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【LJL】2021DFMが齧る「最適解」にして「禁断の果実」 そしてその未来

2021のLJLも開始されそろそろ一回りしそうなところ。20夏の不調はどこへやら、といった感じで「いつものLJL通り」王者DFMが無敗で突き進み、すでに盤石の空気も出始めている。ただ、見ていて思うことがないわけではない。今期のDFMの『選択』のことだ。『絶対に負けられない』国内eスポーツの雄、また日本を代表するLOLチームとして海外からも認知されているそのDFMが『最適解』として今まさに齧っている禁断の果実、その『副作用』と『起こり得るシナリオ』について、もちろんLJLの実況解説勢といったオフィシャルは大っぴらに触れられないのは立場上承知の上だが、シーンを見渡してもあまり触れられていない気もするので、ここで一つ触れておきたいといったところ。

果たしてDFMが口にしているそれは『世界』への『特効薬』か、それとも。

※今回のこの件、決して「特定の誰か」を槍玉に挙げるという意図がないことを最初にご確認いただければと。誰しもがルールに沿い、最善手を選んだ結果、それが最終的には最善手となりえない「可能性」がある、そんな「ゲーム理論」的な寓話だと思って頂ければ幸いといったところです。強いて何かを槍玉に挙げるならば「ルール」かと。以下基本敬称略。

ということでまずはお聞きください、GRAPEVINEで「その未来」。


LJLの「日本人枠」規定とDFMの状況

さて、まず最初に、DFMが今まさに口にしている「果実」とは「日本人枠」に絡んだことである。LJL、というかLOLは5人が1チームとなってプレイするゲームで、世界的にも基本的に「その地域規定の国籍の人間」に「助っ人2名」までが基本的に認められている。日本のほかにもトルコなども韓国人2名体制で世界大会に出てくることから「だいたいそんな感じ」だろう。これはいろいろなプロスポーツで良くある話で。J1なら外国人選手5人、日本プロ野球なら外国人は一軍登録5人まで、みたいな。

え?ラグビーは?って?あれは「居住地主義」みたいなやつで割とスポーツの中でも特殊だったりして。確か3年日本に住んでれば日本代表の資格あり、みたいな感じで他スポーツに比べて相当「緩い」システムになってるはず。日本代表キャプテン「リーチマイケル」とかで話題になりましたね。話がずれたので戻します。まあ色々あるし割とちょこちょこ変わるので正確な現在の情報が気になる方はググってね。

https://shiruto.jp/sports/1573/

たまーに勘違いしてる人がいて、ラグビーが盛り上がってた当時「ラグビー日本代表は外国人助っ人ばっかw」といった的外れな揶揄も散見されたが、基本的に先ほど触れた「居住地主義」的なものも相まって、外国人の数は「他国代表も大体そんなもん」だったりします。気をつけておきましょう。

まあ、ただ自分もLJLやLOLプロシーンの厳密な規定についてはあまり詳しくない。というか昔はサイトから規定が見れた気がするが、サイトリニューアル以降一般人には見れなくなったのかな、といった感がある。(違ったらごめん)。確かNA(アメリカ)はプロリーグが先行して行われていたせいかなんかの絡みによる特別ルールがあったりで、結果ビャーグセンとかはセーフ、みたいな扱いになってたとかなんとか、でもそれの適用者はだいたい引退してる感じだったような。まあ要はいろいろあるってことで。

今回日本の例で絡んでくるのが「IMPレジデント枠」、いわゆる「日本人枠」に入れる外国人、という制度。これも日本プロ野球のそれを思い出していただければわかりやすいだろう。日本で「国内FA権」を獲得した外国人は「外国人枠」の対象外になるという話だ。この国内FA権の獲得はざっくり言えば「一軍登録7年」、実質日本プロ野球でもいまだ10人しかいないレア枠になる。近年で言えば、ホームランの日本記録保持者「バレンティン」がこの権利を獲得したこと、そしてそこを金満ソフトバンクホークスがFAではなく自由契約で奪っていき、ごく一部から問題視され、大多数の野球関連メディアはさらっとスルーしたことは割と有名な話で。それはともかくそんな「日本人枠」だがLJLにおいては2020春現在viviD、Tussleの2名だけが現状保持している。

https://number.bunshun.jp/articles/-/841821

ではどうすればその「IMPレジデント枠」を頂けるのか、例によって明文化されていないっぽいのでその現状を類推して簡単に言えば、vivDの場合16春から19夏まで4年(8シーズン)日本に滞在することで「日本人枠」として20春はプレイしていた。Tussleも2015のS2から日本に来ていたが、同様に20春以降は「日本人枠」としてプレーしている。確か2016からLJLの運営がRIOTになったとかで、15は参考記録扱いなのかもしれないが、要は4年8シーズンというのがひとつポイントになりそうだというのはほぼ間違いないだろう。

さて、今期のDFMだが、MIDに韓国人のAriaを補強した結果、昨季までレギュラーを張っていた韓国人のGeang、日本人のCerosをスターターから外しサブとして保有している。彼らは「2020オールスター日本代表」にも選出されており実力は申し分ない。とくにGeangは助っ人枠、1チームに二人しか助っ人は出られない、なら放出するというのがいままでのLJLにおいての筋だが、未だサブとして、悪意のある言い方をすれば「飼い殺し」ている。その背景として韓国人ジャングラー「Steal」の「日本人枠」へのカウントダウンがあるのは明白と言ってもいいだろう。

一応説明しておくと、DFMは現在MIDに日本人のCerosと韓国人のAria、SUPに日本人のKazuと韓国人のGeangが所属している。そしてStealのサブはいない。つまり「外国人枠2枠」を考慮に入れた上で、組み合わせ的に出場できる可能性があるのは実質的に「Ceros-Geang」か「Aria-Kazu」かのどちらかしかない。そして20春前半では後者のみが出場している。

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2020末、つい数か月前に行われたLJLのオールスターメンバー。誉れある5名のうち2名が実質的に「飼い殺し状態」でリーグ出場が叶っていないというのは、よくよく考えれば考えるほど「異常事態」と言っても良いだろう。

ここで注目したいのがSteal、StealがLJLに参戦したのは2017の夏から、そう、この「21春」シーズンが終われば、viviDラインで言うところの「4年8シーズン」に乗ることになる。つまりこの春のDFMのスターターは、21夏の「完全体」のための助走、あるいは準備状態である、という点だ。

