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元ゲーム攻略本ライターによるLJL 2019 Spring 開幕前レビュー

お正月も成人式も過ぎ、今年もこの季節になりました。WhiteAlbumの季節ではなく平成最後のLJLの開幕です。一応説明するとLJLとは、eスポーツの花形競技 全世界プレイ人口1億人のゲーム LeagueofLegend の日本公式プロリーグのこと。開幕は2019/1/19 13時と書いて確認しようと思ったら開幕前日にサイトの証明書期限切れでアクセス不可。RIOTJP、そういうとこだぞ。(復活してました こちらです https://jp.lolesports.com/ )

今年は、2015年以来ずっとBO3(2本先取)の6チーム制だったリーグ戦をBO1(1本勝負)の8チーム制に変更、優勝賞金もLJL2015では20万円だったのがLJL2019では1,000万円仮想通貨並のジャンプアップを果たし、まさにeスポーツバブルここにありといった感じ(ホルダーの梅崎さんおめでとうございます)ですが、それに伴ってシーンの注目度もeスポーツの日本での地位も向上して頂ければと思っている次第であります。賞金が1,000万となったことで、少なくとも賞金上はLeagueofLegend(以下LOL)の海外最高峰プロリーグ(NA,EU,CH,KR)と肩を並べることとなり、つまり今後この額を維持できれば、地理的に近いKRから世界レベルの選手が参戦する可能性も高まり、ひいては日本全体のプレイレベルが上がることが期待されます。サッカーも当時の”Jバブル”で来たジーコ、リトバルスキー等レジェンド級助っ人が日本のレベルを引き上げて、ドーハの悲劇があって、ジョホールバルがあって、ヒデがいて、いまのアジアカップ勝つのが「普通」、W杯に行くのが「普通」、1次リーグ突破が「普通」といった地位にまで地続きになっているのですから。

前置きはここまでとして、今年参戦する8チームのスターターも発表されたので、優勝候補から順番に紹介、というか所感(自分用観戦メモ)を書いていきたい。メンバー構成的な話と、戦い方の話、あとまとめという感じで。一応ある程度は調べてますが、出場機会の少ない選手や海外から来た選手に関しては浅さが目立ちますがご容赦を。(以下敬称略)

DetonatioN FocusMe(DFM)

TOP / Evi(エビ)
JUNGLE / Steal(スティール)

MID / Ceros(セロス)

ADC / Yutapon(ユタポン)

SUPPORT / Gaeng(ゲン)

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MID(SUB)/Ramune(ラムネ)

※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

直近のLJL2018Summerで涙の優勝を果たし”終身名誉優勝候補”,"最大の敵はプレーオフ制度"といった汚名を返上すると、久々に出場した世界大会”Worlds2018”では、下馬評を覆しC9相手に名勝負を演じ、タイブレークの末に日本初のPlay-Inラウンドのグループリーグ突破をするも、Round 2では抽選で一番キツイ(と思われる)中国第三代表EDGにボコボコのボコ、100回やっても勝てなさそうな0-3で跳ね返されWorlds本戦出場はならなかったものの、結果としては大健闘。特にTOPのEviは対戦したNAの強豪C9コーチのTwitterで「Eviはスマーフ(≒レベルが違う)」と評された。そんな”世界”に一番近づいたDFMは2018からスターターの変更はSUPPORT / Gaeng(ゲン)のみ。Geangは2018Spring優勝のPGMに直前まで在籍しており、主にタンクサポートかザヤラカンでキャリーを守りながらエンゲージまでハイレベルでこなし高い評価を得ていたが、チームの解散に伴いDFMに加入。ハンドスキルや視野の広さは折り紙付きだが、唯一の懸念点はチームカラー。PGMは基本的に中盤までレーンでおとなしくして相手いじめておいて後半ADCのYutorimoyashiに爆発してもらうスタイルだったが、独特のDFMスタイルにハマるかが鍵。

