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僕は友達が少ないしeスポーツにはアンセムが足りない。-DFMアンセム募集企画の話-


なんかそんなアニメありましたよね、金髪の子が相対的に好きでした。基本的にはアホか貧乳か喋り方がふにゃふにゃしてる子(ロコ)が好きなのですが、何か貧乳の子がこざかしい感じだったので、次点で好きな要素である育ちの良さと金髪を加味して、アホ巨乳お嬢様の感があった金髪の子に流れた記憶があります。

10年来のアイマスファンである自分が選ぶ最高の歌い出し。開幕で「セ・ラ・ヴィ」という奇襲、その気負いのないふにゃふにゃ感。最高、


実は今現在、LOL公式が「チームアンセム」投票を促していることはご存じだろうか。要はLOLが音楽のほうで有名なSpotifyと手を組んでいたわけだが、今回世界大会MSIに合わせて「各チーム4曲選んだから一番チームアンセムにピッタリなやつに投票してくれよな!」というアンケートを始めた、要はツイッター企画であって。

自分は結構スポーツ観戦する方で、eスポーツもそこそこスポーツノリでデータを見て、勝敗予想しながら見ている人間なのだが、一般的スポーツと差があるなと感じることの一つが「応援スタイル」そして「音楽」だと考えていた。そういう意味ではこの企画、良いところに目をつけたな、と思うのだが、やはりまだ問題があるように感じる。そこらへんをだらだら書いていきたい。ちなみにだらだら書きすぎたせいで企画は締め切られた模様。

1.eスポーツと音楽 過去の事例とターゲティング的誤解

イベントに主題歌はつきもの、というわけで過去にもeスポーツと音楽、主題歌的なプロモーションはなくもなかった、が、そのどれも「ハマってる」とはあまり感じられなかったというのがある。これは恐らくなのだが、やはりイベントの作り手サイドと現状との温度差、があるためだと思われる。

具体的な事例を見ていこう。日本で比較的早めに、青田買いのごとく資本投入したのがOPENRECとRAGEになる。まあOPENRECは近年eスポーツから手を引いてタレントタレントしてきているが当時、2016くらいはかなりの投資を良くも悪くもしていた、という歴史がある。AbemaでDTNの4BRのレギュラー番組を作ったり、(すぐに消えたが)eスポーツ専用チャンネルを作ってLOL関連番組を作ったり、evoJAPANにいっちょ噛みして資本の投入をする一方、視聴者に混乱を与えたりしていたり、LJLの配信も行っていたりした。

OPENRECから最近は独り立ちした感じでeスポーツイベントとして「RAGE」という冠をいろんなところで使ってるイメージだが、その結構最初の方、第2回RAGE開催に際し、オリジナルソング作成をしている。金持ってるなー。それがこの曲、”VICTORY feat. AK-69 , SIMON , 般若” になる

聞いてもらえれば分かるが、まあヒップホップでも日本では割かしハード寄りの方になる。面子もAK-69に般若と、いわゆるこの前後で日本ヒップホップが再ブームとなるのだが、その割と中心、歌モノ側、って言っていいのかアレやけどそっち側のビッグネームAKと、フリースタイル側の”ラスボス”般若がオリジナルソングを歌っている、という「格」的には全く問題ないどころか、この手の日本ヒップホップをやるうえでの最上級、願ってもない、視聴者の数字を考えればありがたいとしか言えないといっていい面子を揃えたと言える。

