると、「手も届きようがない」と思われていたメジャー地域NAの3位で登場したC9に大善戦を見せる。世界屈指のMIDレーナーと名高いJensenのイレリアをレーン段階からボム兵セロスが五分で凌ぎ、タムケンに乗ってやってきたYutaponヴァルスのULTに合わせて竹馬コンビでJensenを潰す。集団戦ではEviのアーゴットが何度もULTを決めるだけでなくフィアーをばらまき戦況をひっくり返した。そしてそんなNA代表に終始優位を取り続けて2インヒビ、バロン、エルダーを獲得、ネクサス前の最後の集団戦で今も語られる「リサンドラの悲劇」、背後からエンゲージしてきたリサンドラにしてやられる形で0-5エース。メジャー地域からの「大金星」を手元まで手繰り寄せながらも逃す結果となった。

あまりに惜しい1戦。ただ、2021の今となってはこの2018の悔しさが2021MSIの1勝に繋がったと見ることも出来る。2021DWG戦もそうなってくれることを祈るばかり。

1勝1敗で臨む3日目、3チームのうち上位2チーム抜けなので、一度勝ったブラジルKBM、そして一度惜しかったC9のどちらかからたった1つ勝てばあっさりグループ抜けが決まる1日だったが、ここでDFMはまさかの2連敗。なんやかんやでグループはC9が抜けてブラジルと日本が1-3で並んだ形でのタイブレークとなった。2連敗で非常に流れが悪いと思われた中、そのタイブレークでDFMはブラジルKBMを7-0で一蹴、初のグループステージラウンド1突破となった。

今も語り継がれる”カンカンバロン”はこの試合。ブラジルBOTレーンは20分を過ぎようやくDFMのBOT1stタワーにミニオンを押し付ける。その場で守っていたのはCerosのカルマ1名。ダイブを警戒して下がるCerosを前にブラジルのSUPアリスターはカンカン(ジョークボタン)を押して煽る。なお、その煽っている間にDFMはスニーク(こっそり)バロンを開始。ブラジル側が気づいた頃には時すでに遅し、DFMは無事にバロンをゲットし、そのバロンバフで試合を終わらせ、大事なタイブレークを制した。

あと1チームにBO5で勝てば日本の悲願のひとつ、Worlds本戦出場といったところだったがそこに立ちはだかったのが「なぜそこにいる」中国EDG。 Clearlove, Scout, Meiko,という世界屈指のメンバーを揃え、実際にこのWorkdsでベスト8にまで進むEDG相手にレーン戦から大ドミネートされて格の違いを見せつけられる形での0-3敗戦。メジャーリージョンに手は届きそうだが、Tier1の中国にはボコボコにされるくらい、というのがこの2018段階のDFMの現在地といったところだったと思われる。

7.MSI2019 あと1勝、立ちはだかるロシア

19年春のLJL、viviDからGeangになったり、サブにRamuneを獲得したほかには変化のなかったDFMだが、国際戦の調子の良さを継続する形で、今期から8チームになったLJLを20勝1敗で1位突破。プレーオフもUSGに3-0と寄せ付けない形で日本を制覇し、何度目かのMSIに臨む。

19年のMSIは、ロシア、東南アジア、ブラジル、日本で2試合ずつ、その中で1位のみ上に進める厳しいレギュレーションだったが、初戦のMEGA戦を当時流行ったソナタリックで制したDFM。続いてのロシアVEGA戦、セロスのプールもあってオフメタでの強さがピックアップされがちなDFMだったが、絡め手はロシアのVEGAのほうが一枚上手だった。もちろん当時もメタ外だったセロスが得意とするハイマーを取り上げ、それをBOT運用される。試合でもJGを研究されたのか序盤からStealが狙い撃ちされカウンターJGからレベル差をつけられ、といった形でじわじわ差を広げられ、狐につままれるかのようにふわっと敗戦を喫した。