メンバー変更は1人のみなので、戦術は基本的に今までのスタイルを踏襲すると考えられる。スタイルとしては、独特の「自分の形(≒DFMスタイル)」を持っているのがこのチーム。ジグス、ハイマー、カルマと変則ピック(セロス動物園)で試合開始直後からMIDをガンプッシュという、被ガンクのリスクを大いに背負いながらなぜか死なない(LJL2018Summer1試合平均デスの少なさ全体1位)”皇帝”セロスがMIDを押し上げ、その視界的有利を活かす形でTOPの”学び続けるKRチャレンジャー”EviJGの”えびンモTV黄金コンビ”Stealがガンクを決めて開始数分でTOPの優位を確定させ、BOTレーンは”天才”Yutaponの気分次第。ここにコーチの”かずーたマクロ”が加わるスタイルはあまりに盤石で、日本国内では「一強」と評して問題ないレベルだと思われる。このスタイルを崩せたのは個の力で上回る海外チームプレーオフのときのPGMくらい。8チームになったこと、BO1になったことから、策を練って一か八かの「DFM潰し」を狙うチームが出てきてくれることに期待したい。しかし、昨年まで数少ない穴の一つだったサブメンバーの経験の少なさも、今回2018Spring優勝のPGMでMIDのスターターだった、すなわちどのチームでもMIDのスターターになれるレベル”主人公”Ramuneがなぜかサブで加入とあまりにも万全。おそらくリーグ戦ではCeros一人で十分なので、国際戦を見据えての加入と思われる。うーん、死角、なし!

まとめ
・過去日本最高成績のメンバーが4人残留とチームの成熟度が高い
・加入メンバーも2018Spring優勝のPGMから2名と高クオリティ
・序盤から動くDFMスタイルに Gaengがハマるかがほぼ唯一の懸念事項
・ストップザDFMの鍵はストップザ皇帝、どこがDFMスタイルを潰せるか


Unsold Stuff Gaming (USG)

TOP / apaMEN(アパメン)
JUNGLE / Tussle(タッスル)

MID / Dasher(ダッシャー)
ADC / Keymaker(キーメイカー)
SUPPORT / Enty(エンティ)
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TOP(SUB)/ Arumik

※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

2016年の初参戦時、全員日本人という珍しいチーム構成で2位となって以来、DFM、PGMと並んで「3強」と呼ばれながらもSpring優勝争い→Summer降格危機という危なっかしい戦績を続けてきたが、2018SummerではとうとうSummerでもプレーオフ進出、プレーオフで負け続けたPGMに勝利しプレーオフ決勝進出、と殻を破って2019に望むUSG得意のSpringと言いたいところだが、このオフ一番のニュース「GangoのKT移籍」がどう響くか。2018年を振り返ると、2014に世界一となったSamsung Whiteにサブで在籍していたGangoをADCに迎え、初日にいきなりペンタキルの大立ち回りでLOL後進国日本に格の違いを見せつけ、その後も、Gangoさえ残っていれば勝てるしGangoが落ちれば負ける「プロテクトGango」で一年を戦ってきた。その大車輪の活躍が認められてか、Gangoは世界大会常連の名門KT Rolsterへ移籍を果たしたが、代わりに入ったのは元V3のKeymaker。オフェンシブなスタイルは、同じくオフェンシブなサポートEntyとのシナジーが期待できるが、千両役者Gangoと同じ役割を、というのはあまりに荷が重い。また、GangoのみならずMIDのGariaruもAXIZへ移籍し、代わりに入ったのが韓国2部、ES SharksのMIDだったDasher。コーチもES Sharks出身で、つまりMIDに教え子を引っ張ってきた形だが、それがいままでのUSGと融合できるかが見もの。不安要素は大きいが、それでも残留メンバーの地力は高く2位候補筆頭。

メンバー変更は2人と少ないが、チームの核だったGangoの抜けた穴はあまりにも大きい。戦術としては「お願いGango」から「お願いDasher」になりそうだがプロテクトGangoのポイントはMIDのGariaruが主にガリオで常にADCをケアする意識があったからこそ。Keymakerに、というよりADCにレーンに勝ちつつMIDもケアしてね、というのは荷が重いだろう。また、Dasherもおそらくハンドスキルは申し分ないだろうが、慣れない環境で過度に期待され空回りしてチームと噛み合わない助っ人MIDというのも「LJLあるある」なので、そのパターンにハマらないことをファンは祈ろう。apaMENのレーンを維持しながら要所で仕事をキメる決定力も、Tussleの毎年毎年入れ替わり続ける各チームのKRジャングラー相手に一歩も引けを取らないジャングリング肝の太いバロンスティールも、日本ならどこ相手でも少なくとも大負けはしないベテランの安定感があるが、問題はやはりキャリー陣。DasherがハマればストップDFMの第一候補、Dasherがハマらなければ一足早い「夏のUSG」が訪れる可能性もある。あとは試合形式の変更でBO1に変更、オールドファン(2016視聴者)なら分かるだろうが、デビュー直後のUSGは当時「大胆なインベード」に代表される「奇襲」でとにかく第一試合はめっぽう強いチームだった(BO3では6-4だったが、1試合目に限れば8-2とDFM以外には全勝)。今年からBO1の1試合勝負になり、当時のチームカラーを思い出せればこの変更は追い風となる。そのカギを握るのは、当時のメンバーであるapaMENとEntyだ。(当時のメンバーがもう一人FA中なので獲得が吉か?)