そもそもハナからDFMは最悪春は捨てていた可能性まである。ただ、それだってDFMを責められるかといったら難しいところで、真に責められるべきは昨年春勝ったのにMSIもなく大した代替のご褒美も用意しなかったRiot側なのではないだろうか。元からスポンサー多数のDFMが欲しいのはちんけな賞金より「世界挑戦権」であることが推測できる。実際昨年春はMSI相当の代替イベントとして、KRとCNの頂上対決~、ってほえー、他の地域眼中にない感じすかRIOTはん?と思ったり。あとは(日本から見れば)対岸の火事以下の扱いであるところの「アメリカのLOLストリーマー同士のマッチ」を「代替イベントでーす」と言われても…ってところで。あれMSIじゃなくてオールスターだっけ?印象薄すぎて忘れたけど知らんタンクトップの坊主が負けてキレてるの見せられても面白くないよって。

それよりLJL春を制した意味は?今年もそうなんの?って話で。去年あんな仕打ち受けて今年もそうなりそうなら、秋のために必要な準備に1シーズンあてました、ってのでも仕方ない部分があるような気もしたりして。DFMの気持ちわかるよー的な。Jリーグにはかつて、カップ戦などで明らかにメンバーを落とすチームが続出した結果「ベストメンバー規定」、要は「勝ちを追求すること」「捨てゲーすんな」という規定(色々問題あったにせよ)が存在したが、LJLにはそれがないわけで、それゆえ元コーチだろうがスポンサーの息子だろうがオーナーの彼女だろうが誰出そうが登録さえできればDFMの自由だ、といってしまえばそうなのだが。

まあそんな感じで春はともかく、秋には今なお世界戦で活躍の出来るStealを日本人枠で起用しながら、サポートには近年日本で最高レベルの評価をされているGeangと、MIDには同じくLJL最強と目されているAriaを用いることで21の「Worlds」に挑戦しようというDFMの考えが今期のスターターからは透けて見える形となっている。

ただ、ここで考えてほしい。本当にそこがDFMの「完全体」なのか。正直なところ、ここまでは「許容」が出来る人も多いかもしれない。現に3KRのチームはLJLでたびたび登場している。ただ、このままいくとどうなるか。

Geangが日本に来たのは2018春からになる。つまり「2022の春」からは「日本人枠」になり得るということになる。サブの扱いがどうかは分からないが、もし省かれても22の夏からは「日本人枠」になる。Ariaが日本に来たのは19春からであり、この規定がそのまま継続されていれば23年春から「日本人枠」となる。簡単に言えば1年後、EviかYutaponは「韓国チャレ級の助っ人」と無慈悲かつ分はあまりよろしくない「ポジション争い」を強いられる可能性があるという話になる。Cerosが抜け、EviかYutaponが抜けたときに「DFM」というアイデンティティ、人気は引き継げるのだろうか。

そして、23年春、たったの1年半後からは「3日本人枠の韓国人」+「2人の韓国人助っ人」のチームとなることも出来る、ということになる。もちろん自分も差別的なアレは全くない。ゲームのうまいやつは誰だろうがリスペクトしている。ただ気になるのは「5人外国人」の「日本代表チーム」がWorldsに出たときに他地域から「日本」がどう見られるか。そして未だ日本での地位確立が道半ばのEスポーツにおいて、仮にこれでWorlds躍進して目を引いた場合、かえって何というか、一般的に「しらけムード」みたいなものが蔓延、ブームに冷や水をぶっかける可能性があるのでは、といったところであって。

どんなに言葉を尽くしても、助っ人だらけで「地域代表です」と強弁すればするほど外野からは冷たい視線が送られるというのは想像がつくと思われる。もっと言えば「日本人の役者不足」「過疎の日本サーバー」といったものが世界的に粒立てられ、それを嫌ったRIOTに、そこを足掛かりに日本サーバー閉鎖やLJLお取り潰し、なんて話になってもおかしくないのでは、といったところで。

長年LJLを見ている身からすれば下手な新人よりStealのほうがよく知ってるし親しみもある、どんな性格かだってわかっているし、ここ数年に限れば、俺で言えば血の繋がった弟の声よりStealの「はじまるよ~」の声のほうをたくさん聞いているほどだ。だが、一般的にはそんな話はたいして意味をなさない人生において「誰かにとってのヒーローや神様」すらも「他人にとってはモブキャラでしかない」というのは非常によくある話どころかほとんどがそうであって。

これは逆の立場に立ってみれば分かることであり、例えばWorldsのワイルドカード枠を争ってます、で「ロシア代表」「ブラジル代表」との対戦で出てきた相手が韓国人5人、もとGenGの練習生たちです、ってなったら、我々だって「ハァ?」と思ってしまうだろう、そしてそれに負けても腑に落ちないだろう。という事で。そう、この話はStealが、Geangが、Ariaが、という固有名詞から一歩二歩、あるいはそれ以上離れたところに本質がある、という点を読み違えるとまた厄介で、あまりいないと思うが読み違える人もいると思うのでここで一点明言しておこうという話で。

今回、長々と書いた、そしてここからも続く危惧、その第一歩をDFMは踏み出しており、それがなんとなく問題視されることもなくぬるりと進行しているのが「現在のLJL」ではないかと。

問題点① リーグのレベル問題

では何が問題なのか、というのをいくつか考えていきたい。まず一点目は「飼い殺されるGeang」という「リーグ、LJLのレベル」の問題になってくる。ご存じの通りGeangは来日以降LJLトップ級のサポートとして名を馳せてきた。それは「オールスター」に助っ人ながら選ばれたことからも明らかで、反論も少ないと思われる。

そんな言ってしまえばスタープレイヤーのプレーが半年間チームの都合で見られない、というのは他スポーツではあまりないことと言ってもいいだろう。野球で言えばホークスや楽天、巨人といった金満チームの際限ない補強の結果サブに、という例もあるが、前年オールスターレベルが怪我もないのに2軍幽閉、というレベルはあまりない気がする。

例えば野球で「柳田怪我とかじゃなくて雰囲気で半年休みでーす」「山川もでーす」「田中マー君も色々都合で半年休みでーす」「吉田もだよー」「近藤と中田翔もねー」ってなったら「今年のパリーグ、レベルひっく!」ってなるでしょ、そういうこと。

そして代わりに入ったのがKazu、コーチから数年ぶりに復帰、というのが、なんというか「やるせなさ」「諸行無常さ」が感じられるポイントになっている。決して彼個人がどうこうというわけではなく、その経緯、肩書が問題になってくる。こちらも他のプロスポーツで「引退してコーチしてましたー」って人が急にレギュラーでそのチームが1位独走、なんて例は相当レアになる。言ってしまえば、そんなのが通るスポーツは「そいつがめちゃくちゃレジェンドスーパープレイヤー」か「競争原理が機能不全に陥ってるリーグ」かのどっちか、という場合が殆どだろう。野球やサッカーで引退して例えばブルペンキャッチャー1年やって現役復帰、みたいな例もあったと思うが、言うてしまえば3番手4番手捕手としての復帰になってくる。

