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LJL’23春ファイナル個人的見どころチェックと一歩踏み込んだ「データの見方」

ハロー!ウマ娘プレイヤーにして元ゲーム攻略本ライター、いまはeスポーツウォッチャーの山岡だよー。ということで、今年も4月15日に迫ったLJLのファイナルの時期です。ツイッターでも書きましたが、データの小話的な話をツカミとして入れると、実質的にLJLのプレーオフは、結果から見ると波乱が起こって盛り上がる的な要素は薄いです。現行体制になった'20から7回プレーオフをやって、都合14回のうちの1回しか5-6位が上位に進めていません。それ以外は、20夏と21春を除いて全部1位対2位の決勝があり、ほぼ1位側が勝っていたりと下剋上がほぼなく、ドドド順当なプレーオフで、競馬で言えばガチガチの展開、オペドト時代かよ、という感じです。そして知っての通り今年もその通りになっています。

※オペドト時代:2000年-2001年の古馬競馬シーンのいわゆる王道路線、2000宝塚から2001宝塚においてテイエムオペラオー/メイショウドトウという2頭による(だいたい)一番人気二番人気という馬券的旨味の薄いワンツーフィニッシュが丸1年にわたって繰り広げられた。日本競馬史においても珍しい事態で、当該馬の強さはもちろんながら、上の世代が「最強世代」がゆえに激闘からくる故障、また種牡馬価値を見越しての早期の引退等あり手薄になった事や、下世代の王道路線挑戦馬のレベル等々様々な要因が重なった結果と見られている。転じて「波乱がないこと」の例としても使われる。

という話はさておき、今回は何シーズンぶりに「DFMがガチで負けるかも」という、割と五分に近いくらいには実力が拮抗していると思い、結構見どころは多いのでは、と思っています。そういうときに限って3-0、みたいな流れになることもありますが、例によってデータ・スタッツ等々見ていきながら見どころを確認していきましょう。以下敬称略。

1.(表向きは)似通ったダメージ比率の両チーム、しかし

https://gol.gg/game/stats/48810/page-preview/

まず、注目したいのはこのデータです。特に、一番下のダメージ比率です。これは今季のリーグとプレーオフを合わせた試合での数字になります。両者ともにTOPが20%、JGが16%、MID/ADCが26-27%と、ほとんど同じダメージの出し方をしているように見えます。

このデータを見て、「なるほど同じような戦い方の2チームなんだな、なら決勝もそうやろな」と読み解くのはどうでしょうか。もしテストだったら、△かもしれません。データを見る上で大事なのは、状況を考えることです。私も、WEB広告のデータ分析の仕事などでよくぶつかりましたが、全体の平均が全てを表しているわけではありません。特殊な状況では、傾斜等も掛けた方が、より実態に近いものが見えてくる場合があります。ネット上でのネタに「平均値と中央値を説明するのにうってつけのレジェンド校長」というものがあります。詳細は個々人で調べていただくとして、要は、特殊な状況では、データも特殊な見方をした方が良いのでは?ということです。ここをお読みのLJLファンに分かりやすく言うなら「RayFarkyダリウス問題」といったほうが良いでしょうか。「RayFarkyダリウス問題」、いま考えたのですが、これは結構LJLにおける特殊性を説明する上で有用かもしれません。以下で簡単に説明します。

今年のプレーオフ、BCは第五戦までもつれ込みました、そその中で、実況のeyesは慎重に言葉を選びながらピック画面で「RayFarkyのダリウスを期待した方も多いと思うのですが」「RayFarkyのダリウスならいいかな、って思っちゃう感じもありますが…」と発言しました。それもそのはず、実は今期のRayFarkyダリウス、KDAがとんでもないことになっており計測不可、なぜなら3試合で0デスだからで、3試合で21/0/18というスコアになっています。平均しても7/0/6。これは今期のメタが特別ダリウス向きだったわけでもないことを考えれば、非常に圧倒的な数字です。そこで、この数字を見て、あなたは先ほどの実況eyesの「ダリウスでもいいかな」という話に同意しますか?という思考実験、問題となります。ただし、この問題を単純化するために、有利ピックや不利ピック、そしてメタ的な要素は考慮しないものとします。