勝負の3日目、DFMはブラジル、東南アジアに連勝したものの、ロシアVEGAも無敗で進む。お互い0敗と1敗、天王山となった1戦でDFMは勝負のソナタリックをピックするも、謎メタの発生源ともいわれるロシア、その手の絡め手は通用しないのかDFMの1stピックがタリックなのにVEGAはあえてのソナオープン。DFMは思惑通りソナタリックをピック出来たが、試合開始後「ソナタリの潰しかたなら慣れてる」と言わんばかりに序盤からJGがアグレッシブに突っかけてくる形でソナタリ崩しを敢行、終わってみれば26分12K差での大敗となった。

RIOTの気まぐれ調整が産んだあだ花、奇策でありながらその強さで世界を席巻したソナタリックBOTレーン。実際に日本だけでなく他チームもいくつかMSIで運用を試みていたが、ブームになってしばらく経っていたため「ソナタリの強み弱み」「潰し方」も熟知、準備されており、ソナタリピックすればするほど負けるといった感もMSI日程が進むにつれ出てきた感もあった。

結局MSI2019は4勝2敗というまたもや惜しい形での敗退。そしてこのロシアの面子はこのあと、メンバー全員がUOLへ移動し、以降ロシア代表の常連メンバーとなるのであった。

https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1182989.html

8.Worlds2019 EU3位を撃破!するも…

2019夏のリーグ戦も17勝4敗、プレーオフも3-1で盤石といった感もありつつさくっと日本を制したDFM。惜しい戦いが続いており「今回こそ」感もあったWorlds2019、くじ引き的にPool1で2番目と目されていたEU3位のSplyceと、Pool2で1枚格が落ちると目されていたラテンアメリカのIsurusを引き当てたDFM、この3チームで2位に入ればよい、となるとワンチャンは十分あると目されていた。

初戦のSplyce戦では戦前の予想通り力の差を見せつけられる形で敗戦、ただ、今回は実質ラテンアメリカ相手に勝ち越せばそれだけで良いレギュレーション。そのラテンアメリカ相手だが、開幕からラテンアメリカを代表するジャングラーOddieが積極的にStealを潰しに来る。他レーンで取り返したり一進一退だったものの、ドラゴンをどんどん抑えられオーシャン4ドラでエンド。DFMが久々に初日0勝で暗雲立ち込めるスタート、それもあと残り2戦という形となった。

絶対に負けられないのに相手がEU3位という絶望的状況での3戦目だったが、EU3位にレーンでは互角以上の戦いを見せる。そしてずーっと日本が経験不足で苦手だと言われていたバロンダンス(バロン前での駆け引き)でSplyceのメンバーを釣りだし3キル+バロン獲得、そのままネクサスを破壊し、LJLの歴史で初めてメジャーリージョンのチームに土をつけることに成功した。

この試合の詳しい背景は公式実況かっちゃんの動画を参照すると詳しい。彼自身もこの試合の直後、日本での配信バックヤードでの様子、歓喜と号泣がツイッターに上げられ「後進国JapanにもこんなにLOLにアチィ奴いるのか」と主に海外で大バズりした。日本eスポーツ3大号泣の一つと言われている。残りはEVO2011のふーど優勝板ザン号泣、あと一個はみんなで考えよう!

EUを倒して、あとはISURUSに勝てば上のステージに行けるのが確実となった一戦だが、状況はISURUSも同じ。お互い絶対に負けられない戦いは序盤から終始ISURUS有利で進む、何度も何度もISURUSが試合を決めかけるが、DFMも意地でなんとか盛り返す、というシーソーゲーム。年々試合時間を短くする調整がなされているLOL、特に世界大会で珍しい60分を超える試合となった。幾度となく試合をひっくり返し、現地ドイツの観衆から「DFMコール」も沸き上がったこの試合は、最後相手ネクサス前でボロボロになりながらキルを取ったDFMがネクサス強攻、エルダー直行、リコールと選択肢のある中でエルダーを選択するも、絶対に渡せないISURUSが4人で突っ込んできての集団戦、体力の減っていたDFMの面々が先に崩れる形で敗戦となった。