もちろんKazu選手はコーチ時代もソロキューを回して昨年日本1位も取っている、というエクスキューズはできるが、「だからプロに復帰しても問題ない」と言える一方、それを言ってしまえば「そんな日本1位が引退してプロプレーしないリーグってなんなん?プレイヤーとしての魅力が乏しいリーグなん?」という話にもなってくる。言ってしまえば「日本サーバーとは」問題というか。と、この問題、「両対応」になっているというわけ。Kazuは日本最高レベルのプレイヤーだよ派、Kazuはどうせ春だけ復帰の腰掛けで変わりはいるよ派、どちらの意見をとっても「歪み」が出てきてしまう。

そもそもこう見ていくと、DFMに「富」が一極集中しているが故の歪みといった感もある。金があるから他チームならレギュラー級の選手を飼い殺せるし、コーチで囲えるという話。まるで内川を2軍に転がしたままだった20年ソフバンみたいだなあ、というのはともかく、結局LJLの表舞台で戦っているプレイヤーは日本最高レベルのプレイヤーなのか?という話にもつながってくる。野球やサッカー、プロスポーツは(例外はあれど)基本的にはそこが担保されているからこそ面白いという部分があるのではないだろうか。いま日本にいるやつらのうちトップ級同士が戦ってる神々の戦い、それがLJLだとしたら「日本1位のKazu」も「Geang」も試合に出ることを観客は望むべきであり、それが「日本人枠というローカルルールが絡まったレギュラー争い」という変なアレのせいで叶っていない現状のLJLは、かなりいびつで歪みがあると言ってしまってもいいのではないかと。

また、こうなってくるとロールの話にもなってくる。「数年ぶり復帰の人がいきなりレギュラーで全勝できるサポートというロール」という風にも味方によっては見えてくるわけで。それって「試合のレベル」「チームゲーム」として「あまりにしょうもない」「諸行無常感」ありませんか?という話で。野球やサッカーなんてもっと「1人」の役割が言ってしまえば1/9、1/11といった感じで等分すればLOLよりもっと軽くなるが、それでも「そんな舐めてる事」はトップリーグでは当然起こりえないわけで。現実としてもしそうであってもプロチームがそれを粒立てている状況というのは、冴えカノ的に言えば「なんだかなぁ」といったところがある。「野球だってライトあんま球来ないやん」みたいな話もあるかもしれないが、そこで「準備」をしていたかしていないかで勝敗が分かれた試合ならトップレベルでいくらでもあるし、イチローの本職はライトだ、それイチローに言えるの?という話になってくる。

「トップレベル」の例で挙げたいのは高校野球ファンならお馴染み「奇跡のバックホーム」。78回夏の甲子園決勝、同点での延長10回裏1アウト満塁、その場面で松山商業監督はライトの選手の交代を指示する。「甲子園決勝」「一打サヨナラ」の場面での「守備固め」という極限に近いプレッシャー。そして交代直後、幸か不幸かそのライトに大飛球が上がる。角度も伸びも十分に見えたその大飛球は、その高度ゆえに風に流され押し戻される。それでも犠牲フライには十分に見えたその打球を、その「控えのライト」は中継プレーでなく大遠投でホームに返した。ホームに向かって「風」に乗った球は、中腰で待つキャッチャーの顔面近くにノーバウンドで届く。一方タッチアップ、俊足のランナーが全力で走り、全力で滑り込む、スローでも交錯するのは一瞬という際どいタイミング。悲鳴のような歓声のなか審判はアウトを宣告。その後、「控えのライト」はヒットを打ち決勝のホームを踏むことになる。競争原理がきちんと働いているスポーツならではの、「控え」すらも極限までにレベルが高いことがわかるエピソード。


繰り返すがKazu選手個人がどうこうというわけではない。2つ上の段落は「すごいよ派」、一つ上の段落は「腰掛けだよ派」的な見方として見たらこう見えるよ、というだけの言葉遊びの感すらある。Kazu選手がすごいとした場合、今度は引退していた19-20シーズンのLJLのレベルは相対的に低かったのでは?他チームがKazu選手を勧誘しなかったのは他チームの怠慢では?という話になるし、Kazu選手がすごくないとした場合、今回21春のレベルは本来あるべきLJL最高のレベルに比べて低いのでは?という話になるわけで。

そんな言葉遊びはともあれ、こちらも考えていけば「Kazu」個人がどうこう、という話、彼本来の姿から一歩二歩離れたところに本質があるように思える。だんたん何が言いたいのか自分でも混乱してきたのでまとめると、元コーチがふらりと1期だけ復帰して、そしておそらく夏からはまたコーチに戻るのだろう、そんな「イレギュラーな選手」がレギュラーというのはレベルに問題があるのではないだろうか?また、そんな選手を抱えてでも全勝できるリーグ、それも100人対100人の綱引きのうちの1人、1/100ではなく、LOLの5人のうち1人、1/5がそれで勝ててしまう、というのもまたリーグのレベルに問題がありはしないだろうか、特に(彼個人を知らない)他人が客観的に外から見た場合に、という話であって。正直自分が「そういった外殻」だけを伝えられたら「ふーん、それって1強過ぎてレベルが低いんじゃない?」と思ってしまうだろう、という話で。LOLに限らず。一般的にね。

そして例えばこのDFMの作戦が奏功してより盤石な体制となった場合、「LJLのチーム運営メタ」として「日本人枠獲得」を何よりも優先する、そのためには元選手無理くり復帰でもいい、みたいなメタが出来てしまうかもしれない。現にDFMとRPGが始めた「JG-SUP韓国人」メタは長年にわたりLJLを席巻していたわけだし、勝っているチームを模倣するのは悪いことではない。ただ、その「日本人枠」に絡んで一時的に低レベルなチームでも構わない、となってしまったら、見てる側は「しょうもな」と思うわけであり、観戦ファンの自分としては困ってしまうわけで。

そしてよもやよもや流石にそこまではしないだろう、と思うのだが、これだけDFMだけスポンサー差がある、おそらく金銭的余裕に差がある状況だと「野球のソフバン内川作戦」すら出来てしまうわけで。どういうことか、例えばこの後のLJLでNaehyun一人にボコされ続けて負けました、さあ夏前の選手獲得時期です、というときに「ギリギリでNaehyun獲得」なんてことも出来てしまう可能性があるわけで。(夏に契約ほんまに切れるか知りません、例としての話です。)

