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データで見るLJL各レーンとチーム 2019Spring一回りした記念 W5まで

かねがねLJLは試合中にデータが出るが、それに我々が接触できないのはなかなかに歯がゆいと思っていた。今回はGamesOfLegendsというサイトから少し詳細なスタッツを出してみて、このレーンはこんな感じとか、このチームはここが強みとか、今季のapaMENの突出ぶりは数字的にどうなのか、等を出してみたい。敬称略。

なお、LJLの放送で用いられるデータと少し違うかもしれないが、彼らがどこを参考にしているか知らないので数字に多少の差はあると思われる。その点ご容赦いただきたい、書き間違い棟もあるかもしれないし、分析も浅いので興味のある方は元サイトを眺めるのがおすすめです。見てて楽しいです。

今年のスケジュールの都合上、どうしても全チームが同じ試合数で並ぶ、といったことが最後まで多分ないので、消化試合数で多少スタッツに揺らぎが出る。特にDFMと当たるとスタッツが崩壊する可能性が高いのだが、一応現在2/16午前現在で数字をとっており(SUPはW5終了時)5週目の前半なので、この段階では全チームDFMと一回ずつしか当たっていないためまだゆらぎは少ないと思われる。

ただ、2位のUSGと既に2回当たってるRJ、V3、AXIZは若干配慮する必要があるので、各自各々で好き好きに係数をかけたり引いたりそのまま飲み込んだりしてほしい。(※ダメージ周りと最後のチーム勝敗は5W完全終了時)また、3試合以上出場選手のみ、となっている。

データはKDAとKP、あとタワープレートの影響を考えて15分時点のGold Differential(対面との金額差)、(あと一部ダメージとダメージ%)をメインに、考察部分では気になった数字を引っ張ってきていることもある。次回以降このような数字をピックアップすると良い、というアイデアがあれば教えていただきたい。

TOPレーン

                       KDA                         / KP        /Gold Differential/dmg/dmg%
1 apaMEN 5.8(3.1/1.5/5.6) /
64.2% /+801/374/19.5%
2 Evi    5.4(5.0/1.7/4.3)
/ 54.5% /+486/494/22.6%
3 Nap     4.7(2.7/1.2/3.1)
/ 37.7%/ +182/336/17.8%
4 Paz    3.4(2.0/2.0/4.8)/ 60.2%/ -115/466/28.0%
5 Alleycat     3.2(3.3/2.3/4.1)
/ 63.0%/ +9/365/20.5%
6 cogcog    1.7(0.7/3.0/4.5)
/ 54.0%/ -789/323/21.2%
7 Reiya     1
.2(1.1/2.9/2.4)/ 48.1%/ -472/398/25.1%
8 uinyan   1.1(1.4/3.6/2.5)/ 66.9%/ -525/331/23.3%

・数字で見てもapaMENの突出が目立つ結果となった。比較値として、昨年夏のEvi(19W2L)のKDAは4.0でKPは54.2%、GDは+634。今年からタワープレートができて序盤のスノーボールが加速したとはいえ、それでも去年夏のEviよりも稼ぎに稼ぎ、なおかつKP的には試合(というかキル)に関与している。

昨夏のapaMENのGDが-282だったことを考えるとUSGを牽引しているのはapaMENの好調といって間違いない。また、USG自体が「BOT中心」から「MID中心」に変わったため、apaMEN自体がMIDの競り合いに参加しやすくなったりしたのも影響しているだろう、と推測してみたのだが、apaMENのKPは2018夏とほぼ同じ、というのも面白い。

データとして見ると、TOPは昨夏から6人とも継続しており比較がしやすい。EviのKPが低いのも昨夏同様だし、特にPazはKDAにこそ変化はあるがKPやGDに大きな変化がないといった特色がある。3強時代のPGMからV3への移籍で、一般的には成績も下降するのが世の常だが、安定したパフォーマンスを出しているのが分かる。