もちろん、これは思考実験であり正解はありませんが、データを考える際には「この平均値は、プレーオフの第5戦目という戦力が拮抗した相手に対してはあまり当てにならない」という考え方が重要であると私は考えます。その理由は、以下の画像に示されています。

見ての通り3戦3勝、KDAも先ほど説明した通りです。嘘はついていません。ただ、注目すべきは相手の強さです。この3戦はいわゆる下位チームとの対戦であり、実際にはTOPが何をピックしても(MIDがキャリーして)勝てたと考えられる試合ばかりです。TOPは数値ほど関係なく、Diceがキャリーして相手のTOPも凹ませ、対面差を勝手に広げて勝った試合だと思われます。そのため、プレーオフの5戦目の接戦に、このデータを根拠にダリウスを使うのは賢明ではないと思います。私の意見としては、NOのほうが正解に近いでしょう。

間違えてほしくないのは、この例は、RayFarky個人の云々といった形で出したわけではありません。極端なデータの偏りを示す例として使用したものです。一方、他者のLJLの予想や分析記事でBCに触れる際、「過度に」TOPキャリーのオプションやRayFarkyのスタッツを高く評価する書き手も散見されますが、私は「この書き手は平均値しか見ていないのではないか?大丈夫かな?」と思うこともあります。

このように、データの読み取りに一歩踏み込むことは非常に面白いです。正解は存在しないのですが、より正確な分析をするためには、こういった偏りについて考えることが必要だと考えています。また、こういった偏りは、他のスポーツにも存在します。例えば、高校野球ファンには「高校通算本塁打問題」、サッカーファンには「日本代表アジア1次予選の得点ラッシュで得点力に期待が持てるか?」といった話があるかもしれません。

ここでは高校通算本塁打の話についてお話しましょう。ドラフトの時などによく言われる「高校通算○○本」という肩書きがありますが、歴代トップ10を見ると清宮や中田翔、おかわりくんに岡本、高橋周平に城島平田など、ドラフト上位からプロでも活躍した選手が名を連ねています。ただ、2位や4位の選手をご存知の方は少ないかもしれません。一時期歴代1位をキープしていた山本選手ですが、実はプロになれず、ドラフトにすらかかっていません。山本選手は、むちゃくちゃ素行不良だったわけでも、昭和初期の古い選手でもなく、平成世代の選手で、プロ志望でなかったわけでも、大けがをしたわけでもありません。また、直接大リーグに行ったわけでもありません。ではなぜ、高校時代に松井より清原より大谷より多くホームランを打った当時高校歴代1位本塁打数のバッターが、NPBプロから一切指名されなかったのでしょうか。これも、ネタを知らなければ一種の思考実験みたいな話ですが、納得が出来る程度の答えがあります。ウミガメのスープみたいな話です。




答えはこの画像の通りです。高校通算ホームラン数が2位と4位の選手が所属していた神港学園のグラウンドは、土地の都合上か、グラウンドが狭く、その上いびつな形をしています。このグラウンドの両翼は85メートルで、センターでも95メートルとされています。ちなみに甲子園の両翼は95メートルで、センターは118メートルです。そして、「高校通算ホームラン数」とは慣例として、練習試合なども含まれます。つまり、甲子園や一般的な球場では平凡な外野フライとなってしまう打球も、この球場ではホームランになってしまいます。そして、この球場をホームとして多く練習試合していれば、それだけ高校通算ホームラン数にカウントされることになります。その分を各スカウトが割り引いた結果、指名を見送った形が正解でしょう。野球の細かいデータで言うところの「パークファクター」というものであり、単純な本塁打数だけでは見えにくい数値です。このように、データは嘘をつかないのですが、条件をよく見る必要があるということをこの例は示しています。