「リーグにはAriaいるから出なくていい」「なんなら日本来なくてもいいよ」なんて言ったりもしちゃったりして。要は「相手にさえいてくれなければただそれだけで良い」という考え方。皆さん「サカつく」とかでやりませんでしたこれ?俺は何度もやりました。ライバルチームのエースを強奪してしばらく飼い殺しと控えでこき使って旬が過ぎたら遠い外国にポイ。ゲームなら「定石」まである一手です。サカつくだと「キーパー」強奪しまくるのが結構効きます。相手にガリガリの若手キーパーしかいなくなるまで札束ビンタを続けるのです。まあサカつくの場合はともあれ、LJLでも一応対外的には「Ariaとチーム内での競争の結果です」と言い続ければよいだけの話なのだから。そうして相手チームの混乱を作り出し、ガリガリのMIDが出てきたところで「そろそろ狩るか…♥」というわけで、これぞリーグ必勝の構え。

でもそんなことされちゃったらLJLのレベルがガン下がりで見てる側からすりゃしょうもないこと風の如しなわけで。「さすがにそこまでせえへんやろ」と思ったあなた。でもこれ「GeangかAriaを半年出さない」のと、どんだけ違いあります?って話で。「Stealが枠とる半年の我慢やから堪忍してーや」って話でっか?って。

いやまあもちろん言い訳はいくらでも立つわけで。「Aria-KazuとCeros-Geangを使い分けようとするのはチームの自由やろ!」「外国人選手の使い分けはいかんのか?プロ野球でもサッカーでも多めに雇って数人2軍も普通やろ!」「LCKのT1かてFakerとClozer使い分けてるけどそれはええんか?」なんて言われたらそれこそ我々は「ぐぅ」としか言えないわけで。

そう考えると正直な話、これがAria-Entyとかだったらまだ見栄えが良かった、やはりコーチ電撃復帰って字面の苦肉の策感が…といったような。ただ「それってあなたの感想ですよね?」って半笑いで言われたら、こちらも「そうです」としか言えないわけで、つまりは理論的にはダンガン的にロンパされてしまうわけだが、そんな論理とは別のところで「もやっと感」を覚えているサイレント群衆はそこそこいるのでは?と思うところでもあり。

まあ逆に考えればそんな「外殻だけ見れば不利なDFM」がそれでも現在1位なのは、そんなKazu氏が並のコーチや選手では出来ないことをやってのけている、なんなら「LJL界の藤真」級のスーパープレイヤーであることの証明、と見ることも出来る。みんな好きな意見を好きに信じて生きよう。

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「藤真」:藤真健司。翔陽高校3年。神奈川では海南に次ぐナンバー2と目されている翔陽バスケ部の主将兼監督。正規の監督がいない翔陽で、監督としての顔、エースとしての顔、両方を持ち合わせたスーパープレイヤー。(SLAMDUNKより)

ここまで色々書いたが、レベル的な問題は今季さえ目をつぶれば、今回のDFMのフォロワーが出てこなければ、おそらく21春だけの問題という話にもなるわけで。結局Geangも夏からはフルで出ることが予想されるわけで。その後その後と考えていくと、今度はLJLのレベルがぐいぐい上がっていくのだが、それはまた別の話。

問題点② お楽しみの「ゲーム内ボイス」という文化

特にサッカーなどでは多国籍軍というのはメジャーであり、だからといって見ていて困ったりすることはそんなにない。メッシがほんまむちゃくちゃにすごかった頃なんかは日本中いたるところに自称バルサファンが溢れに溢れ、自称ソシオ(ファンクラブの豪華版みたいなもん)が沸きに沸いたという、スペイン行ったこともない奴らのくせによーイキりやがってよー。

バルサくらいのビッグチームであれば試合後インタビューは即時記事になり翻訳され日本でも読める、同様に監督の考えも通訳を通すことになるがすぐに回ってくる。そんなにファンとして困らないのも事実だ、そしてそれはビッグチームであればあるほどその通訳の恩恵にあやかりやすい。もっと気になるなら「サカダイ」でも読めばいい、大抵の本屋においてある。

ただ、LOLの観戦の楽しみとしてひとつ「ゲーム内ボイスチャット」がある。これは実際に選手がそのシーンでどんな声掛けをして、どう動いていたか見れるもので非常に人気が高く、野球やサッカーではほぼ見かけないイベントと言える。分からない人に強いて似てるの挙げるならカーリングの「もぐもぐタイム」、おやつ食いながら作戦喋ってるのを聞けたアレ、あれのプレイ中バージョンみたいなもんだと思ってもらえればよいかと。

実際にDFMのこのVC動画は公開3日で2万再生を超えている。TwitchのLJLの視聴者数がmax5万くらいなことを考えれば、このVC、ゲーム内ボイスチャットがどれだけファンから需要があるかはお分かりいただけるだろう。

現在のDFMは韓国人2人に日本人3人という状況で、Stealも来日後日本語が年々上達しており。DFMのVCは日本語で行われているから我々日本語話者も楽しめる状況になっている。実際世界大会で海外チームのVCが出たりするが殆どの方にはサッパリなのではないだろうか。自分もたまーに出るNA(英語)でギリ、といった感がある。それもヒアリングに脳が持っていかれて楽しめるかと言えばそうでもない感すらあるといったところ。

ただこれが夏、どうなるだろうか、韓国語ネイティブが3人と日本語ネイティブが2人になることが予想されるDFM、あるいは韓国語がチーム内公用語になってもおかしくない。同様にGeangも日本人枠を獲得した2022春、こうなると韓国語話者4人と日本人1人となる可能性もあるわけで、そうなったらいよいよゲーム内VCも韓国語のほうがスムーズだと思われる。

そうなったときにDFMはいまのようにゲーム内VCの動画を作ってくれるのだろうか、ハングルに日本語訳を書いて字幕読めとしてくるのだろうか、そして我々日本語しかわからないの民は、そんなDFMのVC動画を楽しめるのだろうか。LJLが始まって、2015だったかトルコだのなんだのとDFMが飛んでいき、ボコボコの中セロスGPのペンタで部屋の中で一人大騒ぎしたりして、「いつかLJLも」と思っていたが、本当にあの頃の未来に僕らは立っているのだろうか。俺のサイドエフェクトは何も教えてはくれない。

問題点③ 「日本人枠」争い、いずれはゼロに?

