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初めての文学館で、「源氏物語」の楽しみ方を知る

山梨県立文学館で開催されていた特別展「それぞれの源氏物語」を取材させていただきました(特別に許可を得て、写真撮影をしています)。

「源氏物語」は、世界最古の長編小説と言われるそうです。その時代を超えて人々を惹きつける魅力を存分に楽しめる展覧会です。取材させていただいたのは、山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科の1年生です。

では、取材の感想をご紹介します。

今まで美術館には行ったことがありましたが、文学館という所に行くのは初めてでした。なので何があるか、逆に調べずに山梨県立文学館に行ってきました。特別展「それぞれの源氏物語」では、クイズをしながら展示品を見たので、より作品の説明をしっかり見て友達と「これだ!」と言いながら様々な作品を見ることができました。
個人的には源氏物語が収録されている本の表紙がレトロな物から、時代を感じる絵のタッチで描かれていたりと同じ内容の作品でも表紙や帯などに工夫が施されていて見ごたえがありました。
常設展には名前の聞いたことのある文学者の歴史や作品が多く展示されていて、高校時代に習った内容の本も展示されていて、すごく懐かしく感じました。太宰治や芥川龍之介など、友達と「これ教科書に載ってたよね」や「この人知ってる、聞いたことある」と文学者に詳しくない私でも知っている作品も多くあり、友達と話しながら見るのも楽しかったです。
文学館で連想されるものがすぐに思いつきませんでしたが、今回行ってみて、ちゃんとした知識がなくても見て学ぶことができて、とても良い経験になりました。(千原夕貴)

文学館というものは人生で初めて行ったので驚きと学びがたくさんありました。「それぞれの源氏物語」という特設展を鑑賞しました。これはクイズを実施しており、穴埋め形式の問題文を作品や作家、その紹介文を見ながら埋めていくものでした。しっかり紹介文を読まなければわからない問題があって、初めて知る作家のこともよく頭に入って楽しかったです。
源氏物語は知っていたけれど、その翻訳の変遷やその原本、昔の書物から最近の漫画まで展示されており、今昔にわたり愛されている作品だなと感じました。
次は山梨県出身・ゆかりの文学者たちについての展示を鑑賞しました。想像していたよりも多くの山梨ゆかりの作家がおり、芥川龍之介や飯田蛇笏、樋口一葉、井伏鱒二、太宰治などのビッグネームの直筆原稿や書簡、書画、愛用品、写真等貴重なものが展示されており、非常に興味深いものでした。一つ一つ読んでいくと途方もない時間がかかるので軽く読み流していきましたが、それぞれの作家の山梨との縁話や原稿の原本があったり、時間さえあればずっといることができる空間でした。
その作家たちが書いた小説の中には、実際の山梨の土地が出てくるのかと疑問に思い、その小説たちを読んでみたいと思いました。こういう機会から小説に入ることも往々にしてあると思うので、行ってよかったです。(安藤緋海)。

作品を見ていると吸い込まれるような感覚がたまにありました。作品の表紙を見ているだけ、当時の写真を見ているだけなのにその時代を生きているような感覚になりました。でも、それは想像の世界でしかなくて、少し悔しいとも思いました。
美術館の時とは違い、無理に何かを感じようとしなくても勝手に様々な情報や感情が私の中に流れ込んでくる感じがして少し不思議な感じがしました。作品を見る際、説明や現代語訳を最後まで見ないようにしていました。私には十分な知識がないので、わからないこともたくさんありました。それでも、何も感じなかった作品はありませんでした。当時の人と会話をしているような、作者が語りかけてくるような感じがしてきました。その時当時の人や作者との繋がりを感じることができて嬉しかったです。
今まで国語の授業やアニメでしか文学に触れてこなかったことを後悔しました。もっと早く文学に触れていればよかったと心から思いました。でも、「文学館」という空間が作品の価値を上げているというようにも思いました。「文学館」にあるんだからきっと素晴らしいものに違いないと、どこかで思っていたのかも知れません。それでも、この機会に文学の美しさに気づけてよかったです(古屋小晴)。