まとめ
・3人残留だが、抜けたGangoの穴はあまりに大きい
・コーチと教え子Dasherのコンビに期待がかかる
・Dasherがハマれば躍進、Dasherがコケてコーチにも影響すると危険
・かつてのチームカラー”初戦のUSG”が復活すれば追い風


V3 Esports(V3)

TOP / Paz(パズ)
JUNGLE / Neo(ネオ)

MID / Ace(エース)

ADC / Zerost(ゼロスト)

SUPPORT / viviD(ヴィヴィド)

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MID(SUB)/Recap

※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

誰もが予想が難しいと感じるであろうLJL2019Springの3位争い、すなわちプレーオフ圏内。あなたの夢は何ですか?私の夢はV3 Esportsです。スターター発表ではMIDAceとなっており、こうなると2018Summerから脅威の全員入れ替え。8チーム制で選手の移動が多かったこの冬だったが、FAの目玉、DFMマインドを持ったviviDの獲得はあまりにも大きいその上TOPには元PGMでこちらも今季の目玉”スマーフ”Eviの対抗馬一番手のPazを獲得。PGMでは耐えるレーンで強さを見せたが、本来はスプリットもこなせるゴリゴリのTOPレーナーで、Evi、nap以外にはTOPでの優位を獲得するであろう安心感がある。viviDの相方には”2015のデビューからこれが8チーム目の渡り鳥”Zerostを獲得。SNS等での起伏の激しそうな発言や、ファンから”イジられ”がちなキャラのZerostだが、不名誉な代名詞となっている”0-11(リーグ戦0勝10敗、プレーオフ敗戦)”の前に、2016SpringではDFMで”10-0(全勝優勝)”も達成しており、そのときのSupportがそう、viviDなのだ。10-0も0-11もあるように、チームの流れに大きく左右されてしまう(一人で状況を変えることは難しい)プレイヤーの感はあるが、過去幾チームからもオファーを受けているようにハンドスキルは折り紙付きで、0-11の最後、10K差つけられた締めのバロンファイトでは機動力の薄いケイトリンで大立ち回りを演じ、チームを(数分間)救ったようなスーパープレーも出来る、ポテンシャルなら日本屈指のADCなのは間違いない。JGには元USGで”LJLを知る”Neoが加入と、まるで2016-17あたりの3強からランダムピックしたような形。Neoは、当時はリーシンやグレイブスといった機動力のあるチャンプで大胆なインベードを得意としていたプレイヤーだが、懸念点は昨年一年参加していたトルコリーグで散々だった点。PGMのPaz、USGのNeo、DFMのZerost/viviDと各自が調子の良かった頃のフォームに戻れば3強のスターターが4人と”3強”の一角に十分入れると思われる。もうひとつの懸念点はスターターMIDが元BQB(LJL2部)のADCだったAceになっている点。BQBの前はDFMのサブMIDだったが試合に出ておらず未知数。サブ?に昨季V3の唯一人の生き残りRecapが在籍するため、臨機応変なスイッチを画策している可能性もあるが、Recapも(KRのMidも相手にいるため大変だったが)押し込まれる場面が多かっただけに、どちらが出るにせよ、MIDから崩されないかが心配なところ

戦術面では5人のメンバーチェンジのためさすがに未知数だが、TOP、BOTはLJL一部上位でも十分戦える実績があり各サイドレーンの強さを活かす形となりそう。この形なら一番ハマるMidはおそらくAXISのGariaruだろうが、MIDのAce/RecapがGariaruのようにうまく耐えながら両サイドの優位を後押しする動きが出来るのが理想形だろう。Pazも(今メタではないが)GPを幾度となくピックしており、グローバルUltでBOTを助ける動きは得意。逆にMIDが早い時間に一方的に崩され、PazやBOTコンビがヘルプに回らないと貫通されるようになると、せっかくの強みが露と消えてしまいかねない。JGのNeoもチームプレーというより予想外の超アーリーガンクやインベードといったような、一人で盤面を掻き回すプレイ(イブリン…)が真骨頂なだけに、MIDが耐え、サイドがガンクを食らっても死なずに勝ち、Neoが暴れまわれば3強争いでも優位に立てるし、それだけの実績を各人が持ち合わせてる。Zerostがいい意味で調子に乗れば連勝してもおかしくないほどのポテンシャルを秘めているため、この8チームの中で特に最初の数試合が大事で、序盤戦で”イケる”という手応えが欲しいチーム。逆に最初の数試合コケると、まだ結成間もないだけにチームの雰囲気を立て直せるかが心配。幸いにも地力の高い2強、USGとは2週後の5試合目、DFMとは最後の7試合目と優勝候補との試合が離れているため、それまでにどれだけ”勢い”をつけられるかが鍵となってくるはず。