今回「DFM」を槍玉に挙げているのは「Worlds」に近いからであって、なにもこの果実、齧っているのは「DFM」に限った話ではない。現にソフトバンクホークスは(野球同様に)その圧倒的なマネーで選手獲得を進めた結果、先述の「日本人枠所持の韓国人」Tussle、そして「2重国籍」のCorporal、そしてDasherとZenitという「多国籍軍」状態に既になっており、「チーム内公用語は何なのか」というのがLJLに特化した番組「QWER」でも話題になっていた。そしてここに名を連ねるDasher、彼とて2019春から来日しており、このままいけば再来年、23春には「日本人枠」を取得することとなる。

また一瞬話が飛ぶが、現在LJLでは毎年「スカウティンググラウンズ」を大々的に行っているが、あのシステムも、現状のLJLを考えれば「大きすぎる」感がある。LJLは春秋それぞれ8チームのダブルラウンドロビン、プレーオフを除けば期ごとに「たったの14試合」しか行われない、年28試合で終わるチームもあり得る。フィジカルコンタクトの激しさから試合数が増やしにくいアメフトでも「1シーズン16試合」のリーグ戦、と考えればLJLの試合の少なさが際立つが、まあそれはそれとして。それに対してこの「スカウティング」は6チームのトリプルラウンドロビン、「各々15試合」の上に上位3チームは「決勝オフライン」まである。「30人のプロ候補」を集めているが、LJLの「日本人枠」、つまり5枠から「外国人枠2」を除いたもの、出場できる枠は実質的に最初から3×8の「24」しか用意されていない。そして先ほどから何度も話題にしている通り、「日本人枠」の外国人がその「24」から席を奪っていっている。

もちろん兵役や、再度のLCK挑戦などもあり、日本に来た外国籍プレイヤーすべてが「日本人枠」取得を目指しているわけではないし、実際に活かしていない場合もあるが、逆に言えばそんな特別な事情がなければ、この先どんどんと「日本人枠」の助っ人プレイヤーが増えていくことになる。もちろんプロなのだから「挑戦してレギュラーを掴みとれ!」というのは非常に正しい話なのだが、一方それは現状を考えればキレイゴトにも程があるわけであり、現状でたったの24、それもTussleとCorporalを除けば22しかない枠に現状のLJL戦士がいるなか「30人のプロ候補」を焚きつけるというのは、正直あまりよろしくないのでは?と思うところで。

LJLの各チームは万一に備えて「サブ」を登録してはいるが、LJL視聴者ならご存じの通り、「年間たったの28試合」「肉体疲労による交代があまり必要でなく、フィジカルの怪我も少ないeスポーツ」ではサブ登録の選手が出ることは非常に稀、あっても年間で数試合、3あれば多いほうくらいのレアさなのだ。

「プロゲーマーを目指す」のは自由だが、現状日本人上位レベルでは「LJL」でも出れるかどうか、かといってサッカーみたく海外で活路を見出すのはほぼ不可能と言ってもいいだろう。そんななか例えば進路迷ってた高校生が「RIOTから招待を受けた!トライアウト受ける!」となれば親御さんも訳が分からないまま
「まあ、あの子が招待受けたなら…」
「(多少ググって)大会社のRIOTにウチの子認められたのかしら…」
となるかもしれないわけで、で、スカウティングを機にLJLへ全振りしてみたところ、21年春で「22枠」しかない日本人出場者枠、それが22年春になれば「Geang」と「Once」が日本人枠となり「20」に、それからもAria、Dasherと「4年滞在KRプレイヤー」がどんどん増えていくとしたら…
というわけで。これは非常に「残酷」なことをしてはいないか、と考えてしまいたくもなるところであり。

なぜ残酷か、それはアマとプロとで練習環境に差がある点がポイントとなる。プロになるまでは「KRサーバー」で練習もできない、アマチュアでランクが上がれば過疎の「日本サーバー上位」で1試合ごとに30分待ちという途方もない無駄を強いられる現実がある。例えば同じ「1時間練習」しようと思ったときに、プロ勢はKRサーバーで「30分ゲームを2回」プレイする。その間プロを目指すアマチュア君は過疎日本サーバーで「30分インキューで待ち続け、やっとマッチした30分ゲームを1回」プレイする。待ち時間には諸々事情があるしこの通りでないことも多々あるが簡略化して言ってしまえばこういう話で。ここまできれいに「倍」というのは稀だろうが、日本サーバー側のほうが非効率であるのは恐らく誰しもが認めるところではないだろうか。

このアマ環境下で「4年日本でプロとしてやっている韓国プレイヤーか、KRで練習してる日本人プレイヤーから出場枠を奪い取れ」ってそりゃ無理な話でしょってところで。もし効率が「倍」差があるとして、いまのLJLは全チーム専業、ゲハに一日籠って例えば1日10時間練習してるとして、アマチュアが非効率な日本サーバーで「倍頑張って」同じ数試合してその差を埋めようとしたら、1日20時間LOLをやらないといけないことになる。精神と時の部屋でも用意するか2時間で十分なショートスリーパーになるしかないといった話で。2倍でなく、これが1.2倍でも、引きこもり以外には十分にキツイのは考えていただければわかることで。

高校野球や高校サッカーでも地域の格差はあるしたまに環境差は問題になる。ただ、東北の有名校は室内練習場を完備していたり、公立校なんかでは冬の間に体育館で基礎トレーニング、筋肉トレーニングを積んで備える、みたいな、まだ工夫の余地がある。しかし日本サーバーの長い待ち時間の間何かトレーニングしろ、って話になるかもしれないがここでまた問題になるのが「マッチしたら10秒でOKを押す」という動作。10秒以内にOKをいつでも押せる程度に心身ともに備えておく必要があるのだ。器具を使って筋トレなんかしてたら、よほどパソコンとマウスの配置を工夫して若干の無理をしない限りまず間に合わないだろう、という話で。

これが現状なのだから、プロチームの運営もよほどのアホでない限り、そして口だけでなく行動をもって勝利を追求する場合、これからは日本人新人獲得より「4年縛り」を考慮に入れての助っ人獲得優先の方針が出てきてもおかしくないし、もし自分が「LJLチーム作ろう」のオーナーだったら絶対にそうする。兵役の絡みはあるが、20越えて現実見えてきたLCKプレイヤーを勧誘することになる。LCKも、もう既に「引退して韓国でコーチ」というそのコーチの枠さえも飽和状態なわけであり、コーチ、ストリーマー、のほかの選択肢として「年金リーグLJL」でプレイヤーとして兵役ぎりぎりまで選手やりませんか、と声掛けをしていく形が増えるのでは、といったところで。かつて「できたばかりのJリーグ」がそうであったように。そしてDFMは既に「GeangかAria、どっちかしか使えないのに両方に金払う」というリスクというか損を背負ってまでそちらサイドに舵を切っている、ということにいよいよ皆様お気づきだろうか、というところで。