そしてトラックもリリックも悪くない。この手の人らは言ってしまえば初見だと「ヤカラ」に見えてしまう部分もあるが、彼らの武器は「言葉」であり、eスポーツシーンに沿った独特の単語をこの短いリリックの中に散りばめている。なんだかんだリリックに関しては真面目なのだ。それもアイドルやタレントが齧った程度よりも一歩踏み込んだ用語が出てくるのが特徴といえる。簡単に列挙すると「クラン」「ガンク」「強キャラ」「OP」「キャリー」「ヘッショ」「フィーダー」「オーバーキル」、ここらへんをちゃんと意味を理解して駆使している。さすが第一線のプロ。おまけにAKは「ウメハラ」と「上から」の韻踏みを盛り上げのために締めに持ってきている。「私eスポーツ好きなんですよ~」とか言ってるアイドルだかコスプレイヤーだかわからんけどそこらへんにいっちょ噛みしてる女性タレントのなかには、上のキーワードの意味全部わからないレベルもいるでしょ。この先は通さねえぜフェイク野郎。オメェだ※※(好きなイニシャルを入れてください)

曲もいい、面子も豪華、その豪華面子がeスポーツ側に寄り添った歌詞でオリジナルソングを作った、が、恐らくこの記事を読んだ人の殆どがそうだと思うが、ここが初見であり、あまり浸透したとは言えないだろう。なぜか。

僕も昔その手の仕事を軽く手伝っていたのでなんとなーくこんなんじゃないかと予想がつくのだが、実は「eスポーツ」と「日本ヒップホップ」ってファン層の傾向が一見似ているのだ。表層的には。「eスポーツ」と「ヒップホップ」、どちらも10代男性が入り口となり、20-30代の男性がメインターゲットとなっている。もちろん女性ファンもゼロではないが、圧倒的に男性側の支持を受けている、という点、ここまで同じという存在。そのうえヒップホップのいま重鎮層にいる30代後半から40代くらいの世代というのは、意外とゲームやゲーセンに割と親近感的なイメージを持っている可能性がある。80年代末から90年代初頭はそれこそゲーセンが不良の溜まり場で、それはつまりゲーセンが”ちょい(諸説あり)ワル”だった彼らの居場所でもあった、というわけで。

ただこれはデータの落とし穴というか大きな罠がある。10代ー30代男性がメインターゲット、という部分は同じなのだが、10代男性のうち「陽」であったり「クラスでやんちゃ」だったりした人らが主にハマるのが「ヒップホップ」であり、「陰」の側の人がハマる傾向が高いのが「eスポーツ」になる。そしてそれは相当なレベルで相容れない。何ならお互いに敵だと思っているまである。同じ場に集わせることは困難といってもいいだろう。

詳細は一切知らないが、データだけをみたいっちょ噛みコンサルやらいっちょ噛みプロデューサーやらが「ゲームのファン層にはヒップホップでしょ!」と武器のコミュ力を前面に出した結果生まれた産物かもしれない。個人的には音楽的にヒップホップも好きなのでよかったが、プロモーションとして見ればこの起用は失敗、と言ってしまっても問題ないだろう。曲は悪くない、何ならいいほう。プロモーションの敗北。少なくとも現状浸透しているとは言えないのは確かだ。

「ヒップホップ選んだだけでぼろくそ言いやがって」「お前がコミュ力を武器にしてる口だけコンサルとか口だけ野郎が嫌いなだけやろ」と思った方もいるかもしれない。ある意味では正解だがある意味では間違いだ。さすがの自分も一例だけを引っ張ってきてこんなことはしない。

ということで同じRAGE、同じ時期に「もう一つテーマソング」を作りニュースサイトにバラまいた。そちらがこれになる。

要はゴリゴリのヒップホップの舌の根が乾かぬうちに持ってきた新テーマソングが「いわゆる女性アイドル」になる。

eスポーツ大会の幕間、僕も確か上の動画の現場にいたのだけど昼を挟んで彼女らのライブがある、みたいな話だったと思う。当時仕事か何かの都合で見に行ってて、その隙間時間に俺も飯を食わなあかんとかで抜けて結局現地では見てなかったのだが、その時の様子は上のリンクの動画の通りである。飯を食いに行った判断は正解だったと言ってもいいだろう。

こちらも歌詞の中に「RAGE」とねじ込んでいるだけに、恐らく強く意識して作られたことは確かなのだが、詞全体のイメージとしては相当ふわっとしており、あまりeスポーツへの理解的な部分やリスペクトは薄い感がある。