LJLの場合、6チーム制の頃から0-10の新規チームが存在するなど、選手層について特に国内選手は世界でも類を見ないほど薄いリーグであるという特徴があります。また、ここで度々指摘しているように、LJLでも上位のプレイヤーがチームに加入できず引退を余儀なくされているように見えたり、戦力的にまだまだ上位なのに引退するプレイヤーが多く、ゲームの上での競争による世代交代でなく、一種の政治的、チーム的な判断による世代交代であるため、健全な新陳代謝がなされているとは言えないように見える部分があります。例えばapaMENやcogcogのように、リーグでも上位のスタッツを残しながら、下位チームすらなぜか彼らよりスタッツの低い選手を雇ったことにより、リーグの8チームしかない席取りゲームに負けた形、いわばLOLというゲーム以外の部分で活躍の機会を奪われた風にも見えた人たちや、引退してしばらく経っていたのに、トラブルにより急遽下部のリーグに出たらプレーオフでスタッツがダントツ1位になっていたYutorimoyashi、KR勢には厳しくなってきたがまだまだ日本最強MIDの感があったのに、ワンクラブマンとして底を見せずに引退してコーチ転身したCeros、引退表明をしていたがチーム事情で復帰した結果、今回プレーオフ決勝までチームを牽引しているPazなどが挙げられます。

そして、このようなLJLにおける早すぎる引退の結果、「実力最上位」のプレイヤーが集まっているリーグなのか?という根本的な部分に疑問符がついたり、またチームのメンバー編成も、降格が無くなったがゆえに負けることへのリスクが薄くなった結果からか、本当に勝つためにベストを尽くしているのか疑わしい動きをしているところが幾つかあるのが実態のように見えます。そしてそれがリーグの上位と下位の成績の大きすぎる格差というものに現れているのではないでしょうか。事実として、そういったチームが存在する以上、データとしては場合によって特別な事情のある試合を除外する方が、現実に即したデータになるのでは、という話です。

例えば、野球においては、弱かった昨年の日ハムですら勝率は.421であり、ゴタゴタの中出発した、歴史的に見て相当弱かった1年目の楽天でも勝率は.281です。したがって、打率などは6球団での平均で出してもある程度問題がないわけです。この勝率.281を、今期LJLの試合数で当てはめると3.934勝となります。つまり、記録的に弱かった初年度楽天でも、今期AXIZくらいの勝率はあり、LJLの場合、この下にさらに2チームもあることになります。その上、ご存じの通りV3に至っては0勝です。これくらいの格差があると、例えばトップ同士の決勝戦において単純にV3戦や下位チームとの対戦を含めた平均値でスタッツを見ることにどの程度意義があるのか怪しくなってくるのではないでしょうか。私が見ている統計サイトGamesOfLegendsも、特定のチームのスタッツを除外したスタッツが産出されるようになればいいなと思っています。おそらくLJLの戦力均等化とこのコアなサイトの改修願いですら、サイト改修の方がまだ可能性が高いでしょうし。

という話を踏まえて、見どころを考えていきたいという話で。まあここまででだいたい書きたいことは終わったのだが。

2.攻防自在のベテランPaz vs 新人tol2

一つ今回のポイントとなるのがTOPになると考えています。1のデータを見れば、お互い20%くらいのダメージを出す、と思われるかもしれませんが、上で長々と書いた通り、おそらくそうはならないでしょう。また、ピックの主導権や味変権はPaz側にあると言っても良いでしょう。


データとしては平均のものより、直近のSGとDFMのBO3を見たほうがよほど近いと思われます。tol2もダメージを結構出している印象もあるかもしれませんが、このSG3戦ではいずれもタンクとタンキーファイターで、リーグ平均で493出しているダメージも、この3戦ではPazよりも低い399になっています。リーグ平均で言えばtol2のほうが高いですが、彼の場合は下位のAXIZ相手にトリスターナで948DPMを稼いだ試合があります。このピックはいわば先ほど説明したダリウスのような外れ値と読み取ったほうが良いでしょう。一方、リーグ平均457DPMのPazですが、この3戦では437DPMと、DFM相手にもある意味平常運転の数字になっています。今季一番ダメージを出した試合もサイオンであり、得意のタンクとしてこちらは十分出てくる可能性があります。また、DFM相手に負けはしたもののグウェインも出しており、ゲームとして負けたものの、その試合はJettが執拗に凹まされて敗着という試合でした。