ここから各チームが「日本人枠」を頭に入れた「ルールにのっとった最善の強化」を続けていった場合、2026ごろには「全チーム5KR」が出来上がることになる。もちろん各チームにも「予算」があり、どうせフランチャイズ制で0勝でも来年出られるしー、と助っ人獲得費をケチる「捨てゲー」チームがあればもしかしたら「日本人の枠」があり得るかもしれないが。そんなKR助っ人だらけのLJLとなったら、さぞLJLのレベルは上がるだろう、おそらくもうなくなったがKR2部レベルくらいに急激にレベルアップするのでは?といったところで。

そんななかでLOL20周年の式典を見るとき、もしかしたら日本語放送は当然なし、「LJLレボルラジオ」でLJLを見る日が来るかもしれない、とかなんとか。冗談のような話だがキチンと頭で考えてみてほしい、全然あり得る話だという事に。

問題点④ 「お取り潰し」 オーストラリアの例

LOLは世界各地にリーグがあるが、この10年で拡大の一途をたどってきたわけではない。その例の一つがOPLだ。オセアニアのプロリーグOPLは日本同様、1年2期、8チームのダブルラウンドロビンで行ってきたが、ご存じの方も多いかと思うが、2020末でそのOPLは閉鎖となっている。一応LCO - League of Legends Circuit Oceaniaというものがこの2月になんとか立ち上がったようだが、縮小化の憂き目にあった、と言ってしまっても問題ないだろう。

https://escharts.com/ja/tournaments/lol/opl-split-2-season-2020

eschartというサイトでLJL、OPLおのおのの視聴者数等の統計が見られるが、OPLの最後、昨年夏の平均視聴者は約1万、最大視聴者数が51,000、それに対してLJLはといえば平均は23,000ながら、最大視聴者数は53,000とほぼ同レベルなのが分かる。そしてOPLもLJLもWorldsに出ている「旧ワイルドカード地域」だが、そのなかでも「結果の出ていない地域」という共通点がある。

成果の出ていない地域が憂き目にあうというのも他に例がないわけではない。かつて東南アジア地域で覇権を握っており、Ascension、MEGA、Nova Esportsと所属する先々で世界大会に導いてきたタイの有名プレイヤー「G4」、名前はLOLの世界戦をよく見る方ならご存じのはず。そんな彼と彼の仲間たちも、地域の統廃合で2020からは「香港台湾地域」のリーグに併合されることとなった。台湾と言えば近年は落ち目ながらも「5大リーグ」に数えられるほどの強豪地域、結局彼らは10チーム中6位程度に落ち着き(それでも健闘したほうに思えるが。)、結局G4の近況は「Moved to Wild Rift」となっている。Worlds3回出場のプレイヤー、それも主力としてはあまりに悲しい「近況」ではないだろうか。

正直に言って「Worlds」に出ている非5大地域、いわゆる旧ワイルドカードの面子で近年成果が出ていない地域としては「LJL」がダントツ筆頭になる。2020のプレイイン、5チーム中4チームが上がれるレギュレーションで5位敗退、2019プレイイン、3チーム中2チームが上がれるレギュレーションで3位敗退。同様の成績を収めている最下位連続の地域は「ブラジル(COBOL)」だけになる。LJLが躍進した感のある2018も今思えば最下位決定戦の様相すらありそのブラジルと1勝1敗、タイブレークでブラジルに勝利しての2次進出だった。なおそこで0-3敗退。とまあ世界的に見れば「LJLの未来は明るい!」というより「首元がすーすーしてくる」といったほうが正しい認識と言える。もちろん自分だってLJLに愛着はあるし頑張ってほしいが、今までの結果というのはそれとはまた別の話である。ごっちゃにして感情論にしてしまう人が多いのは非常に残念だと思う次第で。

とまあ、ただでさえ「危うい」LJLの立ち位置、そのうえ日本ではPCゲーは流行らないと散々言われていた中、PUBGからAPEX、あるいはフォートナイトとシューター系はかなりの人気と地域を確立している。19にはシージで日本チームがベスト4にまで残ったりもしているなか、LOLがここ数年、日本国内で増やしたものと言えばせいぜい「暴言の酷さ、無法地帯っぷりという悪評」くらいではないだろうか。ロル君?誰も覚えてねえだろあんなの。

そんな感じで国内の伸びもない、国際戦の戦果もしょぼいというなかで例えば2021Worldsに首尾よく出場、Evi、Steal、Aria、Yutapon、Geangと出てきたら恐らく他地域、いや世界からとりあえず疑問符は頂けるだろう。え?KR3枚ない?って。

そしてこれが22WorldsになるとうまくいけばGeangも「日本人枠」となる。EviかYutapon、助っ人ほぼゼロのTOPよりADCのほうが可能性高かろうという話で仮に「Evi、Steal、Aria、Gango、Geang」で日本代表DFMです!となった場合さらに疑問符がいただけるし、それでよいのか、という論争を引き起こすことはもはや必至といえるわけで。

そうなったらどうなるか「日本とは」「日本サーバーとは」「日本地域とは」という話は当然出てくると思われる。言い方は悪いが韓国の下部組織状態になったLJLを本国RIOTが良しとはしないだろうことは想像がつく。となれば末路はお取り潰し、なんて話もあり得るのではないだろうか。正直このあたりについて「梅崎氏」に何か尋ねるメディアがあっても良いのでは、と思うところなのだが。なあウメちゃん、あんたのやってること、ルール的には正しいし最適解だ、さすが根っからの経営者だよ。でもさ、それゆえLJLの首絞めてねえか、って。それで「麒麟」来るのか?「大きい国」を作りたかったんじゃねえのか?って。

ただ今回、梅崎氏が悪いというわけではない。現にLJLで3KRというナイフを振り回してきたのは他チームが先で、そんなこんなの流れの中戴冠を逃した20があっての現在なのだから一種の正当防衛ともいえる。他チームがするそれを我々もやろう、ルールにのっとって最善手を打とうという結果がDFMの現状になる。つまり各々が「最適解」を選んだがゆえに「最速」で「お取り潰し」への道を歩んでいる可能性についてほんとRIOTJPの偉い人でもLJLの偉い人でもなんでもいいので偉い人は考えているのかいないのか、いないのなら早急に考えるべきことだと思う。3年後もLJLを見たいファンとしては。