今季になってapaMEN以外で数値が大きく変わっているのはNapのKPが昨夏の61%から2/3になっていること、そしてcogcogのGDが+92から-789に約800下がっていることだ。Napは昨年夏、チーム自体が勝率36%なのにCSでは勝率64%とかなり気を吐いていた。そのパフォーマンスを維持しながら、チームとしてはキルへの関与が減っているというのは「Nap依存」からの脱却、「MIDとADCにヤバいやつが入った」というのが数字からも見て取れる。

一方cogcogだが、昨年はチームが振るわなかったもののCSでは50%の互角、ダメージでは6人中Eviに肉薄する2位V3ではオフェンシブな役割を担って活躍していたが、今季のダメージはTOP最下位。様々な事情があるのかもしれないが、データを見るに昨夏のようなエイトロックスやスウェインでなく、ピックの半分がサイオンとBCに移籍して以来”耐える”役割になったことがスタッツ的な低調さを招いているのではないか、と思われる。

ジャングル

                       KDA                         / KP        /Gold Differential(15 min)
1 Steal     8.1(2.3/1.4/9.3) / 67.3% /+92
2 hachamecha 4.4(1.6/1.6/5.2)/ 46.5% /-97
3 Tussle    4.3(2.0/2.2/7.4)/ 64.7%/ +129
4 WyverN   3.4(1.8/2.3/7.8)/ 78.3%/ +217
5 Once       3.2(1.5/2.0/5.0)/ 64.7%/ -101
6 Neo       2.0(2.0/3.1/4.1)/ 67.5%/ +152
7 Smile      1.4(1.7/4.0/4.0)/ 71.4%/ -224
8 iSeNN    1.1(1.1/4.1/2.9)/ 57.0%/ -178

JGはチームを映し出す鏡、と言われてるとか言われてないとかだけど、おおむねKDA順が順位通りになっている。StealのKDA的な突出度も目立つが、意外にhachamechaが15分時点では金額差で負けているというのは印象と違う人も多いのではないだろうか。

逆にWyverNが15分段階では対面に最も勝っている、というのも面白い。KPの高さからも、RJのストロングポイントはWyverNだというのが分かる。一方、この高すぎるKPは裏返せば、WyverNがいない場所ではキルをあまり取れない、ということでもある。チームの動きとしても読みやすく、研究された際には苦しくなるだろう。

昨夏からの変化でピックアップしたいのはTussle。昨夏はGDが-269とかなり厳し目の数値だったが、今季はプラ転。好調なapaMENとのホットラインには注意が必要だろう。

もう一点ピックアップするならSmileか。開幕戦で大敗しメンタルが崩れていたように見えていたNeoは試合を追うごとに復調していっている感があるが、Smileには未だその兆しがあまり見えない。かなりのブランクがあったiSeNNとスタッツ的に互角というのは「外国籍枠」を使っていると考えると正直物足りないところだろう。

また、そのSmileのKPの高さ、すなわち不調のSmileにそれでもかなり頼っているという状況もSGの苦しさを端的に数字で表しているように見える。

MIDレーン

1 Dasher     8.8(4.9/1.2/5.7) / 77.7% /+446/739/38.2%
2 Ramune    8.4(5.3/1.7/8.7)/ 70.4% /+1388/571/25.5%
3 Ceros     4.4(3.3/2.5/7.8)/ 72.4%/ -553/535/24.3%
4 Luna     4.4(4.0/1.9/4.3)/ 55.9%/ +144/570/29.4%
5 Ace        3.7(2.1/1.7/ 4.1)/ 59.3%/ -203/349/21.9%
6 Hollis       2.6(3.6/3.3/5.0)/ 70.9%/ +289/497/27.9%
7 Roki       2.5(3.1/2.6/3.5)/ 69.2%/ +481/392/22.5%
8 Taka     1.3(2.0/3.4/2.4)/ 52.1%/ -656/402/24.7%
9 Gariaru    1.2(1.4/3.3/2.5)/ 68.2%/ -820/406/28.1%

