LJLをサッカー式採点で振り返ってみるテスト

LOLの面白さの一因に「勝敗につながる要素」が多岐にわたるという点が挙げられると思う。もちろんヤスオやヴェインで試合後半にペンタキルを出して試合の決まり手になることもあるし、劣勢のなかシンジャオ決死のエルダースティールで試合がひっくり返ることもある。完璧なエンゲージを決められてヤバいと思った瞬間ゲージが溜まったナーがバックラインに飛び込んでキャリーを全員壁ドンして集団戦の勝敗を決することもあれば、裏に回ったレナータULTで勝敗を決することもある。この感じ、勝敗の要因が複雑に絡み合う具合がサッカーに似てるのでは、と思ったところで。

もう一点、LOLの選手の良し悪しというのをなかなか見返しづらい、というのもある。例えば今季引退したNap選手、公式に残っているスタッツはTOPバチバチに飛びぬけたものではなかったとなってしまうが、この選手の一番の良さは数字に出ない部分、集団戦でのエンゲージやタンクしきってギリギリで引く判断であったりといったいわゆる「集団戦IQ」が挙げられるのだが、どうしても雰囲気になってしまうというもどかしさがあった。

サッカーなんかでも近年になるまで中盤の底、いわゆるボランチや下がり目のセンターミッドフィルダーやディフェンス陣などはスタッツ中心では評価が難しかったというのがある。近年だとさらにデータを細分化して出す風潮になったことで、有効パス率やら走った距離、デュエルの勝利数などが出るようになり可視化されやすくなったが、LOLではそこまで細かいデータは出ない。そこでかつてのサッカーで役に立っていたのが、観戦時の採点と寸評になってくる。試合を通して「効いていた」プレイヤー、負けてしまったがグッドプレイだったプレイヤーというのをある程度定まった視点から見て、そういった試合の採点と寸評を蓄積することで、その選手の強み弱みというのが見えてくる、というそれである。

じゃあ「サッカー的採点」とは何ぞや、となると下の画像に代表されるこういうのである。いわゆる「イタリア式採点」と呼ばれるもので、10点満点だが上下に実質的な部分でかなりのマージンを設けている。これはとあるサッカー代表戦の採点だ。

人やメディアによって基準は違えど基本的に「可もなく不可もなく」「この試合レベルに相応しく試合を無難に進行した」といった基準点を6.0に設定し(基準点を5.5や6.5に設定している場合もある)、0.5刻みで加点減点していき、7.0くらいまでいくと試合を決定づける動きやMVP候補、7.5がだいたい多くの人がMVPって言うやろな、くらいの評になる。上の方は格上にハットトリックとかでも8.5や9.0.くらいまでで、よほどスペシャルなことがなければ10は出ない、といった感じだ。まあサッカーは何があってもおかしくない、ブラジル代表相手に1人で90点取って勝つ可能性だってあるわけで、そういう「よほどの事」に備えて上を開けている、と見ていいだろう。

逆に5.5くらいになると「この試合レベルではやっちゃいけないミスがあった」という感じで減点されていく。例えば中学サッカーでフリーで渡ってきたボールをシュートで場外にぶっ放してもまあ仕方ない部分もある、でもワールドカップでそれをやったらどうなのよ、という話で。5.0くらいまでいくと相当悪く相手の得点に絡むレベルのポカをやらかしたり4点台までいくとわかりやすい戦犯、起きうる範囲で相当悪いプレイと言える「前半早いうちに不必要な後ろからのタックルでPKを献上した上にレッドカードで退場して試合を苦しくした」といったレベルだと3.5でここらへんが実質的な下の限界値といった印象だ。

採点というのも本来は目の肥えた解説、それこそレボルさんやら元プロレベルがやってこそ、という感があるが、残念ながら俺は実力もなければ伝手もない田舎のニートなので、「あったら観戦楽しいだろうなー」と思ったところで頼める相手がいる訳でもない、となると悲しいかな自分で一旦テストするしかないわけで。いわゆる苦肉の策であり。よかったら無断でいいので元プロの人のYoutubeの毎週更新のネタに使っていいよ、俺が見たいから、という感じで。というわけで「採点の精度」「見る目」には多少どころか多大な難はあれど、一旦やってみようという話で。



BCTvsSG 1試合目

BC

tol2(カサンテ):6.0
チームの求めるタンクを過不足なく実行。最後のバロンファイトではSG逆転の一手になりかねなかったエイトロをULTで排除した。
EL(リーシン):7.0
相手JGを最序盤からアグレッシブに潰しにかかり相手の動きを抑制。
KPも80%を超え、終始優位に試合を展開させていた。
Jool(アジール):7.5 MVP
日本初戦で良いスタート。試合を動かすULTを何度も有効に決め、サイドレーンでもエイトロに勝利し最後まで試合をキャリーしきった。
HowLa(ジン):6.5
レーン戦から優位に試合を進めた。ダメージ量には物足りなさが残るが、最後のバロン前集団戦直前にULT4発目を相手JGに当て、試合を決める一端となる大きな一発を当てた。
Charley(ラカン):6.5
Geang相手にレーンも視界も十分渡り合えた。30分頃のバロンでは4人にULTを決めてなお逆転されており、結果的によく決めたといった感まである。