問題点⑤ NA(アメリカのリーグ)、非居住者制限撤廃へ?とその議論

先日、SejuPoroさんのTwitterで知ったのだが、「複数のLCSチームオーナーがRiotに対し、非居住者選手の人数を制限するルールの廃止を求めた」といった趣旨のツイートが上がっていた。該当のRedditは以下のモノっぽい。

https://www.reddit.com/r/leagueoflegends/comments/lbzlvz/lcs_team_owners_have_asked_riot_to_remove/

ざっと読んでいくと色々な反応がある。「もう既に有力チームは外国人4人とかいるじゃん、それが5になっても変わらんよ」といった話や「いや外人だらけなら見るのやめるよ」とか「スタクラではかつてリージョンロックというものがあってじゃな…」的昔話や「NAのLCSにも昔LMQというオール中国人チームがあってじゃな…」とかまあそれはもう喧々諤々としている状況で。そう、見る限りコメントがとても「ホット」なのを感じるところで。誰もが自分事のようにNALCSをイジリながらもそれでも自分なりの考えが語り合われていて、そしてRedditはたまにRIOT社員も出てくる。ちゃんとこの事態にユーザー同士が建設的、とまではいかなくても語り合っているというのが非常に何というか健全というか、羨ましいというか。

https://euw.leagueoflegends.com/ja-jp/news/community/saying-farewell-to-boards/

かつて日本RIOTにも「コミュニティボード」というユーザー同士が語り合い、そこにスタッフも顔を出す、というコンセプトの場は存在した、が今はもうない。そもそも日本版では、その「理想」は早々に崩れ、「やべーやつら」の動物園、(恐らく)辟易したスタッフも数カ月にいっぺん定期メッセージを書き込むだけ、といった廃墟にして大機能不全状態だった。まあ、それも元を正せば卵が先か鶏が先か、みたいな話になるのだが。「荒れた試合」は「選手」が作るのではなく「試合をコントロールできなかった審判」が起こすものだ、みたいな話で。

そんな感じでNAはこの「枠」についてユーザー同士が考え、意見し、それをRIOT社員が目にする、という状況になっている。その結果どちらに転ぶかわからないが、ある程度この「世論」を反映した形となるだろう。

もちろん俺が知らないだけで日本のどこかでホットに会話されているのかもしれないが、2ch的なものやまとめサイト的なものでまともな話し合いが出来るとは考えづらい、やってるのかどうかも知らんけど。そもそもがToxicの巣みたいなところではシーンを動かすような建設的な話は出来ないだろう。

かといって他に集まれる「場」みたいなものは恐らく現状存在しない。カリスマ性のある誰かが何か立ち上げて、みたいなものも正直期待できないだろう。元プロもストリーマー業がある以上変に堅苦しくして「敵」を作るのも億劫だろうし、となるとこのNA、アメリカのような話し合いの場すら特に作られないまま、日本の「日本人枠」問題は進んでいくのだろうと思われる。

問題点⑥ 誰もが「他人事」感のあるLJLと日本サーバー

これはもはや今更、といった感があるが、結局上のように「議論」が盛り上がらないのもその機運の気配すらないのも「自分事」として感じられないLJLというのがひとつ問題なのではないだろうか、それは昨日今日の話でなく、長年で培われてしまったことであって。

どういうことか。自分は格闘ゲームも好きでLJL同様にプロシーンをよく見ている。実は見始めたのはプロシーンが出来るずっとずっと前になる。そこらのキッズ同様、俺も田舎の小さな筐体でゲームをはじめ、勝てるようになったら少し大きなゲーセンに行ったり、町一番のゲーセンに行ってみたりもした。残念ながら俺の腕はへなちょこだったので「田舎町」程度で止まってしまったが、その時に感じたのは「この目の前の俺をボコしてる兄ちゃんも恐らく名古屋でボコされる、そんな名古屋トップの奴も全国大会でボコされる…」という「上には上がいる感じ」に胸躍った気持ちをまだ覚えている。その「食物連鎖」の頂点に「全国大会優勝者」「闘劇覇者」がいるのだ、というのを間接的に、そしておぼろげながら感じることが出来た。

現在の格闘ゲームシーンもそうだ、ドアマチュアでも、ド田舎民でもネットでランクさえ上げていけば、基本的にはその頂点にいる「ウメハラ」をはじめとしたプロゲーマーとマッチングできる。言ってしまえばわらしべ長者のように「俺に勝ったAが負けたBが勝てなかったCが…」と20や30、あるいは50人100人くらい上に上に辿っていけば「トッププロ」にたどり着く形となっている。そう、「地続き」感があるがゆえに親近感もあり、応援しがいもあるという形になっているように思える。ランキング上位を見れば「知った名前」「プロの名前」が並び、そのプロたちに割って入ること自体が「プロへの直通ルート」になっていったりもしている。

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格闘ゲームは基本的に「ランキング」が見られる仕組みになっており、こちらは比較的新しく出た「グラブルVS」の発売1カ月後くらいのランキング。例えばこちらでは1位には「カプコンカップ2015覇者」にして「現バーニングコア所属」の”かずのこ”、3位には「リーサルの匠」にして「現シノビズム所属」の”藤村”が名を連ねている。

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面白い例としては「スト4」で、当時世界ランク1位に謎の日本国旗マークの「gameinn」というプレイヤーIDが存在していた。それが誰かしばらく不明だったが、あのウメハラが生配信で「強すぎるからすぐわかると思うけど」という言葉とともに自分がgameinnだと明かし、海外でもニュースとなっていた。上の写真では1位のウメハラ以外にも「YHC-餅」「BNBBN」「ときど」など現在のプロや、プロ級のアマの名前が並んでいる。

https://kotaku.com/if-you-see-this-gamertag-run-5542228#comments

一方LJL、こちらは「プロがKRサーバーで練習する」ため、日本のプロリーグの試合を行っているプロたちは日本サーバーにいない、ある種の空洞化現象が起こっている。日本プロの強化施策としては悪くない一手だと思うが、同時にこの空洞化現象に対するケアも必要であったのでは、と思うところ。結果的にこの空洞化現象をLJLか日本RIOTか、とにかく運営サイドが何年も放置し見て見ぬふりをし続けた結果、その「歪み」はもはや簡単には修復不能な状態に陥っている感すらある。真面目に日本1位を目指している人はそうそう見当たらず、有名ストリーマーやプロは年間ランキング閉幕直前の2週間くらいのみ本気を出し「上位100人のみ貰える褒章」を得ようと頑張る形となっている。結局、最後の2週間以外、このランキングすらも機能不全を起こしている感がある。