・巷でもっぱら噂のMIDレーン。LOLの構造そのものが年々”MIDハイパーキャリー”が難しくなっていっているのだがそれでも突き抜けた成績を残すDasherは、さすが信頼と実績のUSGブランド、といったところ。ただ、ダメージの割合を相当MIDに依存していることも分かる。当然後半になるに従ってDasherと刺し違えても勝負、みたいな戦いが出てくるだろうし、そのときの二の矢があるのかがUSGの課題だろう。

同じく突き抜けた成績を残しているRamune。こりゃ巷のラムガールたちが出せ出せ騒いだり、試合会場の無限大の前、渋谷センター街でデモ行進するのも納得の数値。ただ、対面が5位、8位、9位と全員日本人なのは割り引く必要があると思われる。

Cerosも相当なマイナスを序盤抱えているが、こちらもRamuneと同様に当たった相手を考える必要がある。ましてや初週のDasher相手だったことと、Cerosの場合、チームのスタイル的に常にプッシュしていることを考えて判断したほうが良いだろう。

Cerosといえば去年のWORLDS最終戦を指して「通用しなかったハイマーで3戦」を疑問視する声や「メタチャンプ使え」といった声も当時上がっていたが、あの試合を見ていれば「DFMのMIDがビャーグセンでも試合結果はほぼ変わらなかったし、TSMらしいスコアになっていた」と思うので、あの試合で語るべき論点は別のところだと思っているのだけど、ともあれ、Cerosを使った「DFMスタイル」Ramuneを使った「普通のLOL」という二刀を使い分けるDFM、かずーたが見据える「本番」でどう使いこなすのかは期待したい。

LOLの構造的な話もしたが、MIDレーンは他レーンの影響を受けやすいレーンだというのがGariaruからもわかる。Gariaruは昨夏のKDAが3.2、GDが-114だったのが上記の数値になっている。新生チーム、不利を背負いがちな状況からくる苦しさが数字からも伝わってくる。

そして、15分段階でDasher以上の優位を築いているのがRoki。チームとしては少し低調な中この数字はすごい。ただし、逆に言えばこのMIDの有利が試合の勝利に繋がっていない、となる。

また、今季から参加した日本人で、チームもそんなに好調でないAceが、対面外国枠のなかかなり健闘しているのがわかる。特筆点はとくにデスの少なさ、よく耐えているが、耐えた分ほかのレーンに頑張ってほしい、と思うのが実情だろう。

BOT(ADC)

1 Yutapon    13.7(4.4/0.9/7.3) / 69.7% /+375/691/31.1%
2 Yutorimoyasi   8.4(3.0/0.8/4.0)/ 72.8% /+413
/477/30.5%
3 Art       7.2(5.2/1.3/4.3)/ 69.5%/ +129
/663/34.7%
4 Keymaker    5.9(2.7/1.6/6.8)/ 64.8%/ -48/477/24.8%
5 scottlyk        3.0(3.1/2.4/4.2)/ 58.0%/ -55/511/28.2%
6 OdduGi       2.4(2.4/2.6/3.8)/ 75.2%/ +55/435/26.6%
7 Zerost       2.3(2.2/2.5/3.5)/ 66.2%/ -530/373/25.3%
8 Day1      1.7(1.5/2.5/2.8)/ 67.3%/ -574/386/25.8%

・一時期KDA世界ランクに入っていたYutaponは数字を落としたとはいえさすがの抜け具合。moyasiもチームが低調な中でこの数値は立派

また、CGAは昨年のTOPヘビーなチームから、BOTも好調になったことがチームとしてかなりの上積みになって、その結果としてチームが上位にいることが数字からも分かる。

scottlykも、長年のプロシーンのブランクがある中で、チームとしても上位でないのにこの数字は賞賛されてしかるべきではないだろうか。今の所プロ野球のような「カムバック賞」がLJLにもあったとしたらscottlykが第一候補だと思われる。

逆にチームが低調なのもあるがOdduGiは随所に巧さを見せているが、それでも勝ちにつながらないのが苦しいところ。KPからもSGはOdduGiがダントツのポイントゲッターなのでフルフォーカスされてしまうのがあまりに苦しい。自衛力の高いADCか、あるいはどこかもう一箇所攻め手がないと打開は苦しそうだ。