そう、「女性アイドル」も先ほど出した「ファン層」的な話で言うと被るというかバッチバチにヒットするわけである。10代男が興味持って金落すのは20-40代男性。ただこちらも実際のファン層とは相当乖離している、と言ってもいいだろう。もちろんアイドルオタクのゲーマーもいるだろうが、週末のゲーム大会の視聴を楽しみにしてる人間の多くはわざわざ握手しに外出する層とはまた違うわけで。同じCDを10枚買うなら10連ガシャ回す、そういう層のほうがまだ近いのではないだろうか。

因みにこれがeスポーツ元年以前の2016の話、言ってしまえば日本eスポーツが手探りだった時代の話で、偉大な先駆者、必要な犠牲と言ってもいいかもしれない。試してみないと当たるか外れるかわからないわけだから。2016にサイバーエージェントが金かけて失敗してくれた、というわけだ。ただ俺もこんな古傷を晒してカサブタはがしたいわけではなく、この尊い犠牲があったにもかかわらず、日本eスポーツイベント界隈は懲りもせずこの手の失敗を擦りに擦り続けている、という現状を紹介してここを締めたいと思う。

eスポーツ×アイドルとかeスポーツ×女コスプレイヤーなんてのは、もう挙げていけばキリがないだろうが、大きく成功したものを何一つ見たことがない。元からのそのタレントのファンが「よかったよー」と言って終わり。そのタレントが離れれば一緒に離れていくだけ、と言ってもいいだろう。

例として、長年ガチ目の日本eスポーツ大会を定期的に行ってきたLOLの日本リーグ「LJL」も、あの吉本と組みだした2019あたりから急に「MC」としてたいして詳しくもない「芸人」と「アイドル」が前に出るようになった。もう数年経っているが未だに素人に毛が生えた程度の知識と見受けられるが。そのタレント使って盛り上がったかと言えば甚だ疑問であり、吉本とアイドルの事務所ににタレントのギャラの分食い物にされているだけ、という風に見えるのだが、元からゲームの運営に疑問符がつけられるタイトルだったので今更一手二手悪手を打ったところで普段から悪手だらけで結果的に目立っていない、というのが幸いかもしれない。今更羽生や藤井がAI越えの凄い一手打っても驚かないでしょ、今更RIOTJPがガキでも分かるレベル以下の凄い悪手打っても驚かないのとおんなじ、という話でね。ジョン失地王が今更「新しい失地がありました」って研究結果が出たところでこれ以上評価下がらないのと同じなわけで。

次の例、こちらもSFL、なので大元はRAGEなのだがそれはともかく、もう誰も覚えていないだろうがコスプレイヤーが各チームを応援するtiktokを上げる、みたいな企画があった。「こんなん絶対スベるやろ」と思って逆に興味が湧いて自分なんかは見ていたが、それこそtiktokで「○○さん、○○さん、○○さん、頑張ってくださーい♪」みたいな動画が上げられてる程度だったと記憶している。嘘つけ、適当に言うな、というあなたのために動画、用意してきました。

@krar007

ストリートファイターリーグ #板ザンオーシャン のサポーターになったよꉂꉂ📣🔥一緒に応援しよう#streetfighter #ストリートファイター

♬ The World Warrior - Bonus Beats-Em-Up - Street Fighter II

実際にイタザンオーシャン公式サポーターの彼女のtiktokを見に行くと、スト5関係の動画が4つ上がっている。4つとも挙げるのは悪魔の所業なので個別で見に行ってもらいたいが、1件目に「サポーターになった事」、2件目でアケコンもって踊ってる動画、3件目でキャミィのウルコンをトレモで出している動画、4件目が決勝現地の「マゴチーム優勝おめでとう動画」になる。いずれも元からのファンが「すごーい」「かわいいー」的なコメントが2,3ついて終わりである。逆に彼女的にも災難だったかもしれない。めんどくせー案件が入った、くらいだったのかもしれない。スト5案件はハートが2桁なのに、他の動画はハートが4桁だ、申し訳ない、受けてくれてありがとう、というべきだろうか。