まとめ
・スターター総入れ替えも、過去”3強”にいた4人を集めなかなか豪華
・特にサイドレーンはJG介入がなければリーグ屈指の実力と実績
・MIDのスターターがMIDでの試合実績がないのが不安
・最初の数試合で出来る”チームの雰囲気”が最も影響しそうなチーム


Crest Gaming Act (CGA)

TOP / Nap(ナップ)
JUNGLE / hachamecha(ハチャメチャ)
MID / Luna(ルナ)

ADC / Art(アート)

SUPPORT / Grendel(グレンデル)
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TOP(SUB)/Atyamomo
ADC(SUB) /Alps

※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

4位予想にはCGA。CGAは2018Summer昇格組でSummer6位ながらも僅差の6位で、LJLCS(2部リーグ)を10-0と圧勝で勝ち上がってきたBQBを全く寄せ付けず3-0の勝利と格の違いを見せつけた。チームの核はなんといっても絶滅危惧種レベルだった”日本人ジャングラーの雄”hachamecha、優勝したDFMのStealも優勝後の配信で「一番キツい相手」に並み居る助っ人JGを抑えてその名前を挙げるなど、相手チームからも評価されるジャングリングが特徴。もう一枚の看板は”元・昇格請負人”Nap。二部では数多くのチームのリーグ勝利に貢献しながらも1部に姿を見せなかったNapが満を持して入れ替え戦に姿を現すと、7thの勝ちパターンである、あの”らいじんイレリア”をスプリット完遂させずに五分の戦いを見せて昇格確定。LJL本戦でもデビュー当日にはLJLの門番apaMENをソロキルと実力を大いに印象づけた。2019はその2人を軸に他の三名を入れ替え。MIDはアニビアとオレソルを好んで使うLavieからLunaへ変更。チーム1のダメージソース(LJL全選手の中でも平均2位。1位はセロス、3位がもやし)だったLavieに対してLunaは韓国のGwangjuにいたというだけの情報しかなく未知数。ADCのArtは台湾1部で(昨夏のBOTは評価が難しいが)3-11のチームに所属。ただ、3-11とチームの勝率は振るわないなか、アーリーゲームの開始15分での対面に対してのCS勝率は61.3%、台湾一部で平均+3CSと微有利程度だが、振るわないチームの中で気を吐いていた実力は見て取れる。Gangoほどの期待は禁物だが、十分なハンドスキルは持ち合わせているはず。サポートのGrendelは日本人だが、公式戦は2017 SpringのLJL2部以来。選手としての実力が未知数だが、久しぶりの公式戦、おそらく経験の少ないオフライン戦、相方は外国人、とゲームプレイ以外の部分で慣れるまで不利を背負ってしまう可能性が高い。体調不良等でなく、コミュニケーション面からサブのAlpsに出番が回ってくるようなら、せっかくの外国籍選手枠が無駄になりかなり苦しい。

CGAの戦い方も、3人が変わっているため予想が難しいが、核はやはりhachamechaとNapだろう。かつて「Napはほっといても勝つので他に行く」といった旨の考えをどこかで聞いた気がするが(おそらく実況中のeyesさん)、2018を見るにおそらく2019もその考えで大きな問題は起こらないだろう。Napが一人でTOPで優位を築き、TOPを任せられることで空くリソースをMIDやBOTにどれだけ還元させられるかがポイント。Napと他1レーン、MIDかBOTに得意の鋭いガンクを決め、早い時間帯のうちから2レーンで有利を作る、というのが理想形だと思われる。そういった意味ではそのMID/BOTが全員新加入という点はコミュニケーション面で不安要素の一つになる。また、キャリーポジションの2名ともが新加入外国籍選手、新LJLの二名だけに、うまくLJLメタに乗り切れないと、チームのダメージが足りなくなってしまうのも怖い。逆に、数少ない日本人JGの強みを生かし、他チームが外国籍選手をサポートに割くことが多いなか、両キャリーともに外国籍選手にしたオフェンシブでギャンブル要素の強い構成は、ハマればLJLで見たことのないレベルでの攻撃力を発揮する可能性がある。