Zerostは数値こそ悪いが、チーム組んだ直後だったり、当たった相手であったりとこの数字は割り引く必要があると思う。Masyoの活躍も勿論見ているが、長丁場の今季で、怪我や病気等以外の理由で数試合で早々に追加募集、先発落ちという仕打ちは「チームワーク」であったり、あるいは今後の選手獲得に影響が出てくると思うので、勿論目先の勝利を拾えたかもしれないが、正直早計であったのでは、と思う。安易なスターター変更は迷走から下位低迷を招く、と過去のLJLの歴史にも残っている。おそらく成功したのは「後がない」状況から「Taki」という逸材をツモったRJくらいではないか。我々は7thから、BEから、Scarzから得た教訓を忘れてはいけない。

あとは個人的には過去のスタッツが結構キルに関して尖ってるNoAも数字的に見たいので今後の出番に期待したい。

SUP

                       KDA                         / KP        /Gold Diff/Vision/Wardclear
1 Gaeng  10.6(1.3/1.3/12.3) / 80.2% /+451/ 2.28/ 0.29
2 Enty    5.7(1.4/1.8/8.9)/ 71.7% /+296/ 2.80/ 0.38
3 Grendel   3.6(0.9/2.1/6.8)/ 54.2%/+352/ 2.38/ 0.20
4 viviD    2.9(0.9/2.5/6.4)/ 70.8%/-123/ 2.40/ 0.40
5 Yuki       2.7(0.4/2.6/6.6)/ 57.4%/ -139/ 2.19/ 0.22
6 Mocha     2.2(0.6/2.8/5.4)/ 56.6%/ +25/ 1.84/ 0.25
7 Raina      2.0(1.2/2.7/4.2)/ 64.7%/ -369/ 2.53/ 0.47
8 ThintoN   1.5(0.6/2.5/3.1)/ 51.5%/ -420/ 2.58/ 0.44

サポートはワード関連スコアも出したが、正直「良し悪し」が最も数値化されないロールだけに難しい。

なんだかんだでDFMからチーム力の落ちるV3へ行き、相方が変化しているにも関わらずKPやスタッツが高めのviviDが良いサポートなんだなあと分かる程度。

視界管理に関しては、ワードクリアは勝ってるチームのほうが少なく、押し込まれてるほうが自陣のワードクリアが多くなるので有利かなと思っているが、視界スコアもワードクリアも高水準のEntyは、ロームやフックなど攻撃面にスポットを当てられることが多いが、視界管理をかなり徹底しているのが分かる。

ここまでの傾向

DFM 9W0L 1位

苦戦したのは「DFM特攻」を持つ34コーチのBCと、USGの二戦くらい。MID2枚看板を使い分けている真の意図は不明ながら、それでもこれ以上ない結果を今の所出しているが、DFMがリーグで強いのはいつもどおり。もう一つの「DFM特攻」持ちの7th亡き今、もうリーグ戦1位突破のオッズは既に1.1倍切るくらいだろう。

今季はYutaponが絶好調を維持しておりKPも高いが、いざとなればEviんモTVを開催すれば済むわけで、単純にマクロと日本人が強すぎるいつもの構図。リーグはよほどのことがなければこのまま行くだろうし、見据えてるのはプレーオフ決勝と、その先でしょう、たぶん。

強み
・最序盤からのマップ掌握能力、中盤のマクロ、個人のデュエル能力、試合中のプランチェンジで切れるカードの多さ

弱み
・誰か34コーチに聞いてください。世界でノウハウ持ってるのあの人だけ

CGA 7W3L 2位

Summer6位からメンバー三人交代でこの位置へ大躍進。負けた相手はDFMとUSG、そしてRJ。特にRJ戦はピックで裏をつかれ、序盤のHachamechaが潰された時の弱みを一つ見せてしまったのが心配点。逆に言えば、序盤から潰されでもしない限り相当な存在感を放つHachamechaが試合に相当の影響を与えていることがわかる。