特別展では、今まで出版された源氏物語の現代語訳の本や光源氏、作者である紫式部を描いた大和絵が展示されていました。実は私は高校生の時に古典の先生に勧められて源氏物語を読んだことがあるのですが、あまりにも長い作品で第2部までしか読めなかったことを思い出しました。この美術館に行って意欲がでてきたので残りのすべてを読んでみたいと思います。
その中で驚いたことが2つありました。ひとつは英訳があるということです。イギリスの翻訳家であるアーサー・ウェイリーが初めて源氏物語を翻訳し、この美術館には、二番目に源氏物語を英訳したアメリカの文学者のエドワード・G・サイデンステッカー著作の「THE TALE OF GENJI」がありました。少し読んでみるとこの言葉は英語ではこんな表現をしているのだなと新たな気づきもあったのでとてもいい体験でした。
もうひとつは、様々なひとがこの源氏物語を現代語訳して出版している中で、一つの文章でも様々な解釈の仕方があるということです。私が読んだことがあるのは一作品しかなかったのでまったく気づきませんでした。この美術館では作者ごとにどんな現代語訳がされているのかが比較されていて、ここでは桐壺の冒頭である部分が載っていました。
時間がなくてゆっくりとそのほかの作品を見ることができなかったので機会があればもう一度行ってみたいです。(篠原源)

特別展「それぞれの源氏物語」では、たくさんの人の現代語訳が紹介されていて、視点も様々で面白かった。元は同じ作品でも、何に着目して物語を語るのかで内容の面白さや感じ方が違うと思うので、いろいろな源氏物語を読んでみたい。橋本治さんの源氏物語は、表紙と帯の写真が洋風で、昔の日本の物語なのに不思議に思った。
常設展も見ました。樋口一葉が山梨とゆかりのある人だと知らなかったので驚きました。それぞれの文豪ゆかりの品がたくさん展示してあって、個性が溢れていました(ほとんどの人で共通していたものはメガネをかけていたことでした)。
平安時代からの日本の文学を目にして時代ごとに味のある表現に惹かれました。普段感覚を頼りに生きている私ですが、偉大な文豪たちもそうだったのではないかと思いつつ、彼らの感性を理解しきれなかったところに偉大さを感じました。(白倉凪)

今回は山梨県立美術館の文学館へお邪魔しました。日本のこれまでの文学の歴史を展示物を通して、肌で感じながら学びました。
特に印象に残っているのは、特別展「それぞれの源氏物語」です。日本平安時代の貴族社会を描いた全54巻に渡る超大作小説が今の日本文学に至るまでどれほど大きな影響を与えたのか知ることができました。本文のストーリーまでは知ることができませんでしたが、源氏物語を絵に表現したり、英語に翻訳したり、現代語訳したり、日本の芸術や文学、文化、様々な分野において発展を後押ししたきっかけになった作品であるその偉大さを感じました。
日本の有名文学者の原稿を見ても、私には読めない字が用紙一面に並んでいました。それどころか文字に見えないほど、現代の私たちが使う文字とは全く異なっていました。
その古代文学を研究してきた今までの道のりと、時代と共に変化する文学の面白さをこの文学館で味わうことができました。(田邊天梨)

初めて文学館という施設に行きました。どんな感じなのか、いまいち想像がつきませんでしたが、行ってみて、文学を視覚的に楽しめる場所だと思いました。
特別展「それぞれの源氏物語」では、古語の美しさが印象に残りました。古典などを学んで源氏物語に触れなければまず見ない言葉(名前、読み方例:篝火、蓬生、紅葉など)に出会いました。こういう言葉がもっと自分の語彙のストックにほしいと思いました。
現代語訳の面白さも印象的でした。訳した作家のその人らしさが出ていて、自由で、間違いがない。原文がより豊かになったり、逆にシンプルになったり…翻訳者の主張が訳に表れている点が興味深かったです。
また、中澤弘光さんの挿絵、表紙の絵が素敵だと思いました(ときめく、カラフルで、その本の雰囲気)。服とかはモノクロ、シンプルなものが好きなのですが。
林真理子さんの「STORY OF UJI」 を読んでみたいと思いました。(東海林采音)

文学館に行く前には、源氏物語について名前を知っていて内容がよくわからないし、なぜこんなに後世に残るのかについて正直、疑問でした。でも、特別展「それぞれの源氏物語」を見て、源氏物語がいかにたくさんの文学者を影響しているのかわかった。そこで、源氏物語が後世に影響を与えていた作品を調べてみました。例えば、狭衣物語や浜松中納言物語、和歌などがありました。昔の作品を参考して書かれた現代文学でも、間接的に源氏物語に影響されているのではないかと思いました。(頓宮佑輝)

残念ながら、特別展「それぞれの源氏物語」は終わってしまいましたが、「冬の常設展 期間限定公開コーナー『作家の肖像Ⅱ 芥川龍之介』」が、2024年3月3日まで開催されています。

また、山梨県立文学館には、山梨県出身・ゆかりの文学者の直筆原稿や書簡、愛用品、写真、著書などが多数展示されていて、特に、樋口一葉、芥川龍之介、飯田蛇笏、飯田龍太の資料は、質量ともに国内有数のコレクションとなっています。

最後になりましたが、貴重な取材の機会をくださった山梨県立文学館の皆様に感謝申し上げます。


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