まあ「ゲームの案件動画」のなかにはひどいものもあるので何とも言えないのだが、それでも結構アレなほうと言ってしまってもいいし、これで新規ファンが1人でも増えたかと言われれば「相当怪しい」と言うのが正解だろう。おそらく彼女も公式サポーターながらそのチームのキャプテン板橋ザンギエフのメインキャラも恐らく答えられないだろう。ちなみにこれは2019年。まるで成長していないと言ってしまってもいいだろう。

タレント的なのを使ったプロモーションで皆さんの記憶に新しいのが2021、ドコモが大金つぎ込んだ割に「なぜそのタイトル?」と話題になった「XMOMENT」だろう。eスポーツに興味のある人なら見たことがあるこの画像。あまりにYoutube運営に不慣れすぎて当初大会の試合ごとのサムネイルが全部このイケメン画像だった時期があり、逆に壮観まであった。

Youtubeにこの顔サムネ(全く同じもの)が並びまくってた時期があった。

お金のあるXMOMENT、例によって前例はあるがあまり効果のなさそうなPR企画にも当然手を出します。鉄板のアイドル×芸人です。やらない善よりやる偽善とも言いますし、やらないPRよりやるPRって話かもしれません。

しかしよくわからないんですけど、この手のアイドルやら裸芸人をMCにすることで本当に「この裸芸人のファンがシージの決勝を見てくれる!」と思うんですかね?それともあのいわゆる「広告代理店算」、フォロワー〇万人の芸人2人のツイッターで告知することによって実質数十万人に広告効果があります!!みたいなバカ口車を鵜呑みにしてるんでしょうかね。
なんなんすかねこれ?あなたは何だと思います?

そんな金のあるXMOMENT、当然やります。決勝では「テーマソング」としてCreepy Nuts、このカミングスーンには、あのコスプレイヤータレントの実質頂点「えなこ」が入りました。芸人、アイドル、ヒップホップ。フルコンボだドン~。

ヒップホップのなかでもクリーピーナッツは悪くないと思った方も多いだろう。なんならもう「ちょうどいい」の権化と言ってもいい、数年前般若を使ったわけだが、さすがにゴリゴリすぎる。ただクリーピーナッツはもうちょいマイルドも行ける、お茶の間のバラエティでも食っていけるレベルで好感度もある。そら今ピックするならそうやろなあ、という感じで。

ちなみに2021の大会ですが「テーマソング」として選ばれたのは新曲でなくすでにある曲、2018発表の「スポットライト」。それでもこの曲が初めてタイアップなら陽の目を当てた感があるが、2020年のテレビバラエティ「かまいガチ」で既に擦りに擦りに擦られた上でのこの2021テーマソング起用、おかげで「eスポーツ大会の曲」でなく「かまいガチの曲」とファンにも覚えられている模様。クリーピーナッツが悪いわけではないが、だ。

その上、言ってしまえば「客寄せ」の部分もあったはずだが、どんな判断かわからないが決勝の大会進行を一時止めて、わざわざ別枠を取ってクリーピーナッツのライブを生配信する、という「ゲーム興味ないけどクリーピーナッツのライブ見たかったファン」に最大限配慮した神采配。すげえ、滅私奉公にもほどがありすぎるでしょ。この運用決めた人がゲームに興味なくてクリーピーナッツのライブに集中したかった、とかでないとこの采配のメリット説明できひんと思うんやけど。
なんなんすかねこれ?皆さんはどう思います?

