脚本 大切な贈り物
脚本作成ルールは以下の記事から
今回のお題
うっかりして表示語数を3にしてしまったので、下二つの「12月」、「アイスキャンディー」をお題として採用。
以下、脚本
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タイトル「大切な贈り物」
照明、薄暗い。
舞台下手にベッド、中央にはテーブル(手紙、ビスケット、牛乳あり)、上手には暖炉がある。
ベッドには男が眠っている
暖炉からサンタが出てくる。
サンタ「しー」
サンタ、テーブルの上に置いてある手紙を読み、顔をしかめる。
少し考える素振りを見せた後、男の近くに荷物を置き、暖炉に帰ろうとする。
帰り際に照明のスイッチを押してしまう。
サンタ「あ」
焦って何度も照明を押すサンタ。舞台下手、上手が交互に光る。
男「…うーん。あれ?」
サンタ「やばい」
男「あれ、誰?」
サンタ「くそっ、くそっ」
サンタ、スイッチを強打。
結果、照明が消えなくなる
男「あれ、サンタさん…?」
サンタ「…はっはっは。メリークリスマス!」
男「すげぇ!サンタさんだ!すげぇ」
サンタ「…サンタ!」
男「サンタさん、ビスケット食べてよ、あと牛乳とか。ほら、ここにあるから」
サンタ「あー。ほっほっほ、ありがとうねぇ」
男「うわぁ、嬉しいや。あ、記念にツーショットいいですか」
サンタ「えぇ、いいですとも」
スマホで撮影する二人
男「うわぁー。えぇっと、サンタなうっと」
サンタ「あ、こら。投稿はよしなさい」
男「あ、はい」
間
男「…そうだ、昨日なんですけど、家族でお祝いしたんですよ。七面鳥とか食べたりして」
サンタ「あぁ、そうなんだねぇ」
男「はい、寿司も注文したりしてですね」
サンタ「うんうん」
間
サンタ「お、おいしかった?」
男「あ、はい。それはもう。それで、僕はお返しとして両親の肩を揉んだりして」
サンタ「そうかぁ」
男「皿洗いも、もちろん。僕が全てやりました」
サンタ「そうなのかぁ」
間
男「そうだな、年末とかも、ソバの準備とかしようと思ってます!」
サンタ「…うむ」
男「これも親孝行かなって」
サンタ「ははは」
間
男「この一年、良い子にしてました」
サンタ「はは」
間
サンタ「もしかして待ってる?」
男「……」
サンタ「これは、プレゼント待ち?」
男「…へへへ」
サンタ「…そのベッドの脇。もうそこに置いたからね」
男「本当ですか!」
サンタ「…ほら、確認してきなよ」
男、一目散にベッドの脇に近寄る
サンタ、その様子を確認すると一目散に暖炉に駆け寄る。
しかし、なかなか暖炉に入れない。
男、プレゼントの中身を確認するなり顔をしかめ始め、サンタを暖炉から引っ張り出す。
サンタ「痛い痛い痛い!何をするんだ!」
男「これ、今回のプレゼント何ですか!」
サンタ「…えぇっと。ほらそれ、昔から好きでしょ」
男「好きですけど」
サンタ「じゃあ、いいじゃないか」
男「でも、アイスキャンディーって…」
サンタ「何」
男「クリスマスプレゼントでは頼みませんよ。しかも今12月ですよ?」
サンタ「いいじゃないか、でも好きなんだろ?…それじゃあバイバイ」
サンタ、暖炉に帰っていこうとする。
男、暖炉に火をくべる。
サンタ、出てくる。
サンタ「熱い熱い熱い!正気か!」
男「行かないでくださいよ!」
サンタ「君、野蛮だな!どこが良い子なんだよ!」
サンタ、男からアイスキャンディーの箱を奪い、頬にあてる。
男「まだ話し足りませんよ」
サンタ「…何?」
男「第一、注文が違うじゃないですか!」
サンタ「…注文?お願いの事言ってるのか、あの紙に書いてあった」
男「はい」
サンタ「注文って。あのね限界があるんだよ。君の願いってあれだろ。
…お屋敷が欲しいって奴だろ」
男「はい!」
サンタ「無理だよ、サンタに求めすぎ。
もっと可愛いサイズ感でお願いしてよ。お屋敷とか俺が欲しい」
男「えぇ…。じゃあ去年の注文は?あれも叶えてくれませんでしたよね」
サンタ「…なんだ、なんだっけ」
男「ほら、Google playのギフトカード」
サンタ「あぁそうだ、可愛くなさそうな奴」
男「ギフトカード一億円分」
サンタ「金額だけ子供みたい。何に使う予定だったの」
男「ソシャゲの課金に使う予定でした」
サンタ「ほら、理由は全然可愛くない」
男「可愛くないって…」
サンタ「なんか、ときめかないんだよね…。だから去年はおもちゃセットあげたけど」
男「メルカリで売りました」
サンタ「やめてよ」
男「売ったお金で、課金しましたよ」
サンタ「…やめてよ、俺の前で言うの」
間
男「じゃあ、今後は規模が小さくて、可愛げがあれば叶えてくれるんですか?」
サンタ「…まぁ」
男「じゃあ、トレーディングカードゲームの、スーパーモンスターズの、デラックスドラゴン5枚で」
サンタ「それ、高く売れるレアカードだろ、確か」
男「……」
サンタ「売る気マンマンじゃん…」
男「メルカリで売ります」
サンタ「やめてよ」
男「売ったお金で、クリスマスガチャを回します」
サンタ「…そんな残酷な事、クリスマスの功労者によく言えるね」
男「…じゃあ、どうしろってんですか!」
サンタ「……」
サンタ、舞台上手側に歩く
サンタ「別に、お願いとかもしていいんだけどさ」
男「はい」
サンタ「君、今年で28歳だろ」
男「……」
サンタ「仕事も確かしてないし、自分でお金貯めて色々手に入れた方が良くないか?」
男「……」
サンタ「…俺も、悪かったよ。その歳になるまでプレゼント渡したりして。
でも、28歳になるまで毎年お願いされると思わないじゃん」
男「……」
サンタ「ここ数年とか、俺プレゼントの箱に『そろそろもう良いんじゃないかな?』って書いてたのに、それでもお願い事の紙あるから…」
男「……」
サンタ「…ごめん、言い過ぎた」
サンタ、手に持っていた袋から冊子を取り出す。
サンタ「これ」
男「これは!」
サンタ「タウンワーク」
男「……」
サンタ「…俺も時々悩みとか聞くからさ、まず一歩から、歩み始めようぜ」
男「……」
サンタ「まぁ年に一回、クリスマスの日にしか会えないかもだけどな。
はっはっは」
男「……」
サンタ「…まぁ、これは俺からのプレゼントってことで」
男「…ありがとうございます」
サンタ「メリークリスマス」
男「…メリークリスマス」
END
【2,073文字】
次回のお題
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