まとめ
・スターター入れ替えは3人、チームの核は残った2人
・新加入の外国籍選手2名をMIDとADCに置く攻撃的なオーダー
・サポート選手の試合感、久々で相方が外国籍なのは難易度が高い
・キャリーの外国籍選手2名がハマれば凄そう、コケると…


Burning Core (BC)

TOP / Cogcog(コグコグ)
JUNGLE / Once(ワンス)

MID / Roki(ロキ)

ADC / Yutorimoyashi(ユトリモヤシ)

SUPPORT / Mocha(モカ)

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JG(SUB)/Wilder
MID(SUB) /broooooooooooooooooooooooooooock
※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

5位予想にはBC、過去にはDara騒動でPGMと対立していた感があったが、(時期は被っていないが)3人の元RPG/PGM選手に加え新コーチに元PGMの34を招聘し、気づけば解散した3強の一角PGMのDNAを一番強く受け継いだポストPGM候補といったチームが出来上がった。入れ替わったのはTOPReiyaからCogcogに、ADCHarettiからYutorimoyashi、そしてJGにはOnceが入りWilderがサブに回るといった布陣。一番変更が大きいと思われるのが、JGのスターター変更。2018SummerではWilderのダメージ率が、他チームのJGが高くて19%のなか、脅威の25.6%、1試合平均のダメージは506で全プレイヤー中9位でBCでは当然1位。Yutaponの1試合平均のダメージが508で、Harettiが463、Rokiが391、ちなみに代わりに入ったOnceは248と、2018SummerのBCの戦い方は毎試合ファンネリングしてたんかい、というくらい攻撃面ではWilderが背負っていた。キャリーのRokiはMIDでの生存(被デスの少なさ)が3位、はれっちも僅差の4位と、両キャリーは生存に重きを置き、ダメージを出し切ったWilderが潰れ、はれっちがひきつけてRokiがとどめを刺す、という戦い方だった。(Rokiのキル平均はDmg平均614のCerosよりも上でMIDでトップ)。ただし、「賞金首」により重きを置かれるようになり、暴れまわっても最後にキル献上するスタイルでは相手に利を渡しすぎる、ということからか、ディフェンシブなOnceをスターターにし、ADCに日本ナンバーワンADC候補”Yutorimoyashi”を加え、今までのJG偏重のダメージ割合をBOTに持っていく形でチームが組まれたように見える。ただ、OnceはPGMでの消極的なJGの割に孤立死が目立ち、ハマるかどうかは少し怪しさがあると言わざるを得ない。サブに外国人選手を置く豪華な(勿体無い)布陣は、ムーブが正反対の超オフェンシブなJGをスポット投入出来るという面ではプラスに働くはず。TOPのCogcogもベテランながらキル数アシスト数ダメージ量はEviに次いで2位、CSは3位と特にオフェンス面では強みを見せ、加入によってチームとしてTOPで勝負も出来る形ができたと言える。

BCの戦い方は、上で書いたようにS8における攻撃面での核だったWilderがサブに回ったことにより大幅に変更されると思われる。Onceのジャングル、ゆとりもやしのADC、そしてコーチの34となれば、恐らくは旧PGMの戦い方に近くなるのでは。序盤はMIDのRokiがアサシンやメイジでソロキルが狙えるなら狙うが無理をせず、もやしの成長を待ってから一気に仕掛ける、という序盤をスローに抑え、しかし相手のミスがあれば狡猾につけ込み、なければレートまで待つPGMスタイル。この戦い方でRPG/PGMは長年勝ちを拾い続けており、LJLに合ったスタイルとして今季BC躍進の可能性もある。一方、その戦い方一辺倒だと、Cogcogのオフェンス力が勿体無いことという点と、もう一つ、今までDara、GeangといったLJLナンバーワン候補と言える外国籍サポートを横に置いて「日本最強BOTレーン」の看板を背負っていたYutorimoyashiがダメージを出しきれるか、という点に不安がある。Mochaも決して悪くはないサポートだったが、ナンバーワンかと言われると少し厳しい前シーズンだっただけに、今季Mochaも輝かせるようになれば、「日本最強BOTレーン」に疑いの声を挟む人はいなくなるはず。ともあれ、昨年PGMが伸び切らなかった一因とも目されたOnceのジャングリングはチームを、Cogcogを光らせられるか、Yutorimoyashiは新チームでも最強BOTレーンとなれるか、また強力な攻撃のカードWilderをうまく使えるか、でBCの順位は大きく変化するだろう。

まとめ
・スターター入れ替えは3人だが、チームカラーは大きく変わると思われる
・旧PGMスタイルを踏襲すれば、完遂できれば3強入りもおかしくない
・Yutorimoyashiの真価が問われるシーズン
・Wilderをどこで使うか、「賞金首」が緩和されればBCにとっては追い風か