ちなみにクリーピー好きな自分も見ていたのだが、生配信のコメント欄は「ゲーマー一切ノってなくてワロタw」「ゲームオタクにはわからんかw」みたいなコメントがあったと記憶しています。このライブだけ見に来た人には「無観客」かどうかすらわからなかったわけで、そらそういう感想にもなるわな、といった感じで。

で、どれだけ集客できたって?あのクリーピーナッツにえなこまで出てきて朝のテレビの芸能ニュースとかでインタビュー流れてたんだから、広告代理店算で言えば1秒当たり全国放送の地上波は何万円×秒数、それに視聴者数を掛ければ、広告効果何億円分!のはずでしょ、それならみんな知ってるでしょ~。言わせないでよ~。ていうか朝のめざましテレビの芸能ニュースみたいなので30秒くらいのがどんどん流れるやつで「えなこ、eスポーツ大会で美コスプレ披露」っていってちょっと喋ってるの流れてたからって「あ!週末のシージの大会見よう!!!」ってなると思うか?俺は思わないんだけど。昔仕事のなんやかんやでPRを外部に任せたらそんな代理店算を載せてきて「何万の効果ありました!」とか言い出してきて「あるかこのボケ」と思いながら自分の上向けの報告資料にそのパワポのスクショを取って自分のパワポに張り付け「何万の効果(代理店調べ)」と書いて出したことがあります。そういう虚業的な需要があるのはまあ知ってるんだけど。

というわけで2016に見られたeスポーツ×アイドル(コスプレイヤー)、eスポーツ×ヒップホップ、ついでにeスポーツ×芸人という一見シナジーがありそうでシナジーうすうすのこの組み合わせ、2021まで見られたわけですから、恐らくこの先もたくさん見ることになるでしょうね。先についておきましょう、ため息。

2.eスポーツと音楽 配信メインという足枷

結局この組み合わせがうまくいきにくいのは実はここに集約されている感があるのだけど、要は配信メインだと「音楽」が使いにくいというのがある。今ではどうか分からないが、自分もストリーミングサイトの運営に携わっていた時期があり、その中で煩雑だったことに「JASRAC申請」というのが。基本的にはやめといてね、と言っているが、偉い人やスペシャルゲスト様にそんな話を周知させるタイミングがなく、悪気なーく自分のスマホから曲かけたり、Youtubeに上がってる曲を流したりしていたことがありました。まあまあ昔の話ですけど。で、一応配信チェックなどをしつつJASRAC曲があれば「弾き語り」「音源流した」というのを曲とタイトル、あと動画のファイル名と該当時間をメモって上の偉い人に月1でお送りする、という作業がありました。要はテレビ局やラジオ局と違ってすごく大変だという話で、すごく大変だという点だけ当時凄くたくさん聞いた覚えがあります。

結局テレビだと基本的に国外で見られることは想定外なわけだけど、eスポーツの大会となれば国境なんて容易にまたぐわけで、一国ですらめんどくさいのに、一応可能性としては国連加盟だけで200くらい国がある訳なのだからこりゃめんどくささは比にならんというわけで。

野球なんかではピッチャーやバッターが出てくるときに曲が流れるのも普通で、なんなら盛り上がるときには大合唱になったりします。有名なのは田中マー君の登場テーマ大合唱などでしょうか。

パーソナリティ、キャラクターと紐づけるうえで歌というのはなかなかいいポイントだったりするわけだけど、それが出来ない、というのはひとつeスポーツの苦しいところと言ってもいいだろう。

LOLのRIOTが「K/DA」などといった音楽ユニットを作りクオリティの高い曲を作ろうとしている背景にも、この権利問題があると思われるわけで。自分たちが作り自分たちで管理する分には文句は言われないわけで、そういった動きが今後増えていくのでは?と個人的には考えています。

最近eスポーツチームがタレントやミュージシャンをストリーマー的ポジションで抱えるケースも散見されてきましたが、自分だったら主題歌作ってくれる人を囲いたいかな、と思います。どっかのチーム、やってみませんか。


