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宮沢賢治イーハトーブ賞奨励賞受賞にあたってのご挨拶

 本CDの制作にあたった「ものがたりグループ☆ポランの会」はその活動が評価され、今年(2021年)度の花巻市による宮沢賢治イーハトーブ賞奨励賞を受賞した。受賞理由の一つとして本CDの制作が含まれることはもちろんである。(※宮沢賢治賞は信時哲郎氏、イーハトーブ賞は毛利衛氏がそれぞれ受賞)
 宮沢賢治の「詩」を朗読して音声にまとめよう言う流れの中では、制作者がことさらに野望や野心を意識した記憶はなく、むしろ、自然発生的に関係者が集まり、ああでもないこうでもないと関心の方向性を整理した先にまとまった作業との理解があって、これはCDに付したライナーノートでも触れた。賢治の「竜と詩人」にも示される「詩の作法」に関する説明も意識するところもある(*)。
 受賞の意味は大変大きい。一例を示せば、手探りでまとめた朗読が一定の評価を受けたと言う意味で、一種の安堵が得られたことである。制作に当たっての勝算が無いと言えばそれは嘘になってしまうが、一方で、暗中模索であり、自身で判断するしか無い場面も何回かあった。
 表彰式はコロナの影響で、いつもの賢治忌のスケジュールから離れ11月に規模を抑えて開催される。関係者のご苦労に感謝する。(外山 正)
(*)「風がうたい雲が応じ波が鳴らすそのうたをただちにうたうスールダッタ(後略)」(「竜と詩人」)
 詩のコンテストで優勝し、それまでのチャンピオンだったアルタを放逐することになった勝者スールダッタは、自詩のオリジナリティに不安を持ち、教えを請うために竜のチャーナタを訪ねるのが大要である。何とはなしに本件に類似する状況が見えるところが興味深い。

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