Sengoku Gaming(SG)

TOP / Reiya(レイヤ)
JUNGLE / Smile(スマイル)

MID / Taka(タカ)

ADC / OdduGi(オッドゥギ)

SUPPORT / Raina(ライナ)

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ADC(SUB)/Jasper

※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

ここから先は6-8位争い、というのも12月末に公募の結果発表で参加決定した3チームで、1/15にロースター発表とあまりにも日程がタイトすぎてかわいそうなレベル。RIOTJP的には「降格ないからいいじゃん こち亀でいいじゃん」かもしれないが、ここからの3チームはいずれも選手獲得で苦しんだ感が見える。その中でもまだ戦える面子を全レーン揃えられたのがSG。TOPには前BCのReiya、JGには前V3のSmile、MIDには前LJLCS(2部)2eMのTaka、ADCには前韓国2部のOdduGi、SUPPORTには前LJLCS(2部)AEのRainaと、スターター5人は直近までバリバリでやってきた5人を揃えられた(Smileのみ2018Spring以来)。サブには異色の元OW2017日本代表のJasper。YutaponもOWは激ウマとの噂だけに、ADCとOWは関連度が高かった…!?ともあれ面子は揃えられたが、どうしても全員バラバラの前チームで、もう明日には試合が始まるということでなかなかに苦しい。MIDのTakaは日本のみならずオセアニアのチャレンジャーでもあり、オセアニア2部にも参戦経験ありとこちらも異色。ハンドスキルは十分そうだが、CSで0-10だった2eMだったのが気になる。全敗のチームにいながらMIDとして対面とのCSは4勝6敗と健闘しているので戦えはしそう。SmileもV3時代、今もJGにいるほぼ同じ面子にかなり押し込まれていただけに当時のままでは上位相手には少し苦しい。Reiyaもあくまで数字的な部分だが、スタッツ的にはTOPの中ではLJL1部で苦しんだという形で苦しい、それでも一応は試合勘がある程度あり、明確な穴がないぶんだけ6位に予想したい。

SengokuGamingの戦い方だが、ここはやはり未知数ながら「お願いOdduGi」がそれでも一番勝率が高くなるのではないだろうか、特に上位相手。他公募2チームに対してはおそらく優位が取れるだけに力勝負を挑んでも問題ないが、残留5チームに対してはなにか尖ったことをしないと苦しい。面子の中で唯一日本での格付けが済んでいないのがOdduGiなので、存分に暴れてもらうためにリソースをかき集めるのが懸命に見える。ただ現在のメタ的にそこまでADCの重要度が高くないのは逆風。OdduGiが順応し、助っ人に相応しい活躍ができ、BOTメタになったなら、上位相手にワンチャン引く可能性はある。幸い今年からBO1となり、1勝さえ先に引いてしまえば実力差的に1-9でも勝ちになる。公募3チームに共通して言えるが、その1を引くためにどれだけ策を用意できるかがポイントだろう。格闘ゲーム界の話だが、ストリートファイター5界には実力差のある相手に対して”今夜勝ちたい”という目先の一勝を欲しがる欲望ムーブを詰め込んだ”ゴジライン”というものがある。コーチに”回転王”を招聘するなどもオススメだが、これは半分冗談でなく、公募チームの中で地力があり、上にはチャレンジャーとして向かっていき、ハマって1引けば躍進がありうる、これがSengokuGamingの立ち位置と思われる。

まとめ
・スターター5人ともバラバラのチームからだが、試合勘は結構ある
・MIDのTakaはオセアニア経験のある日本人と異色の経歴
未知数のOdduGiの活躍に期待せざるを得ないのが苦しい
・公募3チームの中では上位、既存チームに勝つには1工夫欲しい


Rascal Jester(RJ)

TOP / alleycat(アーリキャット)
JUNGLE / WyverN(ワイバーン)☆
MID / Hollis(ホリス)☆
ADC / scottly(スコッティ)
SUPPORT / Yuki(ユキ)
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SUPPORT (SUB)/Sesami☆
※注:☆印は外国籍選手(1試合2名までの出場制限)