3.eスポーツと音楽 現存ファンとの軋轢

日本の話になってくるのだが、eスポーツが市民権を得つつある、という状況なのは確かである一方、「それ以外の人」からの反発も強いのが現状と言ってもいいだろう。ましてや日本は超高齢化社会、「近くの幼稚園の子供の声がうるさい」という、「ジジイ黙っとけや案件」がジジイ側が是となりつつあるほど年寄りに追い風な状態であり、言ってしまえば「なんか気に入らない」「隙あらば足引っかけてやろう」と言う人が割とそこかしこにいる、というのは、なんとなく想像がつくだろう。

まとめサイトなども、そういう世論があるのでeスポーツ関連のスキャンダルや醜聞にはどんどん薪をくべる傾向にある。少し前に見た某まとめサイトでは、VALORANTのZETAが初戦で負けた(格上DRX)ことに対し口汚い意見をまとめて晒しておいて、結局3位になったのだがそのことについては一切触れずに運営を続けているところもある。eスポーツで活躍した、なんてのはそのまとめサイトの読者も求めてないのだ。

10数年前か、話題になったことがある「村八分」の話で、みんなそんなのは年寄りがやっているのだろう、と思ったら会員制サイトの比較的若い20代30代が主導していた、みたいな話もあり、実は年齢だけではわからない、という話もあったりするわけだが。

ニュースなどではYoutuberと同じく「虚業」「バブル」の類でくくられることも多く、そう思っている人も多いため、タイアップでも相手を選ばないと「eスポーツのイメージがつくのが嫌だ」と既存ファンとの軋轢が生まれる恐れもある。前述のクリーピーナッツくらいちょうどいいところなら丁度良いのだが、あの丁度良さはおそらく今一番日本で引っ張りだこ状態であり、eスポーツ向けにバシッと新曲、と頼んでも何年先になるか分からないだろう。そらゴリゴリのフリースタイルやりながらカップスターのCM出来るくらいの丁度良さなんだから、逆にハマらないもの見つけるのが難しいまであるわけで。

これが野球やサッカーやったら、まあそんなに騒がないと思うのだが現状のeスポーツのイメージも割と醜聞の方が宣伝されがちな現状、難しかろうというのが一つ想像がつく話で。一番おさまりがいいのは、自身がプレイヤーとしてハマってる、となればファンがとやかく言う話ではないとなってくるのだが、そうなると最初に書いたターゲット的な部分がまた問題になってくる。現にタレント、ミュージシャン枠でエグザイル系やジャニーズ系男アイドルの人がそこあたりのゲームへの理解を表明してくれているのだが、彼らの曲のファン層が今度は女性向けでありそのズレがまた難しい、といったところ。まあここらへんはもうしばらく土の下に潜っておいて、オリンピックに採用されてから考えればいい話かもしれない。

4.他スポーツのアンセムを見てみよう

ここまで読んで思った人もいるでしょう。「eスポーツに限った話ではないだろう」と。

ということで他スポーツのアンセム的なものをいくつか見ていこうと、あれば一体感が生まれやすいよ、というのも一緒に感じてもらえれば。

野球:フジファブリック「Sugar!!」→「電光石火」

フジファブリックと言えば「若者のすべて」が遅れながらもヒットして、そこで志村の一件を知った人も多いだろう。その志村最後のシングルなのだが、それはそれとして「2009WBCテーマソング」としても有名な一面がある。あの決勝韓国との延長戦でイチローがタイムリーを打ち、最後ダルビッシュが鬼スライダーで仁王立ちしたあのときである。当時攻略本の会社にいて、確か昼過ぎくらいでもう延長くらいになるとみんなスマホのワンセグとかで見ててイチローが打った瞬間遠くのデザイナー席のチーフが立ち上がって喜んでたの見て、あっちでも見てたんやなー、と思ったのを覚えている。