結局Worlds2019は初のメジャーリージョン相手に1勝という実績解除を成し遂げた一方、格上とはいえ少しだけ格上のラテンアメリカ相手に0勝2敗となり、現地ファンに大きなインパクトを残したものの、グループ1次で敗退といった形となった。

https://e-sports-press.com/archives/18817

9.コロナで中止のMSI2020、V3に阻まれたWorlds2020

2020年はLJLも例に漏れずコロナの影響を受けることとなった。リーグを12勝2敗、プレーオフを3-1で制したものの、MSI2020は中止。代替イベントで中韓対抗戦が開かれたが、日本は蚊帳の外であり賞金以外に手に出来たものは例年よりも少なかった。

この動画の最後にプレーオフ優勝決定の瞬間のVC動画も入っているが、動画のテロップ「MSIだぁ!(※ありません)」が悲しい。

すると20年夏、異変が起きる。常勝軍団が国際大会の中止でモチベーションを失ったのかは定かではないが、夏のシーズン、1日2試合ずつ行われるのだが、初日を1-1の五分、ここまではありうる話だが3週目も1敗を喫し、4週目には2連敗を喫する。結局その連敗は5まで伸びる形となりLJL2014以来の上位を逃す中位、勝率5割での4位となった。

なんやかんやでプレーオフの底からBO5を3連勝して決勝まで進んだものの、リーグ1位のV3に2-3で屈する形で久々に海外大会出場権をDFMが逃すこととなった。

代わりに出場したのがリーグ1位のV3。プレーオフもリーグ戦もDFMに負けず劣らずの勢いがあり期待はされたものの、初出場のチームということも影響したのか苦戦することとなった。

香港台湾、ロシア、ラテンアメリカ、中国。日本の5か国で1位は即抜け、2位は一つ上、3-4で争って5位は終了、という「とりあえず4位以内は夢がある」といったシチュエーションだったものの、ラテンアメリカから1勝を取ったのみでの敗戦となった。面子は厳しかったものの、メンバーがベストでなかった香港PSG、そして調子を崩しに崩してラテンアメリカにすら負けていた中国LGD等、コンディションで言えばチャンスはあったが、といった形でV3は帰国という形となってしまった。

https://alienwarezone.jp/post/2907

10.変革のDFMとMSI2021

20夏の敗戦を受けてか、DFMは大ナタをふるうこととなる。CGAからFAをしていたMIDのAriaの獲得を発表した。そう、MIDにはLJL黎明期からDFMのMIDに君臨したCerosがいるのに、だ。そして基本的には海外選手は2名までという都合上、Ariaが入ることによって、SUPのGeangも控えに回ることになる。色々あるがGeangの問題は夏には解決するのだが、Cerosサブという問題はどちらかがロールチェンジしない限りついてまわることになる。それでもなおAriaを獲得したというのは、界隈の大きな話題となった。

結局基本的にCerosはサブで、Geangの代わりに元コーチのKazuが選手として緊急復帰という歪極まりない形にはなったが、それでも結果はついてきた。昨年夏の轍を踏まぬといった形で開幕から6連勝、その後も勝利を重ね終わってみれば12-2、乱戦を予想されていたものの結局「強いDFM」が帰ってきた形となった。プレーオフも盤石で制し、今年のMSIはアイスランドという遠い国ながら開催されることとなった。

そして始まったMSI。ここからはご存じのとおりだろう。LJL最高のMIDと名高いAriaが初の世界大会で緊張したのか序盤でまさかのソロキルを受けてそのまま崩れて負けたINF戦。

これはヤバイという空気の中、2018の忘れ物を取り返し、格上に土をつけたC9戦。

そして2020Worlds優勝メンバー4人が残る現世界最強地域韓国の現世界最強チームDKを「あとネクサス1本」まで追い詰めたDK戦。

----

そして…残りは5.11の22時からの一連の試合にかかっている。

「惜敗」はもう幾らでも見てきた、「惜しくも」はもう幾らでも聴いてきた。明日はみんなアイスランドの方に向かってオーラでもおくりましょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?