こういった都合、また今期の状況等を考えていくと、TOPキャリーというのは両チームともあまり選択肢にならない形になるでしょう。お互いのチームともにキャリーが強力であり、特別TOPキャリーを必要とする形ではないからです。ただ、かつてのDFMがそうだったように「困った時のEviカミール」みたいな奥の手、BO5の長期戦の中でのオプションとして、TOPキャリーを仕掛けやすく、そして成功しやすいのは、成績的にも実績的にもPaz側になるのではないでしょうか。例えば相手に1本取られて試合の悪い流れを変えたい、と思ったときにSGはオプションとしてPazが攻撃的に行くパターンも確立していると思われますが、果たして新人のtol2にそれを任せられるか、信頼できるか、そして完遂できるか、となると、大胆な采配をするのは難しいだろうと考えられます。DFMがTOPで攻撃的なプレイを行う可能性があるとしたら、最初から2連勝しての2-0での第3試合でしょう。これは、MSIを見据えて「TOPにオプションがある」ということを海外チームにアピールし、煙幕を張る効果があるためです。勝てば煙幕として効果を発揮し、負けた場合でもタンキーに戻して残り2試合で1勝を目指せばいいという、安全な状況となるからです。戦国に対しても、野球で例えるならば、0-2から一球ボール球で打者の目線をリセットするような効果があるでしょう。逆に言えば、それ以外のタイミングではDFMサイドはプレイスタイルを変えることが難しいと思われます。そのため、能動的にプレイスタイルを変えられるのは、Paz側や戦国側といった選手たちになるでしょう。あれパッチ変わんないよね?どうしよこんだけ長々書いててパッチ変わってメタ変わってたらどうしよ。まええか。

直近の直接対決試合を見ると、SGの負けパターンはJettが潰されるという一点の割合が大きいと考えられます。個人的な見立てですが、マクロ的な動きで終始優位に立つのはDFMのSteal側だと思われます。Stealの動きに対してOnce単体で止めるのを担わせるというのは、花道と河田兄くらいの厳しいマッチアップ差があるように見えるため、素直にOnceにお任せにすると、リーグ戦同様StealAriaのラインがJettを潰しにかかって開幕10分で試合が終わる可能性があるように思えます。むしろ今回、Pazに求められるのも河田兄のポジションであり、ミスマッチの部分のフォローもしつつ自分の1on1も、というミッションが優勝に向けて欲しいところです。特に直近でのDFM戦の3試合目、2試合目ではStealが執拗にMIDキャンプに近い形でJettを潰し、3試合目ではJettがより安全に動く中、Stealだけでなくtol2がサイオンで寄って張り付いてJettを潰したことで試合を決めた感もあります。あの動き、MIDのJettを助ける動きをむしろPaz側に求められている感がある気がしています。Pazは耐えたり対面を試合から除外するムーブに相当定評がありますが、他のチームと違いDFM相手ではSGもお互いのTOPを除外した4vs4でなお分が悪いため、ここでPazが一味加えられるか、要は4+αvs4、このαの値をどれだけTOPのPazが大きくできるのか、というのがポイントになってくると思われます。

3.Stealを捕まえるという難題

「ジャングル」というのは、今私たちが見られるレベルのデータでは評価しづらいため、必然的にプレイの部分の話になってしまいますが、プレイについては、あまり自分が語るのはふさわしくないと思い、軽く流します。

SHG戦は衝撃でした。それは、あのBlankをもってしても、Stealが終始自由に動けていたからです。Stealというプレイヤーは、近年のDFMの戦い方そのものでもあり、自身は別にキャリーを狙わない傾向があります。大きな試合になればなるほど、その傾向が強くなります。代わりに「視界でハメる」という古き良きLCKイズムに近いムーブをしてくる印象があります。まさに滅私奉公、自分のキャンプを犠牲にしても視界の確保に回るイメージでしょうか。そして、十分すぎる日本語で連携してくる厄介さ、プレイとコミュニケーションのレベルの高さこそが、Steal唯一無二の特徴といってもいいでしょう。