日本LOL史に残る古豪がとうとう一部に復活!と言うと聞こえは良いが、実際は実力昇格ではなく公募昇格なので喜ぶのは優勝まで取っておきましょう。RJは2018Springに3勝7敗で降格したが、降格とは言え3勝している、そのメンバーがTOP、JG、SUPと三枚残っており、チームとして動くコミュニケーション部分には、同じく公募の他2チームに対して優位といえる。ただ、2部のSummerの戦い、特に勝てば昇格が近づく正念場で、ずっと有利に進めていた試合でバロンスローを繰り返し、自分で昇格を手放したあたりを見ているだけに、チームワークも多少疑問が出てしまう。2018からの上積み部分としては、MIDに実績十分のHollisを獲得できたこと。見方によってはかなりの加算ポイントで、2018Springの頃より強いのでは、とも考えたのだが、どうしても割り引かざるを得ないのがADCのScotty。LJL経験はあるが2015のSpringにMIDとしての参戦以来で、かなりのブランクがある。これだけブランクのある選手をスターターに並べたのも、公募の件と相まって、十分な獲得に至らなかったのでは、と思えてしまう。もう一点、サブの選手が外国籍のサポートだが、規定上Yukiに変えてSesamiとすると外国籍選手が3人となるため不可能。つまりサブの選手を出すには誰かがロール変更せざるを得ない、というちぐはぐな構成になっている。この点からも、RJは十分にチーム構成を組む余裕がなかったと見ざるを得ない。実際問題、予算等々から獲得できるかどうかは別として、ここにいまフリーと思われるHarettiや、昇格戦で光る動きを見せたMasyoなどの実績ある日本人ADCを入れ、サブにもう一人日本人を置くだけで3位争いの末席なら加わることは可能だと思われるのだが……。RJは過去にシーズン途中にTakiというバケモノを連れてきた実績もあるため、このあと追加の獲得があれば上位も十分狙えるが、現状では苦しいと言わざるを得ない。

RJの戦い方は、V3でも十分効いていたWyverNのザックをちらつかせ、Banされたならされたでセジュアニ等を使ってドラフトを優位に進めるところから始めたい。もう一点、かつては皇帝セロスを抑え込んだこともあるHollisのゼドを中心としたアサシン中心のピックで強みを出し、ザックのようなブリンクからの奇襲に近いガンクでJG-MIDから活路を見出すのが一番だろう。また、TOPのalleycatは2018Springに苦しんだ印象があるが、数字を見ると15分時点での対面とのCS勝負では54%で勝っている。もちろんこれはEviやPazと戦ってこの数字なのだから立派。2018SpringはMIDが30%のダメージを出すMID偏重のチームだったが、Hollisの破壊力頼みのMID中心はそのままに、実は五分以上に戦えていたalleycatを活かす事ができれば、新生RJとして戦えるかもしれない。BOTはなんといってもscottlyのブランクの長さから、たとえハンドスキルが十分であっても、久しぶりのLJLに慣れるまでは過度の期待は禁物だと思われるし、逆にBOTも十分戦えるとなれば話は変わってくる。8チームの中で下馬評を覆す余地が最もあるチームとも言える。

まとめ
・スターター5人のうち3人は2018Spring組で連携は○
・MIDはHollisで降格時よりも上積みまである
ADCが2015年以来と長いブランク、サブも外国人とチーム構成に疑問
・選手の途中加入が出来ればワンチャンあるが……


AXIZ(AXZ)

TOP / uinyan(ウイニャン) 
JUNGLE / iSeNN(アイセン)
MID / Gariaru(ガリアル)
ADC / NoA(ノア)
SUPPORT / ThintoN(ティントン)
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ADC(SUB)/Day1

公募参加3チーム目はまさかのMOBAチーム実績なしからジャンプアップ参入の日テレ子会社AXIZ。当然全員が新加入ながら、TOP以外は一応LJL1部経験者を揃えた。が、おそらくこちらも早急にチームを作ったためか久しぶりの「全員日本人チーム」に。USGの再来、と言いたいところだが当時のUSGはなんだかんだで一線級が集まっていただけにそう簡単には行かないはず。そしてそのUSGも2期目のSummerで降格危機に陥り、以来外国人選手枠を活用している。LOLに限らず、野球やサッカーで「外国人枠使いません」でうまくいったのは2016鹿島くらいで、それでもサブにファブリシオがいたわけでこの段階ですでに苦しい。特にJGは総合力が求められるポジションで、2016のTussleデビュー以降は核の抑止力のように、Tussleと五分に闘うためにJGを補強、というのが長らくLJLメタとしてあった。 iSeNNは2017Springに3試合だけ出ているが、相手も日本人JGと十分なデータがなく、また以降はWyverNにチェンジしており、代打の意味合いが強かったと思われる。まずはKRJG相手に五分とは言わない、微不利程度の出血で抑えて戦えるのかというのがポイントで、開幕ゆうゆう3バフ管理なんてされるとゲームにならないレベルなのは過去のLJLが物語っている。MID、BOTはLJL経験者を揃えており、公募枠にしてはよく揃えた感がある。変わり種はTOPのuinyanで、Twitterを見るに「東大」とのこと。試合前にマーダーダッシュとかマーダー座禅とかすると良いのでは。2部のAEで数試合出ているが、昇格戦には出場しておらず、1部レベルのTOPレーンに耐えられるかは未知数。サブにはキャスターからの電撃復帰を宣言したDay1が見事に参入。エモーい!と叫びたいところだが、穿った見方をするなら日テレ、オール日本人で新規挑戦、東大、電撃復帰、今季から降格なしと何だか「ドキュメンタリーでも撮ってるんか」ってくらいLOL以外の部分で揃いすぎてるのが気になる。これで「負けても降格がないから」と売れるためにスターターに芸人がプロ名乗って入ってきたりしてな、というのは流石に冗談だが、格ゲー界で似た事例があったりするのが笑えない。ともあれ、話題先行と言われないように、大多数の人間がおそらく最下位に予想していると思われるので、その下馬評を実力で覆して欲しい。