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現在のLOL日本サーバートップ10。「正式名を晒すとゴースティング(相手の配信を見てマップを確認するズル行為)される」や「ターゲットBANされる」という不利益の上に「過疎がゆえに1マッチの重みが大きい」「名称変更は格安で行える」という都合等もあり、上位プレイヤーは名前を頻繁に変更するのが常となっている。そのためこの名前を見て「誰」か理解できるのはごく少数だろう。そしてここには見ての通りEviもYutaponもapaMENもPazも、LJL戦士は誰も名を連ねていない(と思われる)。誰かにあこがれて、あるいはマッチすることを目標にしてプレーする、そんなことすら難しいのが今の日本サーバーの現在位置ともいえる。

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一方、名誉のために本場KRサーバートップ10も。「ゴースティング」等々の条件は同じながら、LehendsやShowMaker、Untara等「堂々と自分の名を晒したプロのランクインが目立つ」のが日本サーバーとの違いか。名前を変えるにしても「JUGKING」(ジャングルの王)という名でプロのジャングラーCanyon、「TOPKING」という名でプロのトップKlinがプレイ、まだ洒落が効いており、一般プレイヤーも「憧れ」やすくなっている感がある。

それでも最悪「過疎がゆえにプロが参加しない」日本サーバーというのもそれはそれでありかもしれない。言ってみれば「アマ専用サーバー」として、「そこの上位が誉でありプロへの道」と機能していればそれはそれで価値はあるし良いサーバーとなりえたかもしれない。もう一つの問題点は、日本のプロチーム運営サイドも「ランキングを気にもしてない」という点になる。

例を挙げると、元USGのプロであるところのisurugi氏。彼は日本サーバーで2つのアカウントを用いて1位2位にランクインするほどの腕前で、実際にTwitterでそれが自分であるとも証明し宣言している。そしてアマからプロへの登竜門、先述の「スカウティンググラウンズ」にも、その1位2位という輝かしい実績を引っ提げて参加した。結果「どこも採用しませんでした」というオチに。元プロでありチームプレー経験もある、過去の問題発言や素行の問題もない、言ってしまえば少し年を取っているベテランの感はあるが、それでも日本サーバー1位2位独占するほどのプレイヤーが手を挙げても、万年下位チームからすら採用がいただけない、となれば
「何のためのランキングか」
「これ以上日本サーバーでどう実力を証明すればよいのか」
「日本サーバーで何をすればよいのか」
という話になってくる。

上に行ってもLJLのプロはいない、そんな中頑張って1位をとるだけじゃない、1位2位のワンツーまでして、それでもプロチームに無視される。この状況は、日本サーバーとLJLが隔絶されていることの証明となってしまってはいないか、という話で。先ほど格闘ゲームの例で言った「地続き感」、これが全く感じられないのがいまの日本サーバーとLJLの関係性となっている。

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isurugi氏のTwitterより。2019にこの偉業を達成した彼だが、2020の4月以降Twitterも、長年プレイしていたLOLアカウントも放置状態となっている。本来なら「日本サーバーを盛り上げてくれてありがとう」と一声かけて貰っていいほどの功労者がポッキリ折れたように見えるこの状態を関係者はどう見ているのか、一度聞いてみたいところ。

僕のように最底辺の実力の人間すら低pingで浅瀬パチャパチャできるという部分では日本サーバーはありがたい。反応が良いというだけでありがたい。ただ、上を目指す人間たちにとって上が詰まってる、この状態ではサーバーが健全に機能するかと言われれば無理でしょう。やってもやってもダメならゲームを辞めたりダークサイドに堕ちる人間が出てきてもおかしくないわけであって。そのあたりに対して、LJLかRIOTJPか知らないが、とにかくあまりにも無策、何もしなかった結果、池の水は淀み切ってしまっているというわけで。もう静岡大学の水産なんとか学部の先生とロンブーとココリコ田中を呼んできて「日本サーバーの膿、全部出す」とか一度特番でやったほうがいいのでは?といった感じであり。

そんな冗談はともあれ、こんな感じでLJLと日本サーバーが隔絶された結果、日本プロは日本サーバーに興味がなく、日本サーバーのトップ側もプロにそんなに興味ないどころか、なんなら敵意的なものを抱いていたりする場合まであるわけで。(アイバーンとか)。

もちろん、日本サーバー側にも言い分があるのかもしれない。「距離的に韓国人中国人の実力者がアクセスしやすい」というのが不利に働く面もあるだろう。ただ、ここで「鎖国サーバー」にしてしまえば、さらに人口減、マッチング時間増になる可能性もあるわけでメリットデメリットの判断が難しいところ、というか運営にはロルくんとかじゃなくて、こういうのを考えて運営していてほしいなあと。そもそも「一回でもそんなことが考えられたことがあるのか」を運営に尋ねてみたいところだったりもして。

そんなこんなでただでさえ日本サーバーとLJLが隔絶している感のある中、KRプレイヤーがさらに増えたらどうなるか。KR生まれKR育ちの彼らに、俺たちは地続き感を覚えることはできないわけで。かといって韓国人の皆さんも「僻地の2部リーグ」「日本語放送のみ」なんてものは見ないわけで。このままいけばどこか決定的なタイミングで「視聴者離れ」が起こってもおかしくない、もし株があるなら今のうちに売っておくべきだろうといったレベルの話で。

さいごに

まあ、相当悲観的な未来について書いているが、未来というのはいくつかの枝分かれをしていて何かのタイミングでどう転がるかわからないと実力派エリートの迅さんも言っており、割と最悪の可能性について書いている感はある。ただ、現状あまりいいほうに転がってもいない感はある気はしており、長年俺のよき暇つぶしパートナーとなってくれていたLJLが今後も楽しく存続してほしいなーと思いながら書いたというわけで。そう熱くならずに、あげせんでも食いながら来年も再来年もLJLを見てえよって話で。

最初に書いた通り、DFMも最適解を選び取った結果であり、それって責められないと思うのもまた事実。でもこの最適解の1年後、2年後、3年後を考えたら、応援し続けられるか、興味を持って見ていられるかすら怪しいところだな、と思うわけで。一朝一夕でなんとかなる話題でもないし、俺がどうこう言っても変わらない気がするが、皆が心の底でふわっと思ってるまま、ぬるぬるーっと動いている気がして書いてみたりしたという話で。あとは数年後「ほらね」って言うための布石というかね。

まあ例によって今回何が一番言いたかったのかクイズの答え、これを最後に書いておくと「奇跡のバックホーム」の話です。

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