そんなSugar!!から時が経った2018、新生フジファブリックが再度野球中継のテーマを担当する。その曲がSugar!!を意識して作られた「電光石火」になる。

野球はそれこそチームごとにアンセムがあるレベルで、六甲おろしもあれば東京音頭もある、歴史の長い中なのであえてここを、といった感じで。

サッカー Superfly「タマシイレボリューション」

ワールドカップのたびに主題歌は出てくるし、自分自身椎名林檎好きではあるが、それでもワールドカップ日本代表のアンセム的な位置としてはこの曲が一番ハマるのではないかと。まあ大会も良かった。日本サッカー的にも2006ジーコジャパン惨敗で「中田英寿」という日本代表のアイコンを失った、「ポスト中田」時代に”無回転”を引っ提げて現れた若き本田さん。日本の善戦だけでなく勢いが出てきたころの、油ノリノリのメッシクリロナ鬼ドイツ面子。コメント欄にもあるが一生これでもええんやないかという意見には俺も一票入れたいところ。曲という意味ではオレンジレンジのチャンピオーネも好きなのだけど少数派だろう。無駄にチャラくてよく叩かれていたが今聞いてもこらアガるわ、って感のあるセンスがやばい。


ラグビー B'z「 兵、走る」

正直ラグビーワールドカップ日本でやってウケるのかよ、ここ数十年ラグビーってルール難しいとかでPR失敗続いてるぜ、って感じのあった中、きちんと盛り上げようとテーマソングを作りきちんと盛り上がりラグビーの代表曲となったのがこれ。この空前の「ラグビーブーム」を国内に波及させるために色々頑張ってたのに、結局コロナで全部流れてしまったあたりが持ってない。次のチャンスは次回W杯か。


水泳 B'z「 ウルトラソウル」

世界水泳テーマソングとして2年に1度夏場に聞きまくるウルトラソウル。ちなみにウルトラソウルが主題歌になったのが2001年、2003年、2011年、2013年、2015年、2017年、2019年。いきなり2回連続のあとに他になったものの色々あった挙句やっぱウルトラソウルでしょ、と戻ったことになる。色々ズレて世界水泳22が今年やるはずなので、主題歌にも注目したい。

陸上 織田裕二「All my treasures」

陸上と言うか世陸といえば織田裕二でありこれ。もはや異論をはさむ余地もない。よくお笑い的なモノマネをしてる奴がいるがわかってない、深夜にトラック決勝ですげーレースになって声上げるわけにもいかねえから身を乗り出す程度で我慢してスタジオに映像戻ったら織田裕二がカメラそっちのけでガラスに張り付いてトラック見てるわけ、それ見て俺らは「な!すごかったよな!」と思うわけよ。織田裕二は俺らの代弁者であり俺らの陸上友だちみてえなもんなんだ。ワールドレコードを前にスンとしてる織田裕二なんて見たくねえんだ。

ちなみに下の動画は世陸のパブリックビューイングの様子。これに集うくらいのガチ勢はAll my treasures合唱しちまうんだよなぁ。これぞアンセム感ある。

オリンピック ゆず「栄光の架橋」

東京オリンピックのアレ、桑田佳祐も良かったけど、耳馴染みがよすぎてすんなり喉通っちまった感があると言うかなんというか、もうオリンピックも一生栄光の架橋でいいでしょ感がある。なんなら体操界はこの曲買い取るべきだとも思う。オリンピックで永世契約しないんだったら体操界の永世テーマソングにしてしまってもいいのではと。


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並べてみるとわかるがやはりテレビで擦りまくる効果というのは大きい。CMのたびに流れて、なんならCM中にその曲聞くまであるわけで。そう考えるとやはり「配信メインという足枷」が擦りを妨害するわけでなかなか。

5.eスポーツのアンセムが目指す道「ジョックロック」説


高校野球、甲子園の応援というものが結構注目されがちになってきている。特にコロナで無観客となって段階的解除だったりで「応援」の有無を昨今感じたというのが大きいのだろう。

有名曲は何曲かあるなかで「魔曲」と呼ばれる曲があるのはご存じだろうか。魔曲にもいろいろあるのだが、一番有名なのが智辯和歌山の「ジョックロック」だ(諸説あり)。

この曲はいわゆる応援歌なのだが、ただの応援歌でなく「魔曲」たらしめるプロデュースがされているのは有名な話だ。他の盛り上がる人気の応援歌などは、人気もあるし早い回からやりたい、盛り上がるしそれは当然ともいえる。ただ智辯とJOCKROCKは待つのだ、その機会を。接戦の終盤、一打で試合が決まりかねない「ここぞの場面」でしか使わない。