戦い方としては、良い部分を探す形でまずはBOTのNoaは2018Springではキル平均4.4と、Yutorimoyashiの4.8に肉薄するほど”キル感覚に優れた”部分を持っている。春のスタッツ的にはKeymakerにもひけをとらないほどだったので、ThintoNとの新コンビ次第では十分戦える余地がある。MIDのGariaruは実績十分だが、あくまでUSGはTussleがJGだっただけに、今までよりもリバー周辺の危険度はマシマシ、慎重なレーニングが求められる、またGariaruは今までの「プロテクトGango」から「プロテクト自分側の青バフ」に意識を置かないと、JGが制圧されバフも取られカッツカツで戦わざるを得なくなる。そして、おそらくJGは時間が経てば経つほど制圧されていく可能性が高いため、どのレーンも安穏とレーンをしていては徐々に苦しくなっていく。早めにどこか有利を作りたい、と考えるとやはりBOTになる。序盤になんとかNoaにキルを集め、BOTの優位を確定させることでBOT周辺、BOTMID間、ドラゴン前スカトルと安全な場所を徐々に増やしていき優位を作りたい。うまくNoaとGariaruにキルを集められれば…。

まとめ
・新規参入のため全員他チームから。MIDBOTは実績ある面子が揃った。
・久しぶりの全員日本人チーム、ちなみに過去成績は結構悲惨。
・他チームとの一番の差はジャングラー

・JGが苦しいとチームが苦しいのは過去の歴史の通り、歴史を変えられるか


全体として

8チーム制になり、多くの選手が一部の舞台を踏めたのは大きい。ただ、公募からリーグ開始まで急すぎて、(今年から結構な観戦料取るのに)どうにもメンバー構成がいびつなままリーグ戦に突入する、勝つ準備が完了していないように見えるチームがあることには疑問が残る。降格がなくなり不十分な準備のチームが増えると「消化試合」も増え、それが増えればリーグの魅力も低下するわけだが、もう明日始まるので言っても仕方なし、そこらへんはSummerのときと、あとは各チームの真摯な運営に期待したい。

チームの構成を見て思うのは、今までは外国籍選手は(Rokeniaを除いて)基本的にJG/MIDかJG/SUPの二択が殆どだったが、今回2チームもADCに外国籍選手を置いている。これも昨年のGangoブレイクの影響と思われる。その一方、今回のスターターから漏れた有力選手で言えば、人気実力実績十分の”そうたあああああ!”Harettiや、DFM在籍が長くKRマスターの実力と言われていたピンクビーン現段階で無所属と、この2名は特に影響を受けた形に見える。これがゲームの”LJLつく”だったら、今からでも即獲得しておきたいチームがいくつかあるような…

順位争いとしては、軽く触れているがDFM、USGの優勝争いグループV3,CGA,BCの3位争いグループRJ、SG、AXZの新規参入組と大きく3つに分かれそう。グループ間の実力差は広そうなので、同グループの直接対決に勝ち、下のグループに取りこぼさないことが上位への鍵となってくる。

あと昨年まではLJLのサイトのスタッツがKDAとほかちょろちょろ程度で、GamesofLegendsというサイトから詳細データを見るほかなかったので、今年は改善されてるといいなあと。


おわりに

なんやかんやありますが野球ファンでもありサッカーファンでもある自分は、それらの開幕直前のようなワクワク感をLJLの開幕前に抱いています。偉そうに順位予想などもしていますが、終わってみて「ごめーん」と謝るくらいの番狂わせも見たいので期待しています。

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