SG

Kinatu(エイトロックス):6.0
陸の孤島で育ち、後半バロン前では1度見せ場を作った。ただその後敗着のバロン前では徹底マークを受けておりさすがにほぼノーチャンスだったか。
Ellim(シンジャオ):5.0
序盤から潰され最後まで引きづってしまった印象。見せ場が薄く連携面や試合の展開面でも今後に不安が残る結果に。LJLなのだから個人技で蹂躙するくらいの気概が今期のチームには必要な可能性も。
Kakkun(オリアナ):5.5
KP100%とSG側の中心だったがダメージ的にも存在感的にも物足りず。序盤が良かっただけに握っていたキャリー権を手放してしまった感。
Yuhi(ヴァルス):5.0
ポークとしての削りも少なくゲームに与えた影響は相当低かった。ULTも有効に使えていたとは言い難く連携面でも浅さが出たか。
Geang(レル):6.0
最序盤から孤軍奮闘するも中盤以降動ける場所が減って苦しい展開に。ULT3人ヒットからのオリアナULT失敗はかつてのDFMなら決まっていたと考えると個の動きは十分だがむしろ「このチーム」へのアジャストが必要か。


BCTvsSG 2試合目

SG

Kinatu(エイトロックス):6.5
孤独なレーン戦を序盤から勝ち、そつなく試合を進めていく。最後の集団戦では起死回生の一撃となりかねないアジールULTを避けきり試合を決めた。
Ellim(リーシン):6.5
KRリーシンとしての面目躍如、序盤潰された初戦と違いのびのびプレイ。鉄火場に顔も出すしファームもしっかりと機動力を生かした。
Kakkun(ユーミ):6.5
ガンクありとはいえKRMID相手に15分段階ゴールド勝利は十分。後半敵陣赤バフ近くの集団戦でも試合を決定づける寄りとULTで存在感を示した。
Yuhi(ヴァルス):7.0
仕掛けられた集団戦の度にうまく最奥まで引いてからカウンターという形でダメージを常に出し続けた。今回のようにGeangや味方が相手をいなしてから出動というスタイルはこのチームのひとつ強みになりそう。
Geang(ラカン):7.5 MVP
個人で視界確保からエンゲージにディスエンゲージ、デスするときも集団戦の中でスペースを作ってからデスしたり、バロンの際に囮になるような動きで引きつけたりと仕事を果たす。サポートキャリー。

BC

tol2(サイオン):5.5
集団戦にも寄りやすいタンクのサイオンだが、集団戦に出遅れたり到着時には終わっていたり逆に前で一人捕まったりと、この試合は噛み合わなさが目立った。新チーム故の課題か。
EL(ヴァイ):5.5
KP9割と試合を動かす役割は担えていたが、エンゲージといった面では綺麗に決められず、タンクとしては柔らかくで終始苦しい展開だった。
Jool(アジール):6.5
1試合目の結果から完全マークされるようになり理不尽ガンクもされたが持ち直してULTで形勢逆転しかけた場面も。ただこの試合は孤軍奮闘すぎた。
HowLa(ジン):5.5
レーン戦で負けて以降はセーフティに動いたのかデスも少なくやれることをやってダメージを出した感。ただ傾いた試合の流れを引き戻すには至らず。
Charley(レル):6.0
視界取りに奔走したり、自陣赤バフあたりの集団戦では狭い通路を活かしてULTを綺麗に決めたりと魅せた。が即座にキャリーのアジールを潰しに行ったGeangのほうが一歩上手だったか。

SBHvsDFM 1試合目

SBH

Evi(カサンテ):5.5
本来のレーンの強さが鳴りを潜め序盤から良さが出ず、最後は対面のグウェンに走られてしまった。Eviカサンテとしては物足りなさが残った。
Forest(レル):5.5
序盤からドラゴン管理は良かった、タンク兼エンゲージとして中盤までは機能していたが終盤になるにつれ空気になってしまった感が。
Dasher(オリアナ):5.0
ダメージも出しKP9割と攻撃の中心ではあったが、逆転のきっかけとなった集団戦ではバックからのTPで仕掛けられる隙を作ってしまった。
Marble(ザヤ):5.5
自衛力も含めてのザヤではあったと思われるが、終盤の集団戦でその生存力が十分生かされていたかとなると少し。最終盤の育ちきったグウェンに張り付かれてはノーチャンス、といった感もあるが。
Vsta(ラカン):6.0
序盤から視界管理にエンゲージにディスエンゲージにと動き回りKPも9割超え。敗着となった終盤の集団戦では実質的にラカン単体で出来ることも少なかった感がある。