DFMのレーン戦は強く、序盤をイーブンに終えることすら難しいです。なぜなら個人の強さの上に、Stealの介入があるためです。ですので序盤イーブンに済ませるためには、Stealの位置を把握することが必要です。ただ、LJL随一の実力を誇るStealにも苦手なパターンがあるように見受けられます。海外の試合などでは、Stealに序盤から相手のジャングルが体を当てに行き、常に場所を把握して動きを制限していました。ロシアのAhahaCIKに手を焼いていたようにしていたのを記憶している方が多いのではないでしょうか。Stealの意表をついた動きを捕捉し続けないと、試合の流れは基本的にDFM側に流れてしまいます。ただ、一方でOnceは、Stealのような気の利いたムーブに少し難があるように見受けられます。DFMに長年在籍しているStealと比べるのは酷な話ですが、メタ的にもJGキャリーが難しそうな今、Onceがどれだけ滅私モードのStealを捕まえられるか、具体的に言うとJettにStealを近づけさせないか、が重要になるでしょう。Onceは1vs1なら自信があるムーブをよく見せますので、AriaやHarpが近づけない位置でStealを攻撃し、かつ捕まらずに離脱することを繰り返せれば勝機はSG側に傾くのかもしれません。

4.復調気配のAria対Jett、MID最高峰の戦い

22開幕戦でAriaを含めてぶっ倒し、ド派手な年明けを決めたSGとJettでしたが、シーズン末期の直接対決では、そのJettを含めて凹まし、がっつりキャリーしたAriaがいました。その原因は、一つはAria側のシーズン開幕直後の慣れなどの問題であり、もう一つは、SGのJettがエースであることが周知されたことによる対策の構築だったように思われます。今回の決勝でも、MIDの両者がどちらが主導権を握りキャリーするかという部分が試合の趨勢を決めると思われますが、一方でこれは純粋な1on1にならないであろう、とも推測できます。それは、準決勝でのSGの苦戦を当然DFMが見ているからでしょう。

SGが苦戦したFLとの準決勝を振り返ると、FL側がSG対策を既に練っていたように見えました。FLの強みは、外国籍選手であるTanaのトップキャリー力でしたが、BO5では安易にTanaに頼ることはありませんでした。1試合目の変化球ビクターはTanaのチャンピオンプールによるものでしたが、それ以外は彼のキャリー力にあまり依存していませんでした。おそらく、PazがいることでTanaが除外されたり、TOPレーンで孤立することが想定されていたのでしょう。SG側はTanaを除けば4vs4で勝てると考えていましたのかもしれませんが、1試合目の序盤でOnceがドラゴン前で捕まり、以降もキャッチされ、その計算は台無しになってしまいました。BO5では戦国が勝ちましたが、かなり危険な試合でした。特にJGの主導権などではFLが終始優勢で、SGはレーンの力で無理矢理逆転したように見えました。レーンが壊れなかった試合では、FLのJGであるHachamechaがMID周辺を上手くカバーし、その結果、Jettのハイパーキャリーを少なくとも2試合は防ぐことができました。

このBO5を見る限り、LokeNは凄いプレイをしていたものの、SGはJettのチームであり、そのJettが機能不全に陥るとチーム自体も機能不全に陥るという脆さも見えてきました。具体的に言えば、MIDの主導権を完全に握っていればOnceも自由に動けるのですが、そうでない場合、このBO5で何度もあったようにOnceがリバー周辺で孤立し、捕まりデスしてしまい、試合が傾いてしまう状況がかなり再現性が高くなっているように見受けられました。