新加入のLuna、Artは確実にダメージを出してくるし、Napもその腕は折り紙付き、レーンで有利を取りたくてもCGAに有利を取れるレーンはそう多くない上にHachamechaの介入で有利を広げている形が多い。対CGAはとにもかくにも序盤のHachamecha、おそらく各チームも気づいており包囲網が敷かれるであろうなか、どこまでこの位置を維持できるか。あるいは1位を食ってしまうか。

強み
・Hachamechaのジャングル制圧力+レーナーの個人スキル

弱み
・Hachamechaを序盤で潰されたときのセカンドプラン

USG 7W4L 3位

大エースが抜けて大エースが入ってきた、それに合わせて戦場がMIDになったが、大きな混乱もなく3位キープ。既にDFMと2回当たっており、そういう意味では既にCGAとほぼ同率と言えるし、直接対決に勝っている分だけCGAより優位にいるとも言える。ただし、既にジャイアントキリングを2度与えてしまったり、(Yutaponを褒めるべきだが)勝てそうな試合を落としてしまったりが目立つ。

今期絶好調のapaMEN、”本物”のDasherと地力は十分だが、既に4敗「も」している。CGAと違って「明確な弱み」を見せていないが、見せていない段階でジャイアントキリングが起こっているのもまた事実。

Dasher依存が高いため、試合後半で不慮の事故等で落ちてしまうと、それだけでデスタイマー回復前に試合が終わってしまう危険性を孕んでおり、事実キリングされてる試合はすべて(と言っても2つだが)試合後半まで粘られてひっくり返される状況だ。

格ゲー界では「完全な二択の攻め」を仕掛けられた際に「人類平等(※ウメハラでも初級者でもどちらかにヤマを張る必要があり、そこに技術が介入する要素がないため)と言われるが、USGはLOLにおける「人類平等」に近い部分、AXIS戦の最後エルダー持ちシヴィアULTシンジャオFlashEイニシエート、RJのダブルエルダーと「技術介入が難しい」状況でトドメを刺されている。

これを踏まえると対USGはドラゴン取ってとにかく試合を引き伸ばすこと、試合後半ですべてを出し尽くす気持ちでDasherをなんとか抑えることが下位にとっての狙い所だし地力でねじ伏せて早めに試合を畳んだほうが安定するはず、なのだが好んで使っているメイジBOTはタワー折りやオブジェクトに不安が残る。今季取りこぼしが多いのはそこでは、と睨んでいる。

強み
・TOP/MIDのレーンの強さ、JG/SUPのロームで他レーンへの介入力、Dasher

弱み
・メイジBOTでのオブジェクト処理の遅さ

RJ 5W5L 4位

昨年2部3位から最低限のメンバーチェンジでこの数字は躍進といえる。負けた相手もDFM2回、USG、CGAとSG。上位以外には相当拾えているのがわかる。

LJL開始直後からのscottykのエズスパムと、それを逆手に取ったカーサスBOTでUSGから拾った一勝は会心の出来。全レーン序盤は苦しむもののJGの介入とホリスの地力で粘って勝つ傾向にあり、勝った試合はいずれも30分以上。「立ち位置」を踏まえてクレバーに戦っていると言える。

コーチの変更もあって一気に伸びてきた印象だが、それだけに序盤の迷走が惜しい。現在相当苦しんでいるSG相手に落としてしまった一勝は、それがなければUSGに肉薄していただけに重くのしかかる。

その落とした試合はハンドスキルの高さは誰もが認めるホリスがゼドピックで落とした一戦と言っても過言ではない。W4以降は改心したのか、チームから孤立する場面も減り、あのDasher相手に6/1/6を叩き出すポテンシャルの高さも見せた。良くも悪くもチームの軸はホリスとワイバーンで、特にホリスをチームでどれだけ制御できるかが今後に関わってくる。

強み
・ホリスのハンドスキル、ワイバーンのガンク力、チーム面子が長めな部分からくるコミュニケーションエラーの少なさ、戦力分析を踏まえた戦い方。

弱み
・相対的に辛いことの多いレーナーの序盤レーン力、ホリスが刺さらなかった時の手詰まり感。

BC 4W6L 5位

初週でDFM相手に「あわや」と行きかけて今シーズン台風の目となることが予想されるも伸び悩みこの位置。MID、BOTが序盤相当稼いでいても中盤以降失速することが多く、スターター3名入れ替えからくる噛み合わなさが出てきている模様。(本当に必要なラストピースはHarettiだった…!?)