人気曲だけに溜めてきたパワーの爆発力は一般観客をも飲み込む。そして常連高校の一糸乱れぬ応援は「雰囲気」を作り出す。そのうえで今まで「この曲で逆転してきた歴史」が積み重なって相手にはプレッシャーを、智辯サイドにはパワーをもたらす。「甲子園の魔物」という言葉があるが、まるで魔物を召喚するがごとく響き渡るこの曲の迫力、来年以降の甲子園でちょっと注意して聞いてみると少し楽しくなるでしょう。

LOLのファン的に言うとあの「テレーレー」みたいなもん。あれも「2-2の後がない」という状況で流れるため、否応なく次が盛り上がりどころだと教えてくれる役割もありアガるわけであって。

割と思うんだけどeスポーツでも有観客なら応援団的なアレってあっても面白いし1チームくらい試したほうがええとは思う。もちろんうるせえとか言う奴も出てくるだろうけど、やってみないとわからんわけで。うるせえと言われないで現地がスンとしてバルーン叩いてる音だけが響くのと、うるせえくらい騒がしいの、どっちがいいのかってのは1回くらいやってみる価値はあるとは思うわけで。応援団が悪いんだったら野球もサッカーもあんなのはいないわけでね。

と書いていて思い出したが過去のEVOでウメハラ応援団として外国人チアリーディング軍団がウメハラ応援してくれる、みたいなネタやってた年あったけど、その年ウメちゃんめちゃめちゃ調子崩して一瞬で退場していったんじゃなかったかな。

6.さいごに

結局何が言いたいかわからなくなってしまったが、要はDFMのアンセムにそれっぽい曲がない、というかDFMに音楽のイメージがない、というのが一つある。それはDFMのせいでなくeスポーツのせいではないか、という話で。スポーツ選手なら練習中に聞いてます、みたいな話もあるだろうが、LOLプレイヤーの練習はソロキューとスクリム、音無しでやるのはソロでも少し厳しかろう、となるとなおさら普段あまり音楽を聴かないのでは?となってしまうわけで。他のeスポーツも割と同様でないだろうか。あまりeスポーツ関連の選手から音楽の話をそういえば聞かないな、と今回気づいた。

そういう意味では「格ゲーアイドルプロジェクト」名無しの勇者はコンセプト、狙いは良かったと思う。さすが根っからの経営者、視点が凄い。俺と同じく「テーマソングがない」という結論に達したんだと思う。

ただ狙いがKPOP的なのだったのかもしれないけど「アイドル曲」であってあんま男性ファンに刺さる曲調じゃないっていうのがひとつ。結局格ゲー番組にしか露出のない格ゲープロゲーマーたち、恐らくYoutubeも視聴層9割男性、みたいな中で女性ウケしそう、って狙いはズレがあるとさすがに言わざるを得ないのではと。琵琶湖でマグロの一本釣りするくらい無理がある、まず淡水の琵琶湖にマグロはいません、って話から始めないといけないわけで。

個人的には格ゲーで唯一アンセムになり得る、と思ったのがカラシゴロシ「ハーベスト」で。

2016年、まだプロゲーマーが少ない中、結果を残した奴がプロになっていく流れでシーンもプレイヤーも「成長過程」というなかでのこの疾走感と焦燥感、格ゲーアイドル第二弾があるならカラシゴロシに頭下げてハーベストのカバーでいいと思う。か、カラシゴロシ全面プロデュースでWEB番組とかで擦りまくる。JASRACは諦めて申請しない、どうせ売れねえんだし。

ということで、もしeスポーツ番組作ることがあれば男受けするテーマ曲を選んで擦ってください、アンセムの席、まだ空いてます。

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