これはFLが見つけた対策ではなく、その前のDFM対SGのリーグ戦でDFMが既に行っていたことに近いということもあります。DFM側はあの試合を見て、「自分たちの戦い方で良いのだ」と自信を深めたのではないでしょうか。FLでも通用するのであれば、StealはなおのことJettとMID周辺を注視するでしょうし、そうなるとJettはAriaとの1vs1というよりも、視界がない中でStealを含めた2vs1をかなり長い時間意識せざるを得ず、苦しいレーン戦がこの決勝戦でずっと繰り広げられると予想されます。まともにぶつかっても五分に近い両者ですが、その心理的負担も加味すれば、おそらくAria側に基本的には軍配が上がる試合が多いでしょう。この短期間でSGがその対策を用意できるかどうかは、名コーチに期待するところです。

5.世界大会へあと一つに迫ったEnty

LOLをはじめて1年弱でNAチャレンジャー到達、日本人で未だにmeromeron、Evi、Yutaponしかいない(はず)KRチャレンジャー到達経験を持つ”驚異の新人”、”日本LOLの未来の希望”、”天才若手プレイヤー”だったEntyも気づけば25歳です。7thからUSG、戦国と常に3強レベルのチームに所属し、自身も幾度となくプレーオフに参戦してきましたが、MSIやWorldsといった世界大会には一歩二歩届かなかったという、競馬で言えばステイゴールドのような戦績を続けてきました。昨年春にはDFM相手にあと一勝まで迫った流れもあります。実力は誰しもが認めるところで、海外枠使用チームの多いポジションであるサポートで対面にKR勢を迎え、常に成績は助っ人枠相手と比較される立場にありながら、毎年チームを上位に押し上げているのは日本人としては「異常」と言えるでしょう。実力を考えれば1度くらいは報われてもいいでしょう。リフトライバルズがあったとはいえ、正式に世界を踏むべきレベルのプレイヤーであることは間違いありません。そして、そのチャンスはもしかしたらもうそんなに多くないのかもしれません。

かつてDFMに迫ったあのチームも、あのチームも解散し、一度はリーグで上回った時期もあったあのチームも、DFMを超えて世界に出たあのチームも、「闇堕ち」するかのように、まるでLOLのチーム運営に興味を失ったかのように、省エネ低迷路線に突入しています。現在、ヴァロラントの勢いが凄まじく、eスポーツチームが急に「選択と集中」を行う可能性もあります。また、SGは毎年リーグ上位の面子を集めていますが、歴史を見ればその体力もいつまで続くか、いつ闇堕ちするか分からないという状況です。そういったSG側の問題だけでなく、今年はメンバー固定による連携面の強さがウリであるDFM側が珍しくスタメン2枚替えで臨んでいるため、例年よりチームワークに隙があるはずであり、逆に来年以降は相当ハードモードになるかもしれません。というのも、DFMはAriaが今年で4シーズン目であり、来年は4KR+Yutaponという無敵の体制になるかもしれないからです。そうなると手が付けられないであろうことは想像できるだけに、今回千載一遇のこのチャンスをぜひ生かしてもらいたいという個人的な見どころがあります。世界への切符を、得意のフックで文字通り「掴み取る」場面を見たい気もします。

勿論、試合的な見どころもあります。相手はYutaponHarpという世界的にも通用する実績充分のコンビですが、SGもEnty史上最強の相方であり、Worldsベスト8に輝いたLokeNと相性が良さそうです。元々アグレッシブなプレイが目立つ選手で、その点でもうまく噛み合っている印象があります。しかし、それ以上にドラマ的な部分についてはEntyに期待したいところです。

おわりに

後半数字あんま出て来てねえじゃねえか、という方、その通りです。特定のスタッツ抜いて計算するのめんどくさくて……、もしお怒りの方がいたら屏風から虎を出すが如くそういうツールなりサイトなり作ってください。頼んだ!まあ今回一番やりたかったのはLJL版ウミガメのスープ的な部分であり、例によってそれ以外はまあまあ、といった感じで。ともあれ決勝は相当見どころがあると思うので楽しみに待ちましょう。そんな感じで。あと今回テスト的にchatGPTにですます調での添削を頼んだが、専門用語等あって荒く直したのを手入れる必要あってアレやったな。


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