インフルによるスタメン変更等不幸な部分もあったが、やはりcogcog絶不調が一つキツいポイント。今季は耐える役割が多く、スタッツの高いオフェンス力が影を潜めている。とにかく今季刺さっていない握撃サイオンで耐えて後半Moyashiにつなぐ、という役割から別に替えないと苦しいか。

また、Onceも勝ってる試合はスタッツも良いのだが負けてる試合は足を引っ張る引っ張らない以前に試合への介入度の低さが出ている。サッカーで言えば「消えてる」時間帯が長い。

チームとして後半の集団戦でMoyashi爆発を狙っているというのもあるが、それ以外のパターンが少ないため耐えきれずに崩れている感がある。勝っている4試合も、うち2試合が40分ゲーム。MIDBOTが序盤で各400G有利を築いているのにこれはどうにも噛み合っていない。

初戦のV3戦のような序盤から仕掛けるパターンも試してほしいところ。逆に下位チームも、序盤からのオブジェクト有利を狙っていき、試合をコンパクトに纏めたほうが勝てるチャンスが出てくると思われる。

強み
・MID/BOTの序盤からの優位形成、セーフティかつダメージを出し切るMoyashiの集団戦パフォーマンス

弱み
・耐えきれず崩れがちのTOP、集団戦まで「消え」がちなJG、伸びがちな試合展開

V3 3W6L 6位

今季の台風の目予想も、懸念していた「序盤のつまづき」に見事つまづいてしまい、勝ったのはSG2回にAXIZ1回、それもAXIZには1回負けている。チーム全とっかえからくるゴタゴタ、久々のNeoのメンタル、不振からのスターター変更、とどうにも裏目裏目にきている感がある。

RJの躍進は「チームの色」がチームゲームで結構重要なポイントだと教えてくれている。格ゲーでは「キャラコロ(キャラをコロコロ変える)」という表現もあるが、Banのない格ゲーにおいて、複数キャラを持って相手に合わせて有利キャラを使うのは一見物凄い有効手に見える。1対1な上にカウンターピックなのだから。ただ、当然習熟度に差も出るし、またメンタル面でも替える替えないの悩みどころが出てきて、既に不退転の覚悟が完了している1キャラ使いに遅れを取ることは決して珍しくない(うまくいくことも当然ある)。

LOLも5人で1チームの競技で、この5人をどれだけ信じられるか、というのは各人のモチベーションや5人の連携に影響してくると、天国に行った7thが教えてくれている。ジョークのように用いられるCeros、Yutaponを指しての「竹馬の友」もあながち笑い話でなくパフォーマンスに大きな影響を及ぼしていると思われる。

そういった面ではぜっかくの残留チームなのに全取っ替えしてシーズン序盤戦の有利を一つ投げ捨て、早々にスターター変更と2度も投げ捨てているV3は9戦してチームの勝ち筋の構築が未だできていないという状況に見えるため、そこの構築が課題と言える。

もちろん、5人を信じて負けが続いても替えないで落ちていけば「無策」とも言われるのだが、それでも今回のスターター変更はあまりに早計だったのでは、と言わざるを得ない。スターター変更は劇薬。

強み
・安定したPaz、viviDのパフォーマンス。各人が強豪チームに居たという経験、序盤不調だったNeoが得意の奇襲めいたエンゲージを見せ始めた点。

弱み
・チームカラー、勝ち筋のなさ。チームとしての迷走状況。

SG 2W7L 7位

予想以上に苦しんでいるチームその3。新規参入で苦戦は予想されていたが、それでもここまでとはチーム関係者も驚いていると思う。ただ、たまに見る配信ではそこそこ明るく、そこまで現状を悲観視していないのは今後まだ前を向ける強みになると思われる。チームの結束と連携が出来上がってくれば、という伸びしろとポテンシャルはある。