DFM

RayFarky(グウェン):8.0 MVP
チームへの信頼からか、今までになくのびのびとプレイ、最終版では育ちきったキャリー義務を十分果たし逆転勝利に導いた。
Steal(リーシン):6.5
相変わらず何をしているのかすべてを言語化するのは難しいのだが、派手なことをせずにじりじりとチームに有利を引き寄せていった。
Aria(ユーミ):7.0
いつものキャリースタイルは影を潜めたが、随所でニーコULTを綺麗に決めて戦況を有利にした。逆転の集団戦も3人にULTを決めたからこそ。
Yutapon(ザヤ):6.5
射程が短く、難しい立ち位置を要求されていたが、持ち前のブリンクセンスとサポートもあり安全かつ確実にダメージを出していっていた。
Harp(ミリオ):6.5
中盤苦しい中も視界を獲りに行く割にピックアップされずに戻ってきたりと動き回ったうえにKP100%と試合を整え後半の大逆転まで試合を伸ばした。

SBHvsDFM 2試合目


DFM

RayFarky(ジャックス):6.5
1試合目ほどの存在感はなかったが、Eviを相手に大崩れしないプレイ。ブリンクで粘って時間稼ぎをしたりと数字外の貢献もあった。
Steal(ポッピー):6.5
ULTでキャリーを飛ばす機会こそ多くなかったが、17分ごろの集団戦でMarbleを飛ばしたこと、最後の集団戦でレルを飛ばしたことは効いていた。
Aria(アジール):6.5
JOOLのような派手なULTを使う機会は少なかったが試合を通してうまいプレイと必要な時にULTでタワー下に引きこんだりと渋さが目立った。
Yutapon(ヴァルス):7.5 MVP
レーンではマイナスを背負ったもののその後は徐々にダメージを出していき、最後の最後ではMarbleとの打ち合いを独特のビルド含めで制して試合を決めた。
Harp(レナータ):7.0
2試合連続で中盤まで苦しい展開だったが、レナータULTで状況を好転させること多数。相手に主導権を渡し切らずに最後まで試合を繋げた。

SBH
Evi(カサンテ):6.0
期待通りの動きがありつつも、途中の集団戦ではタリヤのトリプルキルにつながる布石の動きとなったりと良い部分もあった。最終盤の集団戦もYutaponを遠ざけるという仕事は果たしたが。あとKP37.5は課題か。
Forest(レル):5.5
2試合連続で中盤優位から逆転をされてしまった。もちろんJG一人の責任ではないが、終盤存在感が薄くなってしまっていた感が。
Dasher(オリアナ):5.5
中盤のかなりの有利を築いたのがDasherの個人技なら、最後の集団戦でレナータULTを食らい一人早々に脱落してしまったのもDasher。2試合連続で逆転の布石となってしまっていた。惜しい。
Marble(ザヤ):6.0
1試合目よりよりセーフティかつレーンから勝利と良い部分が出ており、デスが免れない場合には道連れも狙い手は尽くせた感。最後の集団戦は4vs5開始でYutaponの首元まで剣先が届いたことのほうが印象が強い。
Vsta(ラカン):6.0
最初から最後まで十分に仕事を果たした感。特に最後の集団戦は一人二役のように画面をブリンクした上でフラッシュを温存に温存し最後の最後Yutaponに突っ込んだりと「決まれば逆転の一手」を最後まで残していた。

とりま4試合書いてみた感想と課題

一度見た試合を何度か振り返りつつ見直して書くので試合への理解も深まって面白い反面、結構時間がとられるな、といった印象。最初から書くつもりで試合を見るならメモをしつつ試合見ていった方がいいだろうなと。

書いてある内容がふわっとしてたりあまり当たってないという部分に尽きましては初回だということで大目に見て頂ければと。「こういう感じでeスポーツを見るメディアがあったら見たいなー」という個人的願望をいったん形にしたアレであり、分析眼的なクオリティについては一旦ごめんなさい苦肉の策です、というのを改めてもう一度。僕も元プロとかが書いたやつが見たいのは同じです。

あとはこの手の採点、よくあるのが「監督」の採点、いわゆる采配の採点も含まれるので、本当はコーチのバンピックなども加えられたら良いのだが、さすがにバンピックの良しあしについてはあまりに理解が薄いので省いたという形になる。誰か引き継いでやってくれませんかね、俺が見たいから。

DFMあたりに元コーチだったり元選手だったりで戦術眼も実績もあるC氏やK氏あたりが書いてるのを見たいのだがまだ時期が早いか。元プロなどでYoutubeのネタに困ってる人なんかにもおすすめかと思うのでダマでもいいのでパクってください。出来れば見たいので出来たら教えてください。

まだあと8試合あるのだが結構時間食ったせいでまだ今日のウマ娘の育成もしていなければモンハンも触ってない。激運3枚は使わないと損なので。ということで。



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