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データ主導の人材マネジメントを実践する方法_読書サマリ

はじめに

人的資本開示を進めていくにあたって、人事データを適切に分析し、間違いの無いように示唆を抽出することが重要になります。そのためにもデータを用いて人材マネジメントをどのように行うのかについてハーバード・ビジネス・レビューを紹介したいと思います。
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/8100

1:将来を見据えてビジネスクリティカルな職務を定義する

今後の事業環境の中で、数少ない職務が、企業の戦略実行や成果創出において大部分を占めるようになる。そのため、その「数少ない職務」がどんなスキルを求めているのかを検討して、既存社員へのスキルの付与(内部調達)、そのスキルを持つ人材の採用(外部調達)が求められる。

ではそのような「数少ない職務」を特定するためにはどうすればいいのか?それはデータアナリティクスなどを活用して、未来に求めらえるスキルが何かを特定することが重要である。その実現のためにも、人事業務にテクノロジーを導入することが不可欠となった。

2:優秀さの条件を再定義する

既存のアセスメント方法は、従業員の現在携わっている仕事が今後も変わらない場合においてのみ有効である。仕事に求められる要件が絶えず変化する現在において、新しい業務を任せられる従業員を特定するには向いてないことが多い。既存のアセスメントツールが効果を発揮するのは、既に必要なスキルが明らかで、研修やトレーニングなどを行えばそのスキルを獲得することができる社員を特定することができる。

「優秀さ」を定義するためには、自社の今後の事業戦略としてどのような職種が必要となるのかを定義することが重要である。その上で具体的にどのような人材が必要で、どのように採用・育成するのかという人材開発・採用戦略を立てることが求められる。
その事業戦略を実現するために必要な職種ごとに求められる優秀さを特定するためには、ただのアセスメントツールではなくピープルアナリティクスや行動科学を用いたツールや手法が必要になっていきます。

3:マネジメント開発をおろそかにしない

エンジニアやデザインやデータサイエンスなどの新興職種について、多くの企業で求められるものの市場に流通していないために、労働市場で需要過多/供給不足の状態となっている。そのため、採用するにあたってのコストは非常に高くなっており、内部調達できる仕組み作りが強く求められている。
内部調達を実現するためにも、マネジメントの能力開発が重要になっていく
。新たな職種や能力が求められることが分かった際に、その要件に対して誰が向いているのかを定義し、その中からリスキリング研修を行うことで、外部からの採用コストや合わなかったことによる離職のリスクを抑えることができる。

4:HR部門のテクノロジーを強化する

業務環境の変化によって、マネジメント方法の変革が求められている。優秀な社員というものを勘と経験によって把握するのではなく、データ分析を適切に活用することで行うことが望ましい。

具体的には、その職種から確保することができる各種データ(実績数字・打合せのログデータ、研修情報など)を収集分析し、一人一人をファクトベースで優秀かの示唆を抽出することが求められる。またそのデータを活用することによって採用する社員におけるミスマッチを少なくすることができる。

5:従業員をテクノロジーに関与させる

従業員に至るまでHR Techを活用しきれている会社は非常に少ない。従業員はHR Techに対して悪い印象をもっていることが多く、活用されないことによって会社として効果が弱められてしまっている。

従業員にとってメリットのある形からの導入が望ましく、従業員がそのテクノロジーを活用することで業務が効率化or成果創出ができるようにすることが求められる。

6:明日のスターが企業に求めるものを理解する

労働市場が大きく変わり、従業員の価値観が大きく変わっている。そのため、これまでに従業員が自社に魅力を感じていた要素とは異なるバリュープロポジションを探す必要がある。特にZ世代やミレニアル世代などと呼ばれる世代においては、これまでの組織に対するコミットメントなどではなく、ライフスタイルの尊重とエンゲージメントの両立を重要視する。またスピーディーで柔軟な組織形態を求めている。

従業員エクスペリエンスという概念が広まりつつあるのは、心理的なつながりだけでなく、従業員が求める体験が時代変化に齟齬がないようにできているかを把握する目的であることが多い。今後は自社の社員に対して、よりよい体験を提供する組織であるとしての社内ブランディングも求められていくことだろう。

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