チームの核、OdduGiのファーム力は現状ですでに高く、Art、Moyashiの次につけておりyutaponより高い。さんざん狙われてデスタイマーの時間があるにもかかわらずこの数値は高水準だと言える。

一方チームの核だと丸わかりで狙いまくられるために守りきれずダメージに変換できていないのが辛いところ。またJGは序盤で一番不利を背負っていたりするのも、JGのKPが高く、仕掛けてくるタイミングはJGが近くにいるんだろうと読みやすかったり、その上BOTヘヴィーなのが読み切られているところにもあると思われる。

Reiyaのダメージの高さはTOP全体3位と一つ強みになる可能性を秘めており、その割にKPが低いのは、そのダメージが試合に影響させれていないことを表している。もちろん核はBOTだが、オフェンス力を信じてTOPから作る試合も見せておくことで、BOTへのマークも緩くなり結局はチームが活かされるのではないか、という風に見えてくる

強み
・OdduGiのファーム力とハンドスキル、TOPのダメージ、雰囲気の良さ

弱み
・JG依存度の高さからくるJGの苦戦、各レーンのレーン力

AXIZ 2W8L 8位

最下位にこう言ってはなんだが、「相当頑張っている」と言ってもいいだろう。いままで2部上がりのチームが大苦戦してるのを何度も見てきているだけに、「新結成」なうえに「初チーム運営」で「外国籍枠なし」というのは相当な苦戦を予想されていたが、蓋を開ければ既に2勝。なんなら個人的には毎回「応援」という気持ちが見ていて一番強くなるのがAXIZだ。俺ファンボーイかもしれんな。

一番の強みはRJと同じく「現状の把握力」=客観視できる力、Gariaru配信の「振り返り」は、プロが何を考えて戦っているのかを話してくれるだけに面白いうえに、彼らのメンタリティの強さも表している。1勝目には涙も見えた各人だが、2勝目ではそんな姿もなく「勝つことが普通」に近づいていっている。

とはいえレーン戦はやはり苦しいし、JGもなかなかに息苦しい。どうしても受け身のスタートになりがちだが、それを織り込み済みで試合できるかできないかは結果に影響していると思われる。

どこが「核」というのもなかなか言いづらいのは弱みでもあり強みでもある。一応Gariaruが核と言えるが、ある意味フラットだからこそ「読みづらさ」が出てくる。

ここまで苦戦してきたuinyanも得意(じゃないとあの動きできないでしょ)のケネンで、レーンで勝ったとはまあまあ言いづらいだろうが「試合で勝った」とは胸を張って言える貢献をあのPaz相手に果たしたのだから立派であり自信にもつながるはず。現状TOPから動かすチームは多くないだけに、奇抜なピックを持つuinyanが一つ起点となる動きが確立できればさらにおもしろくなるはず。

また、1勝目もLOL歴の長いThintonだからこそ本番で難なく使えたどころか活躍できたであろう「サポート」としてはレアなリサンドラが刺さっただけに、バンピックから仕掛けて驚かせる展開を今後も期待したい。

強み
・現状の認識力、Thintonの幅広いプールとuinyanの奇抜なプールからくるバンピック

弱み
・押し込まれがちな序盤、外国籍枠不使用からくるチーム全体の総合ハンドスキル力

おわりに

8チーム制になった割に0-10みたいな極端な負けチームもなく見ていて非常に楽しい。2巡目3巡目になると1勝の重みも違ってくる。言い方は悪いがDFMが全部勝つなら2位以降のチームにとって平等の結果となるわけでDFM戦でブラフのピックをあえて見せる、といった駆け引きも出てくるかもしれない。そういう知略を巡らせたやりとりも今